「_素晴らしい、素晴らしいよ…これが…欲望の王!!オーズの力かぁぁあああああああああ!!!」
咆哮が響き渡る。力を得た事による高揚感によるものなのか、息遣いも荒く、そして威圧感を発していた。
「な、なんて事…!」
「バルパー…なんだ、なんだそれは!!」
リアス部長がその姿に戦慄し、木場が叫ぶかの様に問いかける。
「ふ、ふふふ…コカビエルから貰ったベルトの事か?こいつは数百枚のセルメダルを消費する代わりにコアメダルの力を行使できる…つまり!!真のオーズのベルトが無くとも!適性が無くとも!これさえあれば私はオーズになれるのだ!!」
セルメダル?コアメダル?その言葉に少し疑問を浮かべるも今解決するところはそこじゃ無い。バルパーが今、オーズとしての力を得ている所だ…!
「さぁ…この力!存分に奮ってみよう!覚悟しろ!この街に潜みし悪魔よ!!」
「化け物に言われたくは無いっ!!」
その言葉を斬るかのように木場とバルパーが同時に走り、爪と刃がぶつかり合う…!
「っ…!」
「支援致します!!」
朱乃さんが空を飛び、木場が離れたところを突くかのように雷撃を放つが…!
「っ…くく、まるで効かんなぁ?」
「っ…!!」
雷撃が効かないのを見て朱乃さんが歯がゆい表情をする…どんだけ分厚いんだよあの体!?
「朱乃さん!!」
「木場!」
「おーっと!てめーらの相手は俺がしてやるっすよぉ!」
俺らが木場に加勢をしに向かおうとするも、フリードが融合したエクスカリバーを持ち、立ちはだかる。
「ま、久々の育ての親と子のスキンシップだしぃ?邪魔するのも失礼っすよ!」
そしてフリードが刃を振るうも、ガァン!とゼノヴィアが持つエクスカリバーで防ぐ!
「リアス・グレモリーの『騎士』!!こんな時に言うのもアレだが、共同戦線が生きているのならばこいつが持つエクスカリバーを破壊しよう!だから早くその様な化け物を打ち倒せ!」
「っ…いいだろう!!だが聖剣を破壊するのはそちらとしてはまずいんじゃ!?」
獣の怪物としたバルパーの爪を弾きつつもそう問いかける木場。ゼノヴィアは叫ぶ様に応える。
「ああ!最悪私はあのエクスカリバーと核になっている『かけら』さえ回収できれば問題ない!この様な外道が持っている以上。これはもう聖剣であって聖剣ではない!…使うものによって場合が変わる。異形の剣だ!」
「ダマらっシェ一!!」
フリードが剣を持つ力を込め、押し込んでくる。
「異形?聖剣?んなもんどーだっていいんだよぉ!!敵をぶち殺せれば何でも!例え!このエクスカリバーがパチモンだろうとよぉ!!」
「……何?」
その言葉にゼノヴィアは燻しげに言う…パチモン?
「お前らよぉ?ば〜〜っかじゃねぇの!?名前だけで有り難っちゃったり!畏れちゃったり!!!今頃本物のエクスカリバーはどっかの泉で不法投棄されてんの!!お前らにわかか???」
…泉?不法投棄…あ。
「そ、そう言えばエクスカリバー…いや、基アーサー王の伝説じゃ最後泉に沈めたって!」
俺もそこまで詳しくは無いが、確かアーサー王が死する時に家臣か何かにエクスカリバーを泉に入れる様に命令した事を思い出した…じゃああのエクスカリバーは!
「っ…流石の私もそれは知っているさ!だが戦争の際にサルベージされたと…」
「んな訳ねーじゃん!!なぁバルパーの爺さんよ!」
その答えをゼノヴィアが言おうとした瞬間、フリードがそう言い放つ。
ガキィン!!と木場の剣と相殺した瞬間離れ、動きを止め、空を仰ぐかの様に言い始める。
「………私もその事実に気づいた時には深く絶望したものだ…まさか私達が崇めていたエクスカリバーがデッドコピーだったとは…確かにそのエクスカリバーはどの聖剣よりも凄まじいが、『神造兵装』である真のエクスカリバーには及ばなんだ…だが、私は諦めなかった。そのエクスカリバーが魔を討てば真となろう!だからこそ!私はエクスカリバーを使える英雄!その者を人工的に創り出せる様に研究したのだ!!そしてようやく完成した!感謝するぞ!」
「なんだと!!完成した!?お前が僕達を失敗作だと断じて処分したじゃ無いか!!」
怒りを込め、再び魔剣による一撃を放つも爪でガキィン!と防がれる。
完成?確かあいつは計画は失敗したからこそ木場を含む子どもを皆殺しにした…それが成功?
