バイオハザード〜とある警官の奮闘記〜   作:零崎極識

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第13話 先の見えない攻防

「なんだよこいつら、本当にどこから来るんだ」

「まったくだ、モテるのは女の子だけにしてほしいもんだぜ」

 

 近づいてくるゾンビを排除しながらも退路はない以上、隙間を作るように前へ前へと前進していく。もちろんその分敵との距離は近づいていき攻撃を受けそうになる場面を増えてきた。

 

「横だ、エリオット」

「おおっと!」

 

 マービンの警告に反対側へとサイドステップをして距離を開ければ次の瞬間にはマービンの射撃がゾンビを倒す。

 

「マービンさん、8時の方向です!」

 

 アーノルドが警告を言えば、すぐに距離をとりアーノルドがサブマシンガンでゾンビを撃つ。

 

「アーノルド、後だ!」

 

 回避してアーノルドを向いていたエリオットがアーノルドの後ろに迫っていた醜悪な化け物を見つければすぐに手りゅう弾のピンを抜いてそいつに投げつける。きっかり3秒後に爆発を起こし、その化け物はその場にうずくまった。

 

「活路は見えた、進むぞ!!」

 

 やがて敵の数が散発的になり突破口が開ければすぐさまそこから、上層水路への梯子へと移動し、どうにか上ることができた。上がればプラグをもってさっきの管制室へと移動する。

 

「どうにかプラグはそろったな、この先に脱出できるような施設があればいいんだが」

「これで空振りだったらシャレにならねぇ」

 

 移動しながら残弾を確認する3人。マービンはアサルトライフルのマガジンが残り2つ相当とハンドガンのマガジン2つ相当。

 

 エリオットはショットガンのマガジンが2つ相当と手りゅう弾が2つとハンドガンのマガジンが2つ。

 

 アーノルドはサブマシンガンのマガジンが2つに、グレネードランチャーの炸裂弾が3発と硫酸弾が4発、ハンドガンの弾が2マガジンだった。

 

「どこかで弾が補給できればいいんだが……」

「願わくば何もないといいんだがね」

「ひとまず先に進むしかないですよね……」

 

 とその時、再び地震が起きる。今度はさっきよりも大きくその場には立っていられないほどで3人ともその場に手をついてしゃがんだ。

 

「おいおいここまで強いって聞いてないぜ!?」

 

 その振動に耐えきれなかったのか、頭上から何か埃のようなものがパラパラと降ってくる。

 

「……ッ!!まずい!!」

 

 マービンが叫び声をあげた瞬間、頭上のブロックが崩落を始めた。それぞれがどうにか移動して崩落に巻き込まれることはなかったが、アーノルドだけが分断されてしまった。

 

「アーノルド無事か!!」

「だ、大丈夫です!」

「くそ!ここしか道がないっていうのに……」

 

 プラグを持っているアーノルドはたまたま管制室へとつながる通路へと身を乗り出していたが、2人はその手前に取り残された。

 

「俺たちのことはいい、お前だけは脱出しろ」

「先輩方を置いてはいけません!!」

「行くんだ、アーノルド。俺たちは俺たちで、違うルートを見つける。信じろ、先輩を」

「……わかりました、絶対に生きてください……!」

「ああ、もちろんだ」

 

 アーノルドは迷いを断ち切って管制室へと向かったのだった。

 

□□□□□□

 

 

「……いいのか、後輩を放っておいて」

「仕方ないさ、ここしか道はなかったんだからな」

 

 瓦礫の奥に取り残されたマービンとエリオットはすぐに来た道を戻ることにした。プラグこそはアーノルドが持っているものの、下水道の地図はエリオットが持っていたため、この近くにある管理人室へと行くことにした。

 

 どうやらこの部屋には隠し部屋があるようでそこにはリフトが置いてあるそうだ。

 

「こいつを使って一度警察署に戻るのもありだろうな」

「やれやれ……またあの地獄に戻るのか」

 

