機動戦士ガンダム00 Flamer X   作:raphel

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第2話 炎のダブルオーの力

反政府組織カタロンの基地を襲撃していた独立治安維持部隊アロウズ。

 

そんなアロウズのMS部隊の前に、正体不明のツインドライブ搭載型である真紅のガンダムが立ちはだかる……

 

 

『な、何だ、あの機体は!?』

 

『ソレスタルビーイングの、新型のガンダムなのか!?』

 

『あのガンダム、炎出して燃えてるぞ!』

 

『こ、壊れてるのか……?』

 

『だが、あれだけ燃えているのに機体が爆発しないのはおかしいぞ!』

 

『一体、どうなってるんだ!?』

 

「……各機、落ち着け! アンドレイ少尉、墜落した隊長達3人の安否は?」

 

「そ、それが……3人とも墜落した時の衝撃で気を失っているのか、通信に対しての応答がありません!」

 

「そうか……何名かは気絶した隊長達を連れて母艦へ帰投しろ! 残りは私と共にあのガンダムの討伐にあたる!」

 

『了解!』

 

 

部隊長が気絶した今、次に部隊での指揮権があるピーリスがそう指示を出し、気絶したパイロットを乗せた3機のアヘッドを連れて母艦へ帰投した機体以外の、ピーリスやアンドレイを含めたアロウズのMS達がそれぞれGNビームライフルやGNランスを敵機である真紅のガンダムに向けて構える。

 

 

「全機、攻撃開……!」

 

 

ピーリスがそう指示しようとしたタイミングで…… 真紅のガンダムがピーリス達の目の前から突然消えたのだ。

 

 

「なっ!?」

 

『き、消えた!?』

 

「奴は何処に……!?」

 

 

ピーリス達は慌てて真紅のガンダムの姿を探していると……

 

 

『ぐああああっ!?』

 

「っ!」

 

 

真紅のガンダムが1機のGN-X IIIの目の前に突然現れ、そのGN-X IIIは迎撃する間も無く、真紅のガンダムの炎が灯された拳による一撃を鳩尾辺りに受け、後ろへと大きく殴り飛ばされた。

 

 

『く、くそっ!』

 

『こいつ!』

 

『よくも!』

 

 

近くにいた何機かのGN-X IIIやアヘッドがGNランスやGNビームサーベルで真紅のガンダムに白兵戦を仕掛けるが……

 

 

『ぐああっ!?』

 

『がああっ!?』

 

『がはあっ!?』

 

 

対する真紅のガンダムは神速の如き速さで白兵戦を仕掛けようとしたGN-X IIIやアヘッドらの懐に一瞬で入り、鋭い炎の拳撃でその機体達を殴り飛ばし、次々にアロウズのMS達を砂漠の大地へ叩き落として行く。

 

 

『は、速い!』

 

『な、なんてスピードだ!』

 

『ま、まったく見えなかったぞ……!』

 

『それに、マニピュレータで殴っただけで、約69tあるGN-Xや約71tあるアヘッドをあそこまでぶっ飛ばすなんて……!』

 

『どんなパワーだよ!』

 

『だ、ダメだ! 今、あのガンダムに殴り飛ばされた者達も隊長達と同じで、墜落した衝撃で気絶してるみたいだ! 通信にまったく応答しない!』

 

「くっ! あの機体に白兵戦を挑むのは危険だ! 距離を取りつつ、粒子ビームによる一斉掃射で応戦する!」

 

『了解!』

 

 

ピーリス達は真紅のガンダムから距離を取ると同時に、真紅のガンダムに向けてGNビームライフルやGNランスからの粒子ビームを一斉掃射するが……真紅のガンダムはその粒子ビームの雨に怯むどころか、まるで先読みしているかのような動きで容易く回避しながら、背中の炎と両腰のツインドライブによる推進力により物凄いスピードでピーリス達の機体に向かって前進するのだった。

 

 

『くそっ! まったく当たらない!』

 

『これだけの粒子ビームを全て回避するなんて!』

 

『なんて奴だ!』

 

(あの動き、機体の性能によるものだけじゃない……あのガンダムに搭乗しているパイロットの並外れた反応速度と直感力があってのものだ。それに……あのガンダムから微かだが『脳量子波』を感じる……! まさか、『超兵』!?)

