日中のカッパは雨の中であっても普通に死ねますね。むしろ雨の分湿気が酷くてジメジメして不快感凄いです。早く秋になって涼しくなぁれ。( 農)<秋はまだかああああっ!
ガチャは可もなく不可もなく。とは言え運は良い方ですね。水着はイリヤにキアラ様に紫式部と中々。アビーちゃんも限界まで狙います。ゆゆゆいでは雪花は残念ながら。狐耳欲しかった……狐キャラは私としても割と思い入れありますしね(分かる人は分かる
ラスクラはラグロボス様来てくれました。メモデフも新ユウキ、ドカバトではLRサイヤ人4悟空。ロスワはこいしが当たった。こいしが当たった(素振り)テイクレはユナ来て下さいお願いしますめっちゃ欲しいんです(土下座
さて、今回はレクリエーションの続きとなります。やはり戦闘シーンは書くの楽しいです。
「お~、思ったよりひんやりしてる」
「こらこら園子、何やってるんだ」
「カエっちの水晶触ってるんだよ~」
丸亀城の各地で戦いが勃発している最中、留守番組が居るお城の最上階の部屋で園子(中)が楓の手甲、その水晶をペタペタと触っていた。呆れた顔で言う銀(中)に対し、彼女はにこにこと笑いながら変わらずペタペタと触り続ける。
「楓さんの武器については聞いていましたが、実物を見るのは初めてですね。私は若葉ちゃん達のしか見たことがなくて……」
「私もうたのんの鞭しか……本当に色々あるね。こんな大きな剣とか、長い銃とか今日まで実際に見たことないよ」
「あたしらも楓と須美の武器以外は1回くらいしか見たことないんだよなぁ」
園子(中)の隣でまじまじと楓の手甲の水晶を見た後、ひなたは並べて置かれている勇者達の武器を見る。現在、彼女達の前には勇者達が使う武器の本物が樹の物を除いて丁寧に並べられている。戦いに行くことが出来ない彼女達にとってこうして皆の武器を見るのは貴重な体験でもある。
水都もまた同じようにまじまじと武器を眺めていた。西暦を生きた彼女にとって、バーテックスと戦っている時でさえ武器を間近で見ることはそう無い。それこそ共に居た歌野の鞭くらいだろう。その為、目の前に並ぶ武器達……大剣に大鎌、刀、槍、斧等を興味津々に見ていた。
勇者達の武器を見たことがない、という点ではある意味で園子(中)と銀(中)も似たようなモノ。散華が戻る前に参加した最後の戦いでしか勇者部の6人と共に戦わず、それ以降は戦いの無い日々。この世界に来てからも戦っていない。故に、過去の自分達と美森、楓の武器以外は初見に等しいのだ。
「……おお、やっぱりカエっちの手ってわたしより大きいんだね~。手甲がぶかぶかだ~♪」
「なんで着けてんの? 元のところに戻しなさい」
「だってミノさん、カエっちの着けてる武器だよ~? 大きさとか重さとか温もりとか色々気になるよ~」
「大きさと重さはともかく、温もりはどうなんだ……あ、本当に大きい……あたしもぶかぶかだ」
「新士君の手甲は……あ、楓さんの物より小さいですが結構重いんですね。これをずっと着けたまま動いているんですか……」
「勇者に変身すると身体能力が大きく上がるからね。多分、皆武器の重さとかは気にならないと思うよ」
「うたのんも鞭をいっぱい振り回してもあんまり疲れてなかったなぁ……あ、皆。武器もいいけど、模擬戦も見ないと……」
「そうでした! 若葉ちゃん達の勇姿をこの目とカメラに焼き付けなければ!」
(ひなたと須美って結構共通点多いよな……カメラ撮るところとか、ちょっと暴走気味なところとか)
そんな、模擬戦中の留守番組の微笑ましい(?)一幕。
所変わって、場所は丸亀城を正面から見て左側にある林。そこで戦っていたのは夏凜と棗の2人。両手の二刀を振るい続けて手数で攻める夏凜、ヌンチャクを自由自在に扱い、変幻自在かつ重い一撃を放つ棗。他の勇者達と比べ、遥かに多い攻撃の応酬を繰り広げていた2人だったが、何度目かのお互いの武器がぶつかり合った瞬間に同時に距離を離した。
(流石にやるわね……)
(やはり強い……一撃が遠いな)
武器を構えつつ、内心で相手への惜しみ無い称賛を送る。手数では夏凜の方が上だが、棗はその全てを己の武器で受け、或いはかわしている。一撃の重さと攻撃の軌道の予測のし辛さでは棗が勝っているが、夏凜もまたその全てを二刀で防ぎ、或いは逸らし、かわしている。
