バイオハザード〜とある警官の奮闘記〜   作:零崎極識

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第12話 迫り来るもの

「もうここは危険だ。すぐさま街の外に出ることを提案する」

「……確かにそのほうがいいかもしれないですね」

「シェリーもジャックも見つかってないが……」

 

 三人はホールから回り込んで地下の駐車場へとつながる通路を進んでいた。すでに亡者たちの姿はなくただ重い足取りをする男たちの姿しかなかった。

 

「……しかたないひとまず歩いて下水道にいくしか……」

 

 ひとまず地下駐車場から徒歩で外に出ればどうやらダウンタウンの裏路地に出たようで遠目には下水道へとつながる道路が見えるのだが……

 

「くそ、思った以上に工事が進んでねぇな……」

「これは遠回りをするしかないな」

 

 路地を進み下水道へと向かう途中に遠くからヘリのローター音をが聞こえてきた。その音は男たちに希望をもたらすが現れたヘリの側面を見て嫌な予感がよぎる。

 

「おいおいあれはアンブレラのマークじゃねぇか?」

「まずいな……」

 

 とその時、そのヘリの機体の下から何かが排出され、下水道の目の前へと落着した。土煙が舞いその奥からはさっきまで戦っていた大男とは別の化け物がゆっくりとこちらへ近づいてくる。

 

 そいつは胴体に防弾ベストを着ており露出部分は頭の部分しかないほどに防具が多かった。

 

「くそ!こんな時にまでかよ!」

「下がるしかないです!!」

 

 一転してすぐに駐車場へと飛び込みシャッターを閉めれば地上階へとつながる通路を走り抜ける。しばらく走り宿直室へと飛び込んだところで彼らは一息をつく。

 

「いったいどうなってやがる……!次から次へと……」

「ここも既に安全じゃなさそうだな……!」

「どうやってここから脱出しましょうか……」

 

 状況的にもかなり厳しくもあり疲労を隠しきれない彼らは深いため息をついていた。だが、しばらくして扉越しに大股で歩く足音が聞こえてきた。その音に真っ先に気付いたマービンは口に指をあてると音を立てずにおくのスペースへと滑り込む。

 

 同じように残りの2人もスペースへと隠れれば、その数分後に扉が開かれてさっきの大男が入ってきた。その大男は部屋を一瞥すれば入ってきた扉から出ていき、オフィスのほうへと歩いていくのだった。

 

「……はぁぁ、行ったか……」

「生きた心地がしなかったぜ……」

 

 もう少しだけゆっくりとした彼らは武装を確認してから宿直室を出てホールとは逆方向に移動し、再び地下駐車場へと歩みを進める。道中では何体かのゾンビが凄まじい勢いで壁に叩きつけられたのか、めり込んだような死体が転がっておりその怪力が想像つくようだった。

 

 地下駐車場につけばシャッターをもう一度開けてそのまま外へと歩みを進めるのだった。久しぶりに外に出た彼らだったが外は外でうめき声と悲鳴……それと腐臭が漂ってきていた。

 

「どこに行っても最悪だな」

「早くまともな生活がしたいぜ……」

 

 下水道の入口へと足を進めるために工事現場の足場を進んでいく。いつから放置されていたのか分からないが足場はかなりガタガタで人一人が歩くのがやっとだった。

 

「よっと、最後にこれで……!?」

 

 最後に歩いてきていたエリオットがこちらへ来る途中に突如足場が崩れた。すぐさまマービンとアーノルドが手を伸ばしてどうにか支える。二人で一気に持ち上げてどうにか引き上げることができたが、この道はもう戻れなくなってしまった。

 

「本当に災難だぜ……なんでこんなにツイてないんだ」

「だが真についてないのは明日着任予定の新入りだけどな」

「はは、そいつは違いねぇな」

 

 そして三人は下水道につながるトンネルへと足を進める。トンネルからは鼻を突くようなすさまじい臭いが漂い進むのに気が引けるほどではあるが我慢して足を進める。

 

「ったく、どこもかしこも地獄だな……」

「いうなよ、エリオット。生きてるだけで儲けもんだろ」

「生きてるとはいえまだ、こうやって不快感があるだけ生きてる実感が出てきますよね」

 

 フラッシュライトを点灯させながら先へと進んでいき、水路へとたどり着けば意を決して飛び込んだ。

 

「文字通りクソッタレだな」

「まったくだぜ、いつから俺たちは下水道の管理人にでもなったんだか」

「最悪ですね……」

 

 腰ぐらいの位置まで下水が上がってくれば嫌でも服はびしょびしょになり不快感に顔をしかめる。おまけに流れている水は濁っておりまともに足元は見えなかった。

 

「状況的には最悪だな。ゾンビに噛まれてお仲間になるか、傷口から腐っていくかの二択だぜ」

「どっちもごめん被るために早くここを抜けよう」

 

 すると、遠くのほうからおぞましい鳴き声が聞こえてきた。

 

「あれが俺たちのお迎えか?」

「馬鹿を言うな、あんなのに会いたくなかったら死ぬ気で逃げるんだよ」

 

 しばらく水路を歩くとようやくまともに舗装されたコンクリートの通路が見えてきた。三人はすぐさまそのコンクリートに上がり奥へと進んでいく。しばらく歩くとどうやらさっきまで歩いていたところの上層通路に出たようだ。

 

「初めて下水道に来たが……結構入り組んでるんだな」

「地図もない俺たちが迷子になってないのは奇跡だよな……」

 

