父が死んだ。
混乱した会場から抜け出し、ヒーロー達に保護され数分経ったころに父は私たちのもと帰って来た。血塗れの姿で。
「あなた!誰か救急車を!」
「父さん!」
やはりあの時の傷は深かったようだ。否、
私の『個性』は『分析』、五感によって得た情報から、対象を分析し、結果を視覚情報に投影する力だ。非常に便利に思えるこの力だが、前提条件として得た情報が何を意味するのか私自信が理解する必要がある。更に分析すると言っても、その処理は自らの知識が元となる。場合によっては没個性とでも言われるだろう。だが
そう、父の状態はあの時点で非常に悪かったのだ。あの
「…ごめん、父さん。やっぱりあの時」
「それ以上言うな。お前の選択は正しかった」
「…でも」
「良く母さんを母さんを守ってくれたな」
父の言葉は苦しそうに掠れている。
…糞!スーツに使用者保護機能が付いていれば!ナノテクがあれば!そもそもあの時にスーツがあれば!
「どうして……か……」
「ヒーロー…そう、ヒーローも居るのに!待ってればもしかすれば!」
「来たと?無いね。ヒーローも人間だ。手の届く範囲しか救えない」
「…だったら…それこそどうして!?」
「妻と息子を守らない父が何処にいる?……っかはっ!」
「……っ!父さん!救急車は!?母さん!」
「今来たわ!あなたしっかり!」
やっと到着した救急車から隊員達が降り、父さんを担架に乗せる。隊員の一人が私たちに付いてくるように言った。隊員の案内に従い救急車に乗り込む。担架に寝かされた父が処置を受けながら言う。
「長治、お前はヒーローになれ」
「……父さん!でもヒーローになったって!」
父さんを救えない!
「いいや、お前はヒーローになるべきだ。私は目が良いんだ。
きっとどんなヒーローよりも良いヒーローになれる」
「……分かった、父さんが言うならヒーローになるよ。それこそ、地球の裏側に居る人だって救えるようなヒーローになるよ。だから……だから……」
最後の言葉は父に届くことはなかった。
これが私、社 長治(やしろ ちょうじ)のオリジンである。
主人公:社 長治(やしろ ちょうじ)
個性:分析。五感によって得た情報から、対象を分析し、結果を視覚情報に投影する。前提条件として、分析結果を理解する能力と、分析するための知識が必要。下手すれば没個性。長治は前世の知識と今世で勉強して得た知識があるため没個性にはならなかった。視覚情報に投影する方式はかなり自由度がある。長治は普段ゲームウィンドウのようにしている。ウィンドウの色は水色。