俺ガイル二次作   作:ひきがやもとまち

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大分間が空いちゃいましたが、『シェイクスピア(偽)』を更新です。
今回の話は、川崎沙希更生プロジェクトの話がメインとなっております。間が空き過ぎちゃいましたので更新を優先して受験費用とかの話は次回に回した次第です。金の話になると長くなる恐れがある作者なものですから(;^ω^)

なお、猫(カマクラ)とゆきのんの絡みは前回のオマケでやったので省略させていただきました。長かったですのでね…。


やはり奉仕部にシェイクスピア(偽)がいるのはまちがっている。第10幕

 川崎大志から(非公式に)依頼された奉仕部による川崎沙希更生プログラムは、スタート直後から難航していた。

 

 

 更生プロジェクト・第一計画『動物とふれ合うことを切っ掛けに心優しい部分を引きだそう作戦』(発案者兼責任者・雪ノ下雪乃)

 

 

「で? うちの猫をどうするんだ?」

「動物とふれ合うことを切っ掛けに川崎さんの心優しい部分を引き出すの。彼女の心が動かされれば、きっと拾うはず」

「・・・一昔前の番長じゃねぇんだからさぁ・・・」

「ほとんど平塚先生レベルの発想ですな。雪ノ下殿、失礼ですが高校入学のために戸籍データを改竄させて年齢を詐称してなどおられませぬかな?」

「ニセッチの言うことが本気で失礼すぎる!? 女の子に年齢の話題は禁句だってこと知らないわけー! あと、外見年齢についてニセッチにだけは言われたくないし!」

「あの・・・由比ヶ浜さん? その言葉も結構ヒドいと思うんだけど・・・」

 

 プルルルル♪

 

『あ、お兄さんスか。大志っス、いま比企谷さんに聞いた作戦のことなんスけど・・・姉ちゃん、猫アレルギーなんスよ・・・』

 

 

 作戦結果――失敗。

 失敗した要因は、調査対象について身内から詳細を聞くことなく強行してしまった性急さに起因するものと思われる。

 

 

 更生プロジェクト・第二計画『両親だと距離が近すぎるから言えないことでも他の大人になら相談できるかも作戦』(発案者・戸塚採加)

 

「川崎」

「・・・なんか用ですか? 平塚先生」

「最近、家に帰るのが遅いらしいな。どこで何してるんだ?」

「誰から聞いたんですか?」

「クライアントの秘密を明かすわけにはいかないな。――それより質問に答えたまえ。君は高校生だ、ご両親の気持ちを考えたことはないのか?」

「・・・てゆーか、先生、親の気持ちなんてなったことないからわかんないはずでしょ? “独身”だし。あたしの将来より自分の将来心配した方がいいって、結婚とか」

「ぐはぁっ!?」

 

 

 作戦結果――失敗。

 失敗した要因は、頼りにすべき大人の人選ミスだったと思われる。

 

「先生、かわいそう・・・」

「とゆーか、普通に校則違反なのですし強攻策をとっても良かったのでは? クライアントの事についても名前明かしてくれて一向に構わなかったと思うのですが・・・」

「・・・先生たちにも色々あるんだろ。最近は暴力とかに小うるさいとか愚痴ってたし。リスクリターンを計算して刑事罰に問われるようなことにはならないよう自己保身はからなきゃ生きてけない年齢になったってことなじゃないのか、多分だけど」

「そこぉぉっ!! 傷心中で聞いてないと思ってるだろうけど聞こえてるから! 傷ついてるから! ダメージ倍増しまくってるからな!? お前らもう少し難しい年齢になってる年上の女性に対しての優しさってものをだな! クドクドクド――」

 

 

 補足結果。――調査対象以外には強気に出て詳しく語れる人だったらしい。

 

 

 更生プロジェクト・第三計画『変わって悪かったなら今一度変わらせてリバースさせよう作戦』(発案者・由比ヶ浜結衣)

 

「女の子が変わる理由なんて一つでしょ! ・・・恋、とか・・・♡ と言うわけで葉山くーん!」

 

「おつかれ。眠そうだね? バイトかなにか? あんまり根つめない方がいいよ」

「お気遣いどうもー」

「あのさ。そんなに強がらなくてもいいんじゃないかな?(キラキラキラ☆)」

「あ、そういうのいらないんで(タッタッタ)」

「――あ」

 

 

 作戦結果――失敗。

 失敗した要因は、そもそも作戦指針自体がよく分からんので不明。

 

 

「そもそも、コレ↑で何をしたかったので? 目的自体がよく分からないのですが・・・ひょっとしなくても変わるというのは元に戻すのではなく、色ボケ恋愛脳の男依存症に陥らせて貢がせるために深夜のアブナイ仕事に手をつけさせることにより教室内の美少女ランキングからライバルを自主的に破滅させようとする目論見でもおありでしたかな? 由比ヶ浜殿」

