近右衛門side~
ゾクッ!!
「っ!?」
学園長室で仕事をしている時にとんでもない妖気が儂を襲った。今は悪魔がこの学園に侵入したために忙しいのだ。それなのにこの妖気間違いなく大妖怪クラスじゃ。それに侵入している悪魔の何十倍も強い。これ以上面倒事を増やさんでくれ。
「刀子君」
「はい。私も感じました」
儂の側にいた刀子君も感じたようだ。神鳴流剣士じゃから妖怪には効果的じゃろう。
「ではついてきてくれ」
「はい」
儂は刀子君を連れてその妖気の所へ向かった。
「待たれよそこの妖怪」
儂は妖気がただ漏れの妖怪に話しかけた。するとその妖怪は儂らの方へ顔を向けた。
人型の妖怪じゃった。いや、変化で人間へ化けているのだろう。珍しい妖怪だ。腰まであるだろう長い銀髪に白を基調とした着物その上に鎧をつけ二本の刀剣を下げている。顔は怖いぐらい整っておる、額に三日月の紋様そしてその冷たい眼光は見るだけで全ての生物を萎縮させているようだ。
「ぬらりひょん?………いや、気配は人間。半妖か」
………儂はとうとう妖怪にも人外扱いされるのか
「いや、純血の人間なんじゃが………」
「よくわかったな」
儂は人間だと言うと無視された。というか何を白々しい。その隠す気もない妖気はどう説明するつもりだ。いや、迎撃に来ても歯牙にもかけないというつもりか。確かにこの妖怪は強い。タカミチ君クラスが必要じゃ。
「当たり前じゃ。結界を一瞬で通り抜ける化け物など気づかないとでも思っておったのか。してお主は何者じゃ?なぜここに来た」
「叢雲牙を返してもらいにきた」
「叢雲牙じゃと!?お主どこでそれを知った!」
この妖怪本当に何者じゃ!?あれは刀々斎に隠し持っていてくれと言われて今はアルに任せている。いやそれよりなぜ叢雲牙を知っている!?
「貴様らに言う義理はない。殺されたくなければ早く言え」
「大きくでましたね。私は神鳴流剣士です。あなたも妖怪ならば不利なはずです」
儂の隣にいた刀子君が一歩前に出る。彼女はプライドが結構高い。そしてそれに伴う実力も持っている。今の婿殿でも勝てるか怪しいくらいの才女じゃ。
「神鳴流?」
妖怪は神鳴流を知らないのか何かを思い出している仕草をしている。仮にも妖怪なら神鳴流のことは知っているはずだ。退魔の剣術と恐れられているのだから。すると妖怪はやっと思い出したようだ。それにしては焦りの表情が見えないが………
「神鳴流などでこの殺生丸に勝つ気でいるのか。女」
っ!?
「せ、殺生丸!?」
刀子君が一歩後ろに下がる。普段の彼女を知る者が見れば驚愕ものじゃろうが仕方がない。
殺生丸
この日本に何百年も前から生きている強力な妖怪。エヴァンジェリンよりも長く生き、彼女は元々は人間だったが目の前の化物は生まれた時から人外だったのだ。その力は一人で国を滅ぼせることができると聞く。なるほど、それならば叢雲牙を知っているのは納得だ。元々は彼の父親の刀なのだから。
「なるほど、お主が殺生丸か。闘牙お「それ以上口にするな」…!!」
儂が確認するように彼の父親の名前を言おうとすると殺生丸に殺気をぶつけられた。目を合わせるだけで声を聞くだけでこちらの心臓を鷲掴みされている気分になる。顔には冷や汗が流れ、足は子鹿のように震える。隣の刀子君も同じような感じじゃった。絶対的強者からぶつけられる殺気。それは人知を超えていた。
「人間程度が父上の名を口にしようとするとは何とも愚かな。このまま殺してくれる」
殺生丸は儂が言おうとしたことが余程気に入らなかったのか皆殺し発言をした。それはまずい!今の奴に勝てる者はここにはいないのだ!恐らく全盛期のエヴァンジェリンよりも強いだろう。それに今エヴァンジェリンは力を封印されているのだ。勝ち目はゼロだ。
「い、いや失言じゃった。許してくれ」
「ならさっさと叢雲牙の場所を教えろ」
くっ!やはりそうくるか!
「う、うむ~。一応刀々斎との約束があっての。教えるわけには………」
「最後の問答だ。叢雲牙はどこだ」
「う、うむぅ………」
どうする?ここで言わなかったら瞬きもする間もなく殺されるじゃろう。
「近右衛門どの~~~って殺生丸様!?」
「冥加」
この絶望的な状況から助けてくれたのは儂の古い友人でもある。臆病者の妖怪冥加じゃった。