ハイスクールD×D×O〜悪魔と龍と王の物語〜   作:カノサワ

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皆さん、大変遅れて申し訳ございませんでした!少しずつ書いて行って6月になりかけましたが、どうかよろしくお願いします!


第5話=落書きとキャラメルマキアートと聖剣破壊団

「嫌だぁああああぁあぁっ!!!俺は帰るんだぁあああぁあ!!」

 

「…なぁイッセー、人選ミスじゃね?」

 

イッセーの言葉を聞いた匙が逃げようとするも、小猫ちゃんにサブミッションを決められ逃げられずにいた。

 

まぁ匙の気持ちはわからんでもない、自信はグレモリー眷属とは顔見知り程度ぐらいしか関係なく、なおかつ悪魔にとっては天敵とも言える聖剣を破壊するなんて匙にとってはとんでもない提案だろう。

 

「そうは言ってもよ、俺が知ってる悪魔で協力してくれそうなのはこいつぐらいしか思いつかなかったんだよ」

 

「ふざけんなぁああああ!!俺がてめぇの協力なんてする訳ねぇだろぉおおぉ!!??殺されるっ!!会長に殺されるぅううう!!」

 

「あ、心配するとこそこなんだな…てっきり聖剣が怖いかと」

 

エクスカリバーの恐怖よか会長に恐怖するなんて、相当厳しいんだなソーナ会長って。

 

「そら聖剣は怖いに決まってるだろ!?けどお前らの所のリアス先輩は厳しくて優しいだろうよ!だが俺んとこの会長は厳しくて!!厳しいんだぞ!!」

 

わー…厳しさの二乗レベルか…匙、すまねぇ。本当にすまねぇ。

 

そしてどうにか匙にはヤバいと思ったら逃げてもいいという制約と、会長には絶っっっっ対内緒という制約を立てて落ち着かせ、話を進めた。

まずこのイッセーの案には狙いがある、ゼノヴィアらがエクスカリバーの奪還を狙ってはいるが、最悪破壊してでも回収するて言っていた点だ。そして木場の目的はエクスカリバーの破壊、つまり木場とゼノヴィアらは立場上敵対はしているが、聖剣を破壊すると言う狙いは合っている。

 

それ自体をあの二人に持ちかけ、今回の聖剣奪還の手伝いをし、木場が聖剣を破壊してくれて、破壊した聖剣を二人に渡せば木場の復讐は果たせるし、教会側に聖剣は破壊されたけど回収しましたて話は落ち着くが…

 

「その話をあの二人が耳を傾けるかどうかだよな…」

 

「はい、私達は悪魔で、彼女らは教会側の人間です」

 

「うーん…だよな」

 

俺と小猫ちゃんの意見に燻しげな顔を見せるイッセー。もし彼女らが悪魔を完全に敵視していたらもうこの話は通じない。

 

「それと…部長は他の部員には内緒」

 

そして小猫ちゃんの言う通り、もう一つの問題がこの話は全部イッセーの独断の判断と言うわけだ。

部長は上級悪魔と言う立場もあり、聖剣奪還事件はあくまで天使側と堕天使側の事件でもあるがため、これに悪魔が介入すればますます事件は大きくなる。朱乃さんは部長の懐刀でもある為勿論言えない。

アーシアも言ってくれれば協力はするだろうが、イッセー曰くアーシアは自分以上に顔が出やすいタイプな為嘘は付けないし、何より『魔女』と呼ばれたアーシアのあの二人に会わすのは辛いだろうと言う判断な訳だ。

 

「…もしその話し合いでヤバくなったらどうする?」

 

「そん時は全部俺が責任を取る。これは全部俺の独断で、部長達は関係ないて、だから小猫ちゃんは降りてもいいよ、匙とマリヒコはヤバくなったら逃げろ」

 

「よしやっぱ今逃げる!!バカかお前!!流石にそんな勝手な事して全部一人の責任ですなんて出来るわけねぇだろぉおおお!!!会長に殺される!!」

 

そのイッセーの言葉にギャン泣きする匙、うん本当にごめん…俺も責任取るから匙。

 

「私は逃げません、仲間のためです」

 

小猫ちゃんがそうハッキリ答える。

 

