バイオハザード〜とある警官の奮闘記〜   作:零崎極識

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第6話 崩壊へのカウントダウン

 1998年9月26日

 

 どうにか弾薬を届けた俺たちは仮眠をとり、朝に行われる定例会議に参加していた。会議の参加者を見れば皆それぞれが疲弊しておりろくに休めていないのがよく分かる。

 

「それじゃあ会議を始める。まずは弾薬の件だが……ひとまずは、9mm弾を回収してもらってきた。分配については後で連絡する」

 

 まずは吉報からなのか枯渇気味だった弾薬が配布されるということで少しだけ安堵の空気が流れてきた。

 

「……だが悪いことに、署内において新たなモンスターが出現した。これについては、ジャックとアーノルド……それに、マービンが発見している」

 

 どうやらリッカーは俺たちの他にもマービンのところでも出現したようだった。これで、俺たちが倒したやつ以外にも存在が明らかになってることは明白だ。

 

 そして、会議が進んでいけば外部の警察施設にも何人かの生き残りがいることが判明し、こちらへと合流する手筈になっているそうだ。

 

 だが、到着までには道路等の下調べが必要らしく難航してるとのこと。ブラッドのことを話すと課長は難しい顔を浮かべた。

 

「……まだ難航してるってことか……」

「一体何を頼んでるんだ?」

「実は……」

 

 その会議の最後に明かされたのは、ブラッドがS.T.A.R.S.の生き残りである『ジル・バレンタイン』を探しているという情報だった。

 

「とりあえずジルさんがこっちに合流すれば問題はなさそうですね?」

「……いや、いくら人が増えたところで問題は変わらんよ」

 

 会議室を後にして自分の机に座って、使った弾丸を補充しながらアーノルドの行ったことを否定した。

 

 正直なところ、ここがもう限界なのは目に見えている。機能を維持することも出来てないし、警官にも被害者が出ているのは事実だ。

 

 まともに弔いもできず、脳を破壊できなかった死体はやがて動き出し彼我の戦力差を益々大きくするだけだ。

 

「手があるとするなら……地下駐車場から外に逃げるのが1番いいが、間の悪いことにあの辺の道路は工事が始まったばかりで車では通れない」

 

 下水道の工事か何かで道を塞いでいる状況にこの災害が起きてしまい、車で走る道はかなり限られてしまっていた。

 

「となると……正門からの脱出しかないですね……車を使うってなると」

「そういうことだな。外からやってくる連中が無事にたどり着けばの話だが」

 

 そんな話をしていると血相を変えた課長が俺たちのところにやってきた。

 

「今、アンブレラからの救助部隊が降り立ったそうだ!時計塔から定期便が出るらしい!」

 

 その知らせを聞いて俺とアーノルドは目を合わせるのだった。

 

□□□□□□

 

 ラクーンシティにある巨大なシンボルである『セントミカエル時計塔』。ここに救助ヘリが到着するようで、10時と15時と18時と22時に定期便が出るらしい。

 

 生存者のリーダーになっている課長はすぐさま避難民をトラックへと詰め込んで出発することにしたのだった。その一方で俺達は最後まで警察署に残り、生存者と脱出の糸口を捜す。

 

「……先輩、なんであっちについて行かなかったんですか」

「あまりにも人が多い上に……外部の連中が来た時にもぬけの殻じゃ寂しいだろ?」

 

 幸か不幸か、警察署に残ったのは俺とアーノルドだけではなく、マービンやエリオットなど、10人足らずのメンバーが残っていた。

 

 最後まで残った連中にもラクーン市警としての意地が残ってるらしい。まぁもっとも、4日後には新入りも来ることだしな。

 

「新入り……確かレオンだったか、そいつの就任祝いもしてやらないとな?」

 

 マービンはこの状況でもしっかりと後輩の世話をするためにわざわざ、ダイアル式の南京錠をふたつも買ってきて、新入りの机をロックしていた。

 

 俺はそのイタズラに呆れながらもヒントの紙をそっと置いておき、やる気を出させるためにもプレゼントが入ってることを示唆するように置いておく。

 

「さてと……それじゃあここからは俺が引き継ぐ」

 

 リーダーをマービンに迎えての初めての会議だ。無事な西側オフィスで会議をすることになったが、そろそろ放棄されてもおかしくない状況になってきているのは間違いない。

 