 

 

そう考えるピーリスを他所に、真紅のガンダムは粒子ビームを回避しながら右拳をピーリス達の機体に向けると……拳の先端にある銃口から橙色の炎が含まれた粒子ビームを連射して放って来たのだ。

 

 

「! 何っ!?」

 

 

驚くピーリスを他所に、真紅のガンダムが放った粒子ビームはピーリスのスマルトロンを含めたアヘッド達のGNビームライフルを破壊するのだった。

 

 

『うわぁっ!?』

 

『しまった! ビームライフルが!』

 

「くっ!(あのガンダムに火器類、遠距離から攻撃する手段が無いと侮っていた! まさか、マニピュレーターの先端に隠し武器があるなんて!)」

 

 

真紅のガンダムには外見上火器類は勿論、遠距離から攻撃する武装が無かった為、真紅のガンダムには中遠距離から攻撃する手段が無いと判断してしまったピーリスは苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

 

そんなピーリスに……

 

 

『中尉!』

 

「っ!」

 

 

真紅のガンダムが例の如く神速の如き速さでピーリスのスマルトロンの懐に入り込むのだった。

 

 

「し、しまった!」

 

 

敵機の接近を許してしまったピーリスは慌てて迎撃しようとするが、それよりも早く真紅のガンダムがピーリスのスマルトロンに拳を繰り出す。

 

 

「中尉はやらせん!」

 

 

ピーリスの危機にアンドレイのGN-X IIIが駆け付け、アンドレイはGN-X IIIのGNビームサーベルで真紅のガンダムを攻撃するが、真紅のガンダムはアンドレイの攻撃を紙一重で躱すと同時に、カウンターでアンドレイのGN-X IIIの胴体部の鳩尾辺りに炎が灯された拳を叩き込んだ。

 

すると……

 

 

「っ! が、はぁ……っ!?」

 

 

突如GN-X IIIのコクピット内にいるアンドレイの鳩尾に、まるで『殴られた』かのような激痛が打撃音と共に走り出す。

 

 

「げほっ、げほっ、げほっ! い、今感じた、この痛みは、一体……?」

 

 

アンドレイはあまりに突然感じた体への激痛に咳き込みながら、そう疑問を抱くが……

 

 

「アンドレイ少尉!」

 

「! はっ!」

 

 

ピーリスの声に、真紅のガンダムがさらなる追撃を仕掛けて来ようとしていることに気付く。

 

 

「くっ!」

 

 

アンドレイは急いで回避しようとするが、真紅のガンダムの神速の如きスピードの前に回避することが叶わず、アンドレイのGN-X IIIは頭部の左頬辺りに真紅のガンダムの炎の拳撃を受けた。

 

そして……

 

 

「ぐあああっ!?」

 

 

先程の鳩尾の時と同じ、コクピット内にいるアンドレイの左頬に大きな打撃音と共に激痛が走る。

 

 

(な、何故だ……? コクピットには、私1人しかいない筈なのに、誰かに殴られたような感覚がするんだ……? それも、MSがダメージを受ける度に……! ま、まさか、あのガンダムは……! ぴ、ピーリス中尉に、知らせないと……)

 

 

あることに気付いたアンドレイは、通信でピーリスにそれを知らせようとするが……真紅のガンダムがそれよりも早くアンドレイのGN-X IIIの首筋に手刀を叩き込んだ。

 

 

「があっ!? うっ、くうっ…………(ガクッ)」

 

 

アンドレイの首筋に衝撃が走り、彼の意識が失われてしまうのだった。

 

パイロットが気絶したアンドレイのGN-X IIIはそのまま砂漠の大地へと墜落して、力無く倒れるのだった。

 

 

「アンドレイ少尉!! くっ!」

 

 

ピーリスは目の前にいる、従来のMSとは明らかに違う異質な存在である真紅のガンダムが見せる圧倒的な強さの前に、ただ戦慄するばかりであった……

 

 

To Be Continue……


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