「うわああ!!」
「きゃああ!!」
瓦礫の落ち行く先にいた男女が下敷きになる寸前に掻っ攫い、安全な場所に下ろす。
「あっあ、あっあっあっあっアッアッアッ……!?!」
「きゃあああ!!! ナシコちゃん!?!!!!!!!!!!!!!」
うるっさ! すっごい声量だね!?
びくっと跳ねる肩を抑えつつ、小さく手を振ればなんかもう声ですらない何かを上げられた。
「ナシなしぇこチェャン!? なしッナシコチャァァア!!?」
逃げる訳じゃないけど、うおお胸元で手を合わせて息を荒くした女の子が詰め寄ってくるのに、にげ、逃げる訳じゃないけど! 離脱体勢に入る。
「っと」
困惑や喜色を見せる男女に声をかける暇もなく飛び立ち、上空の三人を見上げる。
15号がその体で抱えるようにして作り出した緑の光弾を街へ放った。
逃げ惑う人々の中の、呆然と立ち尽くす一部の人達を狙ったそれに舌打ちを飲み込みながら高速移動で射線上に割り込み、平手で受け止めて弾き飛ばす。
螺旋を描いて空の青へ吸い込まれて行った気弾は、一拍置いて薄緑色のカーテンを下ろした。
「こんのやろーっ!」
なびく髪をそのままに思いっきり抗議する。
なーにが私以外は害しはしない、だよ! めっちゃ暴れまくってるじゃん!
やめろよ! 狙うなら私を狙えよ!
「ふっふっふ」
「あっこの!」
肩を揺らして笑う13号が、おもむろに民間人へ向けて気弾を放つのを、私も気弾放ちぶつけて爆発させる。
こんにゃろ、ほんとに見境ないな……! 私のファンぽかったからって良心期待した私が甘かったんだ……!
こんな奴ら、とっとと破壊してやんなきゃ!
「ふっ!」
気を纏って空を翔ける。ビル群の合間を抜けて、空へ。
──私達は、未だに街の中にいた。
それもこれも、素直に氷河地帯までついてくると思っていた彼らが騙し討ちで攻撃してきたからだ。奴ら自体はおろか、放たれた気弾でさえ気を感じ取れなくて直前まで回避行動がとれず、こんなところで戦う羽目になってしまった。不覚だった……! こんなことになるなら、超パワーで一気に倒してしまうんだった……!
街への被害が出てしまうといけないからって守りに入っちゃったから……くそー、こんな後悔してたってなんの意味もない!
「あいにくとオレ達は戦士ではない。どんな手段を用いようとも貴様を殺せさえすればそれでいいのだ」
「シャーベット……」
うぐぐ、卑怯な……! ほんとなら戦闘力差で捻じ伏せられる相手なのに、みんなを盾に取られちゃ上手く戦えないよ……!
ていうかあの筋肉男、えーと14号だっけ? なんで私がこないだ演じたキャラの名前で呼んでくるんだろう。謎すぎて不気味すぎて鳥肌立ってるんだけどっ!
ほら見てこれ! ノースリーブだから結構わかりやすいかも。うええ、恥ずかし。
「こっち!」
さっと手を振って彼らを誘導しようと試みる。
でもそれは無理で──最初こそ声とかに反応してなのかついて来ようとするんだけど、すぐに止まっちゃう──、13号達はここを戦いの舞台に選んでしまったようだった。
「思うように戦えまい。当然だ。この2ヶ月間、オレ達はずっとお前を観察し続けていたのだ。すでに行動データを99.8%の精度で収めている」
──ストーカー……?
小さな女の子が攻撃にさらされそうになるのを庇って光弾を受け、ちょびっとダメージを受けつつ小首を傾げる。膨れる黒煙を掻っ捌くようにして払い、奴らを見上げながら最近の事を思い返す。
そういえばなんか最近違和感抱くことがあったから
「ガァッ!」
「おっと! 波っ!」
突進してきた14号を避け、隙を伺う15号に牽制の気功波を放って突き放し、蹴りかかって来た13号をいなす。
それらはみんなを守りながらでも片手間にできるほど楽な作業だった。やはりまともに戦えば、3対1だろうと完全に私が有利みたい。
だからこその市街地戦なのだろう。そっちの方が勝率が高いって思ってるのかな。……悔しいけど、当たりだよ!