「…小猫ちゃんに便乗するような言い方だけどさ、俺も逃げんよ。それに責任は俺も取る。一人でカッコつけるなバカ」

 

_その言葉にイッセーは目を見開いた後、何も言わずに笑顔で返す。

…やっぱイッセーや小猫ちゃんは仲間思いだな、普段変態行動で嫌な顔してるけど仲間意識は強い小猫ちゃんに、一度仲間のためにやると言ったら絶対折れないイッセー。

 

「…や、ヤバくなったらマジで逃げるからな!」

 

うん、本当にごめんな匙。

 

その後二人を探すために町を探すことにした俺ら、だが彼女らは流石に極秘任務もあってか、そう簡単に見つからないと思った矢先_

 

「えー、迷える子羊にお恵みをー」

 

「どうか!!天の父に代わって哀れな私達に御慈悲をぉおおおおおお!!!」

 

「…イッセーさんイッセーさん、なんか見覚えのある二人がすぐ見えたんですけど」

 

「マリヒコよ、俺も今驚いてるところだ」

 

うん、簡単に見つかったよ!露頭で祈りを捧げる白いローブの女の子二人、目立つ目立つ。

 

「何て事だ。これが超先進国であり経済大国日本の現実か。これだから信仰の匂いもしない国は嫌なんだ」

 

「毒つかないでゼノヴィア。路銀が尽きた私たちはこうやって、異教徒どもの慈悲なしでは食事も摂れないのよ?ああっ!パン一つさえも買えない私達!!」

 

「そもそもイリナ、お前がそんな詐欺まがいの変な絵画を購入するからこうなったんじゃないか」

 

そうゼノヴィアが忌々しそうにも聖人らしき者が書かれた絵画を見る。うんなんだあの落書きレベルの絵は。

 

「何を言うの!この絵には聖なるお方が描かれているのよ!展示会の関係者もそんな事を言っていたわ!」

 

「じゃあ誰かわかるのか?私には誰一人脳裏に浮かばない」

 

遠目でその絵をよく見れば、外国風のおっさんが貧相な服装をして、頭の上に輪っかもついていて、更にその背後には赤ちゃん天使がラッパを持って祝福する様に宙を待っていた…落書きレベルの絵だけどね。あれをまさか全財産叩いて買ったのかよ…

 

「…多分、ペトロ…様…?」

 

「ふざけるな。聖ペトロがこんなわけないだろう」

 

うん、あれはただのオッサンだよもう…イリナもお前、もう自信なしげに答えてるよもう。あ、等々言い争いに発展して来たな。

 

「…どうする?そっとしておく?」

 

「い、いや、俺らの目的にはまずあの二人に話をしないとまずいからな…マリヒコ、Go」

 

「お、俺ぇ!?」

 

そんな二人を尻目に軽くイッセーに相談するも、俺に白羽の矢が立ったよちきしょうめ、ぶっちゃけ話したくねぇよあの二人と!?

 

「ほら!お前は人間だからいけるいける!」

 

「…しょうがないなぁ」

 

そう言って俺はあの二人の方に向かう。どうやら二人はお腹が空いたようで喧嘩も収まったようだ。

 

「…まずはどうにかして腹を満たそう。そうしなければエクスカリバー奪還どころではない」

 

「…そうね、それじゃ異教徒を脅してお金もらう?主も異教徒相手なら許してくれそうなの」

 

「いや主も法律も許してくれねぇぞそれ!!??」

 

そんなとんでも会話についツッコミを入れ、二人は俺の方を向く。

 

「!、お前は昨日の…何のようだ?昨日のリベンジにしにでも来たのか?」

 

「それとも宗旨替え?もしくは私達にお恵み!?…とっだめよイリナ!悪魔に信仰している者の恵みなんて…けど宗旨替えするなら受け取らない事もないわ!」

 

ゼノヴィアは軽く睨みを入れそう言って、イリナに関してはもう自分から葛藤し始めてるよもう!?

