ハイスクールD×D×O〜悪魔と龍と王の物語〜   作:カノサワ

50 / 55
お気に入りが270超えて本当嬉しいです。皆様本当にありがとうございます。


第9話=囚われし吸血鬼と裏切りと牙=前編

グレイフィアさんから急かされるよう転移された後、会議室に代わり目の前に映る光景は変わっていた。

転移先は部室だが、いつもの光景とは打って変わってローブの魔術師が我が物顔で占拠していた。

 

「っ!!転移だと!?妨害はどうした!」

 

「悪魔に、悪魔の飼い犬に成り下がった欲望の王か!」

 

突如現れた俺らを見るなり動揺するも、何人かがすぐさま戦闘体制に入る。

その魔術師達がいる奥に視線を向けると、椅子で縄に縛られているギャスパー君が目に入る。

 

「ギャスパー君!!」

 

「ぶ、部長!マリヒコ先輩にイッセー先輩!」

 

ギャスパー君は俺らを見つけるなり、涙目ながらでこちらに視線を向ける。

部長やイッセーも、ギャスパーが無事な事に安堵するも、まだ油断は出来ない状況かすぐさま警戒体制に入る。

 

「待っててくれ!今助け…」

 

「あら、動かない事よ?動けばこの子の首を掻っ切るわよ」

 

すぐさま救助へ向かおうと走り出そうとするも、魔術師がギャスパー君の首元に銀色のナイフを突きつけた。

 

「!!…卑劣な真似を」

 

そんな敵の行いに部長は魔術師を忌々しく睨むも、ギャスパー君は弱々しく、涙を流しながら言う。

 

「部長…もう、いいです。僕は…死んだ方がいいんです。漸く立ち直れたと思った矢先、結局こうなっちゃいました…お願いです部長、先輩。僕を殺してください…この眼のせいで、皆さんに迷惑をかけてしまった…僕は誰とも仲良くなんてできないんです…迷惑ばかりかけて…自分から踏み出せない臆病者で…」

 

彼は涙を流し続けながら弱音を吐き続ける。

…敵に捕らわれ、利用された。その結果が彼を苦しめている、だがそれはギャスパー君のせいじゃない。

それをわかっている部長は彼に優しく微笑み、語りかける。

 

「バカな事を言わないで、貴方を見捨てて殺すわけないじゃない。貴方を眷属に転生させた時言ったわよね?生まれ変わった以上は私のために生き、そして自分が満足できる生き方を見つけなさい…と」

 

「…見つけられなかっただけです。こんな事を引き起こしてまで僕は生きたく…」

 

部長の言葉を聞いてもギャスパー君は首を横に振り、否定的な言葉を言う。

だけど部長はそれでも諦めず、彼を見つめながら語りかけ続ける。

 

「貴方は私の下僕で眷属なの。私はそう簡単に見捨てる性格じゃないのは知っているでしょ?やっと踏み出した貴方を踏み躙らせる様な真似はさせないわ」

 

「そうだぞギャスパー!俺達と部長はお前を見捨てないからな!俺達男子チームの夢がまだ叶ってないしな!」

 

「だから…いい加減ギャスパー君を離せ。怪我はさせたくない」

 

部長とイッセーがそう語りかけ、俺は右手に持つメダジャリバーを魔術師達に向ける。

だが、相手は怯むどころか逆に冷笑を浮かべていた。

 

「あらまぁ。怖いわね?けど状況はわかってるかしら、もし貴方達が下手に動けばこの銀のナイフをこの子に刺すわよ?銀の武器は吸血鬼に取っても効くのよ?まぁこの子が死ねばみんなが停まってる状態も解かれるし。何よりこの子、死にたがってるじゃない…」

 

ホホホ、と相手はフード奥からでも分かるような悪意の込めた笑みを浮かべ、ギャスパー君の首元にそのナイフを近づけていく。

 

「噂に聞くグレモリー一族は情愛が深くて力が強いとは聞くけど、そのせいで追い詰められるなんてね?頭が悪いにも程があるわよ。こんな危険なヴァンパイア、さっさと洗脳して道具として使えばもっと優位に立てたじゃ無いかしら?今の私達みたいにね。まぁそんな事も出来ないからあのフェニックスとの戦いで大事な仲間を傷つけられたから投了、なんてバカな真似をしたものね?」