「やるな。ではこれはどうする?」
「フン……!」
「ふひひ……!」
と、上空へ集って三人背中合わせになった彼らは、もはや見境なくめっぽう気弾を打ち始めた。
「ちょちょちょちょ!!」
大慌てで止めにかかろうとして、それより光弾に個別に対応した方が速いと判断して気を纏って飛び回る。体当たりで誘爆させていき、体が届かないなら連続デスビームで対処する。
人に被害がないとして見逃したものが電話ボックスやポストとか細々とした建造物を破壊してしまうけれど、さすがに手が回らない。
こんのっ、無茶ばっかしやがってー!!
怒りに支配されつつ人造人間を睨み上げて、でも歯噛みするだけに留める。そんなの、防ぎきれてない私が悪いんじゃん……! ほんとに悔しいけど、私一人じゃ手が足りないんだよ……!
「ナシコ!」
そんな時、びゅんと飛んできたウィローちゃんが、人造人間らに光弾を連射しながら現れた! 超グッドタイミング! 良かった、なんとかなりそうかもっ。持つべきものはウィローちゃんだよー!
今の連続エネルギー弾じゃダメージは与えられなかったみたいだけど、奴らの気を散らす事はできたみたい。無差別攻撃が終了し、三人の視線が私達に集まる。
「ほう、わざわざオレ達に壊されに来るとはな」
「……」
愉快そうに笑う13号とは対照的に、15号がへの字口になる。
そういう表情の変化を見逃さないように注意して、攻撃の予兆か何かではないかと警戒する。……も、特に何がある訳でもなかった。じゃあなんなのあの顔。サングラスでよくわかんないけど、多分ウィローちゃん見てる。……睨んでる、のかな?
「デパートの方に怪我人はいなかった。偶然かはわからないが……」
視線は敵に向けたままウィローちゃんと顔を寄せてこしょこしょ内緒話をする。
あっちに戻ったウィローちゃんは、救助活動をしようにも誰一人怪我をしていない事に困惑して、腰を抜かしている人とかはいたから介抱したりして──私が脱出間際に見た係員さんの事が気になって聞けば、その人もなんともないって。瓦礫や何かは綺麗に彼女を避けるように散らばっていたんだとか。まるでそう計算されていたかのように──、応援を呼ぶために電話したらしい。
でも電話も繋がらなくて、どうにも妨害されているみたいだったって。だからこうして応援に戻って来てくれたんだ。
……なるほどー……?
つまりは、あれ?
こいつらさっきは本当に誰も害する気はなかったのかな。
どうなんだろう。もしそうなら遠慮なくやれるんだけど、違ったらみんなが危ないし……。
でも思い返してみれば、今のとこどんくさい私でだって誰一人怪我無く助けられてるし、誰も酷いことになってたりしてない。
なら、氷河で決戦大作戦はいったん取りやめて、この騒動で混乱しているみんなを安心させる方針に切り替えよう!
「しかしやはり、わたしでは力不足だ。東の都にいるターレスを呼び寄せ──」
「ヌッ!」
ウィローちゃんは、増援を呼ぶことを提案しようとしたその瞬間に、ロケット頭突きをかましてきた15号にウィローちゃんが掻っ攫われた。
「ウィローちゃん!?」
うおあああ!! 超びっくりした!! そうだよ、コイツら気を感じないんだから、ちょっとでも会話とかに意識を移すとこうなっちゃうんだよ!!
もしかしたらウィローちゃんはきっちり相手が向かってくるのを捉えていたのかもだけど、戦闘力差が凄いから避けられなかったのか。どっちにせよ助けに──いや!
もうおっぱじめよう!
とりゃーっと腕を振り、街中に光の雨を降らせる。ほらほらみんな、ナシコにちゅーもく! 慌てないで──!
