アメコミの社長に憧れて   作:T-539

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渡された段ボールを抱え試験会場へ向かう。途中、段ボールのせいで前がよく見えず誰かとぶつかってしまった。

 

「おっと、すまない」

 

ぶつかった相手が転びそうになったところ、近くにいた女子が手を触れた。するとその相手が浮かび上がった。

 

「大丈夫?」

「わっ、えっ!?」

「私の個性、ごめんね勝手に。でも転んじゃったら縁起悪いもんね」

「へぇ、浮かす……いや、受ける重力を0にする個性か」

「何で分かったの!?」

「すまない、個性柄ね」

「へー、色んな個性があるんやねぇ。じゃ、みんな頑張ろうね」

「ああ」

 

可愛いらしい女の子だったな。さて、ボーッとしてるこの緑髪の男子に改めて謝るか。

 

「さて、ぶつかってすまなかった。……おい、いつまでボーッとしてる?」

「あっ、おおおおおお」

「本当に大丈夫か!?」

 

 

 

 

『今日は俺のライヴにようこそー!!エヴィバディセイヘイ!!!』

 

五月蝿い。あれがプレゼントマイクか、本当にプロヒーローが教員をしているのか。期待度が高まる。

 

『こいつぁシヴィーーー!!!受験生のリスナー!』

 

ラジオか。

 

『実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?』

 

実技試験の説明中に緑髪の彼とメガネ男子の間にひと悶着あったりしたが、説明は恙無く終わった。

 

 

 

 

Plus Ultra(プルス ウルトラ)か、良い言葉だ。さて、着替えるとするか」

 

渡された段ボールを開く。

 

「ふむ、アイアンマンスーツは全部ダメか、分かってたけど。アシストの無いスーツは有り、どれにするか……。攻撃系ガジェット……威力が高いのはほぼアウト、拘束系は有り……機動系ガジェットは多めに残ったか……ドローンも無し……独力で戦えって事か?……よし、これでいくか」

 

着替えているとまたメガネ男子と緑髪の彼がいさかいになっていた。手早く着替え、ざわめく受験生の間を抜け彼らの元へ向かう。

 

「また君たちか、ちょっといいか?」

「なんだね君は!?私は彼に注意しているんだ!!」

「それは分かるさ。だがTPOをわきまえてくれ」

「む……」

「はっきり言おう、煩いよ()()

「あ、あぁ……すまなかった」

(さて、彼の方は……ダメだな……よし)

 

パンッと手を打つ。ざわめいていた受験生が静まり、私に視線が集中する。当然、彼の視線も私に向いた。

 

「君たちは何のためにここにいる?……そこの君は?」

「ヒーローになるために決まってるだろ、そりゃ」

「そう、ヒーローになるために来た。だが、先程までの君たちを見てると程遠い様に思えるね」

「何だと!?」

 

集まる視線に敵意が篭る。

 

「はぁ、おいおい私は(ヴィラン)じゃないぞ?もちろん彼もだ。だというのに君たちは萎縮する彼を見て『(ライバル)が一人減った』と思っただろう?」

「あ、当たり前だろ!?合格する人数は限られてるんだ!!」

「別にここだけしかヒーロー科が無いわけじゃないのに?一人を蹴落としてヒーローになる?ハッ、そんな低い志でヒーローが勤まるとは思えないね。さて、そこのモジャモジャの君」

「はっはい!?モジャモジャ!?」

「そう君、君は何でヒーローを目指す?」

「ぼ、僕は憧れてる(ヒーロー)に言われたんだ。『君はヒーローになれる』って、だから、ヒーローを目指す…いや、ヒーローになるんだ!!」

「いいじゃないか。この彼を蹴落として進むと言うのかい?違うだろ!?皆全力で挑んだ結果彼が落ちた場合は彼も納得するだろう。だが、ここで躓いて落ちた場合、恨まれるのはここにいる全員だ!ヒーロー科に落ちて(ヴィラン)になるって人は多い事を忘れるな」

「……ウンチクは良いがちょっと待てお前」

「何だ?」

「さっきから偉そうにペラペラ喋ってるが、お前はどうなんだ?」

「どうとは?」

「さっきから()()()()()()で話してるよな?」

「お、よく気が付いたな。当然……」

 

『はい、スタートーーー!!』「合格する。全てを越えて」

 

「お先に失礼」

 

「「「「はあっ!!?」」」」

 

『どうしたあ!?実戦じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走れぇ!!』

 

「マジかアイツ!!」

 

『賽は投げられてんぞ!!?』

 

実技試験開始。

 

 

 

 

 




良いこと言う雰囲気に見せ掛けて良いこと言わない系主人公
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