ドブネズミが敵セルリアン「ロッキン・ホッピン・ジャンピン」に捕まる。
そのまま逃走を図ったがアフリカゾウが空間認識能力に優れるイエネコを投げ、ドブネズミを開放すると共に敵を追い詰める。
すると再度敵から虫喰いの声がしたが、今までとは異なり教えたいことがあるから来いという。
ほぼ会話をせず敵がのたうち回っているうちに撃破し、出発しようというところでアフリカゾウを中心として水が出ていたことに気がついた。
アフリカゾウに近づいたドブネズミは水の染みたところに両足を踏み入れてしまった。
ドブネズミ
「虫喰いからこのタイミングでそんなことを言われるということは、信用できる。あいつのことはそれなりに知ってるからな」
イエネコ
「そうこなくっちゃあね。それくらいの情報を持ってるでもなきゃああんたみたいなすぐバテるダラダラネズミは役立たずよ」
ドブネズミ
「く、いややめよう…おまえには助けられてるからな…
それはそうと、アフリカゾウが集めたであろうこの水をどうにかしたい。
現在進行で足が泥に沈んでるんだ。
水が砂に染みて泥になってるようだ」
アフリカゾウ
「私も沈んでる…出ないと…っ」
イエネコ
「どうにかって、ふつーに足を上げれば抜けられるんじゃあない?」
ドブネズミ
「くぅ、ふぉぅ、ふん…」
アフリカゾウは呆然としており微動だにしていない一方でドブネズミは外側へ足を踏み出そうとした。
僅かずつ、外側へ外側へと進み地面に水による変色がないところの手前にたどり着く。
始めは膝下までしか浸かっていなかったのが腰の上程までに下がり、足を動かすのがきつくなるが目の前に安全な地上が待っている。
そこから這い出ればかなり汚れたが助かるだろうと、希望を抱いた。
その希望とは、日常的に用いるごく短い未来への見通しのようなものであり、大げさというものであろう。
しかし、それがひっくり返されたとき自分が思っていた予測した未来は希望であったと悟り、それが裏切られて絶望に変わったのだと感じる。
上半身を倒し地を掴もうと手を伸ばすと、今足を取られている泥のような流砂が手の平にまとわり付いた。
ドブネズミが出ようと進んでいるうちに、それ以上のスピードで流砂化が進んでいたのである。
前進はできたものの、胸の高さまで沈んでしまい、動揺した。
イエネコは流砂の外側にいたが、迫り来る流砂から逃げていた。
ドブネズミ
「え………?」
イエネコ
「にゃ……ッ!?」
アフリカゾウ
「………」
ドブネズミ
「アフリカゾウ!お前、よく沈まないで居られるな!わたしの方がこんなにいってるんだぞ!」
イエネコ
「まさか、アフリカゾウは…」
ドブネズミ
「攻撃されてるんじゃあない。アフリカゾウ自身の能力が暴走してると考えるのが自然だ。水での攻撃なら、もっと手っ取り早い方法があるからな。恐らくは、水を出すスタンド能力…ヴィジョンはまだ無いのか?」
イエネコ
「敵じゃあないの!?さっきも地中を移動できるヤツだったのよ!アリジゴクみたいに引きずり込む気なんだわ!!」
ドブネズミ
「いや、この泥の底なし沼に全身が沈み込むことはない。重さが違うんだ。この泥の方が重い。油が水に浮くのと同じことだ」
イエネコ
「そ、そうなの。まあ、私も本当は同じことを考えてたし」
ドブネズミ
「そうか。これ以上広がるとお前とは話せなくなるくらい遠ざかるだろうな。だれか、上に引き上げてくれそうなフレンズを探してきてくれないか?」
イエネコ
「わかったわ。あんたがバテて動かなくなる前に連れてこないとね」
ドブネズミ
「へっ…」
アフリカゾウ
「ねえドブネズミちゃん?」
ドブネズミ
「うん?」
アフリカゾウ
「私…こんなことをしてたなんて…」
ドブネズミ
「そーだな。わたしだって戸惑った。ちょっとちょっかいだしてきた仲間に、一発撃っちまったときは」
アフリカゾウ
「え…その『ラット』を…?」
ドブネズミ
