ハイスクールD×D×O〜悪魔と龍と王の物語〜   作:カノサワ

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第9話=敗北と乗り込みと伝説の力=

_夢を、見ていた。

 

『_』

 

灰色の情景、とある子どもが公園のブランコで揺れ、虚ろな目で他の子ども達が遊ぶ光景を見ていた。

 

『…ねぇ、あの子さっきからずっとこっちみてるけど、仲間にいれてあげない?』

 

『えー、やだよ。だって髪の色がちがうし、きっとがいごくの人だよ』

 

『そうだね、言葉もつうじなさそうだし…あ、僕あたらしいゲーム買ってもらったらか家にこない?』

 

『え、いいの?おまえんちの親いいよなー優しくて』

 

そのブランコに揺れる子どもを仲間に入れず、親が待っているであろう家に帰る他の子ども達。

理由はわかっている、自分の髪の色が他の子と違う。眼の色も違う。

 

…もし自分に親がいれば、あの日さえなければこんな寂しい思いも、虚しい気持ちもなかった筈だ。

親代わりはいるけど、あの人は親じゃない、それに最近は忙しそうで家を空けている。

…帰ろう、そう思った矢先

 

『…お?誰だお前?』

 

茶髪の子どもに話しかけられる。

きっと好奇な目で見ているか、俺が邪魔だからだろう。

俺はブランコを降り、去ろうとすると…

 

『お前の髪…カッコいいな!悟の超ソイヤ人みてーで!!』

 

『…え?』

 

その意外な反応に俺はあっけ取られた。

今までこの髪の色を見た子どもの反応はあまり良いとは言えなかったが、目の前にいる人物は目を輝かせていた。

 

『え?知らないのか?ドラグ・ソボールの空孫悟!珍しいなー』

 

『え、えっと…』

 

どう返していいかわからずに戸惑ってしまう、そんな反応をする俺に、相手は自己紹介をしてくる。

 

『と、ごめんごめん…俺の名前は兵頭一誠!お前は?』

 

『…マリヒコ』

 

お互い名前を教えると、相手はニッ、と笑う。

 

『マリヒコか…珍しい名前だなぁ。俺の事はイッセーて呼んでいいぜ!』

 

『イッ…セー?』

 

『そうそう!俺とお前はもう友達!これからよろしくな!』

 

そう言うと相手は俺の手を握り、握手をする。

_友達、もう一生そんな物ができないだろう、作れないだろう。

そう思っていたが、相手は友達になろうと言ってきた。

 

いつ続くかわからない関係、ふとしたきっかけで消えそうな関係、でも。

 

『…うん、よろしく』

 

その瞬間から、灰色だった俺の世界は色付いて__

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「…っ」

 

重い目蓋を開け目覚める…軽く呼吸をし、辺りを見回す。

 

「…随分と懐かしい夢を見たなぁ…て、あれ?」

 

待てよ…俺起きる前何してた?自身の服装を見てみるといつの間にかパジャマ姿で、辺りを見回すと灯りが消えた自室が目に入る。

 

どんどん記憶が蘇ってくる…て!確か俺、レーティングゲームで!

 

「あの後どうなったんだ…て、これって」

 

ベッドから起き上がり、部屋の明かりをつけふと勉強机を見ると少し豪華そうな手紙が目に入る。

 

「っ…と、体に痛みは無いな」

 

ベッドから降り、少し自分の体の状態を確認してから机に近づく。

多分だけどアーシアの神器で治してくれたのだろう…感謝しないとな。

そう思い手紙を手に取り、見ると宛名は…グレイフィアさんの名が入っていた。

グレイフィアさんから?…多分だけどレーティングゲームの内容だろう、そう思い手紙を開ける。

 

【この度はリアス・グレモリー様の『助っ人』としてレーティングゲームに参加して頂き誠にご感謝致します。ゲームの結果は誠に残念ながらリアス・グレモリー様の投了により、ライザー・フェニックス様の勝利となりました。】

 

達筆な内容でそう書かれていた…その内容を見て少し悔しく感じる、もし俺があの時少しでも頑張れば勝利に貢献できたであろう、そんな後悔を頭に過ぎりつつも手紙の内容に目を向ける。

 

【それにより、リアス・グレモリー様とライザー・フェニックス様のご婚約が決定致しました、日付は_】

 

…日付は、どうやららレーティングゲームの日付の二日後だ、明後日あたりに婚約パーティが行われるそうだ。

そしてその手紙に書かれてるパーティ開始の時間と勉強机に置いてあるデジタル腕時計を確認する…あれ?

