ラブライブ!サンシャイン!!短編   作:かなま

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よろしくお願いします。


第2話

「千歌ちゃん! 準備できた!? 行くよ! ウィーンだ! 」

 

「ちょっと待てぃ」

 

「なに!? 急いで! ウィーンなんだよ! 全速前進ヨーソローなんだよ! 」

 

「世界大会は2ヶ月後だからね? ウィーンに行くのもそれくらいだよ? 」

 

そうだった。私、焦ってたや。

 

「えへへ。 確かにそうだね。 でも2ヶ月かぁ。 長いなぁ……。 楽しみだね、ウィーン! 梨子ちゃんと3人でどこ行こっか! 案内してもらおうよ」

 

「ほぇ……? チカは一緒に行けないよぉ。 授業もあるし、そもそも曜ちゃんは日本代表なんだからスタッフさん達と一緒でしょ~」

 

「は?」

 

「いや、は? じゃなくて……」

 

「え?」

 

「そういうことじゃあないでしょっ」

 

千歌ちゃんが……一緒に……来れない……?

私はどうすればいいの……?

 

「とにかく、まずは着替えなよ。 いつまで水着なの? 風邪ひいちゃうよ」

 

「うん……」

 

私の頭の中は、いろいろなことで一杯だった。

 

 

~ウィーン~

 

「梨子! あなたの友達でしょ? 凄いじゃない! 」

 

ピアノの練習をしていたら、同じオーケストラの楽団員達が新聞を持って駆け寄ってきた。

 

「え? どうしたの? 」

 

私はなんのことかわからず、きょとんとする。

 

「新聞見てないの? 今度の世界水泳! 日本代表の1人、You Watanabe! あなたの友達でしょ」

 

「いつもご飯の時、うっとり眺めているじゃない」

 

「そうよねぇ。 梨子ったら、スマホの画面ずーっと眺めてご飯食べてるもの」

 

「なにみてるのー? って話しかけても上の空の返事でさ」

 

「気になって覗いたら、可愛い女の子と梨子のツーショット! 青春ねぇ」

 

「新聞見ていたらその子が載っていたの!もうびっくりよ! 」

 

「え!? 待って!? 見られてたの!? やだぁもぉ……」

 

私は恥ずかしくなって楽譜で顔を隠す。いや、待ってほしい。この子達はなんていった!?

 

「ちょっと見せて!」

 

新聞を奪い取り、スポーツ欄を凝視する。そこには

 

『日本の高飛び込み代表はYou Watanabe。 高難易度の前逆さ宙返り3回半抱え型を見事に決めて日本新記録。 2ヶ月後にウィーンで開催される世界水泳に、日本から期待の若き刺客が飛び込んでくる。 』

 

眩しい笑顔で、表彰台の1番高いところに堂々と立ち、金メダルを掲げているのは……

 

「曜ちゃん……」

 

間違えるはずがない。私が今1番会いたくて、1番傍にいたくて、1番傍にいて欲しくて、1番大好きで、1番想いを伝えたくて……

 

「1番会いたくない人……」

 

「え?」

 

私が最後に漏らした日本語は、他の楽団員達には聞き取れなかったみたいだった。

 

~日本~

 

「渡辺ー。 そろそろ練習終わりにすっかぁ」

 

「はーい! ありがとうございましたー! 」

 

プールからあがって、身体を拭く。

あれから1ヶ月。私はどんどん技の精度に磨きをかけていった。身体が最高のパフォーマンスを発揮する波を掴み、そのタイミングを本番にぶつける為に調整を続けている。

 

「あと……1ヶ月。 梨子ちゃんに会いに行くんだ 」

 

好きという気持ちを、何度も何度も身体に乗せてプールに落とし込む。そんな日々を送っている中で、一つだけ不安なことがあった。

 

「返信……来ないなぁ。 忙しいのかな」

 

代表に決まった数日後、私は梨子ちゃんにLINEを送った。

 

「代表に選ばれたの! ウィーンに行くよ! 」

 

それに対して、返事はただ一言。

 

「おめでとう」

 

私は

 

「どこかのタイミングで会えないかな? ご飯でも」

 

と返信をした。しかし、それ以来梨子ちゃんから返事はない。

 

練習が終わったら毎回スマホをチェック。LINEの通知が来ていると一気に気分が高揚してすかさず開く。

 

「なぁんだ。 今日は善子ちゃんか」

 

しかし、私が望む人からのLINEではない。毎回、毎回、毎回、毎回、毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回毎回、スマホを開く度にテンションが浮き沈みする。

 

「私からで悪かったわね」

 

「うわぁ!? 」

 

「久しぶりね、曜。 ほら、迎えに来たわよ」

 

「びっくりしたぁ……。 驚かさないでよ」

 

「あんたがボーッとしてたんでしょうが!」

 

今日は日本にいるAqoursメンバーとご飯だ。私の代表選抜祝いをしてくれるらしい。

 

「ごめんごめん。いやぁ、久しぶりだね善子ちゃん! 」

 

「善子言うな! ヨハネー!さっさと車に乗りなさい! 」

 

「お、久しぶりの堕天使。社会人になったからって卒業したんじゃなかったの?」

 

「く……っ! 封印されし堕天使の力が暴走してしまったみたいです。 まだまだ修行が足りぬか……」

 

「修行って……」

 

「久しぶりに曜達に会うのよ。 昔みたいに……その……あの頃は楽しかったから……」

 

そう言って俯く善子ちゃんの頭を私は撫でる。

 

「頑張ってるもんね、善子ちゃん。 今日くらい良いんじゃないかな。 自分の"好き"を隠さなくてもさ」

 

「ありがと……って、頭撫でるなー!」

 

「あははははは」

 

「あんたも自分の"好き"、いい加減に隠すのやめなさいよね」

 

「う゛……」

 

痛いとこをつかれた。隠しているつもりはない。だけど、抑え込んでいるという部分では、ある意味隠していることになるのだろう。

 

私は遥か海の向こうにいる、想い人に向けて心の中で呟く。

 

 

会いたいよ、梨子ちゃん




続きは後日。
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