北原翔希の野球人生   作:神戸のモンブラン

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第11試合

「ええ、そうです。またトーナメント表などは持って帰りますのでその時に」

 

7月の初旬、夏の大会まで1ヶ月を切った薬師高校のコーチ落合は夏の甲子園を賭けて戦う西東京地区の抽選会場を後にして監督である雷蔵へと抽選結果を電話で伝え終えたところだ。

 

(2回戦まではともかく、3回戦で稲実と当たってしまうのか、やっちまったなこりゃ)

 

帰り道の電車で落合は顎髭を撫でながら自身のくじ運のなさを嘆いていた。

 

(だがこの早い段階で強豪とやれる経験値という旨みはあるな。いかんせんうちは来年からが勝負。今年は極端な話死ねる…がそれも1.2回戦を勝ち抜いてからの話だな)

 

気持ちを切り替えた落合は自身の人脈を活かして、1.2回戦に当たる高校の情報を探り始めた。

 

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その日の練習前、野球部は教室へと集まりトーナメント表が新たにマネージャーになった谷内により配られ監督の雷蔵により説明が始まった。

 

 

「1.2回戦はともかく、3回戦はシードのあの稲実になった。まあ今年に関して正直厳しいだろ。なにせうちには3年生がいないからな。ただ、それはメリットでもあって俺達には来年もあるって気持ちで挑めるアドバンテージはあるからな。まあ思いっきってやってくぞ。分かったか?」

 

 

はい!という返事が響き渡り続いてホワイトボードを用いながら今後の薬師の方向性の話が雷蔵から続けていく。

 

 

「まあここに来た時に言った通り基本的に打ち勝つ野球をしてもらう。練習試合では展開によってはバントはさせたが公式戦ではさせない。まっ今年は本番じゃねーからな」

 

そして投手陣は翔希、真田、三野の3人で継投で戦う事が告げられた。公式戦味わえる雰囲気、その中で得れる経験に関して今年は3人で感じるようにという落合と雷蔵の考えだ。

 

そして背番号発表、エースナンバーの1番は年功序列で三野が背負うことが決められ、真田は3番、翔希は6番となった。

 

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その後の練習、グラウンドの端にあるブルペンではピッチャー3人と捕手の渡辺が落合とミーティングを行っていた。

 

 

「さて、大会まで時間が無いわけだがお前らには武器を作って貰う。要するに決め球というやつだ。既存の球種でもいい、新しいものでもいい、これといったボールを1つ作る。それによって迷った時に自信を持って投げ込める。その方がリードもしやすいだろ」

 

 

そう渡辺に視線を向けると渡辺は無言で頷く。それを見て改めて投手3人に目を向ける。

 

 

「三野と真田は真っ直ぐに力がある。緩急を付けるのもよし、フォークなどで空振りを奪いに行くのもよし、まあ合う合わないはどうしてもあるからな。北原は真っ直ぐを磨け。お前の変化球を活かすのはあくまで真っ直ぐだ。」

 

 

その後真田と三野は落合と相談し、真田は今風の球を手元で動かすスタイルを。三野はオールドスタイルを目指すことを決めてそれぞれ練習をこなしていく。

 

 

一方の野手陣も打ち勝つ野球を志すためにバットをひたすら振込み練習を重ねる。

 

 

そしてあっという間に時が過ぎて夏の大会1回戦を迎える。

 

 

 

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