 

「これ…時間、て言うか日付ズレてないか?」

 

デジタル腕時計が示す日付はなんと、ゲーム開始の日付から二日の日付になっている、そして正確にあってるかどうか確認すべく、勉強机に置いてあったスマホを確認すると…

 

「…まぁじかぁ」

 

スマホの日付と腕時計の日付が合っていた、これはつまり…俺は二日間寝ていたて言うわけだ。

…気を取り直して時間帯を見ると、パーティは後一時間半が立てば始まる、そして手紙の続きを見る。

 

【そして今回のゲームにおいて、マリヒコ様のご活躍が魔王様に評価されたことにより、魔王様から勲章を授与する事に致しました。しかし魔王様自体の用事もあっての事か本人から授与する事が難しく、失礼ながら私が指定する場所に来て頂き、直接私が手渡しする事になりました。】

 

…え?勲章?魔王様?…いやちょっと待って!負けたんだよ俺!?

驚くべき事が色々あるけど、指定先も驚いたよこれ!だって…

 

【_リアス・グレモリー様の『兵士』、兵頭一誠様のご自宅にてお待ちします】

 

…昔ながらバカ友の家だった。

 

「…あーもう、色々頭が追いつかないよこれ」

 

手紙をしまい、勉強机に置いてベッドに座り、頭を抱える…

 

「…でも、結局は行動しなきゃ始まらないんだよな」

 

これには何か訳があるだろう…そう思い俺は早速着替え始めようと立ち上がると、勉強机の他にあるちゃぶ台に、すっかり綺麗になっていた俺のジャージ4号が見事な程綺麗に折りたたまれていた。

 

「…誰がやったんだろう、グレイフィアさん?…でもありがとうございます」

 

ジャージに着替え、オーズドライバーやスマホなど大事なものをポケットにしまい、部屋を出て階段から降りると、リビングにおじさんが見えた。

 

そして俺を見るなりおじさんは…

 

「…マリヒコ君!?いやぁよく無事だったねぇ。もう二日間も寝ていたからもうおじさん心配で心配で…」

 

…どうやらほんとに二日間寝ていたようだ。

て…そういや俺って重症負ってたよな一応は!?これおじさんにどう言い訳すれば…

 

「いやー、朱乃さんから聞いたよ、車にはねられたんだって?大変だったね…もうそれ聞いた瞬間マリヒコ君が死んじゃわないかほんと不安で不安で…」

 

「…え?」

 

…どうやらおじさんの話を聞く限り、俺はオカ研の部活動中に、街を歩いてると信号無視して来た車にはねられてしばらく怪我を負ってたて話になっていた。

これも悪魔の力でそう言う話にしたのかな?…心境は複雑だけどまぁ、悪魔と戦って死にかけましたなんて流石に言えないだろうし。

 

「夜の道は暗いから気をつけないとねぇ…ほら、マリヒコ君も部屋に戻って休んで無いと」

 

「あ、ごめんおじさん、これからイッセーの家に行かなくちゃ」

 

おじさんはえ?と反応を示すも俺は玄関に行き、靴を履いて外に出ようとする。

 

「待って待って待って?車にはねられたんだよ?安静にしなくちゃ…」

 

うん、おじさんの言うとうり。て言うか正論すぎる。

でも事態が事態でもあり行かなきゃいけない用事だ…

 

「…大丈夫だよおじさん!すぐに戻ってくるから!ね?」

 

どうにか説得しようとする、とおじさんは軽く不安そうな顔をするも、すぐにいつもの顔になる。

 

「そう?…マリヒコ君、すぐ一人でどうにかしようとするからおじさん心配なんだよねぇ、まぁ人に頼る時は頼るけどね。すぐに帰ってくるんだよぉ?」

 

「大丈夫だって…おじさんの言うとうりヤバくなったら人に頼るからさ。それじゃあ行って来ます」

 

そう挨拶し、俺は外に出てイッセーの家に向かった_

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 

イッセーの自宅前につき、インターホンを鳴らすとガチャリ、とアーシアが玄関から出てくる。

 

「あ…マリヒコさん!お怪我の方は大丈夫でしたか!?私の神器で傷の手当てはしましたけど、イッセーさんみたいに意識が戻らずに…」

 

