花の魔術師(屑)の友   作:カフェ・オーレ

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苦労人と、我が王と

 

 宝具の真名を言い放った瞬間に俺の体中に様々の武具が装着されていく。紫の鎧に赤白と銀の篭手、黒と白の足具。そして、青色のマントがはためく。これは、我が王、そして側近であった円卓の騎士たちの武具を俺の体に合わせアレンジしたもの。

 俺のすぐ側の空中には様々な剣と弓が浮かんでいる。俺はその中からここにはいない『我が王』の剣を掴み取った。

 

アーサー王、否アルトリアの得物だった剣。

 

 聖剣カリバーン

 

 だが、これはただの俺の創造物でしかない。だがその輝きは本物にも負けないくらいのものだ。かつて、彼女が国の為に放ったあの星の息吹を…。

 俺は怨霊たちに話しかけた。

 

「お前たちの恨みがわかるとは言わない。だが、かつてお前たちにも守り抜きたいものがあったというのは同情できる。俺もかつてはある国の騎士だった。王であった彼女をずっと支えていきたかった。たとえ誰からも理解されなくても、俺は彼女を理解したかった。しかし、もう今となってはもう叶わない夢だ。だから、せめてもの弔いとして……お前たちを天へと還す!おぉぉぉぉ!!」

 

 カリバーンを握りしめて駆け出す。途中怨霊から霊弾を放たれるが、回避できる弾は避けて、無理だったら斬り払う。俺は未だに驚愕の顔をして立っている三勢力のリーダー全員に言った。

 

「何ボケッとしている!お前らもここで全滅したいか?嫌なら遠くに下がってな!」

 

「し、しかしこれは私たちの問題だ。我らも加勢して戦う方が…」

 

「さっきのを見てまだ戦うならそれも良し。だが俺から見れば、お前たちはただの足手まといだ。大人しく下がっていることを勧めるぞ」

 

 そう言うと、紅髪の男は俯き、そして顔を再び上げた。その顔は決意した男の顔だった。

 

「…、わかった。ならば名も知れぬ騎士よ、せめて名を聞かせて欲しい」

 

「…俺に名はない。仮名はシーカーと名乗っている」

 

「ではシーカー殿。すまないが頼ませてもらう」

 

 紅髪の男は全ての勢力と一緒にだいぶ離れた場所に向かっていった。

 

 さて、俺も見たけど中途半端な攻撃は通用しないようだな。『我が王国よ!栄光あれ!(グローリー・オブ・キングダム)』は対人宝具ではない。あくまで俺が自ら戦う時に使う、いわば武具を装着する台詞みたいなものだ。ならどうするか?……なら、『借りる』しかない。俺はカリバーンに意識を集中させる。

 

 

 アルトリアよ…我が王よ…そして、かつて想いし女性よ。貴女の剣、今一度だけお借りします…。

 

 俺は宝具の真名を開放する。

 

 

「疑似宝具展開…」

 

 

―束ねるは星の息吹『束ねるは星の息吹』

 

―輝ける命の奔流『輝ける命の奔流』

 

 

「ッ!受けるが良い!『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』!」

 

 俺はカリバーンを高く掲げ、思いきり縦に斬り払った。

 

 ズバァァァァァァ!!!

 

 

『『アァァァァァァ!!!??』』

 

 カリバーンから放たれた巨大な金色の奔流が怨霊たちを呑み込んでいき、最後には天高く光の柱が立ち昇った。その光景に誰も彼もが目を向けた。

 

 俺は光の柱を見て、今は亡き過去を脳裏に思い出す…。

 

 俺はアルトリアと共にカムランの地へと赴き、叛逆の騎士となったモードレッド卿から最後まで彼女を守り続けた。だが、俺もまた人だ。いずれ限界がくる。俺は卿からの一撃で倒れ、意識が薄れながらもアルトリアを見ていた。その時の彼女の顔は……悲しげだった。

 

 

 ああ、俺はとうとう彼女を守れなかった。それがとても悲しかった。薄れる意識の中でそう思った……。

 

 

 

 

 

 光の柱が消えると、辺りは更地になっていた。あれだけの魔力だ、何か残っている方がおかしい。さてと昔に浸るのは終わりだ。アイツに意識を繋げる。

 

 おい、マーリン。満足したろ?早く戻してくれ。

 

(そうだね。中々のものも見れたし、一応満足したよ)

 

 そうか、なら早く戻して……。

 

(けどね?(ニッコリ))

 

 ……?

 

(次はそこから、時が経った場所に行って貰いたいんだ。いい?いいよね?よし行こうか!)

 

 勝手に話を進ませるマーリン(クズ)。

 

 ……ちくしょぉぉぉぉぉ!!!やっぱり受けるんじゃなかったぁぁぁぁ!!

 

 そうこうしている内に、俺はまた突如開いた穴へと落ちていくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???Side

 

 

 辺り一面、金色の野原の中に私は立っていた。あの剣を抜いてから少しも老いることなく、成長が止まった少女の姿だ。

 私はあの丘で自分の騎士に反旗を翻され、追い詰められそして死に、薄れゆく意識の中で私の為に死んでいった兵士たち。そして、死んでしまった愛しき男の亡骸を見た。

 

 私は、とても悲しかった。泣きたかった。何故兵士たちが、彼が死ななければならない?私が王ではなかったら彼も死んでなかったのでは?自らが死んでも、自問自答を繰り返し、答えを探した。

 

 その時に、アイツが来た。

 

 

―やあ、久しぶりだね。

 

 

―無視は酷いんだけど…。

 

……。

 

―まあ、いいけど。それよりも君にとって良い報告だ。

 

……?

 

―君の騎士が、君が愛した男は生きているよ。

 

……!!

 

…あの人が生きている?

 

―ああ、それを言いに来たんだ。

 

……。

 

―君はどうする?彼に会いたいかい?

 

……私…は…。

 

―このまま死んでもいいけど、もしかしたら彼にもう一度会えると思うんだが…。どうする?

 

……たい。

 

―なんだい?

 

―会い…たい…。彼に、会いたい。

 

―わかった。では、行こうか。

 

……ああ。

 

 

 そして私は、花の魔術士の手をとった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真名、アルトリア・ペンドラゴン。

 

 この名に誓い、我が愛しき者よ、もうすぐそちらへと参ります……。

 

 

 

 





三大勢力リーダーたち『あの人何処行った?』

 結局、彼はパシリなのだ。
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