これまでの共闘で相手が強いことはお互いに知っていたが、こうして本気で立ち会ってみるとその強さに感服する。たった一撃当てられれば撃破扱いになるのに、その一撃が遥かに遠く感じられる程。しかし、2人に焦りはなく、むしろ笑みさえ浮かんでいる。
「はぁっ!!」
「ふっ!!」
夏凜の右の刀による体を狙った突き。それを棗は右側に動いて避け、彼女の方に体を向けつつその勢いで左手に持ったヌンチャクを横薙ぎに振るう。しかし夏凜は着地と同時にしゃがみ込むことで避け、左手の刀を横一閃。その一閃は棗が後方に跳んだ事で避けられ、振った勢いそのままに追撃で振るった右の刀の一閃も両手で縦に構えられたヌンチャクによって受け止められる。
直ぐに刀を引いた夏凜の顎目掛けて棗の右足が振り上げられるが、それは夏凜が上半身を逸らしてバク転をすることで避けられる。だが今度は彼女がそうしている間に棗が距離を詰め、お返しとばかりにヌンチャクを縦に振るう。しかしその一撃は夏凜が空中に居る状態で左手の刀を振るって弾いた。が、それは結果的に悪手となる。
「もらったぞ!!」
「なんっのこれしきぃ!!」
空中という不安定な場所で重い一撃を弾いたせいだろう、左手の刀が手から飛んでいってしまったのだ。幸いにも着地は出来たが、未だ互いの距離は近く飛んでいった刀を拾いに行く暇を棗は与えない。そして、二刀で拮抗出来ていたのに片方しか無くなっては捌ききる自信は彼女にはなかった。そもそも彼女の戦闘スタイルは二刀流なのだ、1本の刀で戦うことに慣れていない。
しかし、だからと言って負けられない。完成型勇者として、勇者部の勇者として。棗も沖縄を1人で守ってきた勇者として負けられないし、このチャンスを逃す訳にはいかない。お互いの意地のぶつかり合い。そして勝利を手にしようとする強い意思。その気持ちは手に持つ武器に伝わり、お互いに相手に一撃を与える事にその気持ちを注ぐ。
棗が戦いを終わらせるべくヌンチャクを右から左へと横一閃に振るう。夏凜もまた、負けてなるものかと残った右手の刀を同じように右から左へと一閃する。全くの同時に行われた最後の意地と意思を込めた本気の一撃は何の障害も無く一直線に相手の頭へと向かい……。
そして、同時に精霊バリアが発動した。
「「……あっ」」
バリアを確認した2人は一気に冷や水を浴びせられたかのように冷静になり、そのままの姿勢で見詰め合う。ポカンとする夏凜。きょとんとする棗。その2人の側にはお互いの精霊である義輝と水虎。そして2人は武器を引いて体勢を直し……同時に肩を落とした。
「「やってしまった……」」
「諸行無常」
力無く呟く2人の耳に、義輝の言葉が虚しく響いた。夏凜&棗、全参加者の中で精霊バリア発動による反則で最速脱落。
(夏凜さんと棗さんは脱落……っと)
時は少し戻り、場所は丸亀城付近。そこで戦っていたのは若葉と風、そして乱入してきた歌野の3人だ。この三つ巴の戦い、最初は奇襲した歌野が若干優勢に立ち回っていた。
「食らいなさい!」
「っ、流石は歌野だ、中々近付けさせてはくれないな!」
「ああもう、リーチの差がキツイわね!」
彼女が2人相手に優勢な理由として、まずはその武器のリーチの差。日本刀と大剣を扱う2人に対し、歌野はリーチのある鞭。単純な攻撃範囲の差は近距離でしか戦えない2人にとって厄介以外の何物でもない。
次に、攻撃の軌道が読みづらいこと。鞭は剣や銃等とは違って“しなる”。攻撃を受け止めてもその部分から先があれば絡むように先端が背後から飛んで来る。また、その攻撃速度も速い。2人が近付くまでに幾度振るわれることになるかわからない程に。
だからと言って2人もそう簡単には当たらない。若葉はしっかりと鞭の軌道を見切り、風は当たりそうな攻撃は大剣を盾にして防ぐ。そんな対照的な2人は、どうすればこの状況を打破できるのかを考えていた。そして、それは歌野も同じ。
(若葉も流石……それに風さんのディフェンスが予想以上に上手い! 全っ然攻撃が通らない!)
