バイオハザード〜とある警官の奮闘記〜   作:零崎極識

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第10話 立ちふさがるもの

 

 「はっ……!!?」

 

 がばっと()()()()()()周りを見渡す。そこには俺に驚いたアーノルドと寝息を立てて眠るシェリーの姿があった。

 

「先輩大丈夫ですか?」

「……ああ、最悪な夢をみた」

 

 あんな大男に知り合いもいないが明らかにこちらを敵視していた以上おそらくいつかは遭遇するのかもしれないと思うと、少しばかりぞっとする。

 

 そんな時待合室の扉が勢いよく開かれた。そこには息を切らしたマービンとエリオットがいた。その後ろからは何体かのゾンビが迫っており、ハンドガンを構えればヘッドショットで排除する。

 

「ジャック、まずいことになった」

「いったいどうしたんだ」

 

 マービンが深刻そうな声色でそんなことを言えば不安になり聞き返す。

 

「時計塔に来る予定の救助隊が全滅したようだ」

「……まじか」

「それだけじゃない、街の中に見たこともないような怪物が現れたらしい。オフィスの通信機からたまたまそんな情報が入ってきてた」

「このままだと脱出もままならないな……」

 

 どうやら神は俺たちのことが嫌いなようだ。タイミングが悪くて本当に嫌になってくる。

 

「だが、その代わりにしっかりとメダルを集めてきたぜ?」

「そいつは良かった。早速移動しよう」

 

 俺たちはすぐさまホールの女神像へといき、手に入れたメダルをはめ込んだ。すると、すさまじい音ともに女神像の土台部分がせり下がり、地下へとつながる階段が出てきた。

 

「あとはこいつがどこにつながっているかだな……」

 

 慎重になりながら俺たちは階段を下っていくと不意に入り口が閉まり退路を断たれた。

 

「くそいつも退路を断たれてるじゃねぇか!」

「ある意味シンプルで分かりやすいだろ?前に進むしかないのさ」

 

 マービンの発破に完全にやけになったエリオットはため息をつきながらも覚悟を決めた様子で先へと進んでいく。たどり着いた先には書斎のような部屋がありご丁寧にも少しの弾薬が置いてあった。その置き方はまるでこの先に何かがいるようなことを暗示させるようだ。

 

「ここまでくると何か作為的なものを感じてしまうのは俺だけか?」

「奇遇だな、俺も同じこと考えていた」

「来るなら何でも来い!俺はもう驚かんぞ!」

 

 書斎を抜けて先に進めばどうやら警察署の動力部にたどり着いたようであちこちで機械が動いており、その先にはまだ部屋が続いているようだ。

 

 俺たちは2階のフロアを進んでいくと上のほうで何やら人影のようなものが通っていくのが見えた。

 

「おい!誰かいるのか!!」

 

 エリオットがそう叫びながら人影を追うために走り出す。その後を追いかけるように俺たちも駆け出すが、行きついた先にはロッカーが倒れており一人で持ち上げるのは困難そうだ。

 

「いいかみんなで力を合わせるぞ、せーの」

 

 マービンの掛け声とともにロッカーをどかしたところで不意に上から何かが降ってきた。着地の音の大きさで振り返り、それぞれの得物を構えるとそこにはボロボロの白衣をきた男がいた。

 

 俺たちは怪訝そうな表情を浮かべていたが一人だけ反応が違う人物がいた。

 

「パパ!!」

「シェリー……」

 

 アーノルドにくっついていたシェリーが目を輝かせながらその人物に飛びつこうとするがアーノルドが腕を引いて止める。

 

「離して!なんで止めるの!?」

「シェリー……よく見るんだ」

 

 アーノルドはシェリーにそう促し、その姿を見れば突如苦しみだし右腕が爆発するような勢いで肥大化した。

 

「逃げろ!!!」

「その子をハナセェェェ!!!」

 

 俺たちが逃げ出せばすさまじい勢いで追いかけてきて、一番後ろにいた俺はその男に掴まれて後ろへと投げ飛ばされる。幸いにして壁に叩きつけられることはなかったが、それでもダメージはあり一瞬だけ意識が遠のく。

 

 すぐに頭を振り視界をはっきりさせればハンドガンで後ろから銃撃するとその男は鬱陶しいと思ったのか俺に向かってゆっくりと歩みを進めてくる。

 

