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夏凜の誕生日から数日、日が長くなり夏になった。
いつもどおり部室で活動している。
友奈は活動報告のレイアウトを、東郷はサイトの更新、風は文化祭の演劇のシナリオを考えていた。
「そういえばにぼっしーちゃん」
そこで、友奈が夏凜に声をかける。
「ちょっと待って、それ私のこと?」
と、困惑して夏凜が尋ねる。
「いいじゃない、かわいいぞ!」
「そんなゆるキャラみたいな名前つけるなぁ!」
抗議の声を上げる。
「それより猫探しのポスターは?」
「そんなのもう作ってあるわよ」
そう言ってポスターを見せる。
「なんだこれ?」
そのポスターには、形容しがたい生物が描かれていた。
「…妖怪?」
「猫よ!」
どうも描いたのは猫のつもりのようだ。
「…はぁぁ~」
樹のため息が響く。
「樹?どうしたのため息なんてついて」
「あのね、もうすぐ音楽の歌のテストでうまく歌えるか占ってたんだけど」
樹が机の上に目線を向けるのにつられて机の上を見る。
「死神の正位置…意味は破滅…終局…」
沈んだ声で続ける。
「気にしすぎは良くないわよ」
「そうだよ、こういうのってもう一度占ったらまったく別の結果が!ね?」
風と友奈が励まそうとする。
そして樹が三回占うがすべて死神の正位置だった。
「こ、これはこれですごいな…死神のフォーカードって…」
その結果に皆、言葉を失った。
そこで、風が皆を集めて会議を始める。
「勇者部は困っている人を助ける!それは部員だって同じよ」
「歌がうまくなる方法かぁ」
少し考えこんでいると、東郷が発言する。
「まずは歌声でα波を出せるようになれば勝ったも同然ね。いい音楽や歌というものは大抵α波で説明がつくの」
「α波…そうなんですか!?」
樹がまともに受け取る。
「んなわけないでしょ!」
「樹は一人で歌うとうまいんだけどね。人前で歌うのは緊張するってだけじゃないかな?」
風がやっとまともな意見を出す。
「それなら、習うより慣れろだね!」
「じゃあ、カラオケでも行く?」
その言葉に楓が提案する。
そしてカラオケ店に歌いにきた。
「イエーイ!聞いてくれてありがとー!」
トップバッターならぬトップシンガーの風が歌い終わる。
画面を見ると、得点は92点という高得点だった。
「ねぇねぇ夏凜ちゃんこの曲知ってる?」
「まぁ、知ってるけど」
「じゃあ一緒に歌おう?」
友奈が夏凜をデュエットに誘う。
「な、なんで私が!」
そこですかさず風が得点を指して煽る。
「そうよね~私の後じゃ、ご・め・ん・ね~?」
その言葉に対抗意識を燃やした夏凜は友奈に催促する。
「友奈、マイク貸しなさい。早く!」
「は、はい!」
そして二人でデュエットする。
得点は92点と高得点だった。
「夏凜ちゃんうまいね!」
「当然でしょ!」
その後、樹が歌ったが、緊張でうまく歌えていなかった。
「やっぱり固いね」
「誰かに見られてるとそれだけで…」
「重症ね」
風がフォローを入れる。
「まあ、今はただのカラオケなんだし好きな歌を好きなように歌えばいいのよ」
「そうそう、気にしない。さ、お菓子でも食べて」
そう言って友奈がお菓子を指さすが、牛鬼が全て食べてしまっていた。
「牛鬼はホントに良く食べますね」
「食べ過ぎだよぅー」
すると、次の曲が流れ始める。
「あ、私が入れた曲!」
東郷の声に、夏凜以外の四人が勢いよく立って敬礼をする。
結局東郷の歌中ずっと、敬礼したままだった。
「なに?いまの」
「東郷さんが歌うときは私達いつもこんな感じだよ」
そこで友奈たちが曲を選んでいると、風がトイレに立った。
その少しあとで、夏凜も席を立つ。
二人が戻ってきて二、三周したところで、風が楓に声をかける。
「そういえば、楓まだ歌ってないでしょ?歌ってよぉ」
「えぇ…」
心底嫌そうな顔をしながらも曲を入れて歌い始める。
歌い終わると、風以外のメンバーが固まっていた。
「さすが楓、うまいわねー」
「いやいや、うまいとかそんなレベルじゃないでしょ!」
夏凜が画面を指差して抗議する。
指差したが面には98点という点数が表示されていた。
「うーん。今回は失敗した感じなんだけどな…」
そんな楓の言葉に一同が引く。
それから少し歌って、勇者部はカラオケ店からでた。
帰り道、川沿いにきていた。
「楽しかったぁ…けど、あんまり樹ちゃんの練習にはならなかったかな?」
「楽しかったですよ、皆が歌うのを聴けて」
風が暗い顔をして考えこんでいる。
そんな風に楓が声をかける。
「風、どうせさっきのメールのこと気にしてるんだろう?」
「え?ええ」
「それなら心配いらない。この皆は強い、死なないよ」
その言葉で吹っ切れたのか、風が笑顔になる。
「ありがと、楓」
「風は暗い顔するんじゃなくて笑顔の方がみんな安心すると思うよ」
楓はそんな事を言う。
その言葉に風は少し顔を赤くする。
「お姉ちゃん?」
そんな風のようすに樹が声をかける。
「な、なに?」
「顔赤いよ?大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。それで、なんだっけ?」
それに夏凜が答える。
「樹の歌の話よ」
「樹は、そうねもう少し練習と対策が必要かな」
風が慌てて言う。
「ま、それに尽きるよね」
「α波を出せるように」
「α波から離れなさいって」
東郷の発言に夏凜は疲れたようにつっこむ。
そのいつも通りのやり取りに雰囲気がなごむ。
そして、みんなが解散して日が落ちていった。
最近どこで区切ればいいのか分からなくなってきた、、、