違うところはオリジナル要素ということで。
迫り来るゾンビの群れを相手に、俺たちは自分の得物を構えて戦うことになる。
「いいか頭を狙え、自信が無いやつは足を撃て!」
俺の言葉で足と頭を同時に攻撃して先頭の奴らを蜂の巣にはしていくものの勢いは止まらず徐々に近づかれて居るのがわかる。
「てめぇらみたいな死人には、鉛玉がお似合いさ!!」
メイヤーはショットガンを構えて1歩自分の方から近づき、まとめて何体かを吹き飛ばし、相手の行軍スピードを緩めた。
だが、それは敵にとってはご馳走が近づいてきたということの同義でもありメイヤーに向かってゾンビがなだれ込む。慌ててもう1発撃つが今度は仰け反るだけで動きが止まらない。
「や、やめっ……!」
「メイヤー!!しゃがめ!!」
すぐさま俺はショットガンを構えるとあえて少し上の方へと照準を向けてトリガーを引いた。無数の散弾がゾンビ共の頭を直撃し、たたらを踏ませる。その間にメイヤーはこちらへと下がることが出来た。
「は、はぁ……!はぁ!た、助かった……」
「油断するな!相手は人じゃない」
俺は冷静に薬莢を排出させればもう一歩踏み込み今度は正面連中の頭部を吹き飛ばすようにショットガンを撃つ。
何体かはそのまま動かなくなり、頭部に当たらなかった連中も上手い具合に仰け反ってくれた。もちろん味方もただ黙っているのではなく、しっかりと危なそうな奴を牽制、撃破し、メイヤーも同じように頭を吹き飛ばしていく。
「よし、今のうちに通り抜けるぞ!」
俺が殿を務め、他の連中を行かせれば列の後方を走りながら武器をハンドガンに切り替えて後を追う。だが、その時列の上に何かがいるのが見えた。
「上だ!!」
その言葉に反応して咄嗟にしゃがんだ仲間だったが、そこそこ射撃の上手いマイケルは一瞬だけ反応が遅れてしまい、迫り来る
間欠泉のような勢いで出血したままその場に崩れ落ちる仲間を見て足がとまるが、すぐさま立ち直ったメイヤーがショットガンでリッカーを真下から撃ち抜いた。
さすがのリッカーもそれには耐えきれずにその場に落ちてきてもがくが、トドメを刺すようにマービンがハンドガンで脳髄に2発鉛玉をぶち込むのだった。
「モタモタするな、敵はまだ居るぞ」
悲しみにくれる暇などなく、俺たちは東側オフィスへと転がり込んだ。ひとまず各人は弾薬をそれぞれリロードしてから鍵の捜索へと移る。
鍵はどうやらちゃんと保管してあるらしく律儀に使用場所まで記載してあったのは分かりやすかった。
「あとはこの鍵を使って地下に行くだけだが……」
今になって目の前で仲間が死んだことのダメージがみなの心に響く。いくら慣れているとはいえそれでも悲しくなるのは仕方なかった。
だが、現実にそんな悠長な暇はなく今度はオフィスのガラスも破られるのだった。
「嘘だろ!?」
「今のうちに逃げるぞ」
入ってきたドアを蹴破る勢いで開ければ出待ちして居たであろうゾンビを吹き飛ばして先へと進み、警備員室に入る。そして、廊下へと抜ければその後ろのシャッターを閉めるように操作して、東側1階フロアを隔離するのだった。
「はぁ……はぁ……くそ、なんでこんな目に……!」
「これではいくら弾薬があっても足らない……!」
ひとまず、メイヤーにショットガンの弾を2ケース渡し、残りはショットガンの弾は2ケースになった。ハンドガンの弾はまだ4ケースはあるが、あの勢いで使っていたら足りなくなるのは明白だった。
「これはなかなか使えないですもんね……」
「それは他にどうしようもない時に使うもんだしな」
アーノルドの背中にあるグレネードランチャーはここぞと言う時の必殺武器なため使いどころが難しいが、その事でやはり気にしている様子ではある。
「いいか、お前にしか出来ないことがある。その時に役に立てばいい」
「……先輩……」
とりあえず一息ついたところで廊下を抜けて奥にある扉へと近づく。そこには当然のように鍵がかかっており、さっきとった鍵を使って開けることが出来た。
扉を開けて中を通ればそこは別な廊下になっているものの、下へと通じる階段があり、俺を先頭にゆっくりと下っていく。
辺りは静かだが何やら嫌な雰囲気を感じて、角などをしっかり確認すると案の定、ゾンビが何体かウロウロしていた。幸いなことに距離があるため、近寄らずに探索を続けることにする。
「おい、あれ……駐車場じゃねぇか?」
「確かに……ここはSWAT専用の駐車場か」
ひとまず、駐車場にたどり着けば無事な車両がいくつかあり、これなら動かせそうだった。
「……よし、何台か地上に置いておくか」
「そっちの方がいいかもな」
マービンの判断で1度車両を3台ほど地上へと持っていくことにした。俺とアーノルドは現場の死守を任され、他のメンバーで車を地上階へと持っていく。