 ちなみにエリオットは、残りのメンバーのためにとサイドバックを調達してきており皆それぞれが装備を充実させていた。

 

 俺も、どうにかほとんどの弾薬を持ち運べるようにはしたが、やはり重量が出てきてしまった。

 

 そんなことをしているうちに会議は本題に入った。なんでも、この警察署は地下に行くと浄水施設と下水道の管理室への直通リフトがあるらしい。

 

 それをたどっていけばもしかすると外に出られるかもしれないという情報だ。現に先日は怪しい人物の目撃情報があり、逃がしてしまったものの、警察が押収したプラスチック爆弾などが押収物倉庫にしまわれている。

 

「ここで、悪手かもしれないが……チームをふたつに分ける。俺とエリオットとジャック……それにアーノルドは署内の安全化、その他の人員で脱出ルートの捜索に向かってくれ」

 

 そうして一回目の会議は解散となった。しっかりと装備を確認し、まずは西側オフィスから2階へ繋がる廊下へと向かう。ここにはまだゾンビの魔の手は迫っておらず少しばかりの警戒で進むことが出来た。

 

 2階にあがり、S.T.A.R.S.オフィスの前の廊下を通って図書室へと進もうとしたところで階下から何かの砕ける音が聞こえた。

 

「ジャック!まずいことになった、バリケードが突破された!!」

 

 マービンからの悲痛な叫びが通信機越しで聞こえてきて俺たちはすぐさま西側オフィスへと向かう。図書室を経由し、ホール側から入れば既にオフィスの半分ぐらいまでゾンビがおしよせてきていた。

 

「マービン、下がれ!」

 

 俺はいちばん近くにいたゾンビの頭をハンドガンで撃ち抜き、そのまま流れるようにもう1人もヘッドショットで撃ち抜く。

 

「ここはもうダメだ」

「クソ……!」

 

 ある程度距離を開けたところで応戦するのはやめて反転するも、ハンドガン程度の威力では1発だと倒せず仰け反らせるので精一杯のようだ。

 

「こいつら……前より硬い……?」

「先輩!急いで!!」

 

 何かに気づきそうだったがひとまずは逃げるのが先決だと思い、オフィスの入口をマービンの持っている鍵でロックをする。

 

「こちらマービンだ、西側バリケードは突破された、繰り返す、西側バリケードは突破された」

「こちら、エリオット!だめだ!2階東側も突破されてる!!」

「ちっ……!ひとまずホールに集合しろ!」

 

 どうやらゾンビの大群がいよいよ俺たちを地獄へ連れていこうとしているようだ。

 

 なんとかもう一度合流した俺たちだったが、西側へ行くための道は2階の図書室しか残っておらず、東側へは敵が溢れかえっているルートしか使える状況ではない。

 

「このままだとジリ貧だぞ!」

「……何か手はないのか」

 

 それぞれが不安感でいっぱいになる中、マービンはある決断をした。

 

「……こうなったら地下に行くしかない」

「けど地下って言ってもどうやって行くんだ?」

「……東側のオフィスに地下の通用口に通じる鍵があるはずだ。それを確保しに行こう」

「それを早く言って欲しかったぜ」

 

 俺たちが行った時に教えてくれればこんなことにはならなかったと思ったがそこまで言うほど冷酷にはなれなかった。

 

「二手に分けるのはやめだ、全員……生きて逃げるぞ」

「賛成だ、射撃の腕がピカイチのジャックがいるんだ、怖いものなんてないさ」

「だが、自分の身は自分で守れよ?」

 

 ニヤリと笑みを浮かべれば東側のオフィスへと向かうために閉められたシャッターを開けた。まだこの辺りは電気が通っていることもありスムーズにシャッターが開いて、明かりで照らされた廊下が見える。

 

 昨日は扉の向こうにいたゾンビも今は姿が見えておらず警戒度が上がるのは間違いなかった。

 

「そこの扉は昨日の時点で俺たちが封鎖した。悪いが回り込むしかない」

「まだ明かりがついてるとはいえ……それでも嫌な雰囲気だな」

 

 とその時、突如停電したのかブレーカーが落ちシャッターを開けていたヒューズが吹き飛んだ。そして、背後ではシャッターが閉まりガシャン!という大きな音が響く。

 

「お客さんが来るぞ……!」

 

 各人がフラッシュライトを照らして正面を見れば、こちらを食事と思わんばかりのゾンビの大群が廊下せましと襲ってくるのだった。

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