「どこを見ている!」
「うくっ!」
音もなく忍び寄ってきていた13号に蹴りつけられて、ぽーんと道路へ落ちていく。
でもそれは、ほとんど自分から向かっているだけ。
手応えを妙と感じたのだろう、足を引き戻しながらも怪訝な顔をする13号の顔がどんどん遠ざかっていって、私の体は、密集する十人くらいの女性達の中へ落っこちた。
「いらっしゃい!」
「お化粧直しの時間なのね!」
「お姉さんたちにまっかせーなさーい!」
受け止められた人に脇に腕通されて立たされて、柔らかいパフでぽんぽんもふもふ顔を叩かれ、ペンやらなにやら伸びてきたものにお顔を彩られる。それから誰かにくるくる回されながら髪や衣服を整えられて、みんなの中を抜けていく。
ぴょんと飛び上がれば、悲鳴みたいな歓声があがった。
「ナシコちゃーん、使ってぇ!」
「ありがと!」
誰かが投げ渡してくれた口紅を空中で掴み取り、追撃に向かって来た13号を躱しながらキャップを外す。
どこか鏡はないだろか。着地して即、右足を軸に回転。しつこく攻撃を仕掛けてくる13号の拳を避けて、背中をぶつけて吹き飛ばしてやりながら、向かい側のお店を布で拭いて綺麗にしてくれた子達に笑顔を向ける。
うんうん、ばっちり私が映ってる!
「ふんふんふ~♪」
「くっ、なんなのだこれは!」
不思議に響き渡る鼻唄に、きゅきゅっと唇に朱色を乗せて、んむっと唇を合わせて整えて。
ステップを踏みつつ口紅を放り投げれば、その動作で攻撃を外した13号が踏鞴を踏んだ。忌々し気に振り返る13号にウィンクと星のエフェクトを飛ばす。
「──ふ、ふざ、ふざけおって……!?」
頬を染めつつも私へ手を差し向けてくるのに、片目をつぶってチッチッチッと指を振る。
「変身中の攻撃はNGよ!」
「光とかやめてください!」
「ナシコちゃぁーん!」
怒れる周りの子がドドンって13号を押し退けて、私の方へ一直線。
渡された一輪の花を髪に差し、どうもありがとうって微笑めば、老若男女がにっこり笑顔。大跳躍で歩道橋の手すりの上へ移動する。
カカカンッと着地したのは、ウィローちゃんもほぼ同時。
隣り合わせから背中合わせに移って呼吸を合わせて、気のエフェクトを振りまいてゆく。
「未来を照らす進化の光! ピュアナシコ!」
足を止めた人々と人造人間が見守る中、華麗にポーズを決めて宣言すれば、ワッと湧く観衆の声──はなくって、一同シンと静まり返る。
「無限の力が未知なる世界を作り出す! ピュアウィロー!」
それは隣で決めポーズしたウィローちゃんのお声をよーく聞くため!
二人揃ってもっかいポーズ! 後ろで甘い色した花火が上がって、ドドーンととどろく!
「うおおお! ウィローちゃあーん!!!!」
「素敵だわ! とっても!!」
「シャーベット……!!!!」
「なんだ、何かの撮影だったのかなー」
「大迫力ねぇ」
よっし、取り敢えず先にみんなを落ち着かせよう大作戦は成功を収めみたい。みんなもう落ち着いて避難できるようになるだろう。
あとは私達に任せてね! ちゃーんと街に平和を取り戻してみせるから!
「……おかしいだろう」
赤面して腕を下ろしたウィローちゃんが、服の裾をいじいじしながら呟くのに、訳知り顔でうんうん頷いとく。ナシコのファンは以心伝心、ナシコのしたいことすぐわかってくれるから好きだよー。みんな、どうもありがとねー。軽率に投げキッスとかしちゃう。いつもはやんないんだけどね、清楚なイメージ大事だから。でも今日は協力してくれたみんなに特別にご褒美だよ~。
受け取って? 私の心のエモーション!