 

「違いますよ!!??…ちょっと二人と話がしたい、ちょっと向こうらの人と一緒にね」

 

そう言いつつイッセーらの方向を見ると、ゼノヴィアは警戒した様子で問いかける。

 

「……君は悪魔側の人間だろう?下手に教会の者である私達に接触をすれば問題になる、何だったらここで聖剣を抜いても…」

 

そうゼノヴィアが布に巻かれた聖剣に手をかけるも…ぐぅ〜っ、とゼノヴィアの腹部から腹の虫が鳴る、勿論イリナにもだ。

 

「…一度悪魔とか教会抜きで飯にしよっか、うち飲食店屋だし」

 

その言葉に二人の目が猛獣の如く輝き始めた。

 

▲▼▲▼▲▼▲▼

 

「うまいっ!!日本の食事はうまいぞ!!しかもイタリア料理まであるとは!!店の内装は訳わからないが!!」

 

「うんうん!!これよ!!これが故郷の味なのよ!!店の内装は混沌としているけれど!!!」

 

ガツガツとうちの喫茶レストランでおじさんの料理を食べまくるゼノヴィアとイリナ。

うちのおじさんに大部分を除いて二人が詐欺られて金が無いのを説明すると「えぇっ!?そりゃ大変だ!!」と驚いた顔をした後「お金は今度でいいから食べていって!!」と色々作ってくれたのだ。後内装に関しては外国人であるゼノヴィアにもそんな感じなのね…

 

「いや〜にしても二人とも大変だったねぇ。そんな若いのに海外から日本まで来て。お金はまた今度でいいから遠慮しないで食べていってね〜、おじさんちょっと仕込みしてくるから」

 

そう言っておじさんはキッチンに向かって言った…本当にごめんねおじさん。

 

「ふぅー、落ち着いた。君の家がレストランで本当に助かったよ、まぁ悪魔に所属してる者に救われるのは少しあれだけどな」

 

「人の店の世話になってそれですかい…」

 

軽く苦笑しつつもそうゼノヴィアに言い返す。これうちの経営に影響しないよな?

 

「ふぅー、ご馳走様でした。ああ主よ、心優しき悪魔達と悪魔の使徒にご慈悲を」

 

そう胸で十字を切るイリナ。途端『うっ!!』とイッセー、小猫ちゃん、匙が頭痛を感じたかのように頭に手を当てていた。悪魔に十字切るのは聖水や聖歌とかのダメージみたいなものか…

 

「あらっ、ごめんなさい。つい十字を切ってしまったわ」

 

そうイリナはテヘッと可愛らしく謝る。いや本当に気をつけてくださいな。俺には影響は無いけど悪魔であるイッセーらには影響があるし。

 

「で、私達に接触した理由は?」

 

そうゼノヴィアが問いただす…まぁ流石に言わん訳にはいかないよな。とりあえずイッセーに説明を任せる事にした。

 

「出来る限りおじさんに聞こえないようにお願いね」

 

「おう…あんたら、エクスカリバーを奪還する為にこの国に来たんだよな?」

 

「そうだ、それはこの間説明したはずだ」

 

イッセーに出来る限り会話が他の客に聞こえないように注意をして、話を進める。

 

「エクスカリバーの破壊に協力したい」

 

その言葉に二人は驚いた表情を見せる。

…沈黙が流れる。もしこの提案が却下されればはいおしまい、ては行かずまた別の争いを引き起こしかねない。もしその時は全部の責任は俺が取れればいいのだが流石にそうは行かないだろう。

 

「……そうだば、一本ぐらいは任せてもいいかもしれない」

 

_意外にもゼノヴィアがその提案に乗った。

その呆気なさに俺らはつい呆気に取られていた。まさかこうもあっさり行くとは思わなんだ。

 

「ちょっとゼノヴィア、いいの?相手はイッセー君とはいえ悪魔なのよ?もし上にバレたら問題よ」

 

それに異を唱えるイリナ。まぁ当然といえば当然だろうか。

 

「イリナ、正直言って私たちだけでは三本回収とコカビエルとの戦闘は辛い。彼らには正体を隠してもらえれば大丈夫だ」

 

「確かにそうかもしれないわ、けれど!」

 

「ちょ、ちょっと声が大きい!」

 

イリナとゼノヴィアが言い争いを始めたのを一回収めようと声をかける、流石にこんな大声じゃ店に聞こえるし、うちの店自体もそこまで大きくない。

 

