アメコミの社長に憧れて   作:T-539

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「・・・ハッ、何も来ないぜ?」

「アイドリング中なのさ・・・J.A.R.V.I.S、後何秒で届く?」

「何一人で喋ってんだよ!」

 

敵ヴィランがそう言いながら腕を振りかぶる、それと同時に前腕部に刃が形成されていく。

 

「なるほど、()()()()はそれか」

「おう、結構深く抉ったと思ったんだがなあ?何故立ってられる?」

「父は強しって言うだろ?」

「言わねぇよ!・・・まぁいいわ。もうちょっと遊んでやるよ。女と子どもは後でどうとでもなるしな」

(さて・・・これで時間は稼げた。だがスーツの到着まで30秒、スーツ自体もあくまでデモ用の簡素な物だ。それに息子の手前強がったが、この傷・・・いつまでもつか・・・だが・・・)

「お?ほら来いよ!それともやっぱ無理ですってかぁ?」

「・・・やってやるよ。あいつと約束したからなぁっ!!」

 

父の戦いは始まった。

 

 

 

 

 

 

「ほぅらっ!・・・っとなかなか粘るじゃん」

「つっ!ふぅ、目は良い方でね」

 

父、社 長助(やしろ ちょうすけ)の『個性』は『視力強化』。遠くの物を見れるだけでなく、動体視力を上げたり、可視範囲を広げる事で通常では見えない物を見たりと応用の効く個性だ。

 

「ふーん、そういう個性か?だけど避けてるだけじゃ、俺飽きちまうわ。別にお前なんて本気出せばシュンコロなんだぜ?」

「もうちょっと付き合ってくれよ、そろそろ来るはずだから」

「来るって、ヒーローか?生憎まだだと思うぜ?()の事で手一杯だろうからなぁ」

「ヒーローには期待してないさ。あ、ちょっとはしてるが」

「してるのかよ」

「とか言ってる内に、ほら来たぞ」

「何だって!?」

 

(ヴィラン)は焦り振り返る。それと同時に顔の直ぐ傍を何かが掠めた。その何かを確認しようと首を戻すとそこには、赤と金の金属で出来た人型がこちらに掌を向けて立っていた。

 

 

 

 

「J.A.R.V.I.S、遅かったじゃないか」

『先ほど述べた予定通りですが』

「そういうのは気分の問題さ。さて、使える武装の確認とバイタルチェックだ」

『使用可能な武装はリパルサーのみ、2発撃てばエネルギーが尽き、行動可能限界となるでしょう。バイタルは緊急を要します。すぐにでもオペを』

「却下だ。だが2発か・・・十分だな」

 

J.A.R.V.I.Sとの会話が一段落ついた頃、呆然としていた(ヴィラン)が我に返った。

 

「おいおい、おいおいおい!!何だよそれ、格好いいじゃねえか!」

「だろう?息子と一緒に開発したんだ」

「さっきのガキか!天才じゃねぇか!」

「あぁ、自慢の息子さ」

「糞っ、見せつけやがって!糞が!糞が!!糞がっ!!!っはー!あったま来た。冴えないおっさんだったから付き合ってたが、もう付き合う必要はねぇ。さっさと始末して、ガキを手土産に表の奴らと合り・・・」

 

突然、(ヴィラン)の言葉が止んだ。次の瞬間には(ヴィラン)が崩れ落ちていた。

 

「・・・ふむ。1発で良かったか。帰ろう家族の元へ」

 

霞みふらつく視界の中、父親は歩を進めた。

 

 

 




アイアンマンスーツについて、本文で述べたようにデモ用の簡易版で、かなり機能が制限されています。実装されているのは遠隔装着機能とリパルサー、パワーアシストのみ。また、アークリアクターも無いため、エネルギー供給はバッテリー式です。
アークリアクターが無い理由?主人公はトニー某さんみたいな天才とちゃうんやで!パパは親バカだから主人公の事、天才って言うとるんや。
このお話は凡人に毛が生えた程度の人が金と会社パワーでヒーローを目指すお話です。では、また。

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