若葉が強い事はよく前線で共に戦う歌野には分かりきっていたこと。勿論風も強いとは知っているが、予想以上だったのがその防御の巧みさ。勇者に変身したことで上昇した動体視力と持ち前の反射神経で大剣を操り、横に振るわれた鞭は大剣を横向きに、縦に振るわれると直ぐに縦に構え、その広い面積でしっかりと受け止める。
攻撃が届かない。攻撃が通らない。何とかこの状況をどうにかしたい3人。攻撃をしながら、避けながら、防ぎながら考えに考え……最初に動き出したのは風だった。
「ああもう、まどろっこしい! こうなりゃヤケよ!」
「風!?」
「何する気!?」
声を上げたかと思えば動きを止めていきなり大剣を地面に突き刺す風。突然の行動に驚く2人だが、歌野はほぼ反射的に動きを止めた彼女に向かって鞭を振るう。すると風は大剣の後ろに身を隠し、しゃがむ。本来なら彼女がしゃがんだ事によりその頭上を鞭が通り過ぎる。だが、地面に突き刺さっている大剣がそれを阻害した。
「あっ」
「つっかまーえた! おおおおりゃああああっ!!」
「えっ、ちょ、おおおおっ!?」
「なっ、歌野!?」
大剣に……正確に言うなら大剣の柄に当たり、先端が巻き付いてしまう鞭。本来ならこうなる前にどうにか出来たのだろうが、そこはやはりレプリカ武器であることの弊害だろう。しまったと歌野が思わず声を出したのも束の間、風は巻き付いた鞭を握り、体全体を使って思いっきりぶん回し始めた。
咄嗟に踏ん張ろうとした歌野だが、相手は勇者達の中でもトップクラスの
「アタシ達犬吠埼3姉弟はああああっ!! 四国一スイイイイングッ!!」
「意外とスケールが小さ……ノオオオオッ!?」
「う、歌野ー!?」
風の台詞に思わずツッコンでしまいそうになり、少し力が抜けたのかズルッと鞭を持つ手が滑ってしまい、遠心力によって林を向こうへと消えていく歌野。かなりの速度で飛んでいった彼女を見ていた若葉が思わず手を伸ばして名前を叫ぶものの相手は既に林の中。
どこからか“ぐえっ!!”という苦しげな声が気こえたような気がしつつ、若葉は風へと向き直る。彼女は柄に巻き付いた鞭をそのままに、大剣を握って若葉に向かって飛びかかる所だった。
「隙ありぃ!!」
「くっ、なんの!」
確かに風から目を逸らしていたことは隙と捉えられても可笑しくはないが、素直に攻撃を受ける若葉ではない。右側へと転がるようにして大剣を避け、今度はこちらの番だと体勢を低くして接近し、腹部目掛け刀を一閃。しかしそれは風が大剣を盾にしたことで防がれる。
思わず若葉は顔をしかめる。先の攻防でも分かっていたことだが、こと防御に関して風は勇者の中でもトップクラス。当たると思った攻撃でさえ、正面からなら大剣で防がれてしまう。その鉄壁と言える防御をどうにかせねば一撃を与える事は出来ない。
「ならば、越えてみせる!」
「このっ!」
一閃した刀を再び一閃するがやはり防がれる。だが、それでも若葉は攻撃を止めない。防御されるということは、風自身も攻撃できないという事だ。大剣という武器を使う以上、どうしてもコンパクトに振るうのが難しい。例え大剣を小枝のように軽々と扱えるとしても、現状では防御から攻撃に移るにはタイムラグがあるのだ。