「今までで最高レベルの言いがかりだよ! 全然違うから! そんなこと狙ってないから! ただ、あんまし先のことまで考えてなかっただけだし!!」

「いや、先のこと考えてねぇんじゃダメじゃねぇか・・・。これって一応、川崎の将来のためにやってる依頼なんだからさぁ・・・」

「あははは・・・なんか、俺。振られちゃった方が良い結果に貢献しちゃってたのかな・・・?」

 

 

 

 更生プロジェクト・最終計画『本人の問題は本人から聞き出すのが一番手っ取り早い作戦』(発案者・シェイクスピア(偽))

 

 

「ついに主演の登場ですな! お任せいただこう! 必ずや彼女自身の口から真相を告解せざるを得ない状況を作りだし、我が輩の脚本によって愛しく憎悪しているであろう己が目を逸らしたいと願うナニカと会わせてあげましょう! 

 さぁ、開幕だ! 席に座れ! タバコはやめろ! 写真撮影お断り! 世界は全て我が舞台、己の出番の時は舞台の上でふんぞり返って喚くだけ!! 万雷の喝采を!!」

 

 

 作戦結果――結果が出るまで待ってたら手遅れになりそうだったので未然に阻止。失敗すらできず。

 というか、失敗した場合のリスクが間違いなく高すぎるのでやらせる訳にはいかない。

 

 

 

「思ってた以上にうまくいかねぇな・・・半分以上、自業自得な気がしなくもないけども・・・」

「そうね・・・自分でも言うのもなんだけど、これで上手くいく程度の問題なら問題じゃないんじゃないかという気がしてくる程度には自業自得な失敗理由が多い気がしなくもないわね・・・」

 

 行き詰まってきてしまった、奉仕部による川崎沙希更生プロジェクト。

 そこに突破口を切り開かせる可能性を有する新たな情報を投入してきたのは、八幡の妹であり中学生の――ぶっちゃけ奉仕部とは公的に縁も所縁もない善意の協力者な戦力外の存在であり、高校生奉仕部メンバーが全滅した後に彼女の力が突破口を切り開くというのは依頼を自主的に引き受けた雪ノ下部長にとってどのような評価に値するのか興味のある話ではあったが、それはまた別の話である。

 

 

「――つまり、『エンジェルなんとか』というお店の店長から電話があったということね?」

「ああ。で、調べてみたら千葉市内で『エンジェル』と名のつく店で、朝方まで営業しているのは二店舗しかないらしい」

「そのうちの一軒が、ここということ?」

 

 小町からもたらされた新たなる情報『大志くんのお姉ちゃんに変なお店から電話があったんだって』から割り出した候補のひとつ、安っぽい電飾がぺかぺかと光る『メイドカフェ・えんじぇるている』と書かれた胡散臭い看板の店舗。

 店の入り口の横には「お帰りにゃさいだワン♪」と獣耳の女の子が手招きしているイラストが描かれた立て看板まであり―――って、普通にメイドさん本人に呼び込みさせろよ。どんだけ金ないんだこの店・・・。

 

 普通に金目当てでバイトを探している高校生が働き口として選ぶとしたら、間違いなく訳ありの女子高生が他に選択肢なくて選んだとしか思えないような給料安そうな店構えを前にして、それでも真面目な優等生の雪ノ下さんと、こういうとこ来て噂されると恥ずかしいリスクマネジメントができる八幡と、真面目な戸塚と、ファッションビッチで初心な女子高生の由比ヶ浜たちにはそこら辺のことまで考えれるほどの予備知識がなく、シェイクスピア(偽)こと安田は知ってたとしても面白そうだからと言わないだろうしで、こういう場所に詳しそうなヤツを呼ぶことになった。

 

「ぼく、あんまり詳しくないんだけど・・・メイドカフェってどういうお店なの?」

「俺もよく知らんので、まぁそういうのに詳しいヤツを呼んだ」

 

 

 

「ウォッホン。――ようやく我の出番かぁぁぁぁッ!!!!!」

 

「おおッ! 久しぶりですな! 剣豪将軍材木座義輝殿! 如何お過ごしだったでしょうか!? また会えて光栄の至り! ささ、今日もまた存分に二人で互いの文学趣味について語り明かしましょうぞ!!」

 

 

 だだだだだだだだだだだだだだッッ!!!!!!(剣豪将軍、敵前全力逃走)

 

 

 ・・・・・・こうして詳しいヤツが逃げ帰ってしまったので、普通に安田が店の人に聞いて「川崎沙希」という名の少女が店で雇われている従業員の中に含まれていないことを確認し、念のためにと彼女は高校生で県下一の進学校である総武高校の生徒でもあるため下手に雇うと面倒ごとに巻き込まれかねないため密告して欲しい、悪いようにはしないと含みまで持たせて納得させた後に店長と電話番号を交換した後、店を出る。

 

 

「いやはや、真面目でいい方な店長殿でしたな」

「そうだな。お前は真面目さを利用する悪いヤツだけどな・・・・・・」

 

