俺ガイル二次作   作:ひきがやもとまち

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更新です。前回の続き回ですね。
本当だったらアニメ版のノリで今話単独での完結を目指してたんですけど、たまたまテレビが使えない中で書かざるを得なくなり原作準拠で書くしかなかったため、葉山軍団登場直前までの内容となっております。お気を付けくださいませ。


やはり俺の青春ラブコメはひねくれている。第6話

 戸塚の依頼を雪ノ下が引き受けた日の翌日から、地獄の特訓とやらは始まることになった。

 俺はジャージに着替えると、戸塚と一緒に特訓が予定されているテニスコート場へ向かう。

 ・・・なんだって俺はあいつらに付き合っているんだろうか?

 結局のところ、この奉仕部というコミュニティは学校という名の箱庭社会で脱落した社会的弱者を集めてゆっくり微睡んでるだけの「青春ごっこ」を満喫させたいだけなのではないかという疑惑が頭に浮かんで離れてくれない。平塚先生の言うように、それこそサナトリウムにして俺たちの病巣を取り除きたいだけなのではないだろうか言う気さえしてくる程に。

 

「まぁ、仮にそうでも、そうでなかったとしても俺に出来ることは何一つないんだけれども・・・」

 

 そう結論づけて、俺は無駄な思考を強引に断ち切った。

 第一に、俺は自分の意思で奉仕部に入部したわけじゃない。平塚先生に無理やり入れられただけだ。参加してるのも平塚先生に強制連行されるからで、部活動に精を出してるのも平塚先生がジャッジするご奉仕勝負に負けたらなに命令されるかわからないからだし――って、全部平塚先生が暴君だからの一言で説明つくじゃん。考える必要皆無すぎるじゃん。

 

 ――為政者が大多数派を形成した民衆の反対意見を無視することを決定し、武力による弾圧と強制をおこないだしたとき、戦う力を持たない群衆の数は無力化する。数の力が絶対的なのは、相手が非常手段に訴え出るまでの間だけだ。

 目の前に銃口か剣先を押しつけられたとき、大多数の民衆は沈黙せざるを得なくされるのが社会の必然である。そして独裁者が敗北してから死体の上に民主主義でも作るのだろう。

 

 要するに、自分たち以外の誰かが平塚先生をどうにかしてくれない限り、俺は奉仕部に参加し続けるしかないわけだ。以上、証明終了。・・・結局最後まで考えちまったか・・・。

 

 

「ハーッハッハッハ八幡! こんなところで会うとは奇遇だな。今ちょうど新作のプロットを渡しに行こうと思っていたところだ。さぁ、刮目して見よ!」

「いや悪い。ちょっと今忙しいんだ。――あと、今ちょうど厨二思考終えたばかりだから、お前のパクリ厨二作品見たくない気分だし・・・」

「ぐへはっ!?」

 

 なんか知らんがボーッとしてる内に材木座とすれ違ってて、気がついたら付いてきてた。一列になった俺たちの一番後ろに付いてきてる。ドラクエっぽいかもしれない。

 ・・・ドラクエって言うよりマザー2のポーキーって感じがしなくもないとは、さすがに言えない・・・。

 

 

「来たようね。では、始めましょうか」

「よ、よろしくお願いします」

 

 テニスコートには既に雪ノ下と由比ヶ浜がいて俺たちを待っていた。

 ここで昼食をとっていたんだろう。

 雪ノ下は制服のままで小さい弁当箱を片付け始め、由比ヶ浜だけがジャージに着替えてる。

 

 ――って、おい部長。引き受けた本人だけ制服でどうする。この場で今ジャージじゃないのはお前と、部外者の材木座だけだぞ。自分からポーキーの同類になってどうするつもりなんだ奉仕部部長で部室の火元責任者さんよ。

 

「まず、戸塚君に致命的に足りてない筋力を上げていきましょう。上腕二頭筋、三角筋、大胸筋、腹筋、服斜筋、背筋、大腿筋、これらを総合的に鍛えるために腕立て伏せ・・・とりあえず、死ぬ一歩手前ぐらいまで頑張ってやってみて」

「うわぁ、ゆきのん頭よさげ・・・・・・え、死ぬ一歩手前?」

「ええ。筋肉は傷めつけたぶんそれを修復しようとするのだけれど、その修復の際に、以前よりもより強く筋繊維が結びつく、これを超回復というの。つまり、死ぬ直前までやれば一気にパワーアップ、というわけよ」

 

 サイヤ人かよ。もしくは、ジャングルの王者ターちゃんかよ。お前と平塚先生はジャンプ思考ばっかしてないで、いい加減フィクションと現実の違いを知るべきだと俺は思う。

 

