その日は我が社の新製品の発表会が予定されていた。正確にはサポートアイテムの新製品見本市で、そこに我が社も参加していた。中小含め約300の企業が参加するこの見本市は、開催期間の金曜日からの3日間に、サポートアイテムの主な使用者であるヒーローだけでなく、ヒーロー見たさの一般人やマスコミを含む、延べ60万人が来場する一大イベントだ。
発表会は土曜の午後からと、一番の観覧者が望める最高のタイムテーブルと言えた。当然ながら社長である父とその秘書である母、新製品のデモンストレーションを任された私も会場の裏側、出演者に宛てられた控え室で私たちは待機していた。
「父さん。この役本当に僕で良いの?」
「あぁ、最近は女性と言えども『力』のある人だって居るだろう?」
「確かに、女性のヒーローだってかなり居るものね」
「なら『個性』が現れてまだそう時の経ってない子どもの方が説得力が有るだろう?」
「それに安全性の証明にもなる、と」
「そうだ」
「わかりました。最善を尽くさせて頂きます。社長」
「期待してるぞ、宣伝部長。おっと、
「分かってるって」
会話が一段落したのを見計らって、母がそろそろ準備を初めるよう促してきた。
「あなた、そろそろ」
「分かった。お前はトイレは大丈夫か?アレを着たら当分行けないぞ」
「大丈夫。さっき行ったから」
その時である。
会場の出入口の方から大きな音、少し経ってから人々の悲鳴が聞こえてきたのは。
「母さん」
「少し待って・・・不味いわ。
母の『個性』、『聞き耳』によってそう判断したのだろう。起こりうる中でも最悪の状況を告げた。
「ヒーローも居るのにか!?くそっ、何が狙いだ!?・・・とにかく避難するぞ。非常口は・・・こっちだ。離れるなよ」
私たちは無言で頷き歩を進めた。
非常口まで後少しという所、進行方向に人影が見えた。人影はこちらに向かって歩いており、このまま行けばすれ違うだろう。
「そこの人!会場には向かうな!
「知ってるとも」
「な・・・!?」
父が転び、釣られて私と母も足を止める。倒れ伏した父の腹部から
どろりと血が流れている。
「あなた!」
「父さん!」
「来るな、行け!」
「だけど怪我が!」
「問題無い、かすり傷だ。早く行け!」
「分かった!絶対帰って来てね!」
私は母の手を取り走り出した。
「・・・行ったか。待たせたな」
「別に良いぜ俺は、手負いの一般人ごときに負けねぇ」
「一般人を舐めるなよ。・・・新製品のデモンストレーションと行こう」
「・・・来い!アイアンマン!!」
社長要素その1。