ハイスクールD×D×O〜悪魔と龍と王の物語〜   作:カノサワ

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前回の三つのあらすじ!
一つ!魔術師達に囚われていたギャスパーの救出を成功したリアス達!

二つ!!バースへと変身したレイナーレが校庭の魔術師達を木場達と協力して撃ち倒す最中、何者かの動きに気づいて動こうとするが突如の襲来者で妨害された!!

そして三つ!!!白龍皇であるヴァーリが裏切り、そして謎の襲来者の正体も発覚する!その名は_。


第10話=囚われし吸血鬼と裏切りと牙=後編

「キバだ。お前がオーズだな?」

 

そいつはそう名乗った。

_部長やイッセーも戦慄したか、そのキバと名乗った者に構えを取る。

更には白龍皇であるヴァーリも見て、イッセーが叫ぶよう問いただす。

 

「お前何もんだ…それにヴァーリ!?お前一体どういう事だよ!?」

 

「どういう事も何も、俺は『禍の団』に着くことにしたのさ」

 

「えぇ。忌々しいドラゴンと共に戦うのは本来気が進みませんがね」

 

そうヴァーリが完全に敵側についた事を宣言する中、その横で見知らぬ女性が舞い降りる。

露出の多いドレスを身に纏い、その隙間から見える褐色肌が特徴的とも言えた。

 

「なんだ…あのエッチな姉ちゃん!?スリットも深く入ってるスカート…いい脚してんなおい…!?」

 

「言ってる場合か!?」

 

あいも変わらず敵だろうか味方だろうがそんな事を言うイッセーについツッコミを入れてしまう。

 

「いやらしい視線を感じるわ…その子達が赤龍帝とオーズなのですか?ヴァーリ」

 

「あぁ、残念ながらそうだよ。本当に残念な宿主だ…オーズは見込みがあったとは思ったが、まだ色々足りないね」

 

ヴァーリと女性が俺らを残念そうな目で見る。すいませんねこんな感じで!

 

「残念残念言うな!?俺達だって懸命に日々生きてるんだ!てかなんでお前アザゼルをぶっ飛ばしてんだ!?後その褐色姉ちゃん誰だよ!?お前が『禍の団』のボスか!?何が目的だ!!」

 

ヤケクソ気味にイッセーが二人にそう質問する。

女性はハァ、とため息を吐いたのちに語り始める

 

「私はカテレア・レヴィアタン。先代レヴィアタンの血を引く真なる魔王です…和平が決まった瞬間に拉致したハーフヴァンパイアの神器を発動させ、テロを開始させる手筈でした。頃合いを見てから私と共に白龍皇と、その協力者が暴れる。三大勢力のトップの一人でも葬ればよし。会談を壊せればそれで良かったのです」

 

「…お前。何を考えているんだ!せっかく平和に近づけてると思ったのに!?こんな事してみんなが傷つくだけだぞ!?」

 

そのカテレアと名乗った者の勝手な言い分に俺は耐えきれずそう言う。

禍の団とやらが余計な事さえしなきゃ、ギャスパー君だって傷つく事は無かった。だが、俺の言葉を聞いた相手は鼻で笑うかのように言う。

 

「人間如きがこの真に魔王に相応しい私に意見なんて良い度胸ですね?まぁ堕天使アザゼルの無様な格好も見れて少しは良い気分なので答えてあげましょう」

 

そう相手は立ち上がったアザゼルさんを一瞥して、言い放った。

 

「この世界が気に食わないからです」

 

「…は?」

 

その答えに呆気になる俺に構わず、相手が続ける。

 

「平和?傷つく?現実を見てない子供の言葉ですね。世界は犠牲無くして成り立たない。貴方達人間が地球の環境を食い潰すように、貴方も何かを犠牲にして生きている。まさか自分が何も犠牲にしてないで生きてる聖人君子だとでも?…これだから人間は嫌です。この戦いが終わり次第この世界は私達、真なる魔王が支配します。貴方達人間は精々新たなる魔王に生き存えさせる様媚を売れば良いです」

 

_確かに、相手の言う事も正論だ。

だが、納得は行かない。そんな正論は誰でも生きてるうちに理解は出来る、それを理由に他者を必要以上に傷付ける理由が許されるはずがない。

 

「ふざけるなっ!この…!」

 