「ああ。その後、そいつは仲間と呼べる形じゃあなくなったんだ。様子を見てたらウジが集ってあっという間になくなってから、自分の能力に気づけた。そのとき、わたしはそれを何に使おうとしたか分かるか?」
アフリカゾウ
「そっ、そんなもの使うときは決まってるよ。狩りの武器にしようとしたんでしょ?」
ドブネズミ
「だいたいはそうだ。でも、楽でかつ残酷なやつだ」
アフリカゾウ
「…え?」
ドブネズミ
「他のネズミに使えば、そこでもウジが湧く。ウジは溶けた肉から掘り出せば楽に食える。つまり、仲間だったものに湧く虫を食えば労せず食料が集まるから食うものに困らんと思った。今はなぜだかそれがとても恐ろしい考えに思えるのが不思議だ」
アフリカゾウ
「な…かま…を…?」
ドブネズミ
「ここで言う仲間ってのは、自分と同じ姿形の、似通った
アフリカゾウ
「ハズ…って、そうなっていくんじゃあないかって思ってたってこと?」
ドブネズミ
「そうだ。そこで、あの虫喰いに目をつけられたんだ。あいつはわたしより先にスタンドを使えるようになってたみたいでな。わたしに出くわすなりいきなり見せつけてきたんだ。自分で使ってきたものを他人(他ネズミ)が当然のように持ってることがわかってから、それから先は今までどおりにいかないことを悟った」
アフリカゾウ
「…」
ドブネズミ
「アフリカゾウと虫喰いは、スタンドの姿形も能力も違うが、基本的には同じこと。スタンド使い同士が出会ったという、この状況を切り抜けなきゃあいけない。居合わせた二人が敵対するか共闘するかは自分たち次第。『共にニンゲンを追い出しておれたちだけの縄張りを作らないか』と誘ってきたあいつの言葉に乗っかろうとしてしくじったわたしを見れば、何をするべきかわかるはずだ」
アフリカゾウ
「敵対は嫌だよ……あと共闘ってことは、どんなことをするの?セルリアンはいまここにいないけど」
ドブネズミ
「わたし達三人(イエネコはここにいないけど)には、おまえという敵がここにいる。これはセルリアンの仕業ではないことはわかっているだろ?だから、敵はおまえだ。正確には、わたし達三人の敵は、お前の能力そのもの」
アフリカゾウ
「うんうん、私たちの敵は……私!?なんでッ!?」
ドブネズミ
「この能力…水を出しているのはおまえ自身だとわかってる。これはいいな?」
アフリカゾウ
「わかったよ。それで次は、何をすればいいのかな…」
ドブネズミ
「それはァ」
アフリカゾウ
「それは?」
ドブネズミ
「食事だ」
アフリカゾウ
「…??」
ドブネズミ
「さあ、ジャパリパーク名物、まんじゅうをひとつ持て!食べるぞ!いただきま〜すぅ」
アフリカゾウ
「…そうだね。食べよう。いただきます」
ドブネズミ
「イエネコ、早く来るといいなァ」
アフリカゾウ
「誰か見つかるかなぁ」
危機的状況の中でドブネズミがジャパリまんじゅうを食べようと言い出した理由は、アフリカゾウが理解するより行動を選んだことで霧消した。
アフリカゾウは、炎天下かつ腹から下が地中に埋まっている状況で、尚も自分のことを考えてやってくれていることを信じたかったのだ。
ドブネズミの事は心配でならないが傍にいる状況で自分が自分自身を含めた周りのフレンズに迷惑をかけていると思うと、他にできることは信じて任せることだけなのである。
イエネコ
「あんたたち〜〜〜!なんでジャパリまん持ってんのよ〜!私も〜!」
スナネコ
「面白そうですね。私も…わぁ。」
結局、イエネコが呼んできたスナネコが脱出法を教えてくれたため、事なきを得た。
水を含まないところの近くまで移動し、下半身を地上へ引き上げるという方法でドブネズミも出ることができた(尻尾が長く引き上げ終えるまでは少しかかったが)。
スナネコに聞くと、実は一度だけ興味本位で流砂に入ったことがあるらしい。
そのときは通りがかりのラクダの姉妹が引き上げてくれて一人のときの脱出方法を教えてくれたと語った。