武器を構え直すべく、風は距離を取る為に後方へと跳ぶ。しかし直ぐに若葉は逃がすつもりはないと距離を詰め、再度一閃。それもやはり防がれてしまったが、次第に風の表情から余裕が消える。いつまでこうして防ぎ続けられるかもわからない。もしかしたら、別方向から誰かから奇襲を受けるかもしれない。そんな焦りもあった。
「はあっ!」
「うわっと! しまっ」
「もらったぞ!」
「なんのっ!」
風の焦りが見えた若葉はここで決めるべく勝負に出る。刀を持つ手を後ろに引き、風の顔に向かって高速の突き。その突きにも反応して大剣を引き上げて防いだが、顔の前に持ってきたことで自らの視界を遮ってしまう。如何に反応が良かろうと、見えていなければ防ぎようがない。故に、若葉は風が防ぐと信じて顔目掛けて突きを放ったのだ。
だが、正面を防いでいる以上そこからの攻撃は意味がない。ならば相手は横から攻撃してくるハズ。そう予想した風は、次の瞬間には己の予想通り横から攻撃する為だろう、左側から物音が聞こえたので半ば反射的にそちらへと大剣を構えたまま向いた。
「かかったな! はぁっ!!」
「なん、げふっ!?」
だが左を向いた瞬間、風の視界の右側に若葉が左手に刀を持って振りかぶっているのが見えた。左に向いて彼女が右側に居るということは、彼女は風の正面から動いていない事を意味する。なんで? と言いきる間も無く、彼女は右脇腹に無慈悲にも一閃を受け、軽く吹き飛んだ。
完璧にクリーンヒットした事で己の敗北を悟る風。地面に倒れ込む際、彼女は見た。若葉が持っていた筈の鞘が自身が向き直った方向に転がっていたのを。そして彼女は理解する。
「鞘を投げて音を立てて、そっちから攻撃が来るとアタシに思わせたのね……ガクッ」
「賭けだったがな……というか口で言うのか、それ」
倒れる音を口にしながら力尽きたように倒れる風に、若葉は呆れつつ勝利したからか安堵の息を吐く。足音とは違う音を聞いて風が勘違いしてくれるのかどうか、若葉としても賭けだったからだ。その賭けには見事に勝利した訳だが。
さて、歌野はどうなったかと鞘を拾ってから彼女が飛んでいった方向を向いた瞬間、咄嗟に若葉は上体を逸らしていた。その次の瞬間、円盤状の何かが彼女の上を通り過ぎていった。
「そこか! 見つけたぞ、球子!」
「くっそ、外した!?」
石垣の下にある、歌野が飛んでいった方向とは別の方向から飛んできた円盤状の何か……球子のレプリカ武器を避けた若葉。武器を見て下手人が球子であると理解し、飛んできた方を見れば飛ばしたからだろう左手を突き出した姿勢の球子を林の中に見つけた。
球子の武器は紐で繋がっている為、戻ってくるまで移動できない。まして今は武器を飛ばした直後であり、引き戻すには多少時間が掛かる。その“多少”の時間は若葉が彼女の元へ行き、攻撃するには充分過ぎる時間であり……迷い無く、若葉は球子に向かって石垣から飛び降りた。
時間は少し巻き戻り、若葉達から少し離れた林の中に居る千景と雪花。2度の奇襲を凌ぎ凌がれた2人は正面からぶつかった。刃ではなく長い柄同士をぶつけ、鍔迫り合いのような状態になる2人。あまり表情が変わる方ではない千景とコロコロと変わる雪花。対照的と言える2人は今、同じように好戦的な笑みを浮かべていた。
お互いに1度距離を離し、お互いの武器を振るう。木が多い林というこの場において不利なのは千景であった。大鎌という武器の特性上、どうしても風以上に攻撃は大降りになる。だが林にある木がその行動を阻害してしまい、仮に木に当たればそれは大きな隙になる。対して雪花は突くか投げるかという攻撃を主に使う為、あまり阻害される心配がないのだ。