「おいおい?真面目に聞いてると疲れるだけだぜ…とまぁ、今回のボスは自分が正しいから暴れても良いとか言う。結局支配したいだけの野郎だ…こんな奴らの言葉に耳を返す必要は無いぜ?」

 

俺が相手に向かおうとするの、アザゼルさんがそれを手で止めて相手を呆れた様子でそう言いながらヴァーリの方へ視線を移す。

 

「なぁヴァーリ…いつからだ?いつからそっちへ行った」

 

「コカビエルを本部へ連れ帰る途中でオファーを受けたんだ。悪いなアザゼル。協力する代わりに『アースガルズと戦ってみないか?』_てね、そんなオファーを受けたら俺は断れない、いや。断りたく無い。アザゼルはヴァルハラ_アース神族と戦う事は嫌がるだろう?戦争嫌いだものな」

 

そんな答えに、アザゼルさんは笑みを浮かべるも。どこか哀しそうな顔で聞く。

 

「俺はお前に『強くなれ』と言ったが、『世界を滅ぼす要因だけは作るな』とも言ったはずだ」

 

「関係ない。俺は永遠に戦えれば良いだけだ」

 

そんな狂気とも言えるヴァーリの答えを聞いたアザゼルさんは、一度目を伏せたのちに見開き、彼を見据えた

 

「…そうかよ、いや、俺は心のどこかでお前が手元から離れていくのを予想していたのかもしれない_お前は出会った時から今日まで強い者との戦いを求めていたものな」

 

「今回の下準備と情報提供は白龍皇かららしいぜ?幾ら身内が可愛いとは言え、コイツの本質を知っておきながら手綱を握っておかないとはな。案外甘いもんだな」

 

キバはそう苦言する様に言う。

そして苦笑するアザゼルさんを一瞥した後、イッセーに向かってヴァーリは言う。

 

「俺の本名はヴァーリ…ヴァーリ・ルシファーだ」

 

「な…なんだと?ルシファー??」

 

それを聞いたイッセーが驚愕するも、続けて言う。

 

「死んだ先代の魔王ルシファーの血を引く者なんだ。けど俺は旧魔王の孫である父と人間の母との間に生まれた混血児_『白い龍』の神器は半分人間だから手に入った物だ。偶然だけどな、けれどルシファーの真の血縁者でもあり。『白い龍』でもある俺が誕生した。運命、奇跡というものがあるなら俺の事を言うかもしれない_なんてな?」

 

ヴァーリの真の正体_魔王のトップとも言えるルシファーの血を引く者だった。

それを語り終えた瞬間、相手の背中に光の翼と共に悪魔の翼が何枚も展開された。

 

「う…嘘よ、そんな…」

 

「事実だ。もし冗談のような存在がいるとしたら、こいつの事さ。俺は知っている中でも過去現在、おそらく未来永劫においても最強の白龍皇になる…あぁ、冗談のような存在といえば」

 

部長は光の翼と悪魔の翼を生やしたヴァーリを見て戦慄していた。

だが、アザゼルさんがヴァーリの言葉を肯定する様に言いつつ、キバを見る。

 

「…レイナーレ、解析結果は?」

 

「…全神器や神話武具に該当するものはありません。堕天使本部でも保管されてるデータベースに存在しない力…!」

 

アザゼルさんはどうにか立ち上がるレイナーレを一瞥して言うも、レイナーレはヘルメットのバイザーを点滅させながら告げる。

データベースに存在しない?一体何者だ…あのキバという奴は。

 

「…なぁヴァーリ。そいつは何者だ?」

 

「彼については俺もよく知らない。だがこう言っていたな?『俺の役割はお前の部下らしい』てね?」

 

ヴァーリはキバを一瞥しながら言う。俺の役割?それでこそ益々意味が分からない。

そんな最中キバはヴァーリの方を見ず、俺を見ながら言う。

 

「ヴァーリ。オーズの相手は俺でいいか?どれ程のものか見ておきたいんでね」

 

「構わないさ。弱ければ殺してもいい、強かったら…俺に残しておいてくれよ」

 

キバがそう俺を品定めするかの様に、そう確認するとヴァーリはそれを了承する様頷く。

そしてカテレアが、アザゼルさんを嘲笑うかの様に見つめ、異常な程の殺気を放つ。

 

「では、覚悟を決めてもらいましょうか?アザゼル…そこのガラクタを纏った役立たずの堕天使。貴方の総督様が死にゆく姿を指を咥えて眺めてなさい」

 