「来いよ化け物……相手になってやる」

 

 立ち上がれば、手すりを飛び越え下のフロアへと受け身をとって着地する。その後を追うように化け物も手すりに手をかけて降りてきた。その時にもぎ取ったのか鉄パイプを手に持ち見境なく降りまわす。

 

「娘をカエセェ!」

「お前みたいな化け物には返せないな」

 

 その男から距離をとれば頭部に向けてハンドガンを撃つが皮膚が硬くなっているのか怯むことはなく俺のほうへと近づいてくる。しっかりと距離をとって何度も銃撃を加えるがまるで効果がない。

 

「弾がもったいない……!」

 

 仕方なくハンドガンをしまい何かないかを探すために辺りを探索するが、その時目を離したのが悪かったのか敵の姿を見失ってしまった。

 

「どこに行った?」

 

 その時、上から鉄パイプを振りかざして化け物が降ってくる。とっさに気付けたからよかったもののその攻撃は床の一部を砕いてしまいその破片が俺へと襲い掛かってきた。

 

 まるで散弾のように襲い掛かってくる破片をよけることはできず、当たった痛みに動きを止めてしまい、タイミングが悪く振り回した鉄パイプが胴体へと命中し大きく吹き飛んでしまう。

 

「がはっ……!あ、やばい……!!!」

 

 衝撃で別なところの手すりに叩きつけられればその手すりが老朽化していたのか俺の体を受け止めきれずにそのまま嫌な浮遊感とともに自由落下し始めるのだった。

 

□□□□□□

 

「先輩!!」

「くそが……!!!」

 

 ジャックが手すりを超えて落ちていくのを目の当たりにしたアーノルドたちはすぐに逃げるように先へと進むが、シェリーがアーノルドたちとは真逆の方向へと走り出す。

 

「シェリーどこに行くんだ!?」

「私が狙われてるから!私なら大丈夫!!」

 

 そう言うと止める前に隙間からどこかへと逃げていき、アーノルドたちは反対方向へと走り出すのだった。

 

 何とかその施設を抜けると作業員室のようなものを通り抜けてその奥にかかっている梯子を上っていく。梯子をのぼりマンホールをどけて上った先は地下駐車場が広がっていた。

 

「あそこまで危険なことしてまた地下駐車場かよ……!!」

「いや、よく見てみろ。俺たちが普段使っているところと違う……ここは外につながってるんじゃないか?」

 

 ひとまず三人が地下駐車場に上がれば近くにあるパトカーを漁る。キーが刺さったままのパトカーを調達して乗れば脱出できるのだが。

 

 そんな三人を囲むように何かが近づいてくる。最初にそれに気づいたのはアーノルドだった。すぐさまハンドガンを構えそれにつられてマービンとエリオットも臨戦態勢に入る。

 

 三人の前に現れたのは腐敗の進んだ犬だった。どうやら警察犬がウイルスに感染した個体のようだ。

 

「来るぞ!!」

 

 穴が開かないように交互に銃撃をするも犬の機動力が高くすり抜けてくれば近くにいたエリオットにとびかかってきた。意外にも重さがあり犬が喉笛に噛みついて来ようとするのをどうにか止めているエリオット。

 

「やめろよ!くそが!!」

「エリオット!」

 

 横合いからマービンがハンドガンで犬の側頭部を撃ち抜く。至近距離でその返り血を浴びたエリオットは真っ赤に染まりながらすごく嫌そうな表情を浮かべていた。

 

「……いやマジで助かった」

「さすがにあんなのが相手なのは仕方ないよな……」

 

 幸いなことにその他の犬の襲撃はなかったものの、どのパトカーにもキーは刺さっておらず動くことはなさそうだった。

 

「この近くに事務所があればそこにあるかもしれないな」

「手分けして探してみますか?」

「……いやジャックがいない以上、一緒に行動したほうが安全だろう」

 

 スリーマンセルで行動をすることにし、近くの扉を開けようとするも電力が落ちているのかびくともしなかった。

 

「手始めに電力を入れないといけないわけか」

 

 その電子ロックの扉を開けることをあきらめてひとまず別の扉へと近づけばどうやらそこにはロックがかかっておらず無事に開けることができた。

 

 扉を開ければその先はほとんど明かりがついておらずそれぞれのフラッシュライトを頼りにして先を進んでいくのだった。

 

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