 

他の魔術師も、あのライザー・フェニックスさんとの戦いを語りながら部長を侮辱し始める。

それにはイッセーも勿論耐えきれず、頭に青筋を立てて殴りかかろうと動こうとするが、部長がそれを手で遮るように止める。

 

「ど、どうしてですか部長!こんなヤツら一発殴らねぇと…!」

 

「冷静になりなさいイッセー。今ギャスパーは人質に取られてるのよ…それに、あんな奴らの言葉なんてどうも思わないわよ。これから先、他の者から厳しい言葉も来ると思えば大したことないわ」

 

部長はそう冷静な顔で返すも、魔術師達を見る目は鋭いものだった。

…恐らく、内心怒ってはいるだろう。だがその怒りに任せて行動すればギャスパー君に危険が及ぶ。イッセーもそれを理解したか、歯を食いしばりながらも魔術師達を睨みつける。

だが、それを面白くないと感じた様子を見せる魔術師達が、手に小さい光を作って部長にそれを放つ!

 

「部長!!」

 

「っ!!」

 

その小さい光を庇うようにイッセーが部長の前に立ち、俺もメダジャリバーで防ぐように立つ。

光の玉自体の威力はそこまで無かったかメダジャリバーに当たるも、腕に振動が来た後すぐさま四散して消えた。

 

「生意気な口ね。それに悪魔のクセに美しいのも気に入らないわ、グレモリーの娘」

 

相手はよく見れば女性の魔術師で、嫉妬に満ちた声音と共に部長を睨みつけつつも、ギャスパー君に突きつけるナイフは決してどかそうとしなかった。

 

「…チッ。分かったわよ、それなら人質の交換と行きましょう?そこのオーズ。今すぐその武器を捨てて変身を解除しなさい。言うこと聞かないなら…分かってるわよね?」

 

すると相手は俺をみながらそう要求する。

…もしこの要求を呑まないならギャスパー君にナイフを突き刺すと言わんばかりに、ナイフを彼に近づける。

 

「情愛が深いとはいえ、それは自分の眷属悪魔だけ…寧ろ良い条件だと思うわよ?ペット人間と悪魔ヴァンパイア。どっちに価値があるかなんて理解できるわよね?」

 

「て、テメ…おいマリヒコ!言うこと聞く必要は…おい!?」

 

またしても部長に侮辱し続ける魔術師に対し、イッセーが怒りを見せながらも俺を止めようとするが…ガシャン、とメダジャリバーを床に放り捨て、ベルトを外して俺は変身を解除した。

 

「これで良いよな…約束は守れよ」

 

「あら?話が早くて助かるわ。ベルトを片手で持ったまま両手を上げてこっちへいらっしゃい…」

 

女魔術師はわざとらしい妖艶な声音と共に、笑みを浮かべながら手招きをする。

 

「マリヒコ…!」

 

「…」

 

俺が一歩歩くと共に、部長は少しだけ焦った様子を見せるが…俺は振り返り、部長が読唇術が使える前提で口パクである事を告げた。

 

「!……良いわ、行きなさい。ギャスパーとマリヒコと交換…これで良いわよね?」

 

「あらあら…可哀想に?貴方の飼い主はやっぱり人間より悪魔の方が良いらしいわね?おいで…慰めてあげるわよ」

 

部長はハッキリと俺にそう告げた後に、人質交換に承諾するかのように魔術師に言う。

そして魔術師は部長を軽蔑するかの様な視線で見た後、次に俺を憐れむかの様な目で見ながら告げる。

 

「お、おい…!」

 

「…」

 

イッセーが俺を止めようと声をかけるが、少し振り返り俺は目線でイッセーの顔を見つめる。

…これで覚悟が伝わったか、これ以上は何も言わないと頷いた。

一歩、一歩と魔術師達へ近づいて囚われてるギャスパー君の横へ辿り着く。

 

「…次はギャスパー君を解放しろ」

 

「えぇ…良いわよ??」

 

「なんて、素直に言うこと聞くと思った?」

 

