「何やってるんですか九条先生ェ!」
「ひえええええすいません!!!」
「九条先生!昨日言ってた書類まだですか!?」
「ひえええええ今出します!!」
「九条先生!伊藤くんと田中くんが廊下で喧嘩を!」
「えええええちょっと待って!!」
「せんせぇ!ちゃんとやってください!」
「はいいい!!!……ん?」
一年が経過した。
何事も無く…なんてワケではないし問題起こしまくって校長先生に怒られてたしね!
ざまぁみやがれ。
でも、新人にしちゃあ上出来だと思う。
オレもおちょくって遊んでたし、それにちゃんと対応してくれるあたり心根は優しいんだなって思った。
多分これ身内フィルターかかってると思うけど。
そんな今日は一年生最後のHR。みんなちょっと不安そうな顔をしてるあたり、生徒からの信頼も勝ち取れてたみたいだな。我がことのように感動できる。
「一年間ありがとうございました。………この一年、右も左も分からない状況から初まりましたが、助けてくれてありがとうございます。」
ちょっとつっかえながらそんな事を宣う梓苑に、みんなが盛大な拍手をした。
感動だね!!!!!!
いやぁお兄ちゃん、もといお姉ちゃん(?)は嬉しいよ、本当に。よくもまぁここまで成長したものだ。
「それではみなさん、またいつか会いましょう!解散です!」
唐突な解散宣言に戸惑う生徒達だが、ぽつりぽつりと教室の出口へ進み始めた。
「悪い葵、もうちょい九条先生と喋りたいから1階のロビーで待っておいてくれないか?」
「いいよー、そのかわり家にある雪見だ○ふく頂戴ね!」
「あ、え、ちょっと待ってぇぇ!!逃げるなぁぁ!!」
オレの生きる楽しみが一つ減ってしまった。もうここで舌を噛み切って死んでやろうかな。
「あら、葵さん。まだ居たんですね。」
「せんせぇ、オ…私は葵じゃなくて桔梗ですよ。妹の方がキューティクルです。」
「おや、ごめんなさいね。あまりにもにてるもんで…」
間違えられるのは結構ショックだけど仕方あるまい。似てるもんね。
「で、なんでまだここに残ってるんですか?もう教室閉めちゃいますよ?」
「やー、一年間お疲れ様でしたって伝えたかっただけですよ。次はどこの学校に飛ばされるか分かりませんけど頑張ってくださいね。」
教室の出口に向かいながらオレは梓苑に激励を飛ばす。
「飛ば……はぁ、頑張りますよ。葵さんが待ってるんでしょ?早く行きなさいな。」
「さよなら、九条せんせぇ!」
遂に教室に鍵が掛けられた。オレ達が一年を過ごした教室ともこれでお別れとなると感慨深いな。
葵の元に向かおうとすると、後ろから。
「じゃあな梓岐にーちゃん!また会えたら色々話聞かせてもらうからな!」
驚いて振り返るとそこに梓苑はいなかった。
……………バレてたのかぁ…
とぼとぼと葵の待つロビーへ向かう。
「あ、ききょーちゃんおかえ……どしたの?嫌なことでも言われたの?」
「……雪○だいふく……」
「あー…1個あげるから我慢して…」
これじゃどっちが姉か分かんねぇな!!
どこでバレたのか鬱屈としたまま考えつつ、家へ帰る為に歩を進めた。
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