「チッ…!!アザゼル様…せめて貴方様の盾に…!」

 

その言葉を聞いてレイナーレが舌打ちした後、そう提案するも「いらねぇ、しばらく休んどけ」とアザゼルさんがそう告げながら相手に聞き始める。

 

「なぁカテレアよ?その異常な程のオーラの量。とても個人で出せるモノとは思えねぇな?…オーフィスから何を貰った」

 

「ふふ、彼は無限の力を有するドラゴン。世界変革の為に少々力をお借りしました。おかげで貴方と戦える。大魔王サーゼクスに大天使ミカエルを倒せるチャンスでもあります。彼らは愚かな総督。貴方もです」

 

カテレアは勝気な笑みを浮かべ、アザゼルさんどころかミカエルさんやサーゼクスさんを見下す様な発言をする。

だが、それに苦笑しつつアザゼルさんは返す。

 

「…俺はそうだ。愚かかもな。シェムハザがいなけりゃ何も出来ねぇ。失態を犯した部下とは言え実験台にする、ただの開発狂いや神器マニアだ_けどよ。サーゼクスとミカエルはそこまでバカじゃねぇと思うぜ?少なくともテメェより遥かに優秀だ。テメェよか未来を見据えてるぜ」

 

「っ!!世迷言を…いいでしょう。今ここで貴方を打ち倒します。それと…オーズ。貴方も惨たらしく殺しましょう、先程私に啖呵を切った罰です。まぁ容姿もそこまで悪く無いですし、今ここで土下座をして私の足に口付けをすれば一生奴隷として飼って差し上げましょう」

 

強い口調ではっきり告げた後、俺にそんな事を言い始める。

無論そんなのはゴメンだ。そんな中キバが物申す様に言う。

 

「おいおい…俺の獲物を横取りする気か?」

 

「黙りなさい。貴方はヴァーリの部下、即ち私の部下でもある…さぁオーズ?どうしますか?土下座するか、惨めに死ぬか」

 

「…お前を倒せば。こんなふざけた事が終わるんだよな?」

 

キバを睨みながらも、そうわざとらしい笑みを浮かべて言うカテレアに。俺はそう言った。

相手は「は?」と言う顔をするも、それに構わず俺はメダルが既に収められてるオーズドライバーを取り出す。

 

「何を言ってるのですか?人間風情が私を倒す?面白い子ですね?…だから人間は嫌いなんですよ。神器だなんて物を与えられたら調子に乗って偉大なる悪魔の世界に土足で踏み入る。えぇ、神が残したシステムを奪った後、新世界創造の際には神器なんてものは絶対作らない。そんな物が無くても世界は機能します。寧ろ有っては邪魔なのです。いずれは北欧のオーディンにも動いてもらい、世界を変動させなくてはなりません」

 

「おいおいおい?今なんつった…神器だなんて物?絶対作らない??」

 

その言葉を聞いたアザゼルさんが突如額をぴくつかせ、懐から何かを取り出す。それは一本の短剣だ。カテレアがそれを見て訝しげそうな様子を見せる。

 

「…それは」

 

「俺は周りから呆れられる程の神器マニア過ぎてな。自分で制作したりする事もある。レプリカ作ったりな、まぁバースドライバーやコアドライバーはその副産物か、レプリカ神器の殆どは使い物にならないがな。神器を開発した神は凄い、俺が奴を唯一尊敬している所だ…まぁわざとか、手の込みの甘さからか『神滅具』と『禁手』なんて言う神と魔王どことか、世界の均衡すら崩せる『バグ』を残したままお陀仏してしまったからな?まぁそれがあるから神器は面白いんだけどよ…だがな」

 

キッ、とアザゼルさんはカテレアを睨みながら短剣の切先を相手に突きつける。

 

「お前の目的を聞いて益々反吐が出る。オーディンの野郎に全部掻っ攫われるのも気にくわねぇ、だが…俺の楽しみを奪う奴は、消えて無くなれ」

 

そうはっきりと、今までのふざけた様子から一変して冷たい声音と共に、アザゼルさんが持つ短剣が姿を変える。

パーツが分裂し、そこから光が溢れ_。

 

「なっ…ま、まさか!アザゼルっ!あなたは!」

 

カテレアが何かに気付いた様子を見て、氷の槍を展開してアザゼルさんに放つも_。

 