と、魔術師がその言葉と共に指を弾くと、ガチッと俺の肢体何かが絡みつく感覚が伝わる。

 

「っ!!」

 

「ま、マリヒコ!!」

 

俺の状態を見てイッセーが声を上げる。その正体は…俺の体付近に一つの魔法陣が展開されていた。

その魔法陣からは俺の手足を縛るように光の輪が展開され、それを見た魔術師達が面白そうに笑った。

 

「バカねぇ??状況は私達が有利なのよ??」

 

「けどこれでようやく手に入ったわ…オーズの肉体を」

 

「なに…!」

 

手足から伝わる痺れを我慢しつつ、その魔術師の言葉に反応する。

 

「…貴方達の目的はギャスパーだけじゃなかったの??」

 

「勿論よ??無能なお姫様。私達の背後にオーズのベルトだけじゃなくて肉体を欲しがってる者がいるのよ」

 

「えぇ、伝説の錬金術師が作り出したオーズのベルトとメダルにも興味はあるわよ?まぁこの子の体を差し出せばその方からメダルの生成技術も与える、て言ってくれたわ?」

 

…殺気を込めた。部長の問いに、侮蔑的な声音を乗せながら答える。

 

「…何者かしら」

 

「良いわよ?冥土の土産に教えてあげる…初代オーズの側近よ。あの方は初代オーズが自滅した後にも自分をメダルの体にして生き延びてきたの。そして『禍の団』にも協力している…私達がセルメダルを持ってるのもそれが理由よ。これでいいかしら…このまま動かないならこの子達は助けてあげる。じゃあ死になさい」

 

_魔術師達が手を上げた瞬間、部長は不敵な笑みを浮かべる。

 

「あら?自分の死を悟って笑うしかなくなったようね?」

 

「いいえ、まさか貴方達がペラペラと情報を教えてくれる事におかしくって堪らないの。初代オーズの側近…まさかそんな奴が今日まで生きてたなんてね?」

 

魔術師達が慢心を持って、口を滑らせた事を指摘する部長。

だが、状況は変わらずギャスパー、そして俺が人質、その自体は変わらない。

 

「あっそう。じゃあ死になさい」

 

こうして、魔術師達は攻撃呪文を発動した_

 

「_キー!!」

 

_未来は訪れず。俺の懐から響いた鳴き声が一瞬だけ魔術師達の気が俺に注目した。

俺の懐から聞こえ、飛び出る者の正体。それは紅いコウモリである部長の使い魔、俺が勝手にアザゼルさんのところに行った件でしばらく俺を見張る役割で俺について来ていた。

そしてパァ!と光と共…なんと、人間の姿に変身して着地する。

その人の姿にどこかは見覚えがあったが、今はまだ思い出す暇は無い。

 

「何!?」

 

「使い魔を仕込んでいただと!?…ぐぁっ!?」

 

動揺した魔術師達の隙を狙い、人間に変身した部長の使い魔が魔術師達を蹴り飛ばす。

そして俺の魔法陣を維持してた魔術師がやられたか、俺を縛ってた魔法陣が消え去り解放される。

 

「イッセー!!地面に落ちてるメダジャリバーを!!」

 

「あぁ!!」

 

その言葉と共にイッセーが俺に向けてメダジャリバーを蹴り飛ばす。

地面を擦りながらこっちへ来るメダジャリバーをキャッチしてすぐさま構える。

 

「貴様!!舐めた真似を!!」

 

先程まで余裕そうな様子から一変し、怒りを見せて魔術師が俺に光の玉を放つ、が。

 

「っ!!」

 

「ぐぁっ!?」

 

木場から見よう見まねで学んだ剣術でその玉を弾き、俺の近くにいた魔術師一人に、斬らないようにと念じながら肩に刃を当てると、短い悲鳴を上げながらその魔術師が倒れた。肩には刃が入ってなくて切れてないが、感電したかのように痙攣はしていた。

だが…すぐさま魔術師達が俺と使い魔を囲んで魔力を貯め始める。

 

「殺せ!!よくも味な真似を…」

 

「マリヒコ先輩!!」

 

ギャスパー君の悲鳴が聞こえる。

_後数秒で俺は殺される。だが…この状況を打開する方法はあった。

 

