咲き誇る花達に幸福を   作:d.c.2隊長

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大変長らくお待たせしました、ようやく更新でございます(´ω`)

すみません、ウマ娘やってました……あのアプリ、沼が凄い深くて中々抜け出せません。今も抜け出せてません(ずぶずぶ

ウマ娘やってるせいで他のアプリがちょっと停滞気味。fgoはイベントストーリーとガチャしかしてません。勿論爆死です。テイクレやゆゆゆいも無事死亡。満開小園子欲しかった……ホント欲しかった……。

ファンリビでは狂三が、ブルアカではイズナが来てくれました。可愛いが過ぎる。BBDWもEs来てくれましたし、振り幅が酷い。天華百剣ではゆゆゆコラボするそうなので来るまでガチャ禁です←

前回ではアンケートにご協力ありがとうございます。季節イベを見たい、イチャイチャ系見たいが多かったのでこれ季節イベでイチャイチャ書けば解決するのでは? 尚三番人気は愉悦系でした。入れた人の心当たりがありすぎる←

それでは約3週間ぶりの本編、どうぞ。


花結いのきらめき ― 28 ―

 数えるのも馬鹿らしい程の中、小型バーテックスと数体のこれまで何度か目にしてきた大型のバーテックス。そして全高100メートルはあるとされる獅子座に匹敵、或いは凌駕していそうな程の超大型バーテックス。()()()()()()()()それだけの戦力が敵にはあり、恐らくは中、小型を生み出すバーテックスも居て無限に増えるともなれば、実際の戦力差は考えるだけ無駄と言うものだろう。

 

 勇者達の中では満場一致で超大型バーテックス……レクイエム・フォルテ(以後レクイエムFと記す)こそが親玉。つまりはアレさえ倒せば今回の戦いに終止符を討ち、香川の大半を解放する事が出来る。

 

 「あれを倒してさっさと帰りましょう。さて、どう攻めるか……あれ? なんか蠢いてない?」

 

 「なっ!? 超大型バーテックスから大型バーテックスが出現した!?」

 

 「以前倒した大型は小型を生み出していましたが、この超大型は大型を生み出す……という事でしょう」

 

 「あれを真っ先に叩かないとヤバい奴じゃないか?」

 

 「そうね、時間を掛けるだけこちらが不利になる一方よ」

 

 「だが親玉に行くには、あの大型どもが邪魔だ……」

 

 ならば、と戦意を高める勇者達の中で雪花が呟くや否やレクイエムFに存在する球体からずるりと大型バーテックスが出てきた。須美が驚愕する横で杏が冷静に考察し、同時に厄介な能力である事に苦い表情を浮かべる。それは後に言葉を発した銀と美森、若葉も含めた全員が同じ。

 

 単純に、数の違いだけでも脅威なのだ。それに加えて戦闘力も伴っているのだから質が悪い。最悪、生み出された大型に更に小型を生み出すタイプが混ざっていても不思議ではない。倍々ゲームどころではない速度で更に敵が増える可能性すらある。敵を生み出す敵、というのはそれだけ厄介な存在なのだ。が、そんな事実を前にしても動けなくなるような者はこの場には居ない。

 

 「簡単な話だ。この前出来た事をまたやればいい。すなわち部隊を分けて敵に当たる。私が大型を引き受ける。お前達は奥へ行け」

 

 「棗……」

 

 「体を張る時が来たようだ。是非頼ってくれ」

 

 「幾ら棗さんでも1人じゃ無理だよ!」

 

 「しゃーない、同じ助っ人枠として私も頑張るわよ」

 

 「それなら、高嶋 友奈、残ります! だって、私と結城ちゃんタイプが同じだから、2手に分かれるなら分けた方が良いかなって」

 

 「……私も残るわ」

 

 「……分かったわ。部隊を割りましょう」

 

 棗の言葉を切欠に勇者達は残って邪魔な大型以下を引き受ける者と突っ込んでレクイエムFを撃破する者に2手に分かれる選択をする。流石に今回は攻撃力云々等の単純な話ではない為、戦力差が偏らないようにと風が代表してメンバーを選抜する。

 

 残る組には先程名乗り出た棗、雪花、高嶋、千景の4人に加えて杏、球子、夏凜、新士、銀の計9人。残りの楓、友奈、美森、風、樹、須美、園子(小)、若葉、歌野の9人が奥に居るレクイエムFを叩く。残る組は楓の絨毯に乗って進む9人を見送り、周囲に居るバーテックス達に目をやり……各々武器を構え直す。

 

 「さて、こいつらさっさと片付けるわよ。香川の解放戦最終局面、気合入れていけぇっ!!」

 

