バイオハザード〜とある警官の奮闘記〜   作:零崎極識

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第11話 出口への光明

 電力の落ちた廊下はとても暗くライトだけで照らすのはいささか心もとはなかった。

 

「確かこの辺に武器庫があったよな?そこで弾薬を調達するか」

「それはいい提案ですね、さすがに結構消耗していますもんね……」

 

 このあたりの施設をしっかりと把握しているエリオットを先頭として武器庫へと向かうとそこには2体のゾンビが横たわっていた。すっかりゾンビになれたマービンはナイフを取り出すと頭へと振るう。

 

 頭に衝撃を受けたゾンビはゆっくりと立ち上がろうとするがその前にマービンのナイフがきらめき脳髄へと突き刺す。

 

 もう一体も同様に処理を行い武器庫においてある弾薬をサイドバックへと入れていく。すると、アーノルドはその近くにあったサブマシンガン『UMP45』を見つけそれを手に取る。

 

「それは確か……バリーが試作品で納入した奴じゃなかったか?」

「そうなんですか?ええっと……使用弾薬は45口径ですね」

 

 ひとまず近くにあったマガジンを4つほどマグポーチに放り込み、おまけにハンドガンの弾も補充してハンドガンをホルスターにしまう。

 

「よし、では探索に移るぞ」

 

 マービンはハンドガンに加え、新しく『M4アサルトカービン』を装備し。エリオットはショットガンだけではなく手りゅう弾を補充するのだった。

 

 外に出てそれぞれが新しい武器を手に持ったまま電力室へと足を進める。廊下は妙に静かで自分たちの吐く息の音が妙に響いていた。

 

「妙な静けさですね……まるで誰もいないみたいだ」

「だからこそ、不意を突かれたときにパニックになるんだ。気をつけろよ」

 

 先頭を歩くマービンがアサルトライフルを構えながら油断なく歩く。その後ろをサブマシンガンを構えたアーノルドが歩き、エリオットが後方を警戒する。

 

 特に敵と出会うこともなく電力室にたどり着いた3人は配電盤に近づくと、目盛りに記されたように安全域のところの値まで電圧と電流を上げれば施設に電力が走り周囲に明かりがともった。

 

「よし、先に進むぞ」

 

 と、その時不意にガシャンという音ともに金網が落ちる音がして犬の鳴き声が複数聞こえてきた。アーノルドたちが逃げる前にあっという間に距離を詰めるゾンビ犬たちだったが、マービンがアサルトライフルを構え無駄弾をほとんど使わずに退治するのだった。

 

 電力室を出れば今度は駐車場のほうからゾンビ犬たちが襲い掛かるように迫ってくる。

 

「任せてください!!」

 

 アーノルドはサブマシンガンを両手でしっかりと構える。そこまで大きくない反動を感じるも狙ったところ集弾した45口径弾がいとも容易く頭を吹き飛ばす。危なげもなく駐車場へと向かった3人だったが通電したせいか、先ほどまでしまっていた外へとつながるシャッターが解放され、外にいたゾンビたちが殺到する。

 

「2人だけにいい格好はさせられるかよ!」

 

 エリオットは負けじと手に入れた手りゅう弾をゾンビたちの真中へと投げ込む。きっちり三秒後に爆発し無数のゾンビが吹き飛び動かなくなるのだった。

 

「あらかた片づけたな……どうする、このまま外に出るか?」

「いや、ジャックもシェリーも見つけてない。このまま外に出るのは反対だ」

 

 マービンは確固たる信念をもってそう答える。もっともここで外に出るなどするわけのない男たちは危機的な状況に陥っているであろう2人の行方を捜すのだった。

 

 

 

 1998年9月28日

 

 結局のところシェリーもジャックも見つかっていなかった。ひとまず警察署の中をかけめぐるもシェリーはどこにもおらず、昨日ジャックを落としたあの化け物も影も形も見えなかった。

 

「八方ふさがりだな……このままだといたずらに弾薬を消耗するだけだ」

「なんだってこんなに見つからないんだ……!」

 

 と、その時マービンのトランシーバーに通信が入る。

 

『マービン!俺だ、ブラッドだ!』

「ブラッドか、どうした?」

『ジルを見つけた今からそっちに向かう!』

「おお!そうか、期待して待っておく」

「どうしましたか?」

「ジルが見つかったらしい」

 

 それは彼らにとっては吉報だった。なぜなら伝説のS.T.A.R.Sの生き残りだったからだ。その連絡を受けた3人は合流するまでの間ひとまずホールへと移動し休息をとることにするのだった。

 

