第一章 いつもの日常
賑やかな秋葉原の駅前には数ヶ月前の戦いが嘘のようにいつも通りの騒がしくも、穏やかな光景が広がっていた。そんな中でベンチに座りその光景をじっと見つめる少年がいた。
アキト(いつも通りの日常か・・・)
そう静かに考え、見つめているのは数ヶ月前の最大の功労者であり、人間とカゲヤシの共存を実現させた少年アキトである。ほんのり赤い瞳と柔らかそうな黒髪をした中性的な青年である。
しかし人間・カゲヤシに平穏が訪れたにも関わらず彼の心に平穏はなかった。
アキト(人間とカゲヤシの戦いは終わった だが武装魔との戦い・・・完全体である俺と武装魔達との戦いは何も変わってはいない・・・)
人知れず夜に異形の姿となり、武装魔との闘争に明け暮れるアキトにとってはこの日常は一時的な平穏に過ぎないため気を抜くことはできない。また、このことを知る者はアキトの回りに誰一人いない(カゲヤシも含めて)
アキト「俺のあの姿を見たら・・・ みんなどう思うんだろうか・・・」
アキトは張りつめた表情で虚空に向かって静かに語りかけているといつの間にかノブからメールが来ていた。
「今、自警団のアジトにいて暇なんだけど来ねぇ?キヨタカとかも来てるからさ、どうせ暇だろ? byノブ」
フランクだがさらっと刺のあるメールが送られていた。
アキト「・・・失礼な奴だ」
送られてきたメールを見て一瞬、眉を曲げるも直ぐに表情を戻し、自警団アジトへ向かおうとする。
(まあ、暇なのは事実だがな・・・ 少なくとも昼は・・・)
そう内心、自虐しつつも自警団のアジトに向かうアキトであった。
その頃アキトと共に秋葉原を救ったカゲヤシの少女文月瑠衣は叔父である姉小路瞬が経営するカフェを友人のカゲヤシである森泉鈴と共に手伝っていた。
瑠衣「いらっしゃいませ~」
そう明るく優しげな声がジャンク通りに響き、客席に座る常連(もしくは瑠衣目当ての客)は嬉しそうに頬ほころばせていた。瑠衣はいつも店の手伝いをしているわけではないので、いる時といない時があるため、いる時は様々な理由から店の売り上げに大きく貢献するのだ(瑠衣自身にその自覚はない)
鈴「やっぱり瑠衣ちゃんがいるとお店大繁盛ですね!」
瞬「あはは・・・ そうだね」
嬉しそうに告げる鈴に対して、瞬は内心「味で勝負したい!」と言う気持ちがあるので苦笑いを浮かべていた
オタク1「あぁ~瑠衣ちゃん・・・ マジ天使・・・」
オタク2「2次元にしか興味のなかった我々が心奪われた3次元の存在・・・!」
オタク3「あのルックスにして、僕達みたいなオタクに一切偏見を持たずに接してくれる優しさ・・・!」
瑠衣に心奪われた、ある意味悲しい者達が各々に心の声を吐き出していた。そのなかにはアキトの友人であり、アキトと瑠衣が出会うきっかけを作ったキヨタカもいた。
キヨタカ(瑠衣ちゃん~超かわいいよな~でもどっかで会ったことあるような気がするんだよなぁ・・・ それにしてもアキトの奴!俺が部屋に引きこもってる間にいつの間にあんなかわいい子と仲良くなったんだ!)
見惚れると同時に心の中で疑問とアキトへの羨ましさばかりが募っていき、うなだれてるキヨタカを見つけるその原因ともいえる少女が声を掛ける。
瑠衣「どうしたの?キヨタカくん?」
キヨタカ「うぇぇ!?」
瑠衣「ど、どうしたの?」
キヨタカ「い、いや何でもないよ あはは・・・」
瑠衣「そう?ならいいんだけど」
予想外の瑠衣の接近に変な声を出し、焦るキヨタカに心配そうにしてる瑠衣は何でもないよと言われ、気になりつつもそっとしておくことにした。
キヨタカ「ところでさ、瑠衣ちゃんってアキトと付き合ってるの?」
瑠衣「はい!?」
キヨタカ「いや・・・アキトと仲良さそうだからさ なんとなく気になって」
瑠衣「付き合ってるとかじゃなくて、その・・・友達だよ? 仲がいいのは事実だけど・・・」
キヨタカ「そ、そっかそっか!」
キヨタカ(よっしゃー!)
瑠衣(それ以外ありえないはずだし!多分・・・)
アキトと瑠衣の仲はあくまでも友達だと知って、瑠衣の心境も知らず、心の中でガッツポーズを決めるキヨタカであった。
それから昼過ぎ頃にはお客も皆帰っていき、3人とも一段落したのでお茶をしていた。
瑠衣「ふぅ~今日もお客さんたくさん来たね」
鈴「そうだね(ほとんどが瑠衣ちゃん目当てだろうけど)」
瞬「二人ともお疲れ クッキーとココアでも食べて休んでくれ」
まったりと3人でクッキーとココアを満喫していると瞬がコーヒーを飲みながら思い出したかのように二人に告げた。
瞬「ああ そうだ 今日は食材も少なくなってきたし、早いが、店終いとしようか」
瑠衣「今日はやけに早いね?いつも食材なくなってももう少しやってるのに」
鈴「そういえばそうだね なにか理由があるんですか?」
瞬「実は午後からヤタベさんと将棋の約束をしててね 絶対という約束ではないので店のお客の状況で行こうか行かないかと考えてたたんだが、大丈夫そうなので行こうかと考えていたんだ 場所は自警団のアジトなので良かったら二人とも来ないか?」
そう告げ静かにコーヒーを飲み終えると瞬にすぐに賛成の言葉が掛けられた
瑠衣「そうだね、久しぶりにみんなとも会いたいしね、 みんな元気かな~♪」
鈴「うんうん!最近忙しくて瑠衣ちゃんも私達も自警団の人達にあんまり会えなかったもんね?」
嬉しそうに二人は瞬の言葉に賛成し、直ぐに片付けの準備に入ろうとしていた。
瑠衣(アキトと会うの久しぶりだな〜 会ったら何を話そうかな? また、ゲームセンターにでも誘っちゃおうかな?)
そんなことを考えていた瑠衣の表情は自然と嬉しそうににやけていた。しかし彼女は今自身の中にあるそういった感情が友人やましてや家族でもない特別な異性に対してのものなどとは露ほども思っていないだろう。
その日の秋葉原の空にはまばゆいばかりの太陽が輝いていた。
つたない小説ですが、よければ読んでいただけたら幸いです。主人公の友達の名前は漫画から使いました。