「ギャスパー君!!…俺は勇気を見せた!!部長やイッセーを信じてここまで来た!!次はお前だ!!」

 

「ギャスパー!貴方を決して見捨てたりしないわ!貴方が間違えたなら何度でも、何度でも叱ってあげるわ…!慰めてあげる!絶対貴方を放さないわ!」

 

俺と部長がギャスパー君を鼓舞する様言う。

それを聞いたギャスパー君が、涙を目に浮かべながら呟く。

 

「マリヒコ先輩…部長…!ぼ…僕は…!!」

 

「ギャスパァアアァアアアァアアアァアア!!逃げるな!!恐るなァ!!泣き出すなッッ!!俺も!!部長も!!マリヒコも!!朱乃さんも!!アーシアも!!木場も小猫ちゃんもゼノヴィアも!!皆仲間だ!!絶対お前を見捨てない!だから…次は!!お前が皆を助ける番だぁ!!」

 

イッセーがそう吼えながら、左腕を掲げて赤い籠手_赤龍帝の籠手を展開する。

 

「ブーステッド・ギア!!」

 

《Boost!》

 

「ついでにプロモーション!『女王』へ昇格します!!更にアスカロン!来い!」

 

神器を発動した後、部長の承諾を得て更にイッセーが力を増す。

 

《Blade!》

 

更には籠手から刃が飛び出る。

アスカロン、イッセーが手に入れた新たな武器_それを。

 

「っ!!」

 

魔術師でなく、自らの右手の甲を切る。

 

「イッセー!?」

 

「は?…何をしているの…?」

 

部長はその行動に驚きを隠せず、魔術師も怪訝そうにする。

 

「ギャスパー!!いくら皆に励まされてもウジウジしてるだけじゃなんもならねぇ!自分から立ち上がらなくちゃな!!女の子に喝を入れてもらったら立ち上がれ!テメェには男としてのモノがついてるだろうがッッ!!」

 

ピッ、と剣が展開された籠手を振るうと。剣についたイッセーの血がギャスパー君の方へ飛んでいく。

 

「!!…そう言う事か!?」

 

魔術師がイッセーの企みに何か気付いたが、既に遅かった。

血はギャスパー君の口元へ付着する。

 

「飲めよ。最強のドラゴンの力を宿してる俺の血だ。頼む…マリヒコと部長の使い魔を助けてくれ!」

 

イッセーの悲願の言葉を聞いたギャスパー君は_強く頷き、それを舌で舐めとる。

 

「これ以上何かしてみろ!オーズを…!?」

 

_その時、不思議な事が起こった。

俺の体に何か不気味な感覚が襲いかかった、それは俺だけじゃなくこの場にいる全員もそうだろう。

それを感じた1、2秒後_部室の天井付近に何かが大量に飛び上がった。

 

「!?」

 

それはチチチ、と不気味な鳴き声を放つ大量のコウモリだ。

 

「変化したのか!?吸血鬼め!!」

 

俺が驚愕した後、魔術師達がそのコウモリ達を忌々しそうに見る。

更には椅子に縛られていたギャスパー君もいつの間にか消えていた。あれが…ギャスパー君!?

 

『_聞こえますか?マリヒコ先輩』

 

ふと、耳元に飛んでた一匹のコウモリからギャスパー君の声が聞こえる。

 

『今から僕は魔術師達の動きを停めます。その隙に逃げてください』

 

「ギャスパーなのか…あぁ…任せた!」

 

いつの間にか部長の使い魔はコウモリ形態になってて俺の懐に潜っていた。

それを確認し、そこから部長らの元へ足を向ける。

 

「逃すか…!?」

 

俺が逃げるのを阻止しようと魔術師は何かしようとするが、次に聞こえたのは何かに驚く声だ。

部長らの元へ辿り着き、魔術師達の方を向くと…彼女らの地面にうつる影から無数の黒い手が這い出て、それが彼女らを掴んで捕縛していた。

 

「く、これは…!?」

 

「吸血鬼の能力か!くらえ!」

 

それに抵抗しようと何度も影に魔力弾を打ち込むも、命中しても影の手は霧散するだけで、またすぐに再生して魔術師達を掴み始める。

更にはコウモリ達が魔術師の体に群がり、噛みつき始める。

 