どうしても攻撃頻度が下がる千景と攻める雪花。これが生身なら雪花があっさりと勝利を決めていたかもしれない。今尚この攻防が続いているのは、勇者としての身体能力と動体視力があるからこそ。でなければ千景は槍という点の攻撃を大鎌の柄という細い部分で受け止めることは出来なかっただろう。そんな攻防が続き、再び2人は互いに距離を詰めて鍔迫り合いに持ち込む。
「ふっ!」
「ととっ、危ない危ない。お返しに!」
「くっ、点の攻撃は厄介ね……」
「距離を開けたね。せぇい!」
「しまっ……いえ、まだ!」
千景が力任せに雪花を押し退け、大鎌を横に振る。雪花は直ぐに後方に跳んだ事で事なきを得た後、槍を連続で突き出す。柄も細く横向きに受け止めるのにも向かない大鎌である為、千景が取ったのは彼女と同じく攻撃が届かない位置まで跳んで避ける事。
だが、その行動を見た雪花はにんまりと笑い、突く事を止めて槍を投擲。両足が完全に地面から離れており、着地まで僅かに時間がある千景はしまったと顔をしかめるが、咄嗟に大鎌を盾にする。上昇している動体視力をもってしてもそれはまたもやギリギリになったが、防ぐこと自体には成功した。だが、それは着地を疎かにすることに繋がり、着地に失敗した千景は尻餅を着いてしまう。
「あうっ! ま、まだ!」
「その隙は見逃せないね。千景、討ち取ったりぃ!」
そしてそれはあまりにも大きな隙。紐を引いて槍を引き戻しながら近付き、途中で手にした雪花は千景が立ち上がる前に槍を突き出す姿勢を取る。悪足掻きか苦し紛れか大鎌を足に向かって横に振るうが、そんな攻撃が当たる筈もなく跳び上がることで避けられ、回避も防御も間に合わない完全な死に体となる千景。そして、今にも槍がその体目掛けて解き放たれる……正にその瞬間であった。
「ノオオオオッ!?」
「えっ?」
「ん? え? 歌野!? ぐえっ!!」
突如、どこからともなく飛んできた歌野が運悪く雪花に激突し、きりもみしながら2人は地面を盛大に転がった。突然の出来事にポカーンとする千景。目を回している歌野。痛みからかうめき声を上げるも歌野の下敷きになって動けない雪花。それを見て千景は意識を取り戻し、立ち上がって2人に歩み寄る。
「いたた……なんで歌野が……というかどこからっ!?」
「ナスッ!?」
「ふぅ……危なかったけれど、運も実力の内というしね」
「痛た……いやホント、運が悪いなぁ私も……もうちょいだったのに」
「目、目が回っ……頭も……」
「ボロボロなのは分かったから歌野は私の上から退いて」
ガンッ、ガンッと2度響く重い音の正体は千景が大鎌の刃の反対側で転がる2人の頭を叩いた音だ。事故のような勝ち方に少し不満げな千景と勝利していたハズがイレギュラーによって敗北してしまって不満げにする雪花。散々振り回された挙げ句雪花にぶつかり、更に頭にクリーンヒットを受けて脱落が決まる歌野。中々にカオスな状況であった。
ため息を1つ吐き、歌野がここに居るということは若葉達はどうなったのかと千景が視線を向けると、丁度風が敗北し、若葉が鞘を回収している所だった。やはり若葉が勝ったのかと納得しつつ、千景は奇襲を掛けようと石垣の方に近付き……。
(あれは土居さんの……なら乃木さんの意識はそちらに向いた筈。奇襲するなら……今!)