「禁手化…!!」

 

そう呟いた瞬間、カッと眩い閃光が俺たちの視界を照らし、その光が氷の槍を打ち消し_。

 

「_『白い龍』と他の他のドラゴン系神器を研究して作り出した。俺の最高傑作人工神器だ。『堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)』。それの擬似的な禁手状態_『堕天龍(ダウン・フォール・ドラゴン)の鎧(アナザー・アーマー)』だ」

 

_前に見たイッセーの禁手状態に似た、龍を模した鎧を纏った者だ。声からすればアザゼルさんなのは間違い無いだろう。

だが、イッセーと違う所は赤き鎧で無く、黄金の全身鎧だ。

 

「バランスブレイカー…!?」

 

「悪いなオーズ?コイツは俺がやる」

 

俺が驚愕してる中、禁手に至ったアザゼルさんが前に出て、背中からバァッ!と十二枚はある堕天使の翼を広げ、手に持つ巨大な光の槍を構える。

…近くで感じるその力は並の物じゃない。イッセーの籠手から時折放たれる力と同じドラゴンの力か、近づくだけでも圧される様な物だ。

 

「おいおいおい!?禁手のバーゲンセールだぜ…!?人工神器であっさり出来たらなんか有り難みが薄くなる気がするな…」

 

『いや、アレは正確な禁手では無い。神器をバースト状態にして強制的な覚醒をしているんだろう。一種の暴走だ。あれでは戦闘後に神器が壊れるな、人工神器とやらを使い捨てで使用する気か?』

 

イッセーも目の前の状況に驚きながら言うも、籠手からドライグの声がしてそう解説する。

使い捨て人工神器。そんなとんでも贅沢品を作るアザゼルさんとは一体どれほどのものか。それを見てヴァーリは高笑いする。

 

「ハハハ!流石だなアザゼルは。やっぱり凄い!」

 

「で?…俺達はどうすれば良い?魔王サマ」

 

高笑いする彼を横目に、キバはカテレアに軽口を叩くように聞く。

それが少し気に食わなかったか、眉を引くつかせてカテレアは胸の谷間からセルメダルを取り出し、俺を睨みつけて言う。

 

「オーズは私が殺すと決めました…我が欲望。解放されなさい!」

 

額にセルメダルを入れると、体からヤミーが這い出るように現れて着地した瞬間_そのミイラの体が裂け、龍の羽が生えたようなドス黒いサメのような怪人と化した。

 

「私の欲望は、忌々しい敵を殺す事…行きなさい。さぁアザゼル、覚悟なさい!私は偉大なる真のレヴィアタンの血を引く者!貴方が禁手の真似事をしようが私には敵わない!」

 

「来いよ?…つーか、メダルやらオーフィスの力やら頼って真のレヴィアタンだぁ?随分と人任せだな?」

 

「っ…舐めるな!!!」

 

カテレアがアザゼルさんに啖呵を切るも、当の相手は怯むどころか逆に挑発し、それに乗せられた方にアザゼルさんに飛びかかる。

そして_お互いそれぞれの武器を構え、打ち合うと凄まじい衝撃波が辺りに広がる。

二人はその場から飛ぶよう離れ、打ち合い始める。

 

「っ…!!」

 

「激しいな?…それと、良いのかオーズ?」

 

俺がそれに怯んだ瞬間、キバが何か忠告するように言う。

それを聞いた瞬間_サメヤミーとも呼ぶべきか。怪人が迫りかかる。

相手がサメ特有の口の牙で噛みつこうとした瞬間_。

 

「危ねぇ!!ドライグ!!」

 

《Boost!》

 

俺が咄嗟に構えた瞬間、イッセーが前に出て籠手から展開された剣でサメヤミーを斬るように弾く。

切られたサメヤミーは血飛沫の代わりに銀のメダルがばら撒き、少し後退するもまだ、こちらに殺意を向けるかのようにサメの目…否、サメの頭部に埋め込まれた龍の目で睨みつけてきた。

 

「…龍の力を感じるわ。油断出来ない」

 

部長もヴァーリの正体を聞いて驚いていたが、落ち着きを取り戻しながら言う。サメヤミーの背中にはドラゴンの翼らしきものが生えてるだけでなく、龍の鱗などが生えていた。

 

「ほら、早くオーズに変身しろよ?…まさかその剣一本で戦えるわけでもないだろ」

 

