首が飛ぶ。心臓が潰される。身体を貫かれる。
どんな死に方で有ろうと、待ち受けているのは平等な死。
人の一部は死んだ後も英霊に昇華し、もう一度現界する事がある。
だが、それはほんの一部の話だ。普通の人はそんな風にまた、生を受ける事などない。
しかし、稀に本来は歴史に名前を刻まない人間が真名を取り戻す事がある。
これは、そんな人間が真名を取り戻す物語である。
-------------------------------
目を開くとそこは、あたり一帯に広がる花畑に立っていた。
「あれ?ここは、何処だ?俺は眠っていた...のか?」
自分自身ですらここが何処か、何故居るのかがわからないでいる。
「いや、何処だかわからないが何故だか見覚えがある。」そう思い◼︎◼︎◼︎はぼやけた記憶を探っていく。
「わからない...見覚えがあるんだがなぁ」そう言ってその場に座り込む。
「というか、ここに来る前は何してたんだ?俺は」
しばらく考え込んで、記憶を探ると、◼︎◼︎◼︎はあることに気づいた。
「記憶が...ない?」いや、そんなはすばない。◼︎◼︎◼︎はそう思いながらも、「とりあえず、何もしないままではいられないな。辺りを歩いて回ってみるか。」
そう言って、◼︎◼︎◼︎は立ち上がった。
しばらくたくさんの花が咲いているそこを歩いていると、◼︎◼︎◼︎はある事に気づいた。
「生き物がいない?」生きている物がいなかったのだ。美しい花々も造花の様な、どこか生気がない様な、そんな感じだ。
「いや、そんなはずはない!きっと歩いていれば誰かしらいるはずだ。」そう自分に言い聞かせながら◼︎◼︎◼︎は歩みを進めた。
だが、あるけどあるけど人どころか、虫の一匹すらいやしない。流石に違和感を隠しきれない◼︎◼︎◼︎はふと、なにかを思い出した。血である。それも自分の腹から絶えず出てくる鮮血だ。
「うわぁぁぁぁ!」それがあまりにもリアルで、自分の名前すらわからない◼︎◼︎◼︎が初めて思い出した記憶である。
「ハァ、ハァ...なんだったんだ今のは。まるで今出てきたみたいだ。」
顔を青ざめた◼︎◼︎◼︎はクラクラする頭をどうにかなだめて重い足取りで歩き出した。
だが、小一時間ほど歩いたところで最初に見た風景と全く変わっていない事に気づく。それどころか、太陽の位置すら変わらないのだ。
「どうなってるんだ?目覚めたらわけのわからないところにいて、記憶もないときた。もう限界だ!今日は休もう。そしてまた明日にでもまた、人がいないか探してみよう」
そう言って大木に腰掛け、◼︎◼︎◼︎は目を閉じた。