「あ、ああ、俺は大丈夫だけど…イッセーは?」

 

心配そうなアーシアにそう問いかけると、少し安心したような様子で答え始める。

 

「はい…イッセーさんも先ほど目覚めまして、お会いになりますか?」

 

「ああ、それじゃ上がらせてもらうよ」

 

家に上がらせてもらい。もう時間は夜なためイッセーの両親は寝静まってる様だ、アーシア曰くイッセーの両親も相当な心配をしたらしく、先ほど寝たようだ。

そしてイッセーの部屋の前にまで来て、軽くノックをすると「…おう」と、元気がない様子の返事が返ってくる。

 

そして部屋に入ると、暗い部屋の中で落ち込んだ様子でベッドに座り込む親友の姿が目に入る。

 

「イッセー…」

 

「…よっ、悪いな変な姿見せて」

 

「その…ごめん、最後まで戦えんで」

 

「気にすんなよ…俺が弱かったせいみてーなもんだし」

 

俺のその謝罪の言葉を気にせずにそう言い返す。

本来なら俺が責められるであろう状況なのに、イッセーは自分が悪いと言う態度を見せる。

 

「…それで、試合の結果とか、部長の…婚約パーティとかは知ってるか?」

 

「ああ…アーシアに大体聞かせてもらった‥」

 

その言葉に悔しさが感じられる。

…互いの沈黙により部屋がより静まり返る、何を話せばいいか、謝罪?それとも責任の追及?

そんな言葉でもう敗北という結果は変わらない、ただお互いに静まり返る。

 

「…ん?」

 

「これ…って」

 

と、その時そんな沈黙を破るかのように一つの魔方陣が部屋に現れる。

そして魔方陣から現れたのは、白銀の美しい髪のメイド服姿の女性、グレイフィアさんだった。

 

「お話の途中、失礼いたします」

 

その鶴の一声が如くの美しい声に、俺らはグレイフィアさんを注目し、そして話が続く。

 

「ご存知だと思われますが、ゲームの内容はリアスお嬢様による投了により、そちらの敗北となりました」

 

…やはりこちらの負け、イッセーの方を見ると悔しそうに歯嚙みをしていた。

俺も悔しかった、もし俺がもっと上手くやれていればイッセーに、みんなにも悔しい思いをさせなかっただろうに。

 

「現在、お嬢様とライザー様の婚約パーティのご準備が行われていますが、後30分もすれば開始になります。場所はグレモリー家が用意した冥界の会場です」

 

「…木場達は?」

 

「お嬢様にお付き添いになられております。会場にいない関係者は、一誠様とアーシア様、それにマリヒコ様だけです」

 

イッセーの質問に答えるグレイフィアさん。

ふと、一つの疑問が思い浮かび、グレイフィアさんに聞いて見る。

 

「…あれ?俺らは気絶してたからともかくだけど、なんでアーシアだけはイッセーの家にいるんだ?」

 

「リアス様の願いで、アーシア様はここに残られて私と共に一誠様を見ておられたのです、尚マリヒコ様も一時は医療施設に運ばれましたがこちらもリアス様の願いでご自宅に移させてもらいました」

 

…あれ?て事は二日間俺とイッセーはグレイフィアさんの世話に…いや、今はそれより目の前の状況だ。

部長の婚約パーティ、後少しで始まるのか…

 

「…納得されていませんか?」

 

「ええ。勝負がついたとしても俺は納得できません!」

 

ふと、グレイフィアさんがイッセーにそう訊いてくる。

 

「リアスお嬢様は、御家の決定に従ったのですよ?」

 

「わかってます!それでも俺は_」

 

イッセーは事情には納得はするが、100パーセント肯定はしない様子だ。

イッセーにとって部長は憧れでもあり、尊敬している人物、それを御家の事情で政略結婚させられ、自身が思い描く恋愛ができない。

そんな想いをイッセーは部長にさせたくない理由で必死に戦った。

 

…じゃあ俺は?ただ目の前の部長が困っていると言う理由で手を出した。

ただそれだけだ、俺は部長の眷属でもなければイッセーみたいに熱い情熱もない、ただ何も考えなしに手を出しただけだ。

 

「マリヒコ様」

 

「…え?」

 

あれこれ考えている最中、突如グレイフィアさんに話しかけられた。

 