「…お前達は戦わないのか?」

 

キバが挑発するように促す。相手は俺達を見てるだけでそれ以上の事はしてない。警戒しつつも片手で持っていた、メダルが収められたオーズドライバーを腰に取り付ける。

 

「まずは様子見だ。いいな?ヴァーリ」

 

「あぁ。赤龍帝、アザゼルとはやり合いたいが今は忙しそうだし。君で我慢しておこうか。まずはコイツを倒して見ろ、これすら倒せないなら戦う価値すら無いね…コイツを倒すまで俺たちは君らに手出しはしないよ」

 

キバがヴァーリに聞くも、余裕そうな上に挑発するように言う。

 

「言ってくれるな…!正直言ってライバル勝負とか興味無いけど!少しムカつくな!?…行けるな!マリヒコ!」

 

「…あぁ!」

 

イッセーが挑発に乗るも、飛びかからず俺にそう聞く。

無論と言わんばかりに、オースキャナーを取り…キン!キン!!キィン!!とメダルをスキャンし_。

 

《タカ!トラ!!バッタ!!!》

 

《タットッバ!タトバ!!タットッバ!!!》

 

_俺の体に再び、オーズの力が宿り姿が変わる。

サメヤミーがオーズに変わった俺を見た途端再び噛み付くように襲いかかる。

 

「っ!!」

 

すぐさまメダジャリバーを口に振るうも、白羽取り…否、白羽噛みが如く刃を噛みつかれて、受け止められてしまう。

その瞬間、好気と見たか部長は横から紅い魔力の玉を放つ。

 

「はぁ!」

 

が、それに気づいたサメヤミーはメダジャリバーから口を離して…龍の羽を羽ばたかせて避けるように、並の推進力とは思えない程の速さで真上に飛ぶ。

 

「っ!」

 

「おいおい!?サメが飛んだよ!?」

 

紅い魔力の玉はそのまま通り過ぎて、イッセーが空飛ぶサメヤミーを見て驚愕する。

サメの獰猛さに、龍の力を持つヤミー。下手な力押しでは逆にこっちがやられかねない。

 

「ぼ、僕が停めて…っ!?」

 

ギャスパー君が前に出てサメヤミーを魔眼で視ようとするも、いきなりサメヤミーが、牙を剥きながら急降下して彼に向かってくる。

その形相に怯んだか、相手を止めれずギャスパー君は狼狽えてしまう。

 

「ダメ!この位置じゃ私の魔力がギャスパーに当たる!」

 

「危ない!」

 

もし今の位置で部長がサメヤミーに魔力を放てはギャスパー君に当たる、俺は素早く前に出てギャスパー君を庇うようにメダジャリバーを構える。

ガキィン!とサメヤミーが剥き出しにした牙を狙い、メダジャリバーを振るい当てる。

それにダメージがあったか、後退する様に飛ぶ。

 

「ご…ごめんなさい…!」

 

「気にすんな!あんなデタラメ怪物誰だってビビる!!…て!?」

 

ギャスパー君は俺らに詫びる様に言うと、イッセーが励ます様に言う。

だが、次に取ったサメヤミーの行動にイッセーが驚愕する。

なぜなら、まるで地面に突っ込むかの様にいきなり急降下したからだ。あのまま地面にぶつかればダメージは負うはず、そう思った瞬間…ドボン、とまるで地面が海になったかの如く波揺れ、サメヤミーは地面に潜った。

 

「はあぁああぁああぁああ!?地面に潜ったぁ!?」

 

「う、嘘だろ…!?」

 

とんでもない行動を目にして叫ぶ様驚愕するイッセー。

奴は間違い無く地面を泳いでいる。文にしてもとんでもない事だが、驚いてる暇も無く俺らは構える。

耳を澄まし、全神経を集中させてどこへ来るか警戒するも、泳ぐ音すらも聞こえなかった。

 

「…マリヒコ!!後ろ!!」

 

部長の声に反応し、俺が背後を見ると大口を開いたサメヤミーが飛び出すよう迫り来る。

 

「っ!間に合わ…」

 

「そこ!!」

 

防御体制をとった瞬間発砲音と共にサメヤミーが撃ち抜かれ堕ちる。

が、堕ちた途端また地面にドボンと鎮まる。俺は発砲音がした方を見ると、あちこちスパークしているバースのスーツを纏ったレイナーレが例の機械の銃を構えてた。

 