「まぁ、すぐに筋肉がつくわけではないけれど、基礎代謝を上げるためにもこのトレーニングはしておく価値があるわ」

「基礎代謝?」

「簡単に言うと、運動に適した身体にしていくということね。基礎代謝が上がるとカロリーを消費しやすくなるの。端的に言ってエネルギー変換効率が上がるのよ」

「カロリーを消費しやすく・・・・・・つまり、」

「つまり、よくあるスポーツ漫画のフィクション理論に、小難しい単語を付け足して並べれば頭が良さそうに見えるんじゃないかという、どこぞの売れない作家が考えそうなこすっからい理屈もどきの根性論ってことだ」

「・・・・・・(キッ!!)」

 

 いや、睨まれて凄まれても。

 俺としては、ただ自分が普段からしている思考と、この前書いたばかりの作文に対して酷評した自分評とを思い出して重ね合わせたらピッタリだった感想を言っただけであって他意はない。悪意もない。

 だから睨まないで、凄まないで。お前の目つきってたまにマジ怖すぎるから。間に挟まってる由比ヶ浜さんたちが怯え切っちゃってるからやめてお願い、マジやめて-。

 

「と、とにかくやってみるね」

「あ、あたしも付き合ってあげる!」

 

 居たたまれない空気を換気してくれようとしたのか、あるいは単に逃げたかっただけか両方か。

 とにかく戸塚と由比ヶ浜は腹ばいになってゆっくりと腕立て伏せを始めた。

 

 

「んっ・・・・・・くっ、ふぅ、はぁ」

「うぅ、くっ・・・・・・んあっ、はぁはぁ、んんっ!」

 

 

 押し殺した吐息が漏れ聞こえてくる。苦悶に顔を歪めながら、薄く汗を掻き、頬は上気している。

 戸塚の細い腕ではかなりきついのか、時折すがるような視線を俺に向けてくる。

 由比ヶ浜が腕を曲げると、体操服の襟元から眩しい肌色がちらっと覗く。

 

 ・・・いかん、直視できん。なんでこの子たち普通に運動してるだけで、こんなにエロっちくなれるの? もう、存在自体がエロいとしか思えなくなってきたよ俺・・・。正体が惑星エロイヤから来た、エロイヤ人だったと言われても納得しちゃいそうなくらいだよ本当に・・・。

 

「・・・・・・あなたたちも運動してその煩悩を振り払ったら?」

 

 時々チラ見しながら材木座と二人でニヘラっと笑っていると、背中から冷水をぶっかけられるような声で雪ノ下が心底蔑んだ瞳で俺たちを見ながら言ってきた。

 

「ふ、ふむ。そうだな。訓練を欠かさぬのは戦士の心得。どおれ、我もやるとするか! 無論、八幡もくるのであろうな!?」

「・・・いや、俺は左足の古傷でサッカーを捨てた男だから。こんなにも苦しそうな重労働なんてとてもじゃないが無理。悪いけど一人で行ってくれ材木座」

「ハッ、ハッ、ハチマ―――ン!? 八幡ブルータスゥゥゥ! お前もかーっ!?」

 

 言質を自分から取らせたばかりの材木座が叫ぶが、無視である。

 雪ノ下の視線は恐ろしいが、それを受けながらでもこの映像は脳裏に永久保存しておくため留まり続ける価値のある代物だ。リスクリターンの計算と自己保身に関してだけは平塚先生からも定評がある小悪党の俺は、この程度の性倫理的非難の視線ごとき耐えてみせようじゃないか。

 

 煩悩と言われてしまった俺の欲望。・・・ふっ、だが甘いな雪ノ下。お前は人の思考を読み取るのに長けているようだが、感情を理解できていないらしい。

 

 覚えておくがいい・・・そして、明記せよ!

 男の欲望は余裕で百八以上存在している。除夜の鐘程度では傷一つ付けられはしないそれを、たかが即席のトレーニング如きで振り払えるなどと考えるのは想定が甘すぎるんだ雪ノ下! だからお前は甘いのだぁぁぁぁっ!!!

 

「そう言うわけだ、戸塚。由比ヶ浜。ガンバレー。・・・あと、ついでに材木座もな」

「我だけ超テキトーすぎる応援!? 心の友の心ない対応に我は驚愕した!!」

 

 心の中で叫んで、表には出さずに小さく応援。これが小物スタイルです。

 比企谷八幡は正々堂々、真っ正面から卑屈に最低に陰湿に不意を打つ、総武高校ランドの萩原子荻ちゃんだい。

 

つづく

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