「否!!聖剣を扱うのには必要な因子があると知ったのだ!かのアーサー王が竜の因子を持つかのように!君達被験者少年少女には確かに聖剣を扱える因子はあったが、そのエクスカリバーを使うまでには満たなかった…だが私は一つの結論に至った!『因子だけを抽出し一つに集める!』とな!」
「っ…なるほど、読めてきたぞ。聖剣使いが祝福を受ける時、体に入れられるのは…!」
ゼノヴィアがフリードと鍔迫り合いをしつつ何かに気づく。
因子?祝福?その疑問に思いつく俺を置いていくかの様にバルパーは続ける。
「そうとも、聖剣使いの少女よ…持っている者たちから抜き取り、結晶を作り上げたのだ。見ろ、お前たちの努力の結晶だ」
木場の剣を受け止めてないもう一つの腕から何か柔らかい光り輝く球体を取り出す。それを見た木場が何かに気づくかの様に目を見開かせる。
「…まさか」
「これにより聖剣使いの研究は飛躍的に向上した。だが教会の者どもは私だけを異端と排除し、研究資料を奪ったのだ…貴様を見るに私の研究は誰かに引き継がれてる様だ。ミカエルめ、私を断罪して努力の成果だけを奪うとはな…まぁあの天使の事だ。因子だけ抜いて殺すまではしていないと思うが…だが最早その様なモノはどうでもいい!私は力を得た!我らがこの街に潜む邪悪を滅し!!私が真のオーズ!!欲望の王となろう!!」
_何と言う事、こいつは自分が正義だと言い張り殺しを正当化している…
「同志たちを殺して因子を抜いたのか…そして今度は王になるとまで来たか!!」
木場が殺意を込め、剣を押し込むもバルパーは余裕そうに受け、話を続ける。
「そうとも、この球体はその時の物だ。三つほどはフリード達にも使ったが、これが最後の一つだ」
「ヒャハハハ!!俺以外の奴らは途中で因子に体がついて行けなくなって死んじまったけどな!ま、俺様がスペシャルだったてわけよ!」
「ざけんな!てめーが死んどきゃよかったよ!こう言う輩に限ってしぶといって本当だな!!」
「それはお前らにも言える事ですよ〜」
そのイッセーの言葉におちょくりつつもゼノヴィアの剣戟を交わし、俺らに攻撃を仕掛けてくる!
「っ!!」
俺がカマキリの刃で弾こうもするも受け切れず、退いてしまう…!
「マリヒコ!!」
「イッセーは力を溜めて!聖剣に斬られたらヤバいから!」
相手はもう複数の聖剣を重ねてんだ!イッセーの様な悪魔が斬られたら即死だ!せめて俺が凌ぐしか…!
「バルパー・ガリレイ…!!自分の欲望の為にどれだけの命をもてあそんだ!お前に王になる資格など!!」
「黙れっ!!」
「っ!!??」
ドゴォッ!!とバルパーの蹴りが炸裂し、木場は吹っ飛ぶ!
「祐斗!…よくも私の眷属を!!」
リアス部長が怒りを込めて紅い魔力の一撃を放つも、バルパーはそれを回避し、手に持つ結晶をコロコロと回す。
「ふん!欲しければこれは貴様にくれてやるさ。環境さえ整えば量産できる段階まで研究は進んでいる。貴様らを皆殺しにした後そちらの持つベルトとメダルを全て奪おう。この街をコカビエルと共に破壊した後に世界各地に保管されている聖剣とメダルをかき集め、聖剣使いを量産しよう。ベルトも研究が進めば其の内改良し、量産できるさ。そしてミカエルとヴァチカン…否!!悪魔と天使に戦争を仕掛けてくれる!そして私は世界の王となってくれよう!!コカビエル!!フリード!!喜べ!!貴様らは私の側近だ!!」
バルパーが木場に向けて結晶を投げ捨てた後、ふは、ふはははといかにもな笑いを上げるバルパー…狂ってる。あいつはもうとっくに王になっている気分であろう…。
「…みんな…」
木場が蹴られた部分を押さえながら立ち上がり、転がる結晶を愛しそうに、そして哀しげに拾う…懐かしむかの様に拾った結果を撫でている。
「すまない…僕はみんなの仇を打てそうに_」
木場が謝るかの様に泣きながら、その結晶に言うと_
《泣かないで》
「…え?」
_何かが聴こえた。木場もそれに気づいたかの様な様子を見せる。
「イッセー…聴こえた、か?」
「え?俺には何も…!」
その時だった。木場の持つ結晶が淡い光を放つ。
それはまるで木場を優しく包み込む様に。抱きしめるかの様に。
そして校内の地面からポツポツ、と光が浮いて、形を創り出す
そして木場を囲み、現れたのは青白い光を放つ少年少女だった。
「あれって…!」
「…この戦場に漂う様々な力が、因子の球体から魂を解き放ったのですね」
俺らの近くから地面に降り立つ朱乃さんがそう言う…そんな事が起きるのですか!?