「っ!?血を吸うつもりか…いや!」

 

「魔力だ!私達の魔力を吸い出してるぞ…!チッ!メダルを使え!」

 

影の手とコウモリに翻弄される魔術師の一人がそう言うと、他の者も銀のメダル、セルメダルを取り出して額へ入れ始めた。

そして体からミイラ怪人_ヤミーが這い出て、俺らの方へ歩き始める。が。

 

『無駄ですよ。貴方達の動き、その怪物は全て僕が見ています』

 

室内へ響き渡るギャスパー君の声と共に、コウモリがヤミーを赤い眼で見つめると…そのヤミーの動きが停まった。

 

「…凄い」

 

「て言うかあの影の手とか、分裂してコウモリ…アレがギャスパーの力ですか?」

 

その活躍ぶりに俺が一言呟くと、ギャスパー君の力に驚愕したイッセーが恐る恐る部長に尋ねる。

 

「えぇ、あれが本来ギャスパーが秘めていた力の一部よ。龍の力が宿るイッセーの血を飲んだ事で解放されたのね」

 

「…あり得ない。あり得てたまるか!!こうなればリアス・グレモリーだけでも!!」

 

自棄になった魔術師が魔法を放つべく手を部長に向けるが_。

 

『させません!…僕が貴方達を停めて、みんなを守ります!!』

 

無数のコウモリが、魔術師全てを見る。

その瞳が赤く輝いた瞬間_魔術師達が停まった。

 

『皆様!お願いします!』

 

「部長!!マリヒコ!!ヤミーは頼みます!!」

 

ギャスパー君がそう言うなり、すぐさまイッセーが魔術師達の方へ走り出す。

すぐさま俺と部長も停まってるヤミーを見て攻撃準備へ移る。

 

「えぇ!!」

 

「わかった!!」

 

ヤミーはメダルで出来た怪物。なら手加減はいらない…そう言わんばかりに俺が思いっきりメダジャリバーを次々にヤミーに振るいつけると、ヤミーに一線の切り傷が入る。

部長もヤミーに狙いを定め、部室を破壊しない程度の紅い魔力で消滅させていく。

そしてイッセーは_。

 

「_俺達の友情が紡いだ道」

 

「_そして俺の夢」

 

その言葉と共に、停まってる魔術師達を一人一人タッチして…まさか。

俺の嫌な予感と共に、イッセーが部室の真ん中で何かポーズを取ると…。

 

「弾けろ。俺の妄想_今こそ現実に」

 

パチン、とイッセーが指を弾くと。

 

「『洋服破壊』ッッ!!!」

 

バァン_と、魔術師達の服が弾け飛んだ。

やっぱりかよ、そんな心境と共にすぐ俺は目線を魔術師達から逸らす。

 

「これぞ、友情コンビネーション…マリヒコ、ギャスパー。俺達が組めば無敵だ」

 

『はい!』

 

ギャスパー君よ、コイツみたいな変態にならないでくれ。

 

「後輩が相手を停め、友が襲いかかる敵を打ち倒し。先輩たる俺が服を弾け飛ばす。最強じゃないか、無敵じゃないか!!これで念願の夢が叶う_」

 

「部長、一回メダジャリバーの電流をコイツの頭に叩きつけて良いですか???」

 

「ダメよ。後で私がキッチリお仕置きしておくわ」

 

部長がそう嘆息しながらも、イッセーがお仕置きされる未来が決まった。

 

_▲▼▲▼_

 

「こちらレイナーレ。新たなる敵を確認…」

 

《あぁ!とにかく目についた敵は倒せ!悪いがこっちも丁寧に命令してる暇はない!》

 

今の状況、この私事レイナーレは今カッターウィングによる空中飛行で魔術師達の攻撃を回避しつつ、手に持つセルメダル射出銃_バースバスターで一人一人撃ち抜いていく。

無論地上にも魔術師どころかヤミーも大量に現れて、リアス・グレモリーの眷属『騎士』である木場祐斗が、もう一人の『騎士』であろう青髪の女性と共に報告に受けていた聖魔剣とか言う滅茶苦茶な武器で魔術師やヤミーを切り裂いていく。

