アキトが怜と食事をしている頃、キヨタカとの引っ越しや今後についての話し合いが終わり、瑠衣は自室で過ごしていた。
瑠衣の自室は女子らしいオシャレな部屋という感じではないが、シンプルな雰囲気で清潔さを感じさせる部屋である。
自室には壁際にシングルのベッドが置かれ、離れた向かい側の壁際にはテレビとその隣に勉強机が置かれおり、机の横にはクローゼットが置かれている。机の上にはいくつかの本が並び、以前、アキトにUFOキャッチャーで取ってもらったぬいぐるみが飾られている。窓のカーテンは清楚な雰囲気の白いカーテンである。
瑠衣は勉強に座ると静かに今後について考える。
瑠衣(わたしの軽はずみな行動でキヨタカくんに迷惑をかけてしまった・・・)
瑠衣「こういうところがきっと母さんとの違いなんだろうなぁ・・・」
瑠衣は厳格であれど、冷静且つ的確な行動を取ることが出来る母と未だに未熟な自分を比較する。
瑠衣(って!ダメだ!こんな直ぐに落ち込んでちゃ!)
瑠衣(アキトや自警団の人達はどんな時だって、こんな風に落ち込んだりしなかったもの!)
瑠衣「わたしだって負けてられない・・・」
瑠衣「そのためにも、キヨタカくんのことは出来るだけのサポートをしないと!」
瑠衣はそうして自分を鼓舞し、奮い立たせようとする。
そうしていると瑠衣は小さな欠伸をこぼす。
瑠衣「ふあ・・・ 昨日、あんまり寝てなかったから・・・」
昨夜は色々とバタバタしていたために余り、眠る時間もなかったことや話し合いが終わったことで一安心し、気が緩んだこともあり、急に眠気が来たようだ。
瑠衣「今は一時、か・・・」
瑠衣「今、寝るのもなぁ・・・」
瑠衣「でも・・・ 眠い・・・」
瑠衣「・・・」
瑠衣は微妙な時間故に起きていようかと思うものの、眠気には勝てなかったようだ。
それからしばらくすると瞬が晩御飯の献立を聞きに瑠衣の自室にやって来る。
瞬「瑠衣、今日の晩御飯は・・・っと、眠っていたのか」
瞬が瑠衣の部屋に来る頃には瑠衣はすっかり熟睡してしまい、布団も被らずにベッドで横になっていた。
瑠衣「・・・」
瞬「昨日はバタバタしていて、余り眠ることが出来なかったからな・・・」
瞬「今は寝かせておいてやるとするか」
瞬は布団を被らないで眠っている瑠衣に布団を被せてやると静かに部屋を出ていくのだった。
それからどれくらい経ったのか、外は段々と暗くなっていき、少しずつ部屋を暗闇が包んでいった。
そして、ベッドでは熟睡している瑠衣は今だに気持ち良さそうに眠っていた。
そうして時計は8時過ぎになる頃、瑠衣はようやく目を覚ます。
瑠衣「う、うう~ん・・・あれ、今何時・・・?」
瑠衣「もう8時・・・そんなに寝てたんだ・・・」
瑠衣は寝惚けながらもベッドから降りると一階のリビングに向かう。
リビングにでは瞬がソファーに座ってテレビを見ていた。
瑠衣「叔父さん・・・ おはよう~」
瑠衣は眠そうに目を擦りながら瞬に声を掛ける。
瞬「おお、よく眠っていたな、今起きたのか?」
瑠衣「うん」
瞬「そうか、それと、もうこんばんわの時間だが」
瑠衣「あ、そっか・・・ 少し寝惚けてたみたい」
瑠衣「そういえば鈴は?」
瞬「アルバイトだそうだ、今日は9時までと言っていたよ」
瞬「晩御飯はカレーにしようと思うんだが、それで構わないか?」
瑠衣「うん、わたしも料理手伝うよ」
瞬「ああ、手伝ってくれるのは助かるが、いずれは自分でアキト君に振る舞えるくらいになってくれたら嬉しいんだがなぁ」