「……先輩、なにか来ます……」
「……隠れるぞ」
アーノルドが何かに気づき、俺とアーノルドは車の影に隠れて息を潜める。するとその後に留置場の方からアイアンズ署長が出てきた。アーノルドは声をかけようとするが俺はそれを塞ぎ、ジェスチャーで黙るようにいう。
そしてよく見てみると服に返り血のような物がついており、遠目から見る表情はなにかをやり遂げた様な様子だった。そして、彼は留置場とは別のドアを通って、どこかに行くのだった。
「なんだったんでしょう……」
「さぁな、ひとまず戻ってくるまで待機するぞ」
だが、その後2時間経っても3時間経っても帰ってくることはなく、時刻は既に日付を跨いでしまった。
「無線も来ない……下手をすると通じていないだけかもしれないが……」
「ど、どうします?」
「……止むを得まい、1度地上に出よう」
俺とアーノルドはもう1台のパトカーを使って地上階へと飛び出した。車を出すとそこに拡がっていたのは前日よりもさらに酷い状況で、一緒に出たであろう車も既にゾンビに囲まれていた。
「な、なんて……」
「クソっ、だが多分あいつらは乗ってない……!」
俺はすぐさまパトカーを降りると庭園を経由して署内へともどる。アーノルドも遅れてそれについてくるが、ホールにたどり着いた2人を待っていたのはあまりにも酷い状況だった。
いくつもの血痕が残っており、頭部を撃たれた死体が散乱していた。その奥では息を荒くしたマービンが受付のカウンターに寄りかかって座っていた。
「マービン、何があった!」
「ジャック……連中……ふざけた真似をしやがった……!」
「どういうことですか!?」
「……館内にある、神経ガス装置を使って区画を封鎖しやがったんだ……これだから知らない奴らは……!」
確かテロ対策にそういう警備装置があるのは知ってはいたが……まさかこんな時に使うとは……
「そのせいで2人死んで、メイヤーとエリオットはその解除に行ってるが……」
「残りの奴らは?」
「外のヤツらがきて……脱出用のバンに載せた」
「……それで残ったのは俺たち5人ってことか」
「ああ、残ったヤツらならタフだからな」
マービンも思うところがあったようでなるべくなら仲間を死なせたくなかったらしい。
「そうだ、駐車場で署長を見た」
「署長を?なんだってそんなところに……」
「わからん。だがアレはどう見てもおかしい様子だったな」
「そうか……ひとまず、息が整ったら探索を続けよう」
しばらく休憩していると血相を変えたエリオットとメイヤーが合流した。2人ともかなりヘトヘトのようだった。
「はぁ……はぁ……こんなのアメフトやってるよりきついぜ……」
「なんだってこんなことになったんだ……」
「2人ともおつかれさんだった。助かったぜ」
とりあえず、2人を労い休憩させようとしたところで図書室のドアが開き、俺はすぐさまハンドガンを構えた。
「おやおや、まだ生存者がいたとは」
「……ブライアンズ署長」
扉を開けたのはさっきまで話をしていた署長本人だった。こんな緊急事態だと言うのになぜこんなふうに悠長に歩いてるのか謎だった。
「署長自ら歩いて……どうなさったんですか?」
「いやいや、目障りな連中がどうしてるかと思って見に来ただけだが」
「……目障り?」
その一言に怪訝そうな表情を浮かべれば、次の瞬間1発の銃声が響き渡った。薬莢の落ちる音とともにメイヤーの身体が崩れ落ち、その場に血溜まりを作る。
「……貴様ぁ!!」
さすがの俺もそれは見過ごせず、ハンドガンを向けて躊躇いもなくトリガーを引いた。狙いは逸れてしまったものの的確に署長の銃をぶち抜き、手から弾き飛ばすことに成功した。
すぐに取り押さえるために追いかけようとしたが、それはアーノルドに止められてしまった。メイヤーは心臓を撃たれており誰がどう見ても長くはないと悟ってしまう。
「……はは……こんな……終わり方……なんて……ひっでぇ……はなし……」
「メイヤー……」
「なぁ、ジャック……おれ、役に立てたか……?」
「ああ、お前の勇気に救われたぞ、みんな……」
オフィス前で戦った時もメイヤーが突っ込まなければ活路は開けなかったし、リッカーの処理ももっと遅れて仲間が死んだかもしれない。
「ジャック……つぎこそ……射撃……勝ちたかっ…………」
最後までその言葉は聞けずじまいで物言わぬ骸へとなってしまった。隣ではアーノルドもエリオットも、マービンも何も言えずに黙り込んでいる。
俺はただ無言でハンドガンを抜けば額へ向けて銃弾を撃ち込み、人間のままとしての弔いをするのだった。
意外と話が短く終わりそうな予感……?