 その時、目の前に下層の通路から白い何かが飛んできた。その化け物は二足歩行でゆっくりと近づいてくれば口の部分が開き、彼らを丸のみにしようと襲い掛かる。

 

「なんなんだこいつは!!」

「離れろ!飲み込まれたらひとたまりもない!」

 

 慌てて後方へと下がるもエリオットが足を滑らせてしまった。

 

「エリオット!!」

 

 すぐさまマービンが振り向き援護射撃をしようとするが敵の軸上にエリオットが重なるという最悪の状況になってしまった。

 

「くそ!このクソフロッガー……!」

 

 丸のみしようと口を大きく開ける敵に対してエリオットは手に持っているショットガンをぶっ放す。すると、かなり大げさにのけぞり、どうやら口の中に弱点があるようだ。

 

 それを知ったエリオットは立ち上がりながらその化け物が口を開けるのを待って再びショットガンをぶっ放す。それを3回繰り返せば地面へと倒れこみ、ピクリとも動かなくなった。

 

「ど、どうだこの化け物め……!」

「だが油断して食われたらあっけないぞ」

 

 マービンが指をさすところにはびっしりと鋭利な歯が生えており飲み込まれたらひとたまりもないだろう。ひとまずその死体を無視して先へと進む。しばらく歩くと制御室のような部屋にたどり着き、ひとまず休息をとる。

 

 その時、部屋に下水道の地図が貼られており現在位置を確認すればどうやらここの部屋にある、水密扉の先にどこかへとつながるケーブルカーがあるらしい。

 

「だがここでもなぞ解きってわけか……」

「誰だこのロックを作ったのは……なんでチェスの駒と組み合わせたんだ……」

 

 おまけに全てのプラグがあるわけでもなくいくつかのところは空白になっていた。

 

「とりあえずはそのプラグを探すところからってわけか……」

「しばらくは下水道を駆け回るってわけか」

「……気が滅入りますね」

「新入り、ここで休んでおくか?」

「ここまで来たら最後まで駆け抜けますよ」

 

 アーノルドは弱音を吐くも自分の意志で走ることを決意してプラグ集めに奔走するのだった。水密扉とは別の扉を開ければ、橋が上がっている状態の連絡橋へとたどり着き、ギミックを解除して先へと進めるようにする。

 

 その後も何やら複雑なギミックを潜り抜けてどんどん奥へと進んでいく。そしてやけに広い空間へとたどり着き、慣れたように下層の水路へと着地する。

 

「……何か嫌な雰囲気だな」

「やけに死体が多くないですか……」

 

 何やら大きなこぶのようなものがあちらこちらにできていたり、ゾンビの死体が転がっているが全く動き出すような予兆が感じられない。先頭のマービンがゆっくりと歩いて先に進めば、突然ゾンビの腹から何かが突き破って出ていきどこかへと消えていった。

 

「なんなんだ……どうなってやがる……」

 

 不可思議な光景を目の当たりにすれば一層警戒感を増して先に進もうとした。だが、目の前に突如醜悪な四足歩行の化け物が立ちふさがる。

 

 その化け物は左腕だけが肥大化しており右腕は退化したかのように著しく短くなっていた。化け物はこちらを見つければ肥大化した左腕を振るう。轟音とともに振るわれた腕は下水に波を立て、俺たちの動きを見事に止めた。

 

 そして先頭のマービンが肥大化した左腕に体を掴まれる。

 

「がっ……!ぐぅぅ……!」

 

 その化け物の腕は見た目通りに怪力でもがくマービンだったが拘束は外れ層になかった。

 

「この……!離しやがれ……っ!」

 

 どうにか右腕を抜いたマービンはナイフを取り出しその腕へと突き立てる。その痛みに驚いたのか拘束が緩めば、すぐに抜け出して地面へと着地した。その隙を見逃さずに頭部へと銃撃を加える。

 

「これでもくらえ!」

 

 アーノルドは炸薬を装填したグレネードランチャーを放てば、見事に肩部へと命中するも一撃で倒れることはなく、()()()()が露出するぐらいのダメージが通った。

 

「あの部分を狙うんだ!」

 

 目ざとく弱点を看破すれば集中的に銃弾を叩きこんだ。すると、化け物はその場で崩れ落ち、二度と動き出すことはなかった。

 

「まるで化け物のディスカウントストアだな」

「こんな大安売りするデパートになんか行きたくないけどな」

 

 ひとまず奥へと進んでいき、梯子を昇ればその先には古い扉が見えてきた。扉を開ければそこは古い大きな倉庫のようでご丁寧にも予備部品としてチェスのプラグが置いてあった。

 

「どうやらこいつのようだな」

「早いところ戻ろうぜ。一刻も早くこんなところからおさらばしたい」

「同感です……」

 

 チェスのプラグをとり戻ろうとしたところで何やら大きな揺れが三人を襲った。とっさにしゃがむが地震にしては揺れ方がおかしく、一同は不安を覚えた。

 

「……なんだったんだ今のは」

「俺は早いところ逃げたほうがいいと思うぜ」

 

 そうと決まれば、そぐに三人は外へと飛び出す。だが、彼らを待ち受けていたのはさっきの揺れに睡眠を邪魔された無数のゾンビと醜悪な化け物が3体ほどだった。

 

「……駆け抜けるしかないな」

「その通りですね……!!」

「理不尽すぎるだろ……」

 

 そして三人はどうにか生き延びるために武器を構えるのだった。

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