瑠衣「・・・!」
瑠衣「お、叔父さん・・・!何でアキトが出てくるの・・・!(///)」
瑠衣は予想外の言葉を掛けられ、顔をほんのり赤くして動揺している。
瞬「はは、冗談だ」
瑠衣「うぅ〜」
瑠衣はどこか恨めし気に瞬を睨んでいる。
瞬「それはそうと、瑠衣、よく眠れたか?」
瑠衣「うん、ぐっすり寝たから気分もスッキリだよ」
瑠衣「でも、夜眠れるかな・・・」
瞬「それは分からんが・・・ 不規則な生活には気を付けるんだぞ?」
瑠衣「うん、分かってるよ」
瑠衣は頷く瞬と共に台所に行き、瞬がカレーの下準備をする中、食材を切ったりなどの手伝いをし、カレーを完成させるのだった(ただし、具材の形は歪であったが・・・)。
調理が終わり、瑠衣と瞬は作りたてのカレーを共に食すのだった。
カレーは瞬が拘ったスパイスを使用し、作られているため、とても美味だった。
その後、カレーを食べ終えると瑠衣は食器を洗い、自室へと戻り、ベッドに腰掛けながらテレビを見ていた。
テレビの内容は瑠衣がたまに見ているトークバラエティー番組だ。
その放送する回ごとに様々なテーマを話すため飽きられにくい内容である。
瑠衣「今回はどんなテーマかな?」
瑠衣は今週はどんなテーマかと期待しながらテレビを見ている。
テレビには司会者の男性が映り、今週のテーマについて発表しようとしている。
司会者「さて、今週のテーマは!」
瑠衣「今週のテーマは・・・!」
瑠衣は無自覚に司会者と同じ言葉を呟くほど釘付けになっているようだ。
司会者「今週のテーマは・・・・・ 今時の恋愛についてです!」
観客「おおー!」
画面の向こうでスタジオの観客達は興味深そうにしている。
瑠衣「・・・恋愛?」
瑠衣はどんなテーマかと期待していたためか、鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情をしている。
瑠衣「恋愛・・・」
瑠衣(わたしにはよく分かんないや・・・)
そうして瑠衣がテレビを消そうとした時、司会者が高らかに叫ぶ。
司会者「テレビの前の貴方!」
瑠衣「!」
瑠衣は画面からの司会者の声に咄嗟に反応してしまった。
司会者「今、貴方は恋愛とか興味ない、分からないと考えませんでたか?」
司会者「自分に縁のないものだと!」
瑠衣(ギクッ!)
瑠衣は自分に向かって言われているわけではないにも関わらず、心の中でドキッとしてしまった。
瑠衣(ううぅ、ビックリした、まさか司会者が画面から話しかけてくるなんて・・・)
瑠衣があたふたしている中、司会者は止まらずに話しを続ける。
司会者「恋愛に興味ないとか分からないと思っている様な皆さんに言いましょう!正気か!?」
瑠衣「・・・!」
司会者「恋愛をしなければ、人生を損してると言えます!」
司会者「人を好きになると胸が温かくなります!なりませんか!?」
司会者はテンション高めに話し続ける。
瑠衣「・・・」
司会者「異性を好きになるきっかけ?そんなの他愛もない理由です!優しかったり、助けてくれたりなど実にありふれている!」
司会者「しかし、最近の若者は体だけの付き合いや逆に恋愛の意味を理解していない者が多すぎる!」
瑠衣「・・・」
司会者「スタジオの皆さん、そしてテレビの前の皆さん、恋愛してますか?」
司会者「身近に特別な人はいませんか?」
司会者「気になる人、意識する人、よく頭に思い浮かぶ人はいませんか?」
瑠衣「・・・!」
ピッ!
