バイオハザード〜とある警官の奮闘記〜   作:零崎極識

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第8話 生命の重さ

 メイヤーを静かに弔い、簡単ではあるが庭園の墓に遺体を埋めてお祈りを済ませればゆっくりと立ち上がる。

 

「……あの野郎、会ったら絶対に殺してやる」

「落ち着けよ、ジャック。それで俺たちが死んだらそれこそメイヤーが化けて出てきちまう」

「……けどよ、これからどうするんだ」

 

 結局のところ打つ手はなく脱出ルートの手がかりも残ってはいなかった。もっとも地下をそれほど探索したわけでもなく探せばあるのかもしれない。

 

「だが、恐らく……これ以上の生存者はいないと思う。そこでここを離れることを提案するが……」

 

 とその時、何かが門を叩く音が響いた。慌ててそちらの方に駆け寄ると10歳ぐらいの少女が中に入ろうとしていた。

 

 咄嗟に銃を構えるがゾンビ化の症状は出ておらず、こちらに助けを求めるようだった。

 

「助けて!!」

「今行くぞ!」

 

 門を少し開けて少女を招きいれればすぐに門を固定して外から入れないようにする。ここまで必死に逃げてきた少女は緊張の糸が切れたのかその場に座り込んでしまった。

 

「よく来たなお嬢ちゃん。勇気のあるスーパーガールだぜ?」

 

 エリオットが冗談交じりにそんなことを言うが少女の顔は悲しみに翳る。それを見てバツの悪そうな表情を浮かべるエリオット。

 

「ママと連絡がつかないの……警察の人を頼れって言われたけど……」

「ママ……君のママはどこで働いてるんだい?」

 

 優しげな声色で話しかけるマービンに少女はおずおずと答えるのだった。

 

「私のママは研究者なの……昨日ぐらいに急に電話があって、警察署に行きなさいって……」

「そうかそうか……もうちょっと早かったら君も脱出出来たんだが……」

 

 あいにくバンはいってしまいこれからどうするかを考えていたところでの合流となり心細くもあるのはわかる。

 

「ところでお嬢ちゃんのお名前は?」

「シェリー……シェリー・バーキン」

 

 シェリーと名乗った少女を連れて俺たちは警察署からの脱出を図るのだった。

 

 ひとまずホールへと戻り対策会議を開く。当初の目的は宿直室近くの階段から地下へと降りての探索だ。だがこの子を連れたまま行くのは限りなく不可能に近い。

 

「そうだな……アーノルド、この子を頼む」

「わ、分かりました……!」

「残りの3人で地下へと行くぞ」

 

 メンバーわけを終えて、俺はアーノルドへと声をかける。

 

「アーノルド、この子の命はお前にかかってる。いいか?俺たちは警官だ」

「分かっています、先輩……俺はもう迷いません」

「……いい覚悟だな、こいつを持っていけ」

 

 そう言って俺は『デザートイーグル』とその弾薬をアーノルドへと渡す。するとアーノルドはゆっくりと首を振って受け取るのを拒否した。

 

「それは俺には使えません。それに……俺にはこいつがあります」

 

 そう言って背負っているグレネードランチャーを軽く叩いて覚悟を決めた表情を浮かべる。その頼もしさに俺は少しだけ笑いかけて、デザートイーグルをしまった。

 

「じゃあな、アーノルド……死ぬなよ」

「先輩こそ」

 

 そうして、俺とアーノルドはそれぞれの任務を果たすために別行動を取るのだった。

 

 東側が完全に封鎖されているため、1度外にでてから迂回する形で警備員室に入り、そこをすり抜けてから地下へ通ずる階段をおりる。

 

 一回目に来た時よりも何かがいる感覚を強く感じ、俺たちはゆっくりと進んだ。廊下の角から向こう側を覗けばあろう事か、リッカーが廊下を這いつくばっていた。

 

 お互いに顔を見合わせればゆっくりと歩いてリッカーとは反対の方へと歩いていく。そして、駐車場へと入りその先の留置場へと向かう。

 

 なぜこんな所に留置場を作ったかは謎だが、定期的にここの地下道を通ってどこかの施設の点検をしているというのは噂話で聞いたことがあった。

 

「……なぁもう帰ろうぜ?」

「帰るったってどこに帰るんだよ」

 

 地下へのマンホールを見つけて降りようとした矢先にエリオットがかなりビビってしまったようで降りようとはしなかった。

 

