セイバーと林で再会して共に行動すること約数分。しばらく獣道が続くかと思っていたら…また厄介事に巻き込まれた。というのも―
「ほう…こんなところに人間が迷い込んでくるとは、なんとも不幸なことだ」
「たかだか只の人間二人。我らにはどうということも無い」
「アハハ!身の程を弁えろッスよね〜」
なーんか上から目線の三人からボロクソ言われてる状況。はっきり言って俺はイライラしていた。しかも三人の背から黒い翼。……堕天使か。
「じゃあ何か?アンタら三人はただの人間二人を態々消すために来たと?」
「ここは我らの拠点。たかが人間でも生かして帰す訳にはいかないのでな」
堕天使の男が光っている槍をこちらに向ける。
「へぇ、魔力から創られた光槍か。どれ、俺に向けて放ちなよ。たかが堕天使さんたち」
「ッ!その減らず口をさっさと消してやる!」
「我らを侮辱したことを!」
「後悔すればいいッス!」
他の堕天使女二人も男同様に空中へと飛んで、こちらに光槍を放った。どれ、俺も迎え撃とうか。
「一に首、二に腕、三に体に四に足、そして…」
飛んできた光槍を……砕く。
パキン!
「「「なっ!?」」」
驚愕して隙を見せている三人に衝撃波を放つ。
「五に心を。我流体術『五撃必殺(せいめいくだき)』」
ビュオォォォォ!!
「「「なっ―」」」
断末魔が聞こえたか否か直後に、そこには三人の姿は無い。この技は衝撃で塵をも残さない、いわば音速の拳。かけら残すことはない。
にしてもただの人間、か…マーリンが幻術で俺とセイバーの魔力を隠蔽しているのか?だが確かにこれなら相手から感知されずに行動できる。
そろそろ行動を再開しようとセイバーに視線を向けると
「むぅ〜」
何故か頬を膨らませて拗ねていた。いやなんでさ!?
「シーカーが勝手に倒してしまったので私の見せ所がありませんでした」
「いや、俺もイライラしてたから八つ当たりしただけだし…。わかったって、次はお前に譲るよ」
「…わかりました。次こそ私がやります」
どうやら妥協したようで、改めて行動を開始する。また約数分歩いていたら、何やら古びた教会が建っていた。
他に気になることを言えば、ここにやけに魔力を持った気配が十数体いるということだ。横目でセイバーを見ると彼女も気配を感じ取ったようだ。
「セイバー、この古びた教会に魔力を持った気配が十数体いる。これはどう見ても…」
「ええ、恐らくは下位の魔術師の者でしょう。マーリンからはここは戦のない国と聞いています。なのに、この数は尋常ではありません。それに何か人外じみた存在がいますね、人の地だというのに。そしてなにより……貴様との夜行デートを邪魔した罰を下す!」
「……おい、意味や姿、目的が変わってねえか、セイバー?あと探索な、デートは恋人になってからだ」
そう俺が言ってもどうやら耳に入ってないらしい。手がふるふると震えだしたセイバーの容姿が少し変わっていた。うわっ、碧眼が金になって鎧も青と銀から赤のラインが浮かんで禍々しくなってる…!げ、カリバーンも黒くなってし、なによりこの爆発的な魔力は……もしかして、これがマーリンが言っていた『反転(オルタ化)』なのか…!
つか、反転条件軽くないか!?ほら、『○○のことか。○○のことかぁぁぁぁぁ!!』みたいな怒りで覚醒とかあるでしょ!……いや、考えたらブリテンにそんな期待しても無駄か。
「安心しろ、奴らを葬ったら戯れの続きをしようではないか」
「その状態だと戯れというより完全にイジメられるイメージだろ…」
コートを雑に脱ぎ捨て、すごすごと教会の中に入っていくセイバー。俺も彼女のコートを拾って慎重に中に入っていった。中はあちこちボロボロだが多少工夫すれば使えない訳でも無さそうだ。
「へー、中は案外使えるな。しばらくここで寝泊まりするか」
「ムッ、私はベッドで寝たい―「なら野宿だな」仕方ないな。ここで寝泊まりだ」
現金な奴め。まぁ仕方ない『ドォン!』…そうだったな。まず、気配の正体を見てこないと…ここが壊されちまう。気配が一番多く感じれるのは、下か。
「セイバー、何処かに下に降りられるものは無いか?多分近くにある筈だ」
「ほう、なら丁度いい。シーカー、見てみろ。階段だ。恐らくだが下で戦闘でも行っているだろう。しかも多数でな。久しぶりの多数戦闘だ。腕がなる」
さっき俺と打ち合ったってのに、オルタ化って結構キツい性格してんのな。まあ、反転って言うくらいだから仕方ないか。
「何をしている。さっさと行くぞ」
「はいはい、今行きますよっと」
オルタ化したセイバーに続いて俺も階段を降りていく。しかし教会に地下があるとは、なにやら血生臭い所に通じてんのか?例えば生け贄を捧げる儀式とか、悪魔の召喚とか……流石に後者は無いか。
ん?この匂いは…
「…気がついたかシーカー。これは」
「ああ、戦うのを決めてから散々嗅いだよ。これは、血の匂いだな」
少し降りたところに既に扉が開けられており、中ではどうやら戦闘が続いていた…しかし気になるのは。
「ハァ!」
「…えい」
「どおりゃ!」
…まだ未成年三人相手がローブを着てる怪しい大人十数人を相手してるんですかねぇ?正直言っておこう―
「テメェら、大人気ねぇぞオラァ!」
ビュオォォォォ!
魔力を手に集束させて、未成年の少年少女に当たらないよう他の大人たちを吹っ飛ばす。セイバーも無言で俺に続いて近くにいるローブ大人をカリバーンで斬り伏せる。
「「「…」」」
少年少女らは突如現れた俺たちに口を半開きに驚愕していた。あ、三人のこと、うっかり忘れてた。アハハハハ…。
さぁ、かかってこいや!(開き直り)