「確かに悪魔が協力してたら問題かもしれないけど俺は人間だ。悪魔側にいるのさえバレなければ大丈夫じゃないか?」

 

「確かにそうだな…悪魔の力は借りない。代わりにそちらのドラゴンと君のオーズの力を借りる。上もドラゴンやオーズの力を借りるなとは言っていない」

 

その言葉にゼノヴィアはそう言って俺とイッセーに視線を向ける。

意外とゼノヴィアて話がわかりやすいな…その点で言えば今回の話はここまでスムーズに行っていくのは幸いだろう。

 

「た、確かにドラゴンやオーズの力を借りるなとは言って来なかったけど…屁理屈すぎるわよ!マリヒコ君だって幾ら人間とは言え悪魔を信仰しているのよ。ゼノヴィア、やっぱり貴方の信仰心は変だわ!」

 

「変で結構。だがイリナ、彼は君の古い馴染みだろう?それにオーズである彼は信仰心とは無縁と見える。彼にはそう言う匂いは感じられないしな…信じてみようじゃないか、二人を」

 

その言葉にイリナは黙り、承知の空気を出していた。

…少しホッと息を吐く。もしこれでトラブルになれば状況は悪化していたかもしれない。

 

「商談成立でいいかな?…じゃあ、今回の俺のパートナーを呼んでもいいか?」

 

そしてイッセーがスマホを取り出し、ある人物に電話をかけた。

 

▲▼▲▼▲▼▲▼

 

「……話はわかったよ」

 

木場は嘆息しながらおじさん特製ティラノサウルスが描かれたキャラメルマキアートに口をつける。あれはおじさんが木場を見て「何か気が立ってるんじゃないかな?よかったらサービスで飲んで見てよ。甘い物飲むと落ち着くから」とサービスで注いでくれた物だ。

 

それはそれとしてイッセーが「今例のエクスカリバー使いと会っている。木場も来てほしい」と電話をかけて呼んだのだ。木場自身は何も文句は言わずに来てくれたのだ。

 

「正直に言うと、エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だけどね」

 

「随分な言いようだね、そちらが『はぐれ』だったら問答無用で斬り捨てているところだ」

 

そう睨み合う木場とゼノヴィア。そんなギスギスした感じに他の客もついこっちを見ている…頼むから争わないでよ。

 

「やはり『聖剣計画』の事を恨みに持っているのね?」

 

「…当然だよ」

 

イリナの言葉に木場が目を細めながら冷たい声で答えた。

 

「でもね木場君。あの計画のおかげで聖剣使いの研究は飛躍的に伸びたわ。だからこそ私やゼノヴィアみたいに聖剣と呼応できる使い手が誕生しらの」

 

「だが、計画失敗と断じて被験者のほぼ全員を始末するのが許されると思っているのか?」

 

その言葉に木場は憎悪を含む目でイリナを見ながら答えた。

…当然だろうな。身勝手な計画のせいで仲間が殺された上に、そのおかげで他のみんなが聖剣を上手く使えるようになりましたと言ってもそう簡単に納得できる物じゃないだろうし。

 

「その事件は私達の間でも最大級に嫌悪されたものだ。処分を決定した当時の責任者は信仰に問題があるとされて異端の烙印を押された。今では堕天使の住人さ」

 

木場の言葉で困惑した顔を浮かべたイリナを見たゼノヴィアはそう言う。

 

「堕天使側に?その者の名は?」

 

その言葉に興味を持った木場が問いただす。

 

「_バルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男だ」

 

バルパー…そいつが聖剣計画なんて言う酷い事をやった人物か。

 

「…堕天使を追えばその者にたどり着くわけか。なら僕も情報を提供した方がいいかな。先日、エクスカリバーを持った者に襲撃された。その際神父を一人殺害していたよ。やられたのはそちらの者だろうね」

 

『!?』

 

その木場の言葉に全員が驚いた顔を見せる。俺も内心驚いてはいるが、木場が生還していた事自体には安心する…よく生きて帰ってきたな。

 

「相手はフリード・セルゼン。この名に覚えは?」

 

フリード!?…それって前に戦ったあの白髪の男の名だ。あいつに関しては本当にいい思い出が無い。そんな奴がエクスカリバーを持っているなんて…

 

「なるほど、奴か」

 

その名を聞いたイリナとゼノヴィアが同時に目を細める…知っているのか?

