虫喰いでないフレンズ   作:ヘキサノイック

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前回のあらすじ

昼の砂漠の真っ只中で、敵セルリアンのロッキーこと『ロッキン・ホッピン・ジャンピン』が三人が乗る探査船を襲い破壊した。

アフリカゾウはその敵が友を手にかけた仇だと言う。

初めは、激しく消耗しているドブネズミを敵から隔離するかもしくは三人で連携をとって戦うかで意見が割れていた。

だが後者を薦めるドブネズミの説得が決まり、前者の主張をしていたアフリカゾウが折れたことで三人でまとまり反撃を開始した。


ロッキン・ホッピン・ジャンピン その②

ドブネズミ「さて…どうしたものか…独りで戦わせるわけにはいかないとしたはいいが、状況は何も動いていない…アフリカゾウ!とりあえず、あいつをわたしから引き離してくれ!倒さなくてもいい!」

 

アフリカゾウ「おーけー!」

 

イエネコ「えぇっ、はあッ!?アフリカゾウ独りにしないんじゃあなかったの?」

 

アフリカゾウ「正確には『あなたたちが私から離れる』から大丈夫!」

 

イエネコ「ちょッ!?待って!?まさか!」

 

ドブネズミ「ああ。投げ飛ばしてもらう。二人まとめてな」

 

イエネコ「おおおお、おかしいわっ!いつの間にそんなこと言ってたのよォ〜〜〜ッ」

 

ドブネズミ「すまない、イエネコ。こうしないとわたしはおろかお前もまともに戦えるアフリカゾウが万全を期すことができない」

 

アフリカゾウ「発射カウントかいし〜

さ〜ん、に〜、い〜ち」

 

イエネコ「ぎにゃあああああああああ」

 

ドブネズミ「本当にすまない、これが作戦なんだ…」

 

アフリカゾウ「ぱおおおおおおおおおおおおッ!!」

 

アフリカゾウはドブネズミを抱えていたイエネコを腕とマフラーで器用に掴み、まるごと遥か彼方へ投げ飛ば…さなかった。

十数メートル離れた、アフリカゾウが掘っていた穴の中央へすっぽりと収まるように着地した。

しかも、イエネコは体操選手のように美しく着地しスルリとドブネズミを下ろす。

拍子抜けしたのか緊張が一気に解けて脱力したイエネコはその場に寝転んだ。

 

ドブネズミ「おい、大丈夫か?すまん、ここに戻るにはこれが最短ルートだったんだ」

 

イエネコ「やり方ってもんがあるでしょ…第一なんのための作戦なのよ…」

 

アフリカゾウ「ピッタリ入ったみたいだね。イエネコちゃん、いきなり投げてごめんね」

 

イエネコ「ええまあ、無事だったからいいわ…」

 

ドブネズミ「ところでアフリカゾウ、ロッキーはどこに行った?」

 

アフリカゾウ「まだじっとこっちを見てる〜」

 

イエネコ「そーいえば話し始めてからずっと何もせず見てきてるのねロッキーは」

 

ドブネズミ「何を考えているのだ…ヤツの目的は何だ…急にわからなくなってきたぞ…」

 

イエネコ「私なら無事だから上に出て加勢するわ!ぱっかーんするなら面と向かってやるって相場が決まってるんだから!」

 

ドブネズミ「まっ、おい!直接アイツに触られるのがマズいというのを忘れたのか!?アフリカゾウ、イエネコがその気だからフォローしてくれ!」

 

ロッキー「GYYYYYY!

ギイイイイイイ!」

 

アフリカゾウ「ロッキーが動き出したよ!って、そっちに行ってる!?イエネコちゃん、気をつけて!」

 

イエネコ「ふん、私が今まで何体のセルリアンを狩ってきたか忘れたっていうの?ドブネズミは知らないわよね。そこから弾ける音だけでも聴いてなさい!」

 

ドブネズミ「何だって?」

 

イエネコ「ぱっかーんっと」

 

ロッキー「GYYYYYY!?

