俺ガイル二次作   作:ひきがやもとまち

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少し前に考えついていてテキトーに書き進めていたところ、何となく最初に出来上がってしまいましたので投稿してみた『俺ガイル』×『銀河英雄伝説』コラボ短編です。

主人公のモデルは、銀英伝の『パウル・フォン・オーベルシュタイン』です。


やはり俺の学校に『冷徹なる義眼』がいるのはまちがっている。

「高校生生活を振り返って」2年F組 大鐘須耐

 

『青春とは嘘であり悪であり、人類社会を苛む悪質なガン細胞でもある。

 青春を謳歌していると嘯く者たち、その多くは常に自己と周囲を欺き、自らを取り巻く環境のすべてを肯定的に捉えさせるため社会を変質させていく。

 彼らは青春の二文字さえ持ち出せば、どんな一般的な解釈も社会通念もねじ曲げられる世界をこそ望んでいるからだ。

 彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も、己が無能によって引き起こされた失敗さえも青春と解釈して都合良く美化してくれる世の中を作り出すためのスパイスでしかないのだろう。

 しかし彼らが、これらの事実を認めることは決してないだろう。全ては彼らにとって免罪符たり得るからこそ利用しているだけの巧言令色と詭弁に過ぎぬのだから当然の結実であると断言できる。

 予定外に長くなってしまったが、結論を言おう。青春を楽しむ者たちを自称している愚か者どもよ。――語るにたらん』

 

 

 

 

「・・・語るにたりないのは君の方だろうが・・・」

 

 県立総武高校の国語教師の平塚静香は額に青筋立てながら、自分の眼前に立たせた生徒のが作文を大声で読み上げた末に、溜息を吐きながらそう慨嘆せずにはいられない。

 

 ――だが、目の前で直立浮動したまま微動だにしない男子生徒は平然としている。

 感情を写さない無機質な瞳で、立ったまま席に座っている先生を見下ろしながら冷静に相手の言葉と状況を分析しようとしている・・・そのように平塚静香には見えてちょっとだけ怖い。

 

「・・・なぁ、大鐘。私が授業で出した課題は何だったかな?」

「『高校生活を振り返って』というテーマでの作文であることは、タイトルとして記載させて頂いてるはずであり、先生ご自身が今し方声に出されて朗読したばかりと記憶しておりますが・・・」

「ぐ」

 

 見れば解る質問への回答を、『見ていないから解らないのか?』と遠回しに指摘してくることで答え代わりにされてしまった平塚静香は思わずたじろぎ、体勢を立て直すため話を無理矢理にでも先に進めようとする。

 

「そ、それが分かっているなら、どうしてこんな舐めた作文を書き上げてきてるんだ? なんだこれ? どうしてこうなった?」

「先生が提示されたテーマでの作文を、私なりに考えて書いた結果、こういう内容に書き上がってしまったからでしょう」

「・・・・・・」

 

 またしても見れば答えが解る質問に対して、当たり前の回答。『命じられた内容を自分なりに実行したらコレが出来た』。・・・至極当たり前で当然の回答ではあったのだけど、そういう返事を彼女は求めていたわけではないので少々困らざるを得なくされてしまう。

 

「・・・たくっ・・・。君の目は、機械で出来た義眼のような眼だな・・・人間味がまるで感じられん・・・。

 赤い血潮の代わりに冷徹氷でも流れているんじゃないかと錯覚してしまいそうになるときがたまにあるくらいだよ」

「・・・・・・」

 

 今度は相手の方がノーコメント。質問でも意見でもなく、先生個人が自分に眼に如何なる感想を抱いていようと、それは個人の自由であって感想を持たれた側には関係がないからだ。

 

「お前さっきから舐めた態度とってないで、真面目に聞k――」

「聞いております」

「・・・・・・」

 

 今度は即答。聞かれたらちゃんと答える奴なので逆に性質が悪かった。悪すぎていた。

 

「とは言え、私は生徒であり平塚先生の教え子でもある身。先生が望まれる内容の作文を書いて提出してくる命じられたからには、その期待に応える義務を負うものでもあります。

 もしお望みであるなら、私個人の感想など度外視して心にもない一般論と定型文でますを可能な限り埋めた空っぽの作文を、先生のお好みに合う内容として明日中に書き上げて参りますが如何いたしましょう?」

「・・・いい。そこまでして書かんでいい・・・。嘘しか書かれてない作文なんて私の方が見たくないから・・・」

 

 無表情に堂々と『嘘八百を書いた当たり障りのない作文にして書き直した方がいいですか?』と聞かれて、それをやれと言える教師はどこの世界を探してもあまり多くないだろう。平塚静香はそこまで狂った教師にはなりたくない・・・。

 

 ――そして、ふと真面目な顔つきになって相手を見つめ、何か考えついたような表情でいくつか質問をぶつけてくる。

 

「君は部活やってなかったよな?」

「はい」

「・・・・・・友達とかはいるか?」

「互いに互いを利用し合うためだけに結ばれた偽りの握手を交わす使い捨ての友人ならば、今すぐにでも作って参りますが?」

「だから、いらんてそんなもん! 生徒が教師の持ってる甘い夢をナチュラルにぶち壊そうとするんじゃない!」

 

 平塚先生は大声で怒鳴り、『3年B組金八先生』とか『GTO』とかに憧れている自分の少年向け乙女心を深く傷つけられた傷心に涙をこらえつつ、結論だけは間違えないように確認をとる。

 

「つまり、いないって事でいいんだよな?」

「はい。端的に申しますならば」

「そうか! やはりいないのか! 私の見立て通りだな。君の冷たすぎる眼を見ればそれくらいすぐにわかったぞ!」

「失礼ですが、先生。私の場合は眼以外のすべてにおいても友達が出来る要因はないのではと自己判断しておりますが・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 自分で自分を酷評されてしまって二の句がつけない平塚先生。

 軽く咳払いをした後、こういう言葉を付け足した問答を切り上げにかかる。

 

「・・・・・・彼女とか、いるのか?」

「まことに残念ながら、犬には好かれても人間には好かれにくい性格の持ち主だと他者からは評価されておりますので、恋人も友人もおりません」

 

 最後の質問は、答えられた方が返事をしづらいという最悪な答え方をちっとも残念そうに聞こえない声と態度で返されてしまう。

 コレで終わらせるつもりで本当に良かったと内心で安堵しつつ、『この問題児を更生するのに丁度いい口の悪さを持つ女生徒』の存在を思い出し、愉快そうな笑顔で彼に向かってこう言ったのであった。

 

 

「君の心ない言葉や態度で私の心を傷つけられた罰として、君には奉仕活動を命じる。

 ちょっと、ついてきたまえ」

「承知しました。――ですが、平塚先生。その前に一言だけご忠告を。

 たかが赤の他人の言葉程度で傷つけられてしまう先生の心の脆弱さまでは私にはどうすること出来ません。ご自身の心はご自身で鍛えられ、傷つきにくくされることを推奨させていただきます」

「・・・・・・・・・」

 

 

 最後の最後まで、こういう奴。

 それが『大鐘須耐』

 奉仕部の前に現れようとしている、義眼のように冷たく光る眼を持つ男の人格であった。

 

 

たぶん続かない(苦笑)

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