 そんな夏凜の気合と戦意が籠った叫びと共に、9人はバーテックス達へと立ち向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 「……後ろは激戦になっているだろうな。だが、あいつらなら大丈夫だ」

 

 「そうね。だからこちらも全力を尽くしましょ」

 

 「風先輩。チーム分けって何か基準があるんですか? 夏凜ちゃん達が残りましたけど……」

 

 「自分も気になってたんだ。姉さんが小さい自分を残すとは思わなかったからびっくりしたよ」

 

 「あんたはあたしをどう思ってんのよ……」

 

 一方の進む組は楓の絨毯の上で迫るバーテックスを迎撃しつつ、そんな会話をしていた。本来ならもっと速度を出せるのだが、その迫るバーテックスのせいでろくに速度を上げられず、距離を詰めようにも少し時間を要する。その間に友奈は疑問に思っていた事を聞いてみた。

 

 風曰く、残る組の9人を選んだ理由はあちら側のバーテックスは既に既知となっているモノが多かったから。但し能力自体は割れていてもその数が凄まじいのでひたすら攻めてくることだろう。

 

 故に、残った方にはその多数の敵と途切れぬ攻勢に耐える精神性を持つ者を重視。その中にも冷静さを失わないタイプの勇者もおり、遠距離からのサポートもある。足の速さや防御力等の危険時のカバーも問題無い。

 

 進む組は初見となる超大型が目標なので閃き、対応力等を重視。何が起きるかわからない、何を起こすかわからない。だからこそどんな状況でも対応出来る、どんな能力かを看破、ないし対処方法を閃く能力が求められた。

 

 「なるほど、勉強になります」

 

 「納得したよ」

 

 「もしかして、アテにされてるのかな~?」

 

 「超アテにしてるわ」

 

 「ふふ、頼りにしてるよ、小のこちゃん」

 

 「プレッ……プレッシャー……」

 

 「いつも通りでいいのよ、そのっちは」

 

 「私達は敵をよく観察しましょう、須美ちゃん」

 

 「はい。少しでもお役に立ちたいです」

 

 各々納得したように頷き、アテにされていると知った園子(小)は珍しく眉を下げて自信なさげにしている。だが美森達に励まされ、楓には頭を撫でられ、若葉を含めた他の者からも信頼を向けられ、今度はやる気を漲らせる。

 

 今一度、勇者達は遠くに居ても超大型と分かるレクイエムFの巨体を見やる。その姿は間違いなく近付いてきており……接触は時間の問題であった。

 

 

 

 

 

 

 進む組を見送ってから数分。その間休むことなく戦い続けていた残る組は既に100や200では利かない数のバーテックスを屠っていた。その中には大型も数体混じっており、今も大きさ関係なくバーテックスを倒し続けている。

 

 「ったく、粗方倒したと思ったけど……やっぱりどんどん涌いてくるわね、敵は」

 

 「親玉の救援に向かわせず、こちらで全部引き受ければいい」

 

 「ふぅ……大変な任務の連続だけど……背中を預けられる仲間が居るのはいいね」

 

 「全くだ」

 

 時折会話を挟み、仲間が居る安心感を得る。それは終わりを感じさせない数多の敵との戦いに気後れしない気力を得る事に繋がり、互いの位置を確認してお互いを守り合う距離を保つ事にも繋がる。手を、足を、頭を、そして口を休めず、勇者達はただただ奥に進んだ仲間の為にバーテックスを倒し続ける。

 

 「ふ……ふふ……な、なんか段々笑えてきたわ。だって、血の滲む努力で身に付けた戦闘技術がこんなに役立っているんだから……あの時、頑張って良かったぁ!!」

 

 「てやっ! 勇者パーンチ! ……ん~?」

 

 「はぁっ!! っと、高嶋さん、どうしました?」

 

 「新士くん? あのね? 実際のバーテックスと比べると、神樹様の中のバーテックスはどうも硬いような気がして」

 

 「そんな事はないと思うぞ友奈」

 

 「私の拳が関係しているのかな……まぁいいや。ガンガンいこう!」

 

 「そうそう! 細かいことはいいんだ!」

 

 (大雑把なところがあるのは姉さんに似てるなぁ、球子さん)

 

 勇者として戦う為に、勇者となる為に本当に血の滲むような努力を重ねて遂には勇者となった経験を持つ夏凜。そのお役目が終われば勇者部には居られないと思っていたことすらある。命掛けとは言え、両手の指で足りるだけの戦闘。それで終わるハズだった、その為だけに費やした時間と努力。

 

 その努力の時間をこうして四国の為に、何よりも仲間の為に振るうことが出来ている。戦い過ぎてテンションがハイになっている事は否めないが、それ以上に嬉しいのだろう。その時の頑張りが、決して無駄ではなかった事が。思わず笑いが溢れてしまう程に。絵としては笑いながら敵を切り刻んでいるので中々にアレだが。