 

 まぁ、そんなこんなで奉仕部のメンバーは二件目に候補にやってきた訳だったのだが。

 ――場所柄の理由によって諸事情あり、いったん各自帰宅し準備を整えた後に再び合流。

 ホテル・ロイヤルオークラの最上階『エンジェル・ラダー天使の階』そこへ至るための正門前に立つ。

 

 

「お、お待たせ・・・」

「お、おう・・・」

 

 漆黒のシックなドレスを身にまとった美女の雪ノ下雪乃と、首回りが大きく開いた深紅色の色っぽいドレスを着ている由比ヶ浜結衣。

 二人の艶姿を初めて目の当たりにしたジャケット姿の、性的な感覚は健全な思春期男子の比企谷八幡を少しだけドギマギさせ落ち着くのにわずかな時間を要する程度には動揺し、「他の三人は?」と聞く雪ノ下からの質問で逆に沈静化させてもらえていたのは秘密である。

 

「戸塚と材木座はドレスコードを突破する服がないとさ。安田のヤツはまだ来てないだけだ」

「そう・・・」

「それよか、この服! ゆきのんの家、こんな服いくつもあって、しかも一人暮らしだよ! マジでゆきのん何者!?」

「大袈裟ね。こういうのはたまに着る機会があるから持っているだけよ」

「普通はその機会自体がないんだけどな・・・」

 

 服装は替わっても彼らの内面は変わらず、いつも通りにいつも通りな奉仕部メンバーのやり取りを交わし合った直後。最後に残ったメンバーも到着する。

 

 

「ご機嫌よう皆様方! いやー、遅れてしまって申し訳ないですなぁハッハッハ!」

「あ、やっと来たー! もぅー、遅いよニセッチ! 五分前行動と十分前の到着は女の子と約束したときのきほ・・・ん・・・・・・だっ、て・・・・・・・・・・・・」

 

 一同の中で一番最後にやってきて、遅れて到着した安田に文句を言ってやろうと振り返った由比ヶ浜だったが、安田の着てきたドレスコードを意識しての服装を上から下へ、下から上へと見直していく内に声が尻すぼみになっていき、やがて小さくなって消え去った。

 

「いやはや、申し訳ない。着付けるのに時間がかかりましてな、ハッハッハ!!」

「「・・・・・・・・・」」

 

 笑って遅刻を流してくる安田だったが、八幡も雪ノ下も正直それについてまでツッコんでいる精神的余裕は残っていない。

 たしかにホテル・ニューオクラの最上階は値段と格式故にそれなりの服装をしてこれない客は丁重に入室をお断りしている格調高い店舗であり、入室に必要となる最低基準として『男性は襟付き・ジャケット着用』が義務づけられており、その基準はまぁ・・・満たしている格好ではあったのだけれども、しかし。

 

「・・・どこの貴族の社交パーティーに招かれた招待客だったんだ? お前は・・・」

「はっはっは、比企谷殿は相変わらず面白いジョークを言う方ですなぁ。この程度の服はよく着る機会がありますので大量に持っているだけのこと。その内の一着に過ぎません。謂わば普段着みたいなものですので、お気になさらずに」

「普段着!? この貴族みたいにキラキラしてゴージャスでベルサイユみたいなのが普段着!? しかも同じのが大量に!? ニセッチって本当に何者なの!? もしかしかして曲者なんじゃないの!?」

「はっはっは! 今夜の由比ヶ浜殿は服装と同じで普段よりも勢いがあって良いですなぁ!

 そのドレス、大変似合っておられますぞ? 情熱の赤はあなたの個性に最も合っている明るい色だ。とてもお美しい。思わず見惚れてしまいましたよ、はっはっは」

「あ、ありがとう・・・なんかそう正面切って褒められると・・・なんかこう・・・なんていうかこう・・・もう! バカ! 知らない! 行こう、ヒッキー!」

「お、おう・・・」

「はっはっは。暗く静かな夜であろうと褪せることなき天真爛漫な明るき陽性・・・アレが彼女の個性ですからな。うん、非常によろしい。

 では、雪ノ下殿。我々も参りましょうか? 及ばずながら我が輩にあなたをエスコートさせていただく栄誉をお与えいただければ光栄なのですがな?」

「え、ええ・・・お願いする・・・わ?」

「光栄の至り。では、参りましょうか。華やかなる舞台の上へ! 万雷の喝采を!!」

「・・・・・・(少し引いてるせいで普段より大人しい雪ノ下さん)」

 

 

 

 こうして、自分好みの舞台装置に満ちた場所でテンション上がっている古典好きの主人公のエスコートとともに、奉仕部メンバーは川崎沙希との初会談の場へと昇ってゆくのであった・・・・・・。

 その先に待つのは、悲劇か喜劇か悲喜劇なのか?

 

 未来の脚本は、まだ誰も記してはいない・・・・・・・・・。

 

 

つづく

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