自身が居る場所とは別のところから飛んでいった球子の攻撃を避け、若葉の意識が彼女へと向いたのを確認した後に奇襲するべく跳んだ。
同じく時は戻り、場所はどこかの林。まさかの須美を除く小学生組3人を相手取る事になった樹だったが、意外と言うべきか、それとも相性や武器の性能から当然と言うべきか善戦していた。
「ええーい!」
「いいっ!? う、わ、っとぉ!」
「うおっ、と。なるほど、いざ戦ってみると中々……」
「戦いにくいよ~。最初に樹先輩と戦うの失敗だったかも~?」
(樹先輩、凄い……新士君達を1人で相手してるのに……)
彼女が右手を振るう度に伸びる4本の光のワイヤー。樹の意思で自由自在に動くそれは時に柔らかく鞭のように、時に硬く張って盾のように。更には林の中に張り巡らせる事で動きを阻害したりと攻防一体を実現する。
4本のワイヤーが横1列に並び迫ってくるのを見た銀(小)の脳裏に浮かぶスライスされたバーテックスの姿。いざとなれば精霊バリアがあるとはいえ、そんな切れ味のワイヤーが迫ると流石に怖い。おまけに今はレプリカ武器なのだ、普段の斧と比べると耐久性も心許ない。故に彼女は少し怯えつつ、高く跳んでそれを避けた。
別方向から攻めようとする新士だったが、今度は足下を狙うようにワイヤーが突き刺しに来る。ジグザグに動くことで避ける彼の所に、今度は上と左右からワイヤーが迫る。彼はジグザグに加えて緩急をつけることでタイミングをずらしたりして避けていたが、中々接近することが出来ない。
園子(小)も樹を包囲するように2人とは別方向から攻めようとするが、やはりワイヤーが邪魔をする。槍を突き出せばワイヤーが槍に巻き付くように伸びてくる。1度巻き付かれてしまえば回収は不可能、もしくは破壊される可能性があるので槍を下げるしかない。だがそうすれば攻撃は届かないしそもそも攻撃できない。
樹から離れた場所で隙を伺う須美にはその全てが見えていた。わずか4本のワイヤーを巧みに操り、3人の動きを阻害し隙あらば撃破すら出来てしまいそうなその姿は普段の彼女からは想像することが難しいだろう。更に、これは偶然なのだろうがワイヤーがひっきりなしに動くので矢を放ったところでワイヤーの方に当たる可能性が高い為に須美も未だに矢を放てない。
(つ、辛い! ちょっとでも気を抜いたら小さいお兄ちゃんか銀ちゃんが突っ込んでくるし、園子ちゃんも攻撃してくるタイミングが……やっぱり3人相手はキツい!)
しかし、樹も余裕がある訳ではない。1人1人をしっかり対応しなければ直ぐにでも距離を詰められてクリーンヒットを許す事になる。いや、1人に意識を割きすぎればそれだけでこの戦況は傾く。勿論、樹にとって悪い方へ。だからこそ頭とワイヤーをフル回転させているのだ。
だが、そんな事をずっと続けられる訳がない。時間が経てば経つ程不利になるのは樹の方なのだ。彼女は考える。この戦況をどうにかする方法を。
(……そうだ、あの時のお兄ちゃんみたいにすれば!)
