「父さん、今日は頑張るから見ててよ」
飾られている父の写真に声を掛けた。今日は私の今後の人生を決める大切な日だ。そう、雄英高校の受験、その実技試験日である。
「頑張ってね。長治」
「大丈夫だよ、母さん。僕だけの力で挑むわけじゃないんだ」
私だけではどう頑張っても手の届く範囲に限りがある。私には、私が以前憧れたようなヒーローのもつ才能も技術も無い。故に私は家族の、社員の、力を借りてヒーローを目指す。
「でも良かったの?推薦入学じゃなくて」
「うん。この程度を乗り越えられなきゃヒーローなんて務まらないだろうし」
私はあれから社員の力を借りて様々なアイテム、システムを開発した。その功績が認められ推薦を受けた。だが、断った。発明したものは全て以前の知識の流用したものだし、本当に開発に携わったのは社員だからだ。
「そう、分かったわ。好きなようにしなさい」
「分かった。会社の事だけど、これから宜しくね」
「まっかせなさい!」
あの事件の後、会社の経営は傾き掛けた。当然だ、社長が急に亡くなったのだから。私は父の愛した会社がダメになるのは見過ごせなかった。以前より色んな部署の人と顔を会わせていたのも良かった。何より社員が会社を愛していたのが良かった。経営を担っている人に私が分析による結果から導き出した答えを伝えると、他の役員とも検討してくれた。更には私を社長にした。当然、打算はある。なんせ父が
「じゃあ、行ってきます」
彼らの期待に応える為にもこの程度の事は乗り越えてみせる。
「行ってらっしゃいませ、長治様」
「行ってきます」
送迎の車から降りると、人の視線が集まるのが分かる。
「見ろよ。受験に黒塗りの車で来てるぞ、御坊っちゃまかよ」
「て言うか、あれじゃね?社コーポの社長じゃね?」
「マジか!そりゃ御坊っちゃまだわ」
「てか、え?ヒーロー目指すの?」
私の事を話している少年(私もだが)の横を通り過ぎ、「H」型の巨大な校門を抜けある場所を目指す。
「あっち何かあったっけ?試験会場とは違う方向だけど」
私の行動がいちいち気になるのか、ざわめく彼らを尻目に目的地にたどり着く。そこにはこの学校の教員が待機していた。私はその教員に声を掛けた。
「すいません。今日受験する社ですが」
「あーはいはい。社君ねー、よくテレビでみてるよ。一応受験票良いかな?」
「はい」
「はい……はーい確かにー。いやーでも持ち込み自由って言ったってトラック3台分も持ち込んでくるなんて思ってなかったよ」
「お手数御掛けしてすいません。何せどの程度までなら持ち込みOKなのか分からなかったもので」
「確かにあの書き方じゃ分からないよねー。それで問題の何処までOKかっていうとね。はいこれ」
大きめの段ボールを一つ渡された。
「え!?これだけですか!?」
「今から行うのはあくまで試験。
「む……確かに、そうですね」
「この位の乗り越えなさいな」
「もとよりそのつもりですとも」
「良い返事!じゃあ、受験頑張ってね!」
「はい!」
社長要素その2。主人公が社長。