ラクダ姉妹とはどんなやつらなんだとドブネズミが聞くと、砂漠を歩きまわってるから今度会ったらの楽しみにしておいてねとはぐらかされた。
スナネコ
「これで失礼します。もう寝るので」
アフリカゾウ
「ほんとありがとう〜!またね〜!」
イエネコ
「こんどじゃぱりまんじゅういっぱい持ってくから楽しみにしといてよ〜!」
ドブネズミ
「元気でな〜!…ぁっと。
じゃあ、今度はそのラクダ達を探しに行かないか?」
イエネコ
「虫喰いが先!あんたが忘れててどうすんのよッ!」
ドブネズミ
「冗談だよ、虫喰いからのコンタクトなんてチャンスを逃すわけはない」
イエネコ
「それなら、良かったわ。どっちに行けばいいの?」
アフリカゾウ
「あああああああああああああああああ」
ドブネズミ
「?」
イエネコ
「!?ちょっともー!アフリカゾウ!あんたが叫ぶ要素がどこにあるって言うのよ!」
アフリカゾウ
「水が………………ないんだ」
ドブネズミ
「水?ああ、セルリアンが壊した貯水タンクの水のことか。お前の能力が活きるのはそこだ」
イエネコ
「そ、そうよ!水を出すスタンド?なら、欲しいときに欲しいだけ出せるじゃないの?」
アフリカゾウ
「ううん、どうやって使ってるのか分ればいいんだけどね……せっかくできると思ったのに………ごめん」
ドブネズミ
「アフリカゾウ」
アフリカゾウ
「………………?」
ドブネズミ
「お前はわたしより鼻がいいし耳もいいんじゃあなかったか?雨の音が聞こえたりするんだろ?その力がある。それを使えば大丈夫だ」
アフリカゾウ
「あ…………私、忘れてたのかな…………思い出したよ。ドブネズミちゃんが言ってくれなかったら……」
イエネコ
「私もいるわよ!ドブネズミじゃなくても私が言ってあげるのに」
ドブネズミ
「なぁんだ?わたしはアフリカゾウを何度も助けたんだぞ?わたしはアフリカゾウの役に立ってる」
イエネコ
「ふん、ドブネズミはフレンズとして生まれたばっかだから知らないんでしょーから教えてあげるわ。アフリカゾウのことをよく知ってるのは」
アフリカゾウ
「ねぇ、けんかしないでよお」
イエネコ
「けんかじゃないわ。こいつに教えてやらないといけないことを聴かせるだけよ。いい?アフリカゾウがロッキーのことを思い出したとき言ってたのは、みんなのことを一番大切に思っていた子なの。その子はマルミミゾウ。あの子のことはみんな忘れない。何もかも失っても、あの子がしてくれたことだけは心に刻まれてるの。きっと、虫喰いもこのことは知らない」
ドブネズミ
「マルミミゾウ……だと?」
イエネコ
「そう、マルミミゾウ。あの子は、私たちのことを一人で守りきった」
ドブネズミ
「なあ、いくつか言っていいか」
イエネコ
「なによ。これから始まるとこなのに」
ドブネズミ
「これから日が沈むだろ?砂漠の夜は寒いらしいのに、こんなので過ごそうってのか?少しはマシなとこ探してから語ってくれ。砂が付いたままは嫌なのはわかるだろう」
イエネコ
「そ、それはそうね。それとなんかあるの?」
ドブネズミ
「あと、なんでわたしに張り合うようにしていきなり長話始めようとした?」
イエネコ
「だから、それは聞いてりゃわかるわ。アフリカゾウ、その泥落とせるようなところ知らない?そこへ行くわよ」
アフリカゾウ
「砂漠はあんまり来たことなくて…あ、こっちにありそう」
ドブネズミ
「それだ。これで本当に助かる…」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃんも、ほんとにすごいよ…」
イエネコ
「まったく、アフリカゾウったらドブネズミにベタ誉れね。私もスタンドが欲しいわアアアァァァァァァァァァァ」
イエネコの叫びが砂漠の夕焼け空の向こうへ飛んでいった。
先を見ると黒い暗雲が待ち構えていたが、笑いに包まれた三人はそれを気にも留めず突き進もうとしていた。
⇐to be continued…