「手紙に書いてあった通り、勲章を授与致しますが…1つだけお聞かせください」

 

「は、はいっ」

 

「貴方様は見る限り、リアスお嬢様に一誠様の様な特別なご好意を抱いてはいない様ですが、なぜ今回のゲームに参加し、手をお貸ししたのですか?」

 

…見抜かれていた。イッセーを横目で見ると何か少し慌ててる様子が見えたが、今はスルーして考える。

 

「仲間だから手をお貸しした、ですか?その様な単純な理由で悪魔社会に踏み込むのは些かどうかと思います」

 

そうグレイフィアさんに冷たく言われる。

今回の件は単に悪い奴が部長に手を出したわけじゃなく、悪魔社会に必要な事、それを争うため戦ったと言う複雑な事だ。

 

それを自分勝手な正義感に手を出し、挙げ句の果てに勝てなかったと言う体たらく。

もしここで答えを間違えれば下手すれば罰せられるかもしれない、でも…

 

「…はい、グレイフィアさんの言うとうりです。部長が困っているから手を出した、です」

 

「なるほど…つまり貴方は困ってはいない相手は無用と_」

 

「いえ!…俺が今回の事に手を出したのは、その…部長の本当の笑顔を守りたかったからです、イッセーと一緒に部活動をしたり、みんなとお茶菓子を食べたりするそんな当たり前な光景を守りたかっただけです!」

 

そんな答えを聞き、グレイフィアさんは少し驚いた様子を見せる。

…やば、つい声を張り上げてしまった。これまずいんじゃ…

 

「…ふふ、本当にお二人は面白いお方ですね」

 

と、そんな思いとは裏腹に先ほどまで冷淡とも言える表情から僅かに柔らかい笑みを見せる。

 

「マリヒコ様、先ほどは失礼な質問を致しました。しかしこれは我が主、サーゼクス様からの試練の様なものでして、もし満足な答えが返ってこなかった場合は勲章の授与は取り消しとさせて頂きましたが…」

 

「…なぁイッセー、俺ら今とんでもない事になってない?」

 

「いや今更?」

 

イッセーに軽く耳打ちをするも、グレイフィアさんが「こほん」と軽く言う。

そしてグレイフィアさんが小さな箱を取り出し、それを俺の前に出す。

 

「それでは勲章を授与致します。こちらがマリヒコ様にお送りなさられる勲章です」

 

そしてその箱を俺は受け取る…別にこれのために戦ったと言う訳ではないが流石に魔王様のご好意を無下にするわけにはいかなかった。

 

「えーと…お開けしても?」

 

「どうぞ」

 

許可を頂き、俺はその箱を開けて見ると_

 

「…!、これって…」

 

「はい、そして一誠様にはこちらをお渡しします。この魔方陣はグレモリー家とフェニックス家の婚約パーティの会場へ転移できるものです。マリヒコ様も転移できる様に調整しておりますのでご安心を」

 

その箱の中身に驚く俺にそう返事すると、イッセーに丁寧に何か紙を渡す。

話を聞く限りは例のパーティに行けれる紙のようだ。流石に徒歩まで行けれるはずはないレベルとは思ってはいたが。

そしてそれを受け取るイッセーは驚きの表情を浮かべていた。

客として招待?…では無く、何か別の目的のためにあるかのような_

 

「サーゼクス様からのお言葉を貴方たちにお伝えします」

 

一拍あけ、グレイフィアさんは真剣な顔で言う。

 

「『妹を助けたいなら会場に殴り込んできなさい。そして勲章を持ってくるのも忘れないように』だそうです」

 

…つまり、ゲームの結果に納得いかなけりゃ会場に乗り込めと。

そう考えているとグレイフィアさんが魔方陣を展開し、部屋を後にしようとする。

 

「それでは失礼致します。赤龍帝にオーズ…どれ程のものかお楽しみにしております」

 

そう言い残し、魔方陣で部屋からどこかへ転移した…恐らくパーティ会場だろう。

 

「なぁ、イッセー」

 

「ん?なんだ?」

 

「あのさ…あの時はごめん、無理に一人で突っ走って」

 

あのライザーの戦いの際、俺が譲渡を頼んだせいで、イッセー自身に戦う力を失った。

敗因はもう色々あるけど、それが一つの原因…だと思う。

 