「リアス・グレモリー!そしてその眷属達!よく聞きなさい!私のスーツのレーダーはあのヤミーを捉えているわ!」

 

「!…それで、どうすればいいの?」

 

レイナーレの言葉に部長が聞き返した瞬間、レイナーレはベルトにメダルを装填してハンドルを一回回すと…。

 

《Brest Canon》

 

ガシャン、ガシャン!!と胸部に機械のキャノン砲が生成される。

アレも見たことがある。偽りのオーズと化したコカビエルを撃ち抜いた砲台だ。

 

「…正直言うなら私の手で仕留めたいわ。貴方の紅い滅びの魔力でヤミーを消滅させたらセルメダルごと消えてしまうわ」

 

「なんですって?」

 

「おいおい!?ここまで来てメダル目当てか!?」

 

レイナーレのその言葉に、部長が怪訝な様子を見せた後イッセーがそう非難する。

その言葉を聞きつつ、レイナーレは2枚セルメダルを装填し、ハンドルを回す。

すると、新たな武器は展開しなかったものの、全身にエネルギーが行き渡るかの様にスーツラインが赤く発熱し始める。

 

《Cell Burst》

 

「無茶苦茶言ってるのは理解してるわ!けど…『禍の団』の戦いには今後多くのセルメダルは必要なの!…勿論ヤミーを生み出す為じゃ無いわ。バースの稼働、メダルシステムの運用…それに…いえ、これは後ね…どうする!?私の話に乗る!?…私のブレストキャノンなら、貴方の紅い魔力より精密に一点のみ狙えるわ!」

 

「…分かったわ、但し一つ条件よ。イッセーやアーシア、そしてマリヒコに前、危害を加えたことに謝ること。それで良いわね!」

 

部長のその出した条件に、レイナーレはヘルメットのせいで顔は見えないが、苦虫を潰した様な声音を出して言う。

 

「…良いわよ。全く!慈悲深い悪魔サマね!…地面を泳いでるサメヤミーは無闇に攻撃しても避けられる。けど襲おうとする瞬間だけ隙はあるわ、けど」

 

「アイツ飛ぶよな!?もうドラゴンサメヤミーでよく無いか!?」

 

レイナーレは胸部のキャノン…ブレストキャノンを構えながらみんなに聴こえる様説明する。

ドラゴンサメヤミー…イッセーのその言葉に苦笑しながらも続ける。

 

「長いわね、多分私が一発撃っても飛んで避けられる…そこのヴァンパイアの少女!!」

 

「は、ひゃひ!?」

 

レイナーレがギャスパー君の方を向きながら言う。彼が一瞬動揺するもしどろもどろ答える。

 

「貴方の神器、今は使えるかしら?」

 

「は、はいっ!!後一回だけなら…け、けどアレは停めれるかどうか…」

 

「一瞬だけでいいわ!その瞬間私が仕留める。いいわね?」

 

「は、はい…頑張ります!」

 

レイナーレとギャスパー君がそう会話するのを部長は苦笑しながら眺める。

 

「…私の眷属に色々命令するのは気に食わないけど、今は乗るしか無いわね。後彼は少女じゃ無くて男の子よ?女装好きなの」

 

「貴方の眷属、クセが強いわね……来るわ!!…サメヤミーは周りを回って泳いでるわ。いつ来ても良いように構えなさい」

 

そのレイナーレの言葉と共に、俺らは警戒する様構える。

どこだ、どこから来る…今はレイナーレの、バースのレーダーを頼りにするしか無い。

 

「………イッセー!!そっちに急接近してるわ!!」

 

「マジかよ!?えぇい来やがれ!!フカヒレにして食ってやんよ!!」

 

イッセーが構えた途端、ザバァ!!とまるで地面が海になったかのようにサメヤミーが大口を開けながら飛び出る。

 

「喰らえ!!」

 

《Boost!》

 

イッセーが籠手の力を発動させながら…思いっきりサメヤミーの鼻向けて殴りかかる!