もう一人の『騎士』の持つ剣も、凄まじい聖エネルギー。更にはバースに搭載されてるあらゆる神器や伝説の武器をサーチする機能で、あの剣がデュランダルである事がわかった。

 

「リアス・グレモリー…いつの間に伝説の聖剣を使う人まで眷属悪魔に引き入れるなんてね。敵に回したくない…わ!」

 

軽く、皮肉げにボヤきながら背後から来た魔力弾をレーダーで察知して回避しつつ旋回し、その魔力弾を撃ったであろう魔術師に素早くセルメダルのエネルギー弾を叩き込む。

更にはアザゼル様も今、ある敵と戦っていた_先代レヴィアタンの血を引く旧魔王とやらの一人、カテレア。

 

カテレア曰く、旧魔王派の者達はほぼ『禍の団』に入ったとの事だ。

旧魔王…旧四大魔王が滅びたのちに今のような新しい魔王時代を作ろうとした矢先、反対した者たちだ。

結局の所押し切られてその派閥は冥界の隅に追いやられてしまったの事だ。

…恐らくそれだけじゃない。奴らの背後には今回の和平を嫌がる堕天使や天使達もいる可能性がある。現に人間である魔術師もこうやって襲来しているからだ。

神の死?三勢力の和平??更にはそれに反対するテロリスト??過去の私が知れば嘘だと笑い飛ばすような事実を脳裏に浮かばせながらバースバスターのマガジンを取り、溜まった力を失い残りカスと化したセルメダルを放り捨てて補充しながら地上へ降り立つ。

 

「笑えないわね…!とんでもない事実が飛び交う中で私がいるなんて!」

 

「そっちはどうだい?…レイナーレ、もしくはバースと呼んだ方がいいかな?」

 

「正直言って逃げ出したいわよ…!好きな方で呼びなさい!!」

 

その最中に私の後ろ横にいた木場が私を労うが如く聞いてくる。

 

「堕天使と共に戦うとはね。未来はよくわからないよ!」

 

青髪の女性も聖剣デュランダルを思いっきり振るい魔術師達を、校庭を抉りながら打ち倒していく。

幾ら悪魔の力とかで直せるとはいえ、自分の学校を破壊するのは少し引く。まぁ私も過去に教会にあった聖人の像とかを壊してたから人の事は言えないが…いや少し違うわね?私のは聖なる者に対しての冒涜から、あの聖剣使いは多分脳筋からであろう。

 

「しかしキリが無いね!魔術師もドンドン来るしヤミーも多い…!」

 

「ここでやられたらアザゼル様の負担にもなるわ…!」

 

木場も私と同じ、何度も何度もやられても召喚魔法陣から現れる魔術師にウンザリする様子を見せる。

今会議室にいる者が魔術師転送用の魔法陣の解析をしている。それが終わればすぐさまそれを封じ込ませて、魔術師達を来なくさせれる。そうすれば私達の勝ち。

もし過去の私なら、アザゼル様がいるから勝利は間違いないと慢心した筈だ。凄まじい轟音と光を放ちながら激しい攻防を繰り広げるアザゼル様とカテレアを一瞥しながら思う。

 

アザゼル様が放つ巨大な光の槍を相手が何重も重ねた防御魔法陣で防ぐ。それを何度も繰り返したかその余波ですっかり校庭はボロボロだ。もし校舎に魔王や大天使がいなければ既に崩壊してたであろう。

 

「けど、眷属悪魔も持たないなんて余裕の表れかしら…!」

 

「いや、旧魔王派は現在魔王が採用している『悪魔の駒』を否定していると聞く。カテレアには補佐たる『女王』もいなければ身辺を守る『騎士』もいない」

 

私が敵を撃ち抜き、木場達が斬り裂く最中そう言葉を交わす。

なら…カテレアが見せるあの余裕の笑みは何か、そう思った瞬間レーダーが何か反応を示す、位置はカテレアだ。

それに合わせ彼女の方を見ると…懐から取り出したであろう手に持つ小瓶が目に入る。反応はあの小瓶からだ。

彼女はその小瓶に入ってた小さい黒蛇を飲み込むと_ドン、と空間に強い圧がかかり、学園全体に力の波動が波立たせる。

 

