翌日、風は部活後に家に一人で悩みこんでいた。
風は大赦あてにメールを送るためスマホに文を打ち込む。
しかし、その打ち込んだ分を消去する。
そして、以前樹に言った言葉を自身にあてはめ反芻する。
―あたしの「理由」はバーテックスのせいで死んだ親の仇―
「すごく個人的なことだしね…」
ぼそっと呟く。
すると、時が止まる感覚と共に手に持ったスマホが樹海化警報を知らせる。
風は急いで家から出て壁の方を見据える。
「はじまったの?最悪の事態」
すると、一帯が白い光に包まれ、世界が木の根に覆われる。
風以外の全員は風より内陸にいた。
「残り七体全部来てるんじゃないのこれ」
アプリの位置情報を確認した夏凜が呟く。
「最悪の襲撃パターンだな。今回は遠慮なく抹殺する」
楓が覚悟を決めた表情をする。
「やりがいありすぎてサプリもましましだわ。樹も決めとく?」
夏凜がザラザラとサプリを飲み、樹にも勧める。
「おいこら三好、樹を勧誘するな」
「その表現はちょっと…」
夏凜の言葉に樹がやんわりと断り、楓が止める。
そして、肉眼でバーテックスを確認した友奈が疑問を投げる。
「なんですぐ攻めてこないんだろう」
「さあ…どのみち神樹様の加護が届かない壁の外に出てはいけない教えがある以上、私達からは攻め込めないけどね」
そこへ、勇者服姿になった風が近づく。
「敵さん壁ギリギリの位置から動きそうよ」
そういうと、風は真剣な顔をする。
「決戦ね、皆も準備を」
風の様子に、樹が緊張した顔をする。
「ひゃ!」
すると、友奈が樹の後ろから樹の脇腹をくすぐる。
「あわわわわ、なんですか友奈さあん」
「緊張しなくても大丈夫だよ、皆いるんだから」
友奈が樹に緊張をほぐすように笑いかける。
その様子に樹もリラックスした表情をする。
「さあ、勇者部一同変身よ!」
風の号令で勇者部は変身する。
「一花咲かせるわよ!」
―夏凜はサツキを思わせる赤い勇者服に―
―楓は黒百合の戦装束に―
―友奈は桜の勇者服―
―東郷は朝顔の勇者服―
―樹は鳴子百合の勇者服へと―
そうこうしていると、七体のバーテックスが壁を超える。
その威容を六人は認識する。
「敵ながら圧巻ですね」
「こいつら殲滅すればもう戦いは終わったようなもんでしょ」
「皆、ここはあれ、いっときましょ」
「ア…アレ?どれ!?」
夏凜が困惑する。
夏凜以外が集まり、円になって肩を組む。
「円陣~?それ必要~?」
「気合は必要でしょ」
そう言って夏凜を招き入れる。
「あんたら、勝ったら好きなものおごってあげるから。絶対死ぬんじゃないわよ!」
その言葉に一人一人意気込む。
「美味しいものいーっぱい食べようっと!」
「言われなくても殲滅してやるわ」
「わ…私も、かなえたい夢があるから!」
「皆を…国を!守りましょう!」
「今度こそ、終わらせる!」
その様子に、風も表情が変わる。
「よーし、勇者部ファイトォー!」
「「「「「「オー!」」」」」」
次から、やっと楓が本格的に動く…はず…。