瑠衣は途中から何故かとても恥ずかしくなり、テレビを消してしまった。
瑠衣「はぁ~ 何でテレビを見ただけでこんなに疲れてるんだろ・・・わたし」
瑠衣はどこ疲れた様な表情でベッドにドサッと倒れ込む。
瑠衣(恋愛、か・・・)
瑠衣(母さんも父さんと恋愛して、わたしが生まれたんだよね・・・)
瑠衣(どんな気持ちなんだろ・・・)
瑠衣(何故だろう・・・ 司会者の人の言葉を聞いた時、何故かヘンな気分になって、それって、つまり・・・)
瑠衣(わたしにもそういう人がいるの?特別な異性が・・・)
瑠衣(わたしがよく思い浮かべる人・・・)
瑠衣(それは・・・)
瑠衣(でも・・・)
その後も瑠衣の問答は続くのだった。
そして気付けば時計の針は9時を指していた。
瑠衣「もうこんな時間・・・ お風呂に入らなきゃ」
そうして瑠衣は風呂場に向かうのだった。
瑠衣は脱衣場に着くと丁寧に衣服を脱いでいった。
瑠衣は上着の白いコートをそっと脱ぐとピンクのネクタイを外し、黒いベストを脱ぐ。そして白いシャツのボタンを一つ一つ外していき、シャツを脱ぎ、履いていた黒いスカートを脱ぎ終えると脱いだ衣服を全て洗濯かごの中に入れるのだった。
そして瑠衣が纏っとているのは下着だけとなった。
瑠衣の下着は淡い白い色の外見に僅かに黒い装飾が施された上品なものだった。
そして瑠衣がブラジャーのホックを外すと大き過ぎず、程よい形の乳房が露になる。その形状はまさに美乳といった感じであり、胸の突起物は鮮やかなピンク色に染まり、その裸体は白い肌と相まって芸術性すら感じる程だった。
そしてパンツを脱ぎ、靴下を脱ぎ終えると再び、洗濯かごに下着類を入れるのだった。
瑠衣は一糸纏わぬ、生まれたままの姿となる。
その姿は全身は、染み一つ無く、日焼けもしていない白い肌と人間離れした、美しい外見から肖像画のモデルを思わせる魅力を感じさるものだった。
瑠衣「ふぅ~ この服はお気に入り何だけど・・・ 脱ぐのに手間がかかるんだよね・・・」
瑠衣は衣服を脱ぎ終えると自然と洗面台の鏡に視線が向く。
鏡に写ったその表情はどこか熱を帯びていて、現在の格好も相まってかなり色気を感じさせるものだった。
瑠衣「わたしは・・・ アキトのことが、好き、なの?」
瑠衣はそう鏡の自分に向かって話し掛けるも返ってくるわけもなく・・・。
瑠衣「わ、わたし何やってるんだろ・・・(///)」
瑠衣は急に恥ずかしくなったのか、必死に頭からアキトのことを逸らそうとする。
瑠衣(そ、そうだよ!まだ、アキトとはここ最近会ったばっかりだし!こんな直ぐに好きになるなんて・・・!)
瑠衣(大体、アキトは無愛想だし!デリカシーもないし!酷いことも平気で言うし!)
瑠衣(構って欲しい時なんて、全然相手もしてくれないし・・・)
瑠衣(ホントにキミは・・・!)
瑠衣はアキトのことを考えないようにしようとすればする程考えしまうようだった(内容は殆ど罵倒だったが・・・)。
しかし、アキトのことを考えるとどうしても自然と頬が緩んでしまう。
瑠衣「でも・・・ やっぱり・・・」
瑠衣「キミと出会えて・・・ 良かったよ・・・(///)」
瑠衣は全裸のまま、そんな事を考えているとふと、先程の司会者の言葉を思い出す。
司会者「気になる人、意識する人、よく頭に思い浮かぶ人はいませんか?」
瑠衣「・・・」
瑠衣「たしかにどれもアキトが当てはまるけど・・・」
瑠衣(でも、それが好き、なの?その気持ちが・・・そうなの?)
瑠衣「アキト・・・」
そうアキトの名を呟く瑠衣はどこか切なそうに鏡を見る。
瑠衣(恋って・・・)
瑠衣(好きって・・・)
瑠衣(なんなんだろうね・・・?)
瑠衣は鏡の向こうの自分に・・・ そして自分自身に向かって、そんなどうしようもない質問を呟くのだった。