「何…!?」

 

「なんなの…カテレアから検出される推測魔力が異常数値を示して…!」

 

私達がそれに戦慄する最中、私はある事に気付く。

それはレーダーに映るアザゼル様に、急速で襲いかかる者_それは。

 

「!!…何をする気!!」

 

それに気づいた私がドライバーにメダルを装填しようとした瞬間_。

 

「やらせるか」

 

その声の方に視線を向くと_コウモリのような頭部をした紅い体を持つ者が私に迫った。

 

_▲▼▲▼_

 

「ところでドライグ、オーフィスってなんだ?」

 

あの部室の戦いの後、イッセーが魔術師達を縄で縛ってる最中ふとそう言う。

 

「あ、俺もそれ気になった…サーゼクスさん達もそれ聞いてたら驚いてたし」

 

俺もイッセー…基イッセーに宿るドライグニ尋ねる。

すると赤い籠手から返答するようにチカチカ光りながらドライグの懐かしそうな声が唸る。

 

『…オーフィスか。懐かしい名だ』

 

イッセーがドライグの返答に怪訝そうな様子を見せる中、俺は続け様に尋ねる。

 

「懐かしい?知り合い?」

 

『ドラゴン族最強の者だ」

 

「最強?じゃあドライグやバニシング・ドラゴンよりも強いのか?」

 

俺の問いに帰ってきた答えに、イッセーがそう質問する。

そんな者がテロリストのボスだなんて、とんでも無い事だ。

 

『あぁ、神よりも強いからな。神も迂闊に手を出せなかった唯一の存在だ。無限に等しい力を有した真の怪物だよ』

 

「神よりも!?…じゃあ、もしかして神が死んだのもそのオーフィスって奴の仕業?」

 

『さぁな。俺もアルビオンも神の死自体の原因も、神器に封印されてからは知らない、オーフィスも進んで神殺しする様な性格とは思えないがな。だが奴がその気になれば神をも殺せる、オーフィスだけが俺達を唯一超えている存在だ。この世界で一番強い存在だ』

 

俺がふと思いついた疑問に、そう返ってくる。

イッセーもそれを聞いて驚いたやら呆気に取られたかのような表情を見せた。神をも超える力を持つ存在。オーフィス_なぜそいつがこんな事をしてるのか、せめて会話が通じる相手だといいが。

 

「そんな奴がいるなんてな…あ、部長。魔術師達を縛り終えました。しっかし敵とはいえ女の子を縄で縛り上げるとは…これはこれで、グフフ」

 

イッセーが戦闘不能にさせた魔術師達を縄で縛り終えながらも、相変わらずゲッスイ笑顔を見せる。出来れば俺がやりたいが、裸になった女性を見るのはまだ慣れてないからやむ終えなくイッセーが捕縛する役割になったのだ。

 

「変な事考えないの…それにしてもマリヒコ、私の使い魔を使うなんて。いい判断ね?よくやったわね、みんな」

 

部長もそんなイッセーに嘆息しながらも、俺と部長の近くを飛ぶ使い魔コウモリを労う様に言う。

あの時俺が口パクで、部長に『使い魔を信じて』と伝えた。

そしてその後のイッセーにメダジャリバーをこちらに渡す様に伝えた後も上手くキャッチし、結果としてはギャスパー君を助けれた。

 

「ありがとうございます皆様…イッセー先輩。手は大丈夫ですか?」

 

あの後コウモリから人間態に戻ったギャスパー君が、イッセーが自分で切った後の手の傷を見ながらオドオドと聞く。

今、ギャスパー君の腕にはさっきイッセーがアザゼルさんから貰った『禁手』を代償無しで使える腕輪を付けている。この腕輪は神器の力を抑える力もある様で、まだ暴走の可能性がある為今それを付けているのだ。

 

「大丈夫だ、これぐらいのケガなんて慣れっこさ。堕天使の光の槍やフェニックスの炎に焼かれるよりかはまだマシだぞ?」

 

「うぇええぇえぇええ!?ほ、本当ですか!?」

 

「あ、そう言えば俺も聖剣に叩き切られて死にかけたか…」

 

「せせせ聖剣にも!?せ、先輩方はバイオレンスなんですね…」

 