 

「フリード・セルゼン。元ヴァチカン法王直属のエクソシスト。十三歳でエクソシストになった天才。悪魔や魔獣を次々と滅していく功績は大きかったわ」

 

「だが奴は余りにもやりすぎた。同胞すらも手にかけたのだからね。フリードは信仰心なんてものは最初から持って無かった。あったのは化け物の敵対意識と殺意、そして異常なまでの先頭執着。異端にかけられるのも時間の問題だった」

 

まぁじかぁ…初めて会った時もヤバいては思ってたけど、そちらでもヤバい感じだったとは。

 

「そうか…フリードは奪った聖剣を使って私達の同胞を手にかけていたか。処理班すら始末できなかったツケを私たちが支払う事になるとはね…とりあえず、エクスカリバー破壊の共同戦線と行こうか」

 

そう忌々しそうにゼノヴィアは言った後、メモ用紙とペンを取り出した後、紙に文字を描きこちらに渡す。見た感じ電話番号か書かれているが、恐らく相手の連絡先だろう。

 

「何かあったらそこへ連絡をくれ」

 

「サンキュー、じゃあ俺たちの方も…」

 

「あっ、イッセー君の電話番号もおば様からいただいているわ」

 

イリナがそう微笑みながら言う。

 

「マジかよ!母さん勝手なことを!」

 

「ドンマイだイッセー」

 

そう狼狽るイッセーにせめてもの慰めの言葉をかけてやる。まぁ幼馴染だしいいんじゃないかな?

 

「では、そう言うことで。君の店の料理は旨かったと言っておこう、この礼はいつかしよう。オーズの独也マリヒコ」

 

「食事ありがとうね。マリヒコ君!またお世話になるわ!悪魔側についているけれど一応人間だからキミの店で食べるのはアリだって主も許してくれる筈だわ!」

 

そう二人は礼を言って、テーブルから立ち去るのを見送る。

それはそれとしてイリナさん、君のその信仰心はいいのか?

 

「にしても…どうにか上手く行ったな」

 

「だなー…正直言ってヒヤヒヤしたよ、もし失敗してたらエクスカリバーで斬られたかもしれないし」

 

そうイッセーは緊張が解れた顔を見せて言う。まぁ変なトラブルにならずには済んでよかったよ。

 

「…イッセー君。マリヒコ君。どうして、こんなことを?」

 

木場はそう静かに口を開き問いただす。

 

「?…まぁ確かに俺からしたら木場の復讐は関係ないかもしれないけど、仲間なんだし、それに前お前を助けれなかった事もあったしな」

 

フェニックス戦を思い出し、少し苦笑する…あの時朱乃さんがやられたと聞いて戸惑って、その隙を突かれやられそうになった時木場に助けられたからな…

 

「そうだな…なぁ仲間だしさ、それに俺もお前に助けられた事もあったしさ、借りを返すって程じゃないけど、今回はお前の力になろうと思ってさ」

 

「…僕が下手に動けば部長に迷惑がかかるから_それもあるんだよね?」

 

そのイッセーの言葉に木場はそう言い返す。

 

「勿論あのまま暴走してやられちまったら、部長が悲しむ。まぁ今回が俺の独断で決めたことも結果オーライになっちまったけど、教会の関係者と協力体制が取れたんだしさ」

 

そうイッセーが返すも、まだ納得してない表情を示す木場。

そして小猫ちゃんが木場に近づき、口を開く。

 

「…祐斗先輩。私は、先輩がいなくなるのは…寂しいです」

 

少しだけ悲しげな表情を浮かばせそう小さな声で訴える小猫ちゃん、いつも無表情な彼女のその顔にその場にいる俺も含めた男性陣が少し驚いた様子を見せる。

 

「…お手伝いします。だから…いなくならないでください」

 

「…参ったね、小猫ちゃんにそう言われたら僕も無茶はできないよ。わかった、今回はみんなの好意に甘えさせてもらおうかな。みんなのおかげで真の敵も分かったからね、でもやるからには、絶対エクスカリバーを倒す」