「い、いやあの時は仕方ねぇだろ?ほら、俺よりもオーズに変身できるお前が強いしさ?」

 

「力ならね…でもさ、お前の意思の方が強いと思うよ、ほら胸の事になる時とか」

 

「おいコラ…でもま、今からは二人で一緒に行くぞ、ほら」

 

そう言ってイッセーは拳を突き出す。

…やっぱさっき見た夢の、あの時のイッセーと何も変わってないな。

いつもは変態な癖してやる時はやる、そんな謎の根性。

 

「おう、二人で…部長を取り戻そう」

 

コツン、とお互い拳を合わせる…と、一つ気づいたことがあった。

 

「…髪、結び忘れた。洗面所借りていいか?」

 

置きてから髪をポニテにしてないことを言うと、イッセーはズルッとコケるリアクションをした。

 

「おーまーえーなー…まぁいいや。俺はちとやる事があるからゆっくりしていいぜ」

 

「ん、ありがとさん」

 

そう言って俺は部屋を後にし、洗面所へ向かっていった。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲

 

そして髪を結び終えて、部屋に戻りイッセーと一緒に準備し、イッセーはアーシアからある物を借りていた。

箱に入った十字架や聖水だ。確かにこれなら悪魔であるライザーに効きそうだけど…

 

「それって触れるとヤバイよな?瓶に入ってる聖水ならともかく十字架て…」

 

「なーに、俺には秘策があるのよ秘策が」

 

「…でもそれって」

 

イッセーと話し合った際、『赤龍帝の籠手』のパワーをフルに発動させる方法があるのを聞いた。

確かにそれならライザーに勝てる可能性があるが、それは_

 

「なーに、大した事ねぇよこんなもん。それじゃあアーシアはお留守番頼むぜ」

 

…そう言ってニカっと笑う。

出来れば無理矢理でも止めたいが、こいつの覚悟を踏みにじる訳には行かない。もしヤバイ時には俺が前に出ればいい。

 

「…やはりダメでしょうか、私がついて行くのは」

 

その様子を見てアーシアはそう呟く。

アーシアを家に残らせる理由は、元とはいえ教会所属のシスター。

そして乗り込むのは悪魔が沢山いる場所だ。もしかしたらアーシアに変な事をする輩がいるかもしれないと言う理由で残らせている。

 

「ああ、アーシアはここに残って俺たちの帰りを待ってくれ」

 

「そうそう、大丈夫だって」

 

イッセーと俺が励ますも、哀しそうな表情でジッと見て、言葉が漏れるように口を開く。

 

「……もし、血だらけでボロボロになって、それでこそもう治らないなんて…もしイッセーさんが…お二人さんが死んじゃったら私。もう耐えきれません。だからどうか約束してください」

 

「…」

 

「必ず、部長さんと帰ってきてください」

 

涙を流すも、笑顔で言う。

 

「ああ、もちろんだ」

 

「その後うちの店でパーティだね」

 

その答えを聞き、笑顔になるアーシア。

 

絶対に帰ってこよう。もし帰ってこれなきゃアーシアを傷付けてしまう。

そしたらもうイッセーに合わす顔すらない。

 

「それじゃあ…」

 

イッセーが一息いれる。

そしてお互い、胸に決意を抱く。

 

「行くぜ、マリヒコ」

 

「おうよっ」

 

グレイフィアさんから貰った魔方陣を起動させ、光が俺たちを包み込んで行く。

その間に、アーシアが笑顔で手を振るのが見えた。

俺らはそれを返すように手を振り、会場へと転移した__

 

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朱乃side_

 

会場は準備が終わり、そろそろ始まる頃。

今私達はそれぞれの飲み物を手に会長に参加していますわ。

 

「それにしても…残念でしたね。あの一撃が決まればライザーはやられていたのかもしれないもの」

 

「確か中継されていたんだってね。まぁ人間が参加したて言う異例の事態でもあるから一部のものにしか見れないて話だったけど」

 

「そうですわね…けれど、私にはこれで終わりとは思ってませんわ」

 

祐斗君とソーナ会長の話に私はそう言う。

それは勿論私以外に、祐斗君や小猫ちゃんもわかっているであろう事。

 

「はい…あの二人ならまだ簡単に諦めないと思います」

 

そんな話している中、あのライザーが魔方陣による炎を放ち会場から現れる。

 