よく見れば確かに周りは悪魔や堕天使、そして魔剣や聖剣に龍…確かにこんだけ揃えば奇跡は起きるのもあり得るかもだ。
「みんな…僕は…ぼくは…!!」
木場は彼らを見つめ今でも泣き出しそうに、懐かしそうに言う。
…あの子達はきっと木場と一緒に過ごし、最期に処分された子供だろう…
「ずっと…ずっと思っていたんだ…僕が、僕だけが生き残っていいかって…!!僕より夢を持っていた子がいた。僕よりも生きたかった子がいた…!!僕だけが平和な…幸せな…暮らしをしていいかって…!!」
その問に霊魂の少年が木場に微笑みながら何かを言う。
…少しだけ聴こえるが声が小さく、聞き取りづらいが朱乃さんが説明するかの様に言う。
「……『自分達のことはもう良い。復讐なんてしなくていい…だから、欲望に囚われているあの人をあんなものから解き放って、そして生きて』彼らはそう言ったのです」
_解き放って、あの子はあの外道、バルパーを赦すと言ってる様な物だ…それを聞いた木場は、少し驚くかの様な表情を見せるも、うなづく。
そして少年少女達が口を動かし、何かリズミカルに同調させる。これは、歌?
「_聖歌」
アーシアが気づいたかの様に言う。
あの子達は聖歌を歌っている事に、木場も涙を流しながらその聖歌を口ずさみだす。
恐らくそれは苦しく、辛い人生でも唯一の希望と夢を保つ為に歌う。
そして彼らの体…魂が青白い輝きを放つのだ。その光は木場を中心に包み込んでいき_
『僕らは一人ではダメだった_』
『私達は聖剣を扱える因子が足りなかった。けれど_』
『みんなが集まれば、きっとだいじょうぶ_』
「…聴こえる、俺にも彼らの声が!」
イッセーがそう言う。本来聖歌は聞くだけでも悪魔を苦しめる物だ。だが不思議な事にイッセーを含めたリアス部長の眷属は誰も苦しい様子を見せなかった…むしろ暖かさ、尊さを感じる。大事な友を想う歌に_
『聖剣を受け入れるんだ_』
『怖くなんてない_』
『たとえ神がいなくても_』
『神が見ていなくても_』
『僕達の心はいつだって_』
「_ひとつだ」
あの子らの魂が天に昇り、一つの大きな光となり木場に降りてくる。
優しくも神々しい光が木場を包み込み_
「_僕は剣になる」
_木場の手に力が集まる、光、闇、それが集まり、形を創り_
「…それは…それはなんだ!!イザイヤぁああぁあああぁあ!!!!」
_一本の剣が創られた。それは禍々しくも、神々しい力を放つ一本だった。
▲▼▲▼▲▼
「…大きな力を確認しました、これは…『禁手』クラス!?…赤龍帝の力が発動したの…?」
《…いや、これは別の神器のエネルギーパターンだな。よし、丁度良い具合だ》
「了解…それで出動致します」
ブォン、と夜の街にエンジン音が響き渡る。
ヘルメットを被った女性が跨るバイクを走らせ、腰に付けているベルト、真ん中にカプセルの様な物が付けているベルトにメダルを一枚投げ入れる。
「起動許可認証…変身!!」
ガリッ、ガリィッとベルトに付けてあるガチャガチャを回す様なハンドルを回すと、カポォンとカプセルが開閉すると_ガシャン、ガシャン、と女性に鋼鉄の鎧が装備される。だが鎧は中世のような物ではなくまるでSF映画に出てくるものの様なメカニカルな物だ。
「待ってなさい…私が着くまでくたばるんじゃ無いわよ」
駆ける、夜の街を、バイクが戦場へと_