 

その訴えが通じたのか、木場が少し笑顔を見せてそう言う。

 

「…よかったです」

 

その木場の様子を見て安心したか、小猫ちゃんも小さく微笑んだ。

 

「よーし!!俺らエクスカリバー破壊団結成だ!頑張って奪われたエクスカリバーと、フリードのクソ野郎をぶっ飛ばそうぜ!!」

 

「おーっ!」

 

そしてイッセーが気合が入った声でそう言い放つ。俺もそれに応えるかのように声をあげたが…

 

「……あのー、さっきから俺が蚊帳の外みたいなんですけど、いや別にこのまま俺はいなかった扱いでいいよ?会長怖いし…まぁ木場とエクスカリバーに何の関係があるから気になるけど」

 

そう小さく言いながら手を上げる匙…あ、そうだった。匙には木場とエクスカリバーの関係を伝えてなかったな。

 

「…少し話そうか」

 

そう言っておじさん特製キャラメルマキアートを口にして、そして自分の過去を話し始めた。

 

_今聞いてみても心が締め付けられそうな物だった。教会が秘密裏で計画した『聖剣計画』

その被験者達は来る日も来る日も非人道的な実験や訓練を課され、人として扱われずにただ毎日苦痛を味わった。

 

だが、彼らにも夢があった。生きたい、ただその想いと、神に愛されると信じ込まれてただひたすらに、聖剣を持つ日_『その日』を来るのを待っていた。

その日が来れば自分らは報われ、自由を手にすることができると_だが、待っていたのは実験が失敗し、最後は『処分』される運命だったと。

 

「…みんな死んだ、殺された…神に、神に仕える者に。誰も救ってはくれなかった…『聖剣に適応できなかった』ただ、それだけの理由で僕らは生きながら毒ガスを浴びたのさ。彼らは『アーメン』と言いながら僕らに毒ガスを撒いた。血反吐を吐きながら、床でもがき苦しみながらも、僕達は神に救いを求めたんだ」

 

…俺たちはそれを無言で聞いた。

木場は施設から逃げ出せれたものの、毒ガスは既に体を蝕んでいた。

そして死ぬ寸前木場はイタリアに視察に来ていた部長と出会ったのだ。その後木場は『騎士』の悪魔に転生し、今に至る。

 

「同士達の無念を晴らしたい。いや、彼らの死を無駄にしたくない。僕は彼らの分まで生きて、エクスカリバーより強いと証明しなくてはいけないんだ」

 

…その話につい拳に力を入れてしまう。木場を含む実験体…子どもたちはきっと生きたかった筈、自由に生きたかったはず…それを身勝手な理由で殺され、自分だけ生き残った…部長自身はせめて木場が今を生きていて欲しいと願っただろうが、木場自身がそれを許さなかっただろう。

 

「…ぅうううぅ」

 

と、みんなが沈黙して話を聞いてる最中、すすり泣く様子を見せる者がいた…

匙だ、匙はすっかり号泣した顔を見せ、鼻水まで垂らしていた…そして匙は木場の手を取り言う。

 

「木場!!辛かっただろうなぁ!!キツかっただろうっ!!ちくしょう!!この世に神も仏もいないってか!俺はぁああぁぁあ!!今非常にお前に同情しているっ!!あぁ、酷い話さ!!その施設の指導者やエクスカリバーに恨みを持つ理由もわかる!わかるぞ!!」

 

お、ぉお!?なんか匙が急に熱く語り始めたぞ!…木場がちょっと引いてるけど。

 

「俺はイケメンなお前が正直いけすかなかったが、そう言う話なら別だっ!!俺も協力するぞ!ああ、やってやるさ!!会長のしごきをあえて受けようっ!!だがそれよりもまずは俺たちでエクスカリバーの撃破だ!!俺も頑張るからさ!お前も頑張って生きろよ!!絶対に救ってくれたリアス先輩を裏切るなよ!!」

 

最初こそ私怨丸出しな言葉だったけれど、そう熱くいう…さ、匙、お前そんな熱いキャラだったか?まぁやる気出してくれるならいいけど…

 