「明快に名だたる貴族悪魔の皆さん!ご参集下さり、フェニックス家を代表し御礼を申し上げます!本日皆さんにおいで願ったのはこの私ライザー・フェニックスと、名門グレモリー家の次期当主!リアス・グレモリーと婚約と言う歴史的な瞬間を共有して頂きたく、願ったからです!」

 

そう調子のいい声が会場中に響き渡る。

少し不愉快でもあったが、今は静かに聞く体制をとる事にした。

 

「それではご紹介頂きます!我が妃!リアス・グレモリー!」

 

そして指をパチン、と弾くと魔方陣でリアス部長が召喚される。

部長の顔は笑顔が無く、ただ諦めている様子だった。

けれどご安心ください部長、きっと頼れる後輩が来てくれますもの。

 

「だってあの二人は_」

 

ドォン、とドアが開かれる音がする。

 

「部長ォォォォォォッッ!!!」

 

「すいませーん!!そのパーティ異議ありです!!」

 

人を助ける為に自分の身を張れる、可愛いヒーローですから。

 

▲▼▲▼▲▼

マリヒコside_

 

会場に乗り込んだ瞬間イッセーの怒号が響き渡り、その後俺が異議を申し立てる。

パーティの参加者が驚いた様子でこちらを注目してくる

俺らはそれを気にせずに部長を探すと、赤いドレスで身を包んだ部長の姿が目に映った

 

部長も俺らに気づいたのか、部長の目から一筋の涙が流れ、何か小さく口を動かした。

ライザーも俺らの方に気づいたのか、「チッ」と忌々しく舌打ちをする。それにしても高そうなタキシードを着ている…さすが貴族。

 

だがイッセーはそんな事を気にせず、ただ自分が助けたい人の為に息を吸い込み、イッセーは高らかに声を上げる!

 

「ここにいる上級悪魔の皆さん!そして部長のお兄様でもあり魔王様!俺は駒王学園オカルト研究部の兵頭一誠です!部長の!!リアス・グレモリー様を取り戻しにきましたぁ!!」

 

そして同時に俺も声を上げる!

 

「俺は同じくオカルト研究部の独成マリヒコです!!目的は同じく部長を取り戻す事です!」

 

会場がザワザワと煩くなる。

そんな騒ぎに構わず俺とイッセーは部長とライザーのもとへと歩き出す。

 

「おい!止まれ!なぜ人間が_」

 

衛兵らしき人がそう言って剣を俺らに振り下ろそうとした瞬間_

ガァン!!とそれを阻む者がいた。

 

「イッセー君!マリヒコ君!ここは僕たちに任せて!」

 

魔剣を持つ木場だった。白いタキシードを着ていて中々王子様っぽく似合っていた。

 

「…遅いです」

 

可愛らしいドレスを着た小猫ちゃんが衛兵を一撃で吹き飛ばす、流石『戦車』、あのパンチはメッチャ痛い。

 

「ウフフ、やっぱり来ましたわね」

 

豪華な和服を着た朱乃さんがこちらに来る衛兵を雷を落とし進行を邪魔する。

その姿は美しかったが、じっと見る暇も無く俺とイッセーはみんなに一礼をし、走り出す。

そして「ありがとう」と小声で俺らは呟き、ライザーの元へとたどり着く!

 

「部長_リアス・グレモリー様の処女は俺のもんだぁ!!!」

 

「おぃいいいいいいいい!!!??何バカ言ってんだぁああああああ!!!」

 

ベシィ!!と思いっきりチョップを入れる!!いやそれはないだろそれは!?

 

「いてぇ!?何すんだてめぇ!!折角の俺の決め台詞を!!」

 

「最低な決め台詞だな!!もっとこう…あるだろ!ほら!ファーストキスは俺のもんだ…とか!」

 

「そんな小っ恥ずかしいセリフが童貞に言えるわきゃねぇだろぉ!?」

 

「さっきの発言よりマシだと思うんですけどぉ!!」

 

ワーワー、キャーキャーと叫ぶ俺らを見て青筋を立てまくるライザー。

すまねぇ、うちの(バカ)が本当にすまねぇ。

 

「いいか!俺はハーレム王になる男だ!これぐらい怒号がある…」

 

「最低な王だなおい!お前はもう少し自重をだなぁ…」

 

「貴様らぁああ!!ここは婚約のパーティ会場だぞ!!漫才したいなら大阪にでも行ってしまえぇええ!!そして吉○に修業入りして二度と帰ってくるなぁあああ!!!」

 

そんなライザーさんのツッコミで会場はシィン…と静まり返る。

そして少しずつザワ、ザワと聞こえ始め、ライザーの身内であろう人が落ち着かない様子を見せた。

 

「ライザー、これは一体どう言う事だ?」

 

「リアス殿、幾ら漫才師を下僕にしたとは言えこれは…」

 

違います!!俺ら漫才師じゃ無いです!イッセーも「違うわか!」て顔してるし!