拳が命中した瞬間サメヤミーが一瞬怯むも、再び飛び上がる。

 

「どうだ!サメは鼻が弱点だってテレビで見たんだよ!やれ!ギャスパー!!」

 

「は、はいっ!!停ま…」

 

ギャスパー君が飛び上がったサメヤミーを停めようと見つめるも…。

停めようとするギャスパー君に察したか、再びサメヤミーが急降下して襲いかかる。

 

「ギャスパー君!!」

 

「そこっ!!」

 

俺が駆けつけようとした瞬間細く紅い閃光がギャスパー君とサメヤミーの間を遮る。

そこには、部長が手のひらを出して構えていた。先程の紅い閃光はギャスパー君を守る為に部長が放ったものだろう。

 

「私の眷属を喰らおうだなんていい度胸してるわね?…今よ!」

 

「あ、ありがとうございます!…停まれぇ!」

 

ギャスパー君が眼を光らせると_サメヤミーの動きが一瞬鈍くなり。停まりかける。

 

《Cell Burst》

 

「充填完了…吹っ飛び、なさい!!」

 

その隙を逃さないと言わんばかりに、レイナーレがブレストキャノンから赤いビームを撃ち放つ!!

 

「ッ_」

 

ドォ_ン!!と、ビームに撃ち抜かれたサメヤミーは四散し、血飛沫の代わりにセルメダルが舞い散る。

 

「す…すげぇ威力だ」

 

「私の魔力程じゃ無いにしろ、堕天使陣営がこんな物を作るなんて…」

 

「ま、セルメダルが無ければ動かせないけど、とっ」

 

《Crane Arm》

 

イッセーと部長が、バースの撃ち放ったビームの威力に驚きを隠せない様子でそう呟く。俺とギャスパー君も無論、その威力には唖然として言葉も出なかった。

レイナーレはそう嘆息しながらまたメダルをベルトに装填してハンドル回すと、次に右腕に巨大なクレーンの様な機械が展開され、腕を振るうとワイヤーに繋がった鉤爪が射出され、磁石の様にセルメダルが集まる。

それをもう一度降ると、魔法陣が展開されてそこへセルメダルが収納されていった。

 

「ふぅん?案外バースもやるもんだ…」

 

突如キバが、パチパチと手を鳴らしながら言う。

すると、突如そこへ_。

 

「ぐっ!!」

 

「チッ!コイツら手練れなのか…!」

 

木場とゼノヴィアがこちらへ着地する様に現れる。

二人は全身制服などが破かれ、全身に傷を負っていた。

 

「二人とも!」

 

「一体何があったの!?」

 

俺と部長が二人にそう問いかけた瞬間…イッセーが何か信じられない様な物を見る目で向こうを見る。

 

「…部長…あそこに、キバがいます!!それも色が違うやつです!!」

 

「は!?何を言って…!?」

 

イッセーのその言葉と共に、レイナーレがイッセーと同じ方向に視線を向けると…カチャン、カチャンと足音がする。

俺らもそいつらが視界に入ると、そこにいたのは…。

 

「…キバは突如分身して、僕らに襲い掛かりました…!」

 

「しかも…実態を持つ分身だとはね」

 

二人のキバがいた、一人は右手に狼を模したような独自の反りがある短剣を持つ青い装甲を纏ったキバ。

もう一人は巨大なハンマーを引き摺る様に歩いてくる紫の装甲を纏ったキバだ。

 

「分身…!?そんなのありかよ!?」

 

「まぁな。それともう一つ面白いものを見せてやるよ」

 

パチン、とキバが指を弾くと二人のキバが消え去り、何かカードを1枚取り出す。

そのカードの絵柄には、何か赤いカブトムシの様なヘルメットを被った人物が描かれていた。

それをベルトを開き、装填し始める。

 

《Kamen Ride》

 

ガシャンと、ベルトを閉じると_

 

《Kabuto!Change_》

 

キバの姿が、六角の装甲が展開されながら変わっていく_。

そして変貌…否、変身を終えると、その姿は先ほどの中世の様な鋼の鎧で無く、SFチックなスマートの赤いカブト虫の様なスーツに変身していた。

 

《Beetle!!》

 

「姿か…変わった!?」

 

「おいおい!?キバ!お前は何もんだ!」

 

俺が動揺する中、イッセーがそう啖呵を切るも相手はそれに動じずに言う。

 

「あぁ、今の俺の姿はキバじゃ無いぜ?…カブトだ」




皆様あけましておめでとうございます。
今年も色々ありましたがよろしくお願いします。
それと、12月で終わられると言った矢先2月まで遅れる事になってしまい大変申し訳ございませんでした。
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