そして思い付いたのは、以前兄がやっていたこと。樹は右手を体の後ろへとやり、3本のワイヤーを3人は向かって伸ばす。残りの1本は真下へと伸ばす。
「攻撃方法が変わった? 2人共、イッツん先輩が何かしてくるよ~」
「何かって何!? いや、でもこれなら、何とか!」
「うん、さっきより攻撃の頻度が下がってるねぇ……行ける、かな?」
4本から3本になった事で3人の方に余裕が出てくる。だが攻撃方法が変わった事で何かをしてくると察した園子(小)が警戒を促し、銀(小)と新士は樹へと近付く隙を伺う。
伸びてくるワイヤーを避ける3人。やはり先程よりも単調になっている為だろう、余裕を持って避け、捌く事が出来ている。そして何度目かの攻撃をそれぞれの武器で弾いた瞬間、銀(小)が真っ先に動いた。
「行ける! 樹さん、覚悟ー!!」
「続くよ!!」
「は~い!」
体から離すようにワイヤーに武器を当てて剃らす3人。その勢いを殺す事なく樹へと迫り、新士は姿勢を低くして、園子(小)はそのまま真っ直ぐ、銀(小)は飛び上がって双斧を振り下ろさんとする……その瞬間だった。
「今っ!」
「えっ? へぶぅっ!?」
「「銀ちゃん(ミノさん)!? あっ! おぶっ!?」」
銀(小)の真下からワイヤーが伸びてきて右足に巻き付き、飛び上がった勢いのままに顔から地面に盛大に突っ込んだ。中々に派手な出来事と音に思わずそちらへと意識を向けてしまった2人だがその隙に背後からワイヤーが迫り、気付いた時には両腕の上からぐるぐると巻き付けられ、バランスを崩してこれまた顔から地面に倒れた。
樹がやった事は単純明解。1本のワイヤーを地面へと伸ばし、地面の中を進ませていたのだ。そして銀(小)が……正確には誰かが跳んだ瞬間にその足に巻き付ける為に伸ばし、そのまま地面へと倒す事が目的。多方向から攻めてばかり居たので1人くらいは上から攻めるだろうという予想が的中した。尚、あの時のようにとは2度目の戦いの際に楓が怒る風を止める為にした時のことである。
「ふぅ……やっと捕まえられた。これで皆リタイアって事でいいのかな?」
「うごご……バリアが発動しなかったからそれなりに痛い……」
「ご、ごめんね銀ちゃん……小さいお兄ちゃんと園子ちゃんも大丈夫?」
「痛いよ~。アマっち、鼻とか顔とか撫でて~」
「自分も痛いけど、両腕がこうして封じられるからねぇ……ああ、自分達はリタイアでいいよ。このままバーテックスみたいにスライスされたくないしねぇ」
「やらないよ!?」
さながら捕らえられた罪人の如く、ワイヤーでぐるぐる巻きにされたまま地面の上に転がる3人。ようやく一息付けると流れる汗を拭う樹が聞けば、涙目の銀(小)は痛みに耐え、園子(小)は芋虫のように動いて新士へとすり寄り、彼はそんな彼女達に苦笑いしつつ、冗談も交えながら座る。
新士が言うように、クリーンヒットこそ受けていないがこうして拘束された以上はリタイアと同義だろう。そこは2人も異論は無いのか、座った後に3人共変身を解いた。これで本当に肩の荷が降りたのか樹もツッコミつつ安堵して再び安堵の息を吐く。
「でも3人がかりで挑んでおいて惨敗っていうのもねぇ……」
「本当になー。よし、新士! 最終兵器だ!」
「最終兵器!? り、リタイアした人は攻撃しちゃダメだよ!」
「攻撃じゃないよイッツん先輩~。むしろダメージ受けるのはアマっちかも~」
「……まあ、確かにねぇ。というか本当にやるの? 流石に……」
「「頑張れ新士(アマっち)!」」
「な、何をする気なのかな……」
幾ら樹が対多数に優れているとは言え、3人がかりで敗北した事に落胆の色を隠せない新士。他2人も同意し、一瞬だけ暗くなるが直ぐに銀(小)が明るい声で叫ぶ。物騒な発言に樹も慌てるが、園子(小)の言葉と新士の反応に首を傾げる。そして、彼は覚悟を決めたように深呼吸を1つし……。
「い……樹、お姉ちゃん♪」
「はうっ!! あふんっ!?」
口の端をヒクつかせつつ、それでも満面の笑みでそう口にした。瞬間、樹はまるで胸を撃ち抜かれたような衝撃を感じた。