 

 そんな夏凜はさておき、バーテックスの手応えに疑問を覚えたのは高嶋。理由は不明だが、元の世界と比べてバーテックスが硬く感じるらしい。しかしちょっとした疑問程度だったのだろう、球子の言葉に頷くと直ぐにまた攻撃を開始し、球子も続く。そんな短いやり取りの中で、新士は姉と似てると内心で頷いた。

 

 「敵さんやい! こっから先は、ぜ~~~~ったい通さないぞ! 通るっていうなら、三ノ輪 銀様がお相手だ!」

 

 「こら銀ちゃん。また君は1人で……」

 

 「あはは、ごめんって新士。見ろ! あたしだけじゃなく、雨野 新士も居るぞ!」

 

 「全く……ほら、一緒に行くよ!!」

 

 「ああ! 須美、園子……こっちは頑張ってるぞ。そっちも頑張れ」

 

 仁王立ちしてバーテックスに向けて啖呵を切って走り出そうとする銀(小)の肩を掴んで止めて呆れた顔をする新士に、彼女は笑って謝りつつまたバーテックスに向かって叫ぶ。そして彼と共に突っ込みながら、奥に進んだ2人にエールを送るのだった。

 

 

 

 

 

 

 「しっかし、防戦ばっかりだったからこうしてダンジョンの奥で敵のボスと戦うのは斬新だわ」

 

 「ある意味とっても勇者らしい行動なんですけどね。初めてですよね」

 

 「ああ、姉さんが冷蔵庫から樹のプリン食べてたのは“ある意味勇者らしい行動”って奴だったのか」

 

 「なぜそれを!?」

 

 「お姉ちゃんまた勝手に食べたの!?」

 

 「なぜ勝手にプリンを食べるのが勇者らしい行動になるのかしら……東郷先輩、分かりますか?」

 

 「さぁ……銀なら分かるかしら」

 

 場所は変わって奥に進む組。絨毯で飛び続けながら会話が途切る事もなく、賑やかに進む9人。くつくつと笑う楓と慌てる風、ポコポコ叩く樹とそれを笑って見ている友奈。“勇者らしい行動”の理由が分からず首を傾げる須美と美森。敵のど真ん中とは思えないその穏やかな空気はやがて霧散し、顔を強張らせた若葉がポツリと呟く。

 

 

 

 「遂に最深部まで来たな……こいつさえ倒せば、香川が解放される」

 

 

 

 遠くでさえ理解出来たレクイエムFの巨大さ。到達した最深部で改めて至近距離で見るその巨体はこれまでのバーテックスとは桁違いの威圧感を与える。思わず、というように誰かが生唾をゴクリと飲み込む。誰しもが自然と武器を持つ手に、身体に力を入れた。

 

 「本当に大きい敵……ゾクゾクしてくる。造反神の一部、なのかな……お兄ちゃん」

 

 「さて、どうなんだろうねぇ……情報が何もないから、どうにも判断が出来ないねぇ。姉さんはどう思う?」

 

 「アタシも同意見。こいつら謎だらけだから。そもそも造反神はなんで反乱を起こしたんだろうねぇ?」

 

 「迷惑な話ですな~……と思いながらも……」

 

 「不思議な体験が出来ているのはある意味、造反神のお蔭でもあるわね」

 

 「そうね。私と若葉が会えたのも……そう」

 

 「あぁ……」

 

 「元々は神樹様の味方な訳だし、憎みきれない所もあったりね」

 

 大きさもそうだがその威圧感や存在感、感じられる力の強さ等もこれまでのバーテックスとはまるで違う。香川解放の戦いのボスでもある異常、この世界にやってきた理由でもある造反神の一部、ないしは力を多く持っているのではないか。その樹の意見には楓もわからないと首を振り、風も同じように首を振って別の疑問を口にする。

 

 そもそも何故造反神は神樹の中で反乱を引き起こしたのか、その理由や目的は判明していない。神樹を構成する神の一柱が反乱を起こし、このままでは神樹の力が大きく削がれてしまい、やがて四国は滅びるとしか聞かされていないのだ。とは言え、それだけで充分に戦う理由にはなるのだが。

 

 しかし、園子(小)と美森が言うようにその反乱が無ければこうして時代を越えて勇者が一堂に会することはなかっただろう。この運命的な奇跡の出逢いをもたらした事に関しては、造反神に感謝するところかもしれない。

 

 「それでも……皆さん、相手は……」

 

 「大丈夫、分かってるよ須美ちゃん。相手は倒さなくちゃいけない。お役