「よ、よくこの衆人環視の中でそんなことができるな……!?」
「ふふーん」
呆れた声で言うウィローちゃんに、その場で一回転してスカートを膨らませ、組んだ手に肘を乗せ、伸ばした指を頬に当ててかわいこぶりっ子。テンション上がって来たよ~。
「後で悶えても知らんからな……」と照れてるウィローちゃんに流し目を送る。こういう時にポーズとるの、ウィローちゃんの方が得意でしょ? 私よりコミュ力高いんだからさー。恥ずかしがらない、恥ずかしがらない。
さ、そろそろお開きだ。空気はしっかり掴めてるから、流してこう。
「みなさん、聞いてください!」
「え、なんだなんだ?」
「番宣? カメラ回ってる?」
ざわめく彼ら彼女らへ、キリッとアイドルモードになって呼びかける。
「悪しき人造人間が現れ、破壊活動を行っています。でも大丈夫! そんな悪い奴は!」
「っ、わた、わたし達がやっつけるから!」
言葉の途中でウィローちゃんの肩を叩いてバトンタッチの意思を伝えれば、どもりながらも親指を立てた彼女がカッコよく締めてくれた。イケボだ~……耳が幸せ。
「来い! 人造人間!! これ以上お前達の好きにはさせないぞ!」
対抗して私もイケメンになる。
ビシッと指さした先には、こちらを見上げる13号。
突然のミュージカル風味に気勢を削がれたらしい彼はもはや再び破壊活動に移ろうって感じじゃなくなっている。
いいぞいいぞ、このまま押せ押せで運んでくよ!
「シャーベット……!」
「ふひ……ゴ、ヒャク、号!」
「! 14号15号! 乗るな、戻れ!」
ゆっくりと浮かび上がって来た色白マッチョマンが、次には飛び掛かってくるのに瞬間上昇。
そして今度こそ北の氷河地帯目指して飛んでいく。
「ウィローちゃん、あとお願いね!」
「ああ、すぐ応援に向かう!」
14号と15号がついてこれる速度で飛行すれば、やむを得ずと言った様子で13号も後に続く。
街のことはウィローちゃんに任せて、私はこいつらと決着をつけるとしよう。
……ぐしぐしと口を拭いつつ後方確認して、それから前へと向き直る。
なんでこいつらが現れたかとかを調べるのは、その後だ!
◆
「ふぎゃー!」
やられた!
うああ、嘘でしょ、やられたー!?
「クックック……」
「……」
「……ぐび」
ようやっと見えてきた氷河地帯を目前にして、まんまと一杯食わされてしまった。
緑の大地に着地してすぐに駆け出す。何か挽回できるものがないか探そうと思ったけど、ここにいると被害が広まるばかりだ。嫌だけど、このまま先へ進むしかない!
放たれた光弾をジャンプして回避し、爆風に捲れてしまわないようスカートを抑えながら悔しさに顔を歪める。
「ぐぬぬ……!」
跳び上がりつつ、未練がましく眼下の家屋を見下ろす。
そこにはさっき守った農家のおじさんがいて、目を真ん丸にして私達を見上げていた。
その視線に体中熱くなってしまう。恥ずかしさやら焦りやらがないまぜになって気持ち悪い。
「ううう、ちくしょうっ!」
「もはや優劣は逆転してしまったようだな!」
氷河目掛けて思い切り飛び出せば、平行飛行してきて叫ぶ13号に、なんにも言い返せなかった。
さっきの人を庇った際の一連の流れで、完全に不意打たれて、片腕を使い物にならなくさせられてしまった。誤算だった……! そんなのを狙ってるのなんて、思っても無かった……!
伊達に私のストーカーしてたわけじゃないみたい。行動パターン見破られてたよ……!
「もはや逃げ場はないぞ、ナシコ!」
「ふにっ、ううー!」
悔しがっているうちに氷河地帯に辿り着き、高くそびえる氷壁の前で急停止。
冷気に背を向けて、目線を合わせるように並んで下りてくる三人を睨みつける。
「確かにオレ達一人一人の戦闘能力を、お前は上回っていた……だが今となっては、もはや勝負はわかるまい」
「くっ……!」
「まあ、死を覚悟して向かってくるというのならば負けるのはオレ達だろう。だがそうはできないだろうな……その腕では」
「シャーベット……!」
「……くひひ」
キュイキュイ、キュ、キュ。
三人のカメラアイが私を映し出すのに、いっそう半身を引いて体を庇う。
焼け焦げた臭いが鼻をつく。
それは私の衣服から漂ってきていて。
要するに、さっきの不意打ち光線で、私の衣装の右半分がほとんど吹っ飛んじゃったの!!
肩部分は完全に焼け落ちちゃって、紐みたいに残った布で辛うじて衣服の体をなしている半分だけのアイドル衣装!