「それならエリオットはここで待機するか?」

「……いや、ここに取り残されるほうがもっと怖いな」

 

 意を決してエリオットは梯子に手をかけてゆっくりと降りていく。その後を追うように俺とマービンが下へと降りる。

 

 下にたどり着けばそこには腰ぐらいまでがつかるぐらいに水が流れている地下道だった。どうやらここも下水道にはつながっているようだが水の流れる先は人が通るには困難ではありそうだ。

 

「……他の道を探すしかないよな」

「ああ、たぶんこの先のどこかにまた上がる梯子があるはずだが……」

 

 その時上から何かの液体が垂れてきてゆっくりと上を見上げれば、そこには巨大なクモが張り付いていた。

 

「「「ぎゃぁあああああ!!!!!」」」

 

 大の男たちが蜘蛛の子を散らすように全力で前へ走る。それを追いかけるように後ろからクモが迫ってきて何か酸のような液体を吐き出した。幸いなことに誰も浴びることはなかったが壁面にかかれば何やら徐々に溶けているのがわかる。

 

「階段を上がるんだ!!」

 

 俺は殿を務めるように背中からショットガンを取り出せば、上に向けてぶっ放した。見事に散弾が命中したクモは粉々になり地面へと降ってきて体液などが水へと溶けだすのだった。

 

 散々な目にあった俺たちが梯子を上った先には横合いに一つの扉と奥に水密扉のようなものが見えた。ひとまず手前の扉を開けるとそこは資材置き場のようだった。

 

「ここは外れか……もう一つの扉を見てみるか」

 

 外に出てもう一つの扉を開けると奥にもう一つの水密扉とその横に何かのパネルが置いてあった。その中にはプラグを差し込む場所があり、まるでチェスの盤面のようだ。

 

「おいおい……ここにきて何かのパズルかよ」

「おまけに道具がないと解くことすらできないおまけ付きのな」

 

 今のままではここから出ることができないと判断した俺たちは元来た道を引き返すのだった。

 

□□□□□□

 

「あーまた捜索しなおしかよ……」

「なかなかうまくいかないな」

 

 どうにか無事にホールに戻ってきた俺たちはアーノルドと合流し、対策会議を始めた。ちなみにシェリーはアーノルドに引っ付いたままだった。

 

「どうにもここが怖いんですって」

「……だめ?」

「駄目じゃないよ」

「……実はアーノルドはそんな趣味があるわけじゃないよな?」

「そんなわけないじゃないですか!!」

 

 顔を真っ赤にして否定するアーノルドを先輩警官たちはにやにやしながらからかう。とまぁそんな話は置いておいて今後の対策を考え始める。

 

「次の脱出手段を考えないとな。何か思いつくことはあるか?」

「それについてなんだが……そこの女神像の下って確か隠し部屋か何かがなかったか?」

「……まぁそれについては噂話程度なら聞いたことがあるが」

「それがどこにつながってるかを調べたほうがいいとは思うぜ?」

 

 エリオットのそのヒントをもとに俺たちは次の行動として、その女神の像を動かすために行動を開始することにしたのだった。まずは実物を見ようということでその像へと足を運ぶ。

 

 その女神像の前には何かをはめるための形が3つほど空いているのがわかる。

 

「どうやら……ここにはめれば動きそうだけどな」

「だが、ここにはめ込む何かがどこにあるかだが……」

「この女神像は美術品で入ってきてなかったか?」

 

 そう言えばというようにエリオットがこれの扱いを思い出し、ひとまず美術品倉庫に何かあるのではと思い行動を開始する。美術品倉庫は二階の東側待合室を抜けなければならないのだが、ゾンビであふれているのは余裕で想像がつくのだった。

 

「今回もシェリーはお留守番だな?」

「うん……でも怖いからアーノルドさんに残ってほしいかな」

「アーノルドモテモテだな?」

 

 シェリーからの指名でからかう先輩たち。それを真っ赤になって否定するアーノルド。そんな和やかな雰囲気が漂う中、突然東側の待合室の扉が勢いよく開かれた。そこを振り返れば無数のゾンビがこちらへと近づいてくるのが見えた。

 

「いやぁぁ!!」

「アーノルド、シェリーをしっかり守れよ!」

「はい!!」

 

 それぞれが銃を抜き、ゾンビに対し抵抗を始めるのだった。

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