ギイイイイイイ!?」

 

イエネコが穴から飛び出てロッキーを迎え撃つ。

そしておもむろに爪を振り下ろすと、巨大な拳の左側に当たり弾けて虹色の輝きを散らせた。

左の拳を失ったロッキーはバランスを崩して倒れ伏す。

 

アフリカゾウ「さっすがぁ!」

 

イエネコ「ふん、セルリアンなんて大体弱点は決まってるわ。コイツの場合は両手が別々らしいと見たから片手を狙ってみたら、見事的中したわね。」

 

ドブネズミ「くっ…すまん。イエネコ、お前を過小評価してたみたいだ。セルリアンに詳しいんだな。どこでそんな事をおぼえたか聞いてもいいか?」

 

イエネコ「そりゃあ、『マイ』ってやつのところよ。『あれ』はセルリアンについて情報集めまくってるんだから、その仕事場に住み着くほど居たら覚えるわよ」

 

ドブネズミ「そうか…ん?マイの仕事場に居た?それはつまりどういうことなんだ?疑問ばかりですまない。」

 

イエネコ「しょーがないわね。特別に教えたげる。私は元々マイん家のネコなのよ」アフリカゾウ「イエネコちゃん!ロッキーがさっきのところに居ない!下からくるよ!」

 

ドブネズミ「ぇえ?なに、なんだって?」

 

イエネコは確かに質問に答えたが、敵襲を知らせるアフリカゾウの声に丁度重なり、内容がわからなくなってしまった。

聞き逃したが状況が状況であったためこれ以上は後回しにせざるを得なかった。

 

イエネコ「ったく、空気を読むのか読まないのかはっきりしてほしいわね!読まないのは困るけど!今はロッキーがどこから来そうか分かる?アフリカゾウ?」

 

アフリカゾウ「あ…ドブネズミちゃんのところに来るッ!」

 

ドブネズミ「なるほど、会話を聞いていたのか…『ラット』」

 

ドブネズミも音でなんとなくわかるようになってきたので、考えていた奇襲への対処法を実践した。

それはスタンドを出すと同時にその上へ跳び上がり、下へ砲口を向けるというものだった。

こうすることで本体をこれから飛び出てくる地中の敵に晒さず、しかも一方的に攻撃できるという算段である。

 

ドブネズミ「この完璧な攻撃でお前を倒してやるッ!『ラット』の一斉射撃を喰らえェェ」

 

ロッキー「HUSHAAAAAAA!!」

ふしゃあああああああ!!

 

結果として、予測していた通りロッキーは出てきた。

しかし、その後は意表を突かれることとなった。

イエネコが破壊したはずのロッキーの左の拳は、のように挟んで持つことができる形状に変化していた。

残りの右の拳で全弾を弾き、『ラット』の砲身を掴んで地面に叩きつけた。

本体であるドブネズミも一緒に地面に打ち付けられ、何が起こったか理解できないまま引きずられてゆく。

 

ドブネズミ「ぎゃ!?なんだとぉぉぉぉぉぉ」

 

イエネコ「え!?一瞬でドブネズミが負けた!?」

 

アフリカゾウ「そんなことが出来たの!?って、ドブネズミちゃんはどこにも連れて行かせないよっ!」

 

イエネコとアフリカゾウは走って逃走するロッキーを追いかける。

ドブネズミも何もしないわけはなく、離させるために攻撃を繰り出した。

 

ドブネズミ「つ、掴まれているということは最も接近している状態を苦労せず保てるということ…そのまま腕ごと溶けろォォォォ」

 

ロッキー「!!」

 

ドブネズミ「ぐぇ!う…嘘だろ…全力で撃ち込んだのに一発も喰らわず躱しきった…ラットを軸にして身体を捻って飛び跳ねて…」

 

イエネコ「アフリカゾウ!ドブネズミは足掻いているけど、きっと長くはもたない!ドブネズミは弱ってるから全力でもそんなに『ラット』の針弾は速くなかったんだわ!」

 

アフリカゾウ「なんてこと…ドブネズミちゃんが…」

 

イエネコ「それと、さっきから気になってたんだけど!アフリカゾウはなんでそんなに速いの!?砂の上って走りにくいわ!だんだんあいつから離れてくのよ!」

 

アフリカゾウ「え、え?そーかな?じゃあ私があなたを投げるからぶつかる直前に攻撃して!」

 

イエネコ「まぁ〜た、よくそんな発想が浮かぶわね!この際は、もうそれでいいわ」

 

すぐさま、アフリカゾウはイエネコの前に回り込み、しゃがんで腰を両手で挟んで、立ち上がりながら持ち上げた。

直立の姿勢のまま足が浮き、それをマフラーで支えるようにして…

 

アフリカゾウ「このマフラーで足を支えるから、投げたとき脚を伸ばしてイッキに飛んで!」

 

イエネコ「くっ…くすぐったいけど、これでいい?足の位置は」

 

アフリカゾウ「うん!いっくよ〜ッ」

 

イエネコ「いやまってまってまってまって」

 

アフリカゾウ「せぇーのぉー」

 

イエネコ「ニギャァァァァ」アフリカゾウ「まつ!」イエネコ「ァァァ?」

 