普段は老人張りに落ち着きがあり、朗らかな笑みを絶やさない新士。そんな彼が、年上の妹というなんとも不思議な関係にある樹を笑顔で、何なら声もちょっと甘えているような感じで“お姉ちゃん”と呼ぶ。末っ子の彼女に、その言葉と笑顔は言葉に出来ない歓喜から来る衝撃を与え……そして、そんな大きな隙を逃すこと無く、背後の木の枝の上に居た須美の放った矢がその後頭部を捉えた。
「そ……そういえば須美ちゃんだけ居なかったっけ……」
「ナーイス須美!」
「お疲れ様、新士君、銀、そのっち。私以外やられてしまったけれど、樹さんも凄かったから仕方ないわね……新士君、大丈夫?」
「恥ずかしさで顔から火が出そうだよ……2度とやりたくないねぇ」
「え~、アマっち可愛かったからもう1回聞きたかったな~」
「お、お兄ちゃん。私ももう1回聞きたいな。もう1回だけ! お願い!」
「言わないよ……」
バタリと倒れる樹の隣に須美が降り立ち、彼女に当たって地面に落ちた矢を拾いながら顔が赤い新士の心配をする。銀(小)が言った“最終兵器”とは、彼が樹の事を“お姉ちゃん”と呼ぶことであった。普段の彼なら決して言わず、樹自身も決して予測していなかったであろうその言葉は恥ずかしそうにする彼の表情も相まって彼女にとって破壊力抜群であった。因みに、発案者は当然のように園子(小)である。
(樹ちゃんと新士君、園子ちゃん、銀ちゃんも脱落……須美ちゃんは生存っと)
小学生組対樹の戦闘はこうして3人という被害を出しながらも小学生組の勝利に終わった。1人になってしまった事に少し不安を覚えつつ、須美は会話もそこそこに待っている間ずっと騒がしかった丸亀城の方へと進む。そこで彼女が見たのは、歌野と雪花を叩く千景。そして、更に向こう側で風を倒した所の若葉。
(お2人は恐らく私には気付いていないハズ……漁夫の利を得るなら、ここね)
そう判断した須美は先と同じように木の枝に乗り、弓を構える。そうして準備をしている間に若葉は球子の攻撃をかわして彼女へと向かうべく石垣から飛び降りようとし、千景は2人の方へと跳んで行く所であった。息を潜め、いつでも矢を放てるようにする須美。そして、若葉が飛び降りる瞬間に須美は必中の意思を持って矢を放った。
「なっ!? くっ!!」
(弾かれた! でも、後は千景さんが攻撃してくれれば……)
迫る矢を空中で刀を振るうことで弾く若葉。だがそれ故に無防備を晒す事になる。そこに大鎌を構えた千景が近付き、がら空きになった彼女の体に攻撃を加えようとし……。
「っ、乃木さん!」
「ち、千景?」
若葉の横を通り過ぎ、彼女の後方上空から飛んできた
2人は着地し、攻撃が飛んできた方を見る。それは須美も同じであり、唯一球子だけは自身のレプリカ戦刃盤を回収して距離を取っていた。そして3人はそれぞれの視界に、攻撃してきた相手を捉える。
「そうか、今のは須美だったか……なら、背後の奴は」
「東郷さんね」
「東郷先輩……あんな所に」
「残念、外しちゃったわね」
石垣から少し離れた所に背中合わせに居る若葉と千景。そこからそれなりに離れた場所に弓を構える須美。2人から距離を離す球子。そして、丸亀城の1番の屋根に胸から上だけを出して狙撃銃を構えている美森。こうして戦いは、次のステージへと移るのだった。
そんな5人の戦いから更に少し離れた場所……5人がまだ気付いていないその場所では。
「「勇者、パーンチ!!」」
「勇者パンチ、ってねぇ!!」
楓と友奈、高嶋の3人が流れる汗もそのままに拳をぶつけあっていた。
原作との相違点は今回はお休み(!?)
という訳で、前回の続きでした。報酬の話と纏める為にさっくり終わらせると言ったな? あれは嘘だ(うわああああっ
戦闘シーン書いてると長くなってしまいます。過去作から学ばない私を許してくれ、ナタク。なまじゆゆゆいに入ってからがっつりした戦闘描写を書くことが少なかったのでつい書きたい欲望が爆発しました。本当は楓達の戦いも書くつもりでしたが文字数が15000~20000字行く可能性があったので次回に持ち越し。次回でレクリエーションを終わらせたいですね。
今回はちょこちょこパロネタが入ってたり。樹が強過ぎると思われないかと不安にもなったり。戦闘描写が分かりにくくないかと心配にもなったりしてますが、楽しんで頂ければ幸いです。
それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)