「よしっ!!いい機会だ!ちょっと俺の話も聞いてくれ!共同戦線張るなら俺の事も知ってくれよ!」

 

匙はそう気恥ずかしそうにしながら爛々と目を輝かせて口を開く…匙、まさかお前も辛い過去が…

 

「俺の目標は_ソーナ会長とデキちゃった結婚をする事だっ!!!でもな、デキちゃった結婚はモテない奴らからしたらハードル高いんだぜ?デキちゃう相手がそもそもいないからさ…でも、俺は…いつか会長とデキちゃった結婚をするんだ……!!」

 

「………はい?」

 

その匙の言葉につい気が抜けた声を出す…え?なに?デキちゃった結婚?え?

 

「なぁ…小猫ちゃん、俺幻聴が聞こえたんだけど、気のせい?」

 

「…残念ながら私にも聞こえました、残念ながら」

 

そう小猫ちゃんがいつもよりジトってとした眼で匙を見ながら答えた。

…まぁじかぁ、おまっ、匙…まぁじかぁ。

 

だが、イッセーの方を見ると…泣いていた。イッセーの目には涙が溢れていた。それは失望の涙ではなく_感動の涙であった。

 

「匙!聞け!!俺の目的は部長の乳を揉み_そして吸う事だ!!!」

 

「……ッ!!」

 

そして匙もその言葉を聞いて、ぶわっと涙を流した…え?あの?お前ら?

 

「兵藤ッッ!お前…分かっているのかっ!?上級悪魔_しかもご主人様のお乳に触れることが、どれだけ大きな目標かと言う事を!!」

 

「いやまずは二人とも黙っ「匙!!触れるんだよ!上級悪魔のおっぱいに、ご主人様のおっぱいに俺らは触れられるんだよっ!!!実際、俺はこの手で部長の胸を揉んだ事がある」

 

「そうかそうかよかったな、そしていい加減黙「バカなっ!?そんな事が可能なのか!?嘘じゃないよな!?」

 

うん、俺はお前がそんな事を考えてた事を嘘だと思いてぇよ…そして話を聞け。

 

「嘘じゃない。ご主人様のおっぱいは遠い、けどな、追いつけないほどの距離じゃない」

 

「吸う!?…か、会長の乳を吸える…ち、乳首だよな?吸う場所は乳首なんだよな?」

 

「おいいい加減にし「バカ野郎っ!!おっぱいで吸えるところと言ったら、乳首以外にあるものかよ!!そうだよ!!乳首に吸い付くんだ!!」

 

「ーッッ!!」

 

 

イッセーのその力強い言葉に匙は男泣きした_どうしてこうなった。

 

「匙!俺たちは一人ではダメな『兵士』かもしれない。だが二人なら違う!二人なら飛べる!!二人なら戦える!!二人ならやれる!!二人ならいつかデキちゃった結婚もできるかもしれない!ご主人様とエッチしようぜ!」

 

「うん。うん!」

 

「……ぉぅまぃ」

 

匙はその言葉に涙しながらうなづき…俺は隅っこで体育座りした。どうしてこうなった。

 

「…あはは」

 

「……やっぱり最低です。そしてマリヒコ先輩、ドンマイです」

 

そんな阿呆共の会話に木場は苦笑し、いつも通りの台詞を吐きながら俺も背中をポンポンと慰めるように叩く小猫ちゃん。優しさが身に染みます…

 

「さ、次はマリヒコ番だな!」

 

「さぁ独也!お前の夢を語れ!!!」

 

やべ、バカ共に目を付けられたよ。

 

「俺はみんなが平和に過ごしてくれればそれでいいよ…お前らみてーな性欲丸出しなのは御免だ」

 

「おいおい兵藤、こいつお前の友人の割には壮大な夢持ってねーじゃねぇか」

 

「仕方ねーよ匙、こいつは俺や松田と関わってる割にはウブ過ぎるからなぁ。たくっ、泣けてくるぜ」

 

そう匙にやれやれとした様子で言うイッセー…こっちが泣きてぇよ。

こうしてカオスな会話が繰り広げられたが、どうにかこうにかで『エクスカリバー破壊団』が結成されたのだった。

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