 

「コホン…私が用意した余興ですよ」

 

その時、一番奥にいた紅髪の男性が歩み寄って来る。

部長さんと髪の色が似ているあたり、グレモリー関係の人かな?

 

「お兄様」

 

部長がそう男の人を呼ぶ…て、お兄様!?

じゃ、じゃあこの人は大魔王ルシファー!?とんでも無い人に会っちゃったよ!!

 

「赤龍帝、そしてオーズの力が見たくて、ついグレイフィアに頼んでしまいましてね」

 

「サ、サーゼクス様!?そ、その様な勝手な事は!」

 

「それにこいつらは漫才師じゃ無いのですか!?あの欲望の王と龍の力を持つと言うのですか!?」

 

中年男性風悪魔と、細身の悪魔がそう慌てる様に言う。

すいませんね!!漫才師に見えて!!

 

「確かに彼らは愉快な人物だが、戦う力を持つ事は確かだ。この間の『レーティングゲーム』でも大きな功績を残したものだ。しかしながらゲーム経験のない妹が、フェニックス家の才児であるライザー君と戦うには少々分が悪かったかなと」

 

「……サーゼクス様は、この間の戦いが解せないと?」

 

「いえいえ、その様な事は。魔王の私があれこれ言ってしまったら、旧家の顔が立ちますまい。上級悪魔同士の交流は大切なものですからね」

 

ライザーのその意見に爽やかな笑顔でそう答える魔王様。

この人もしかしたら相当なキレものかもしれないと伺えるほどの対応だ。

 

「ではサーゼクス。お主がどうしたいのかな?」

 

紅髪の中年男性が魔王様にそう言う。

紅髪…て事は部長さん。基グレモリー家の人?随分ダンディな人だ。

 

「父上。私は可愛い妹の婚約パーティは派手にやりたいと思うのですよ。ドラゴンと古代の王対フェニックス。最高の催しだと思いませんか?数的にはフェニックスが降りそうに見えますが、不死身と謳われたその力ならお相手するのも余裕でしょう。伝説の力同士で会場を盛り上げる。これ以上に勝る演出はないでしょう」

 

その一言に会場中の悪魔が黙り込んでしまった。

魔王様が俺らに視線を向けて来る。

 

「ドラゴン使い君に古代の王の力を持つ人間。お許しは出たよ。ライザー、リアスと私の前でその力を今一度見せてくれるかな?2対1は分が悪いと思うが…」

 

魔王様の言葉を聞き、不敵にライザーは笑う。

 

「いいでしょう。サーゼクス様に頼まれたのなら断るわけもない。2対1?いいでしょう。このフェニックスの力をもってして如何なる者が束になろうとも敵わぬ事を証明しましょう!このライザー、身を固める前に最後の炎をお見せします!」

 

…ライザーはやる気の様だ。2対1と言う戦いですら笑って受けると言う。

けれど俺たちも負けるわけにはいかない!そう気合いを入れると魔王様がイッセーに何か聞いて来る。

 

「ドラゴン使い君、キミが勝った場合の代価は何がいい?」

 

「サーゼクス様!?」

 

「その様な下賤な輩に!?」

 

その申し出に様々な悪魔が避難の声を上げる。

だが魔王様は構わず続ける。

 

「下々の者が己の命をかけて戦うんだ。それならそれ相応のものを払わねばならないでしょう?さぁ、願いを言いたまえ。なんでも用意しよう。爵位かい?それとも絶世の美女かな?」

 

_物凄い申し出だ。

イッセーが欲しかった物が一瞬で手に入るチャンスだ。爵位、ハーレム王になるものには必要な物だ。

絶世の美女、女好きのこいつにはピッタリすぎる。

 

「リアス・グレモリー様をお返しください」

 