イッセーがそう答えた後、俺も思い出した様に呟いた言葉にギャスパー君はオーバーリアクションを取るかの様に驚く。

俺とイッセーが顔を見合わせると、お互い「あぁ…」て困惑した顔になる。よく考えたら部長に出会い…基悪魔社会に関わってからそう言うのも増えて来たか。

そう言うのも慣れて来たから感覚が麻痺しただろうけど、普通は焼かれたり斬られたりなんてのは無いだろうかやはり。

 

「…そうだドライグ、一つ聞きたい事があった」

 

《なんだ急に》

 

「さっき魔術師達が言ってたオーズの側近やらって、何か心当たりは無いかな?」

 

魔術師達が言ってたオーズの側近_勿論俺には側近なんていない。であれば初代オーズの側近だ。

オーフィスと同じくそいつもこの事件の背後に関わってるなら知ってはおきたい。

 

《ふむ…残念ながら初代オーズは知ってるが、側近は知らんな。確かに見た事はあるが普通に王に従う奴だったとしかな、普通人間が1000年以上長生きするわけでも無いがな…確かメダルの体にとは奴らが言ってたな》

 

「そうね…コイツらの言葉がどこまで本当かはこの事件が終わり次第聞かないとわからないわ」

 

ドライグの答えを聞いた後、部長が拘束した魔術師達を専用の魔法陣に乗せて転送させる。

転送先はどうやら冥界にある役所の様で、そこで捕縛された後尋問やらされた後に牢屋に入れられる様だ。彼女らもこれで更生して欲しいものだが、彼女らも彼女らの事情があるだろうか。

 

「とにかく色々考えるのはこの事件が終わった後…全員転送が終わったわ、さてイッセー、マリヒコ、ギャスパー!!魔王様の元へ帰るわよ!」

 

『はい!!!』

 

部長が事を終えた後そう号令をかける。

部室を出て、旧校舎の出口へ向かう為廊下を駆ける。

 

「これで停まったみんなは戻るんですよね?」

 

「えぇ。とは言え解除されるまでには時間がかかると思うわ、それまで私達が奴らを_」

 

_階段を降り、玄関から外へ出た瞬間部長は何か感じた様に目を見開かせる。

それに合わせるかの様にイッセーの籠手も点滅しながら言葉を放つ。

 

《_なんだ?この力の気は…神器の物か?気をつけろ、何かが》

 

ドライグがそう言った瞬間…ドォオオン!!と俺達の目の前に何者かが落ちて来て砂煙を上げると同時に…。

 

「ぁああ!?」

 

ドガァアアン!!と旧校舎の壁に悲鳴を上げながら何者かが叩きつけられた…その人物は。彼方此方にスパークが放たれながら各部分破損したバースだった。

 

「…チッ、この状況下で反旗か、ヴァーリ…そして…」

 

立ち込める土煙が収まり、ゆっくりと立ち上がる。傷だらけのアザゼルさんだ。

 

「何者よ…貴方…!」

 

そしてバースは壁からずり落ちて一度は座り込む様に倒れかけるも、ゆっくりと立ち上がりながらある方向を睨む様な声音を聴かせながら言う。

 

「そうだよ。アザゼル…あぁ、彼は協力者だ」

 

白き輝きを放ちながら、俺たちの前に舞い降りる白龍皇。

その横には…。コウモリの様な頭部を持ち、胸部には紅、肩部分には銀の鎧の様なボディスーツを纏った者がいた。

 

「俺か?…そうだな。この姿ならこう名乗るか」

 

よく見れば右足だけにも銀の鎧装甲らしき物を付けており、更に目についたのは腰につけているベルトだ。まるでカメラの様な大きなレンズが飾り付けられていた、特徴的なピンクのバックルが取り付けられていた。

そしてそいつは俺の方へ視線を移す。

 

「キバだ。お前がオーズだな?」

 

そいつは、頭部にあるコウモリの様な黄色いレンズを俺を映しながらそう言った。




いつも見てくださる皆様本当にありがとうございます。
年内にこの章を終わらせたいと思ったのですが…今のペースだと間に合うかわかりません。もし間に合わなかったら本当に申し訳ございません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。