伊吹楓は勇者である   作:水歩

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参入

翌日昼休み、風と昼食を食べていると急に夏凜が訪ねてきた。

勢いよく教室の扉を開ける。

「伊吹さん!」

急に呼ばれた楓はむせながら返答する。

「ゲホッゲホッ、な、何だ三好」

その動きに呆然としながら夏凜は要件を切り出す。

「えっと、手合わせお願いします、伊吹さん」

「分かった、飯食べたら中庭で」

楓は軽く右手を挙げて了承する。

「分かりました」

そう言って夏凜は教室に戻る。

教室の扉が閉まった後クラスメイトの主に男子が楓に詰め寄る。

「おい、楓あれ誰だよ!?」

「あー勇者部に入った剣の弟子?」

その言葉を聞いてクラスメイトの表情が悔しそうになる。

「てか、それより剣道部の人竹刀貸してくれない?」

剣道部に所属しているクラスメイトが不思議そうな顔をして竹刀を渡す。

「あの子が持ってるんじゃないの?」

「いやー、あいつ木刀しか持ってないんだよ」

「じゃあ、二本いるんじゃないの?」

そんな質問になんでもないように答える。

「いや、師匠が弟子に負ける訳がないでしょ?」

そんな楓の答えに絶句する。

そんなクラスメイトをしり目に立ち上がり、移動する。

楓が廊下に出ると風がついてきていた。

「楓ホントに大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫、これまで一敗もしてないから」

そんなことを自信満々にのたまう。

「あ、でも近くで見ようと思うんだったら危ないからやめた方がいいよ」

そう言って教室に戻るように促す。

「分かったわ、どっちもケガしないようにね

そう言って風は教室に戻った。

 

 

楓が中庭に着くと、すでに夏凜が準備を完了していた。

「待たせたね三好」

「いえ、ちょうどいいくらいですよ」

二人は同時に夏凜は木刀の二刀を、楓は竹刀を構える。

「君から先手いいよ」

「じゃあ、遠慮なくっ!」

そう言うと夏凜は突進しながら薙ぎ払い、連撃につなげる。

しかし、そのことごとくを楓はほとんど動くことなく捌ききる。

「じゃあ、そろそろ僕からも行くよ!」

そういうと、夏凜の攻撃を流すように受け、がらあきになった肩口に打ち下ろす。

その一刀にはそこまで受けた夏凜の攻撃の威力が全て乗っており打った衝撃で夏凜の後方の土がえぐれる。

「まだまだだね、打ち込みをもう少し速くしないと」

「はい、もっと精進します」

夏凜は素直に受け入れる。

「じゃあ、僕は戻るよ」

そう言って楓はたちさった。

 

 

放課後、勇者部の部室に集まっていた。

「―バーテックスの出現は周期的なものと考えられてたけど相当に乱れてる、これは異常事態よ」

夏凜がそう説明しているが、楓以外の部員は夏凜の肩に目を向けていた。

「あの、夏凜ちゃん」

「なによ!」

「いや、肩どうしたの?」

夏凜の肩が信じられないほどに腫れ盛り上がっていた。

「いや、ちょっと伊吹さんにやられて」

その言葉に全員が楓の方を向く。

「い、いや、昼休みの模擬戦でそこ打ったんだよ。てか冷やしてなかったの!?」

「すみません、冷やしてなかったです…」

「まぁ、家帰ったらひやしてな」

そういうと続きを促す。

「じゃあ、だから帳尻を合わせるために今後は混戦が予想されるわ」

「確かに、一か月前も複数体出現したりしましたね」

そこで夏凜は話題を変える。

「そう、で他に戦闘経験値をためることで勇者はレベルが上がりより強くなる。それを“満開”と呼んでいるわ」

そこに楓が補足をいれる。

「あと、精霊を自身に憑依させて身体能力を上げて能力を使うこともできる」

楓は少し悲しい顔をするが、すぐに戻す」

「ただ、僕はちょっと前のバージョンのシステムだから満開は使えないんだけどね」

「え!?そうなんですか!?」

友奈が驚いた顔をしている。

そこで東郷が夏凜に質問を投げる。

「三好さんは満開経験済みなんですか?」

「…いや、まだ」

少し恥ずかしそうに答える。

「なんだ、じゃあ私達と変わらないじゃない」

「基礎戦闘値が桁違いなのよ。一緒にしないでもらえる?」

夏凜は勢いよく反論する。

「なんでこんな連中が神樹様の勇者に…」

少し呆れ気味に夏凜がもらす。

「なせば大抵なんとかなる!」

「なにそれ」

「勇者部五箇条」

友奈が黒板の上を指差す。

「なるべくとかなんとかとか…見通しの甘いふわっとしたスローガンね…」

友奈が指差した勇者部五箇条を見て呆れている。

「そうか?カチッとしてるよりはいいと思うけどね」

「あたしらはあれだ、現場主義なのよ」

風が強引に話を変える。

「はいっ、この話はここまで次の議題いくわよー」

そして、風は部員全員にプリントを回す。

「―というわけで今週末は子供会のレクリエーションをお手伝いします」

そこで説明していた樹が夏凜の方を向く。

「折り紙の折り方を教えてあげたりいっしょに絵を描いたりやることは沢山ありますよ夏凜さん」

「ちょっと待って私もなの!?」

そこで風が喜々として入部届をかざす。

「昨日入部したでしょー!」

「それは形式上よ、私のスケジュールを勝手に決めないで!」

「日曜日用事あるの?やろうよ楽しいよ?」

友奈に問い詰められ言葉に詰まる。

「う…いや…何でわたしが子供の相手なんかを…」

「嫌…?」

友奈の誘いにしぶしぶ従う。

「分かったわよ、日曜日ねちょ、ちょうどその日だけ空いてるわ」

そのことばに皆の顔が緩む。

「ふん…緊張感のない」

その光景に夏凜はため息をもらした。




結構ハイペースでアップできてるなあ。
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