伊吹楓は勇者である   作:水歩

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戦闘描写にも慣れてきたね


東郷

風、楓、樹の三人は固まって転移していた。

「今回は大丈夫そうだな」

「大丈夫って何が?」

「いや、前回は皆からかなり離れたところに転移したからさ」

二人と離れてしまわなかったことに楓は安堵する。

そして、三人は壁の外からの侵入者に目をむける。

「今回は三体か、一気に来たな」

三体の内一体が後ろにいるのが不気味だ。

(しかし、この三体は)

「よし、さっさと変身するわよ」

風の声で、それぞれが変身する。

―楓は黒百合の戦装束に―

―風はオキザリスの勇者服に―

―樹は鳴子百合の勇者服に―

変身した後風は、友奈が近づいてきているのを確認し、友奈にも聞こえるように指示をだす。

「遠くのやつは放っておいてまずはこの二匹まとめて封印の儀いくわよ!」

(遠くの奴が不気味だが…)

楓は、遠くにいるバーテックスを気にしながらも、風の言葉に従い動きだす。

しかし、三人が動きだそうとした瞬間、遠くにいたバーテックスが風に向かって一本の光矢を放つ。

風はとっさに大剣を目の前にかざし、受け止める。

しかし、ガキィンッ!と激しい音が響き、後方に吹き飛ばされる。

「お姉ちゃん!?」

吹き飛ばされた風が着地した瞬間、バーテックスがさっきのよりも一回り小さい光矢を無数に放つ。

「い、いっぱいきたぁ~!」

友奈以外の三人は回避行動をおこす。

「くそっ!東郷がいれば!」

楓が呟いた瞬間、樹が叫ぶ。

「友奈さん!後ろです!」

「え!?」

風達への攻撃を見て遠くのバーテックスに向かっていた友奈に、蠍型バーテックスの尾がせまっていた。

友奈はとっさに防御姿勢を取るが、そのまま強かに打ちつけられ、吹き飛ばされる。

吹き飛ばされ、倒れている友奈に向かって、バーテックスは尾の先の針を突き出し、追撃をくわえる。

しかし、間一髪で牛鬼がバリアを張って受け止める。

 

 

その様子を、東郷は悲痛な面持ちで見ていた。

その目の前で、友奈に巨大な針が三度四度と振り下ろされる。

その東郷の脳裏には、友奈との出会いがフラッシュバックする。

『新しいお隣さんだ。歳が同じなら同じ中学になるよね』

そういって、記憶の中の友奈は右手を差し出す。

『私は結城友奈、よろしくね!』

その手を東郷は握る。

『この辺よく分からないでしょ、案内するよ、任せて!』

東郷の口が動く。

「…やめ、て…やめろ…友奈ちゃんをいじめるなぁー!」

その声に気づいたバーテックスが東郷に目標を変える。

そして、東郷に狙いを変えたバーテックスは、東郷に向かって尾針を振り下ろす。

しかし、東郷の前に卵にちいさな手のついた形の精霊が現れ受け止める。

「私いつも友奈ちゃんに守ってもらってた、だから今度は私が勇者になって」

「東郷さん…」

そして東郷は、戦う意志を固める。

「友奈ちゃんを守る!」

すると、東郷は朝顔を思わせる勇者服へと姿を変える。

脚の使えない東郷は、白い四本のリボンで身体をささえる。

そして、東郷は拳銃を呼び出し、手に取る。

(何故だろう、変身したら落ち着いた。武器を持っているから?)

動き出したバーテックスの針を東郷は正確無比な射撃で破壊する。

「もう友奈ちゃんには手出しさせない!」

東郷は拳銃を二丁のショットガンに持ち替え、猛射する。

「す、すごい、東郷さんこれなら…」

そして、友奈も攻撃に加わり、風達の元へとバーテックスを運んでいく。

 

 