 しばらく時間がたったところで何やら正面玄関が騒がしくなり3人が外に出ると、そこには醜悪な見た目をした化け物がジルとブラッドに迫っているところだった。

 

「ジル!ブラッド!!」

 

 すぐさまマービンがアサルトライフルを構えて牽制射撃をする。するとその攻撃に鬱陶しさを感じたのかマービンへとターゲットを変えて大股で近づいてきた。エリオットとアーノルドはすぐに散開しお互いの攻撃が当たらないように位置取りをする。

 

「3人とも逃げて!!」

「いいからこっちにこい!!」

 

 ジルの警告をよそにマービンが声を張り上げる。すると大男は手から触手を伸ばしてマービンへと振るった。その狙いはマービンの脇腹を貫くコースだったが反射的に身を地面に投げたのがよかったのか攻撃を回避することができた。

 

「グレネード!!」

 

 アーノルドは炸裂弾を装填したグレネードランチャーを構えて大男の足元へと向ける。小気味のいい音とともに弾丸が飛んでいけば地面へと着弾した瞬間に爆発を起こす。さすがの衝撃に耐えられなかったのか膝をついてその場にうずくまる大男。

 

「今のうちだ!!」

 

 エリオットが叫び、皆を誘導して警察署の中へと飛び込む。するとその後ろからドスンッ!という音ともに何かがぶつかる音がした。

 

「急げ!先に進むぞ!!」

 

 ホールの先にある西側オフィスへと飛び込む彼らは最後にドアの鍵をしめて立てこもった。全員が息を切らせてその場に座り込めば状況を説明してもらおうとジルへと話を聞くことにした。

 

「今日の夜……ブラッドから電話があったんだけどその直後にあの大男に襲われて、ずっと逃げ回ってるのよ……本当にいやになっちゃう」

「熱烈なストーカーだな。どうだ?人気者になった気分は」

「冗談言わないでよ、マービン。あんなのなんかお断りよ」

 

 冗談を交えながらここまでの経緯を確認するとどうやらジルだけでなくブラッドも狙われているようだ。

 

「どうやら奴は、俺とジルを狙ってるらしいな……」

「ひょっとしてアークレイの生き残りだからか……?」

「だとしたら差し金はアンブレラってことか」

 

 この前の別の化け物を見たというのに短時間に危険度の高い怪物と出会うという状況に3人はかなり疲労を感じているようだった。

 

「まぁちょうどいい……幸いなことにこの地下には駐車場がある。その先はおそらく街の裏通りへとつながってるはずだ。そこから出られるかもしれない」

「いい案ね、早く街から出たいと思ったところなのよ」

 

 その時突如ホールへとつながる扉が破られそこからさっきの大男が現れたのだった。

 

「ジル!早く逃げろ!!」

「ブラッド!?」

 

 するとジルをかばうためにブラッドがハンドガンでその大男を攻撃する。

 

「スタァァズゥ……!」

 

 手から触手を伸ばした大男はブラッドの足を掴めばそのまま自分のもとへと引き寄せてそのまま頭を掴み持ち上げた。

 

「がっ……!はなせ……っ!」

「ブラッド!!」

「ダメだ、ジル!逃げるぞ!」

 

 ジルはブラッドを助けようとハンドガンを構えるがマービンに止められて後ろへと引っ張られる。

 

「化け物……が……!がはっ……」

 

 そしてブラッドの頭を掴んだ化け物はその手から触手を勢いよく放出してブラッドの口から咽頭を貫通させて、その体を床へと投げ捨てる。

 

 明らかに息絶えた様子のブラッドに興味をなくした大男は今度はジルの方へと近づいてくるのだった。

 

「いそげ!モタモタしてると間に合わんぞ!!」

 

 全力疾走で廊下を走り抜ける4人だったがその大男もかなりの瞬足であっという間に追いつきそうになる。

 

「こいつは私を狙ってるのね……!」

「恐らくそうだな!」

「だったら……」

 

 すると突然ジルは窓枠から身体を踊らせて外に出る。大男はそれを見てジルの方へと突撃した。

 

「3人は早く脱出して!」

「おい、ジル正気か!!?」

「正気も正気よ!」

 

 たまたま近くにあったドラム缶をジルが撃ち抜けば、見事に中の燃料に引火したようで凄まじい爆発が起きた。

 

 その爆風をもろに受けた大男だったが膝を着いただけですぐにでも襲ってきそうだ。

 

「いいから行って!伊達にS.T.A.R.S.を名乗ってるわけじゃない!」

「ジル……死ぬなよ」

 

 マービンは一言だけそういうと、アーノルドとエリオットを連れて再びホールへと戻るのだった。

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