ドブネズミ「早くしろおおおおお」

 

アフリカゾウ「ごめえええええええん」

 

イエネコ「ぎにゃあああああああッ」

 

放り投げられた勢いそのままに、爪を立てて両手の指をロッキーへ向けながら飛ぶ。

ロッキーはそれを察知し、丁度手に持っている『武器』を背後へ振り衝突に備えた。

 

ドブネズミ

(わたしはお前【ロッキー】の武器じゃあなィィィィ)

 

ドブネズミはイエネコから攻撃されることを覚悟したが、予想を裏切る結果を目撃することになった。

イエネコがドブネズミをかわしてロッキーの首元に指を刺し込んでいる姿だった。

これまでに多様な叫び声を上げてきたロッキーから、恐怖している者が発するであろうという金切り声が上がる。

投げられた勢いはロッキーを吹っ飛ばすことに費やし尽くされたのか、イエネコは一瞬その場に置かれたかのように浮遊し軽やかな着地を披露した。

そしてドブネズミへ手を差し伸べ言葉を掛ける。

 

イエネコ「まだ浅いわ。トドメはアフリカゾウが刺すから離れてなさい」

 

ドブネズミ

「…おお…」

 

イエネコ

「アフリカゾウ、早く!取り逃がしたくないのは私も同じだから!」

 

アフリカゾウ

「わかってる…!」

 

ロッキー

「きぃえああああああ…」

 

虫喰い

《待て!》

 

アフリカゾウ

「ッ!」

 

ドブネズミ

「お前!何しやがる!アフリカゾウ、虫喰いの声は初めからしてただろ!早く仕留めろ!」

 

イエネコ

「できる?アフリカゾウ!!」

 

虫喰い

《俺の話を聴け!コイツはもう役割を終えた!好きにしていい!だが、完全に始末されたらここから俺とお前たちの会話ができない!》

 

ドブネズミ

「では聞く!そこまでしてわたし達に話したいことは何だ!長くなるようなら即刻切るぞ!」

 

虫喰い

《お前たちは知らない!俺がこうしてお前たちに関わっている理由を!それを詳しく伝えたい!俺のところに来い!》

 

ドブネズミ

「!?」

 

アフリカゾウ

「なん…だって…?」

 

イエネコ

「ねえ、なんのことを言ってるの?あんたは信用ないのよ?私にした仕打ちは忘れてないわよ!」

 

虫喰い

《ん、そこのイエネコは知らないか?だがこれ以上は俺が言う必要はない!切っていい!》

 

ドブネズミ

「そうか。アフリカゾウ!」

 

アフリカゾウ

「うん。…ふんッ」

 

イエネコ

「あ、ちょっ」

 

拳を振り下ろし、ロッキーの胴体の中心部が貫かれた。

舞い上がるサンドスターの中でアフリカゾウはなき友を思う。

しかし涙も嗚咽もなく、静かに座り込むだけであった。

 

ドブネズミ

「まあ、お前の仇討ちを手伝えてよかったよ。相変わらずアイツのことをあんまり詳しく記録できなかったが、目的はあったんだし、わたしは有意義だと思う…ん?」

 

ドブネズミが立ち上がりアフリカゾウの肩に手を置こうと近寄る。

すると周囲の地面が濃い色に変わっていた。

気づいたときには既にその領域に足を踏み入れていたのだが、足を捕られるほど埋まるとは思いもしなかった。

 

ドブネズミ

「なに!?敵か!?」

 

アフリカゾウ

「え…?」

 

イエネコ

「アフリカゾウ!あんたを中心にして水が出ている!」

 

ドブネズミ

「足が抜けないどころか、動かすほど沈む!敵はもう一体いるのか!?さっきわたしたちを呼んだ虫喰いの罠とは思えないが」

 

アフリカゾウ

「これ、ひょっとして…」

 

イエネコ

「雨が降ったっていうの?こんな晴れてるのにッ!?」

 

ドブネズミ

「いや…どうやら雨を振らせたのはアフリカゾウだ」

 

アフリカゾウ

「私…」

 

←to be continued…




ロッキン・ホッピン・ジャンピン

破壊力:Aスピード:A射程距離:E
持続力:C精密動作性:C成長性:C

拳で触れたものを岩に変える。
変えられた岩の物理的性質は自由。
前回探査船の天井を脆い岩に変えて殴り、破壊している。
拳は肥大化しており、破壊されても割れて内部の手が現れるためダメージのフィードバックはない。
セルリアン化したことで本体に縛られず自由に飛びまわることが可能になった。

元の本体は格闘を好む不良青年。
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