そうはいっても、うつくしい   作:異邦人

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以前Twitterに載せたものです。


ショートショート・マフラー

 秋風が厳しい夕暮れ、エヌ氏はエフ子とウィンドウショッピングをしていた。そしてマフラーの特別販売のブースが目に留まった。広告には、「永遠の愛か? 死か? 新感覚デスゲーム・マフラー」と書いてあった。

 

「なんだろう、これ。とりあえず興味を引けそうな文字を並べた感じ。」

「あら、面白そうじゃないの。」

 

と、そこに店員がやってきてセールストークを始めた。

 

「おやおやお客様、お目が高い! これは今話題になっております新製品でございます!」

「この広告はどういう意味だね?」

「はい、お客様。このマフラーは、そのマフラーを貰った相手に対する愛情が冷めると、自動的に首を絞めて殺してくるんです。」

「なんて物騒な! でも冷めるときはマフラーなんてしないんじゃないのか。」

「よくぞ言ってくださりました! そこがこの製品の特長でしてね。ひとたび愛が冷めましたならば、そのときにマフラーをしていなくても、地獄の果てまでその持ち主を追跡・殺害するようになっております。」

 

エヌ氏は呆れてものが言えなかったようだが、

 

「あら、面白そうね。」

「はい。カップルや夫婦、それも特に女性の方に人気が高いのですが、時に男性のお客様がいらっしゃるのも、興味深いものですね。」

「分かったわ、それ、ふたつください。」

「きみ! そんなバカなものを買うのかい?」

「あら、いいじゃないの。それとも何かやましい心当たりでもあって?」

「い、いや別に。あ、店員さん、これって……」

「はい、ご注文頂きました!」

 

 

 数か月後、ある会社を一人の女性が訪れていた。

「申し訳ございません。担当者は席を外しております。」

「なら戻ってくるまで待ちます。絶対おかしいです! 許せない。訴えてやります、訴えてやります!」

「一体どうしたと言うんだね。」

通りかかった男性が尋ねた。

「はい、この会社、マフラー売ってるじゃないですか。」

「ああ、愛のマフラーだね? どうかしたかね。」

「親友の女の子が、親友の女の子が、お宅のイカれた製品のせいで命を落としたんです!」

「いや、しかし、そういう趣旨の製品だから、それに関して文句を言われてもな。それも契約のうちだというのがこちらの見解だ。」

「いや、それだけならまだいいんです。なんで男の側は生きてるんですか? 不良品じゃないですか!」

男は受付嬢と目を見合わせた。そして言った、

「いかにも、私がその製品の担当者だ。あのマフラーは、元々愛の生じてない人間には無効なのでな。」

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