けどそれ以上に大事な人がいると言うようにイッセーは魔王様に言う。

その真っ直ぐな言葉に魔王様は満足した笑みを見せ、次に俺を見る。

 

「いいだろう、さて人間君。君にも代価を渡さなければなるまい。何が欲しいのかな?人間の寿命では使い切れないほどの富かな?それとも美女かな?」

 

その申し出に、俺もしっかりと言う。

 

「イッセーと同じです」

 

その答えを聞くと先ほどと同じく満足した笑みを見せる。

 

「いいだろう。キミたちが勝ったら、リアスを連れて行けばいい」

 

「「ありがとうございます!」」

 

その答えに俺らは礼を言う。

会場の奥へと消えて行く魔王様を、俺らはしっかりと頭を下げて見送った。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼

 

俺らはその後会場から転移すると、転移した場所はコロシアムの様な闘技場。

決闘は中継されて、会場に空中モニターとして映し出されていると言う。恐らくパーティに参加した悪魔、部長の家族、そして魔王様がこれを見ていると言う事だろう。

 

そして、向こうにはライザー・フェニックスがいた、腕をポキポキと鳴らしいつでもいけると言うアピールをしている。

俺はドライバーを装着し、イッセーはもう籠手を展開していた。

 

「開始してください!!」

 

この戦いを仕切る男の悪魔が戦いの開始を告げる。

俺はドライバーにトラ、チーターのメダルを装填する、そしてライザーが口を開き言葉を発する。

 

「貴様らの能力は既に割れている。力を倍加して、尚且つ譲渡と言う新しい能力を発現した『赤龍帝の籠手』に、様々な生物の力を駆使する『オーズ』。だが貴様らにはそれを満足に扱える技量を持ち合わせておらん。どうだ?ここで土下座をして謝るならそれなりの罰だけで済ますぞ?」

 

そう言って挑発するライザー。勿論俺らはここで引く訳にはいかない!

イッセーが闘技場の立体映像に映し出されて部長に視線を向け、満面の笑みを送る。

 

「部長、十秒でケリをつけます」

 

「…イッセー?」

 

「ほう、引く気は無いようだな、ならば俺は五秒で片付けよう。以前のようにはいかないぞ、リアスの『兵士』!そして人間!!」

 

「部長!この場所で『プロモーション』する事を許してください!」

 

その頼みの、部長はうなづく。

許可が降り、イッセーは高く叫ぶ!

 

「『プロモーション』!『女王』!!」

 

『女王』に昇格したイッセー。俺でも分かる力の波動。

よし、俺も行こう…俺はグレイフィアさんから…魔王様から頂いた勲章、否。

 

一枚の()()()()()()を取り出し、それをベルトに装填する。

それを見たライザーが眉を僅かに動かす。

 

「貴様、それは…」

 

ライザーの様子に構わず、イッセーは叫ぶ!

 

「部長ッ!!俺は木場みたいな剣の才能はありませんッ!朱乃さんみたいな魔力の天才でもありませんッ!!小猫ちゃんみたいなバカ力もないし、アーシアの治癒の力もありませんッ!!!」

 

「…でもあるだろ?たった一つだけ取り柄が、そのバカみたいな…真っ直ぐな根性が」

 

俺のその言葉を聞いたイッセーが、笑みを見せる。

 

「…ああ!俺は部長に誓います!最強の『兵士』になります!貴女の為なら俺は神様だってぶっ飛ばしてみせますッ!!このブーステッド・ギアでッ!俺の唯一の武器で!根性を見せます!!貴女を守るために!!」

 

その覚悟を聞いた俺は、オースキャナーを取り、構える。

…その根性に本当に憧れる、その真っ直ぐなまでの根性に。

なら俺はせめてそれを手助けするために体を動かそう。

 

「行くぜマリヒコぉ!!輝きやがれぇえええええ!!!オーバーブーストォオオオオオオオッ!!!」

 

「ああ…変身!!」

 

キン!キン!!キィン!!!と黄色いメダルを読み込む!そして_

 

 

《ライオン!》

《トラ!!》

《チーター!!!》

 

《Welsh Dragon__》

 

イッセーの体が紅く輝き、そして俺の体に獅子の力が溢れ出す。

力が_今までの変身と違う力が流れ込む!

 

《ラタラタ〜!ラトラーター!!!》

 

《over booster!!!》

 

 

_闘技場に、獅子と龍の咆哮が響出した。




次回、最終決戦!
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