 こうして男二人は警察署へと戻るために移動を開始するのだった。幸いなことにその後は地震が起きることもなく無事に管理人室へとたどりついた二人だったが、棚とわずかばかりのものしか置いていなかった。

 

「おいおい、どこにもリフトがないぞ」

「いや、たぶんここだな」

 

 エリオットが動揺するが、マービンは落ち着いて一つの棚に近づけばそれを横合いから押してずらす。するとその後ろに空間がありそこにリフトがあった。

 

「こんな仕掛けをしてるとはな、性格悪いぜ」

「けどこれで内通者がここを使ってあちこちで入りしてるのは分かったな」

「ちっ、どこまで腐ってやがる」

 

 リフトに乗り上昇しながら悪態をつくエリオットだが、その気持ちはマービンも感じていた。そして、リフトが到着し外に出ればそこはジャックが肩に目玉のついた化け物に襲われたところの手前のところだった。

 

「なるほど……ここにたどりつくわけか」

「下水道も警察の私物になってたのかよ」

 

 ホールへと移動するために迂回するように地下駐車場を移動して宿直室を通り抜ければオフィスの前に差し掛かったところで突如外へと続くドアが開かれて、防弾ベストを着た大男が現れた。

 

「冗談じゃねぇぞ!!」

「くそが!」

 

 ダッシュでホールへと続く道を移動する2人だが、大男もかなり大きな歩幅で追いかけてくる。

 

「こんな時にゾンビまでいるのかよ!」

 

 走りながら正面にゾンビを認識するとその横をすり抜けるためにマービンがタックルをかます。タックルを受けたゾンビは仰け反り、できた隙間を駆け抜ける。

 

 やがてホールが見えてくればエリオットが先頭を走ってシャッターを抜ける。マービンは牽制射撃を行いながら大男から逃げるが、ついにアサルトライフルの弾がなくなってしまった。

 

「弾切れか……!」

 

 銃撃が止んだ隙に大男が大股で近づいてくれば、マービンを掴んでオフィスの方へと投げ飛ばす。

 

「マービン!」

 

 エリオットがすぐに通路へと戻ってきて後ろからショットガンで攻撃をくわえれば見事に怯み、大男が壁に手を着いた。

 

「こっちだ!」

 

 マービンへと駆け寄り身体を起こせばその大男を通り抜けてホールへと向かう。だが、簡単には行かず今度はエリオットが壁へと叩きつけられた。その衝撃でシャッターのヒューズが弾け飛んだ。

 

 無情にもシャッターがゆっくりと降り始める。

 

「エリオット!!」

「いけよ……マービン!」

 

 位置関係的にもマービンの方がシャッターに近く、エリオットは大男を抜けないとシャッターには行けなかった。それをわかっていたマービンは、悔しそうな表情を浮かべながら、ホールへと行くのだった。

 

「ははっ、ほら来いよバケモノ!」

 

 フラフラになった身体に鞭を打つようになんとか起き上がればこちらに殺意をぶつけてくる大男に対して再びショットガンを向けた。

 

 ホールへと飛び込んだマービンの背後でシャッターの閉まる無情な音が響く。アサルトライフルは既に弾切れになり投げられた拍子であの通路に落としてしまった。残った武器はハンドガンとナイフだけだ。

 

「次はどうする……」

 

 だが、ホールも安全地帯ではなく、目の前にゾンビが現れた。すぐにハンドガンを抜いて構えるが引き金を引くのに躊躇してしまった。

 

「ブラッド……」

 

 なぜならかつての仲間であるブラッドだったからだ。おぼつかない足取りではあるが確かにマービンへと近づいてくるブラッド。

 

「ブラッド……許してくれ」

「ゆる…して……くれ……」

 

 そんな時ブラッドからまだ意志の残った声が聞こえ、マービンが銃の構えをとく。その隙をついてブラッドがマービンへと飛びつき、脇腹へと噛み付いた。

 

「がぁぁぁ!!」

 

 どうにかもがいて振り払えば、銃を構える余裕もなく、痛む腹を抑えながらどうにかその場を後にするのだった。

 

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