「あーもー!しつこい男は嫌いなのよ!」

「そんなこと言ってるからもてないんだよっとぉ!」

「モテる人っぽく避けてないでなんとかしようよお姉ちゃん」

三人がそんな軽口をたたきながら無数の光矢を避ける。

「なかなか隙が、ん?」

すると、近くに蠍型のバーテックスが降ってくる。

「何か降ってきたぁ!?」

その奥で、友奈が手を振っている。

「そのエビ運んできたよーっ!」

「サソリでしょ!?」

「そこはどうでもいいよ!」

そんなことを言っていると、友奈の後ろから東郷がリボンで飛び跳ねながらやってくる。

「東郷先輩…!」

「遠くの敵は私が狙撃します」

「…東郷、戦ってくれるの?」

風のその確認に東郷はしっかりと頷きこたえる。

「援護は任せてください」

そういうと、東郷は狙撃しやすい位置につく。

「分かった、お願いするわ東郷」

すぐに風は指示を出す。

「散開!手前の二匹まとめてやるわよ!」

「はい!」

すると、部員が動きだす前に東郷が注意の声をかける。

「みんな、不意の攻撃には気を付けて!」

「はい!!」

「ちょ、あたしのより返事がいい!?」

少し落ち込む風の方に、楓はねぎらうように手をかける。

四人が散開すると、東郷は狙撃銃を取り出し、腹ばいになる。

「こいつが皆を苦しめた」

遠くのバーテックスに狙いを定めると、銃を放つ。

「おとなしくしてて」

一方、楓たち四人は、二体のバーテックスを封印していた。

「御霊が出た」

「こっちも出ました」

蠍型のバーテックスから出た御霊に友奈が攻撃する。

「私行きます」

しかし御霊は、友奈の攻撃をことごとくかわしていく。

「はっ!この!この御霊絶妙に避けてくるよ~」

そこで風が攻撃を変わる。

「変わって友奈!」

そして、風は犬神の力を使い、大剣を巨大化させる。

「点の攻撃をひらりとかわすなら、面の攻撃でぇ」

風は大剣の面を水平にし、振りかぶる。

「押しつぶーす!!」

ふりかぶった勢いのまま御霊に振り下ろす。

その力で、御霊が崩壊しバーテックスが一体砂になる。

「いやったぁー!すごい風先輩」

「じゃあ、次行くぞ!」

もう一つの御霊を向くと、御霊が増えてどれが本体なのか分からなくなっていた。

「うわわっ御霊がふえた!?」

すると樹がワイヤーで全ての御霊をかこむ。

「数が多いなら、まとめてぇ、えええい!」

樹がワイヤーを引っ張ると、ワイヤーが締まっていき、残りが一つになる。

「もう一回、ええい!」

そしてもう一度ワイヤーを引っ張り、残りの御霊も破壊する。

「はぁう、やった?」

すると、もう一体の封印されていたバーテックスも砂へと変わる。

そして、残る一体の牽制をしていた東郷がスマホを取り出し、風と通話を開く。

「風先輩、部室では言い過ぎました、ごめんなさい。精一杯援護します」

「東郷、心強いわ!あたしの方こそ、」

風が最後までい終わる前に東郷は狙撃を開始する。

その狙撃に気圧され風は弱気に続ける。

「…ほんと、ごめんなさい」

そして楓と友奈は腕前に感嘆する。

「ほえ~、一発必中!」

「東郷、さすがの命中精度だな、」

そして、バーテックスを封印する。

バーテックスの口のようなところから御霊が出てくると、御霊は、身体の周りを高速で回り始める。

「この御霊、動きがはやーい!!」

「はやすぎるよおお~」

「くっ、待って今なんとか、!」

風が何とか止めようと構える。

すると、東郷が一発で仕留め、バーテックスが砂になった。

「東郷先輩!」

「撃ち抜いた…!」

「すごい…」

「みんな、無事でよかった」

そして、樹海が白い光に包まれ、世界がもとに戻る。

 

 

元の世界に戻ると、友奈が東郷に駆け寄る。

「東郷さん!」

そして友奈は東郷に抱き着く。

「かっこよかったよ~、ドキッとしちゃった!」

「そんな、私…」

そんな友奈の言葉に謙遜する。

「本当に助かったわ東郷」

「風先輩…」

そこに、三人が近づく。

「覚悟はできました、私も勇者としてがんばります」

東郷は風に、覚悟を伝える。

「…東郷ありがとう!」

「東郷が仲間なら心強いよ、よろしく」

楓が東郷に握手を求め、東郷もそれに答える。

「楓さん、よろしくお願いしますね」

楓は握り返してきた東郷の手を軽く握る。

そして風が東郷に笑いかける。

「一緒に国防に励もう」

「…国防…」

東郷は風のその言葉にうっとりとした表情をして返事する。

「はいっ」

その返事にみんなの顔が綻ぶ。

すると東郷が思い出したように友奈に話しかける。

「そういえば友奈ちゃん課題は?」

東郷の言葉で思い出したのか、友奈はしまった、という表情をする。

「あっ!?課題、明日までだった、アプリの説明テキストばっかり読んでて」

「おいおい、課題だけはちゃんとやっとけよ?風も」

楓が風に矛先を向けると、風が明らかにギクッという反応をして言い訳を始める。

「わ、私はいいのよ、すぐ終わるから」

「そんなこと言う人には手伝わないからね?」

「ごめんなさい、手伝ってくださいお願いします」

すぐに手のひらを反す風に、みんなが笑顔になった。

 

 

そして楓は、部活が終わり解散すると、大赦本部へと向かった。




次の話はオリジナル回だと思う
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