「ひ、ひきょうっ、ひきょうだよ! ひどすぎるよ! なにこれ、なにこれぇーっ!」
そう叫ばずにはいられない。
だって手で隠さなくちゃ、胸見えちゃうんだもん! 相手が人造人間だろうと見られたくないし、ていうかあいつらさきっき「オレ達が目にしたものは管理コンピュータに送信され、即座にSNSにアップする事ができる」とか口走ってたし!!
「ふざっ、ふざ、ふざけんなーっ! なんだよーこれ! なぁーんでこんな……うあああ!!」
あああ、どうしよう、どうしよう、こんな馬鹿みたいな手段で劣勢に追いやられるなんて……! ていうかまじでアイドル生命終了の危機だよ!? やだやだやだ、はずっ、恥ずかしくて死にそう! てゆーかもう恥ずかしいとかの次元じゃないよ!!
ぜっったい手を離さないように胸に手を押し当てる。ドックンドックン鼓動の音が伝わってきて、苦々しい思いでいっぱいになった。
こんな事なら、絶対に壊れない衣服とかブルマさんに作ってもらうんだったぁー!!
「スキャンダルは嫌だろう? オレもそんなお前は見たくない」
腕を組み、口角を上げる13号が、冷徹に告げる。
だったらやんないでよぉー! うう、やば、涙滲んできた……!
ぷるぷる頭振って涙を飛ばす。視界が遮られるのはよくない。これ以上不利になってなんかやるもんか!
「だから美しいままに終わらせてやろう。オレ達の手で」
「お断りだよっ、べーっだ!」
「……!」
ふざけた事言う変態達にあっかんべして、即座にスパークリングに移行する。弾ける雷の如き光に私に影が落ちる。
片腕が使えなくたって、別に平気だよ! 大怪我した訳じゃないし、こんなんで戦闘力が落ちるハズない!
おまえ達三人を葬ることくらい訳なくできるんだ、絶対!! ……絶対に、倒してみせる……! 全力全開でっ!
「凄まじいエネルギー量だ……! だがそう一筋縄ではいかんぞ?」
「ふんっ、一瞬でガタガタにしてやる!」
自由な右腕をぐるんぐるんと回して今出せる最大戦闘力を引き出す。
ハナッから全開で飛ばしていくぞ……! 覚悟しろよー、人造人間め!!
「とおりゃーっ!」
それぞれが構えを取るその前に、爆発的に急発進して殴りかかっていく。
短期決戦だ。長引けばうっかり手を離しちゃうかもだから!!
もし、もし、もしぽろっとやっちゃったら……!!
「細胞の一片まで燃やし尽くして全員道連れに大爆発してやるんだからーっ!!!!」
うわんうわんと氷河地帯に響き渡る大音量に、零れ落ちた涙が震えた。
TIPS
・光弾
当たると弾ける光
一般人でもちょっと突き飛ばされた程度に抑えられていたようだ
・ピュアナシコ
虹の彼方にあるというエデン、妖精界から現れるという伝説の戦士
そのもの白き制服を纏いて光の雨に紛れるのみ
そんな感じの小芝居。主に映画のオマケで5分程度流れたりする
・ピュアウィロー
ぴゅあっぴゅあなウィローちゃんが見れるのはここだけ!
いやいつも見れるけど
相当恥ずかしいらしいがこれもお仕事と割り切り、決めポーズの練習は欠かさない
うーん、わたし、かわいい。
・人造人間の秘策
ナシコが必ず民間人を庇うのは2ヶ月あまりの調査でわかっている
あとはそれに合わせて気功波を放ち、服を消し飛ばすだけだ
残念ながら防がれてしまったが、作戦は半分成功した
無力化したナシコをじっくりと料理するのみである
・ナシコ
羞恥心で伝説の戦士に目覚めそう
使えなくなったのは左腕
憧れの孫悟空が存在するこの世界でこんな手段を取られるなんて夢にも思っていなかった
・謎の科学者
管理コンピュータの複数モニター前で待機中
推しアイドルのハプニングなんて見たくないけど、でも見たい……!!!
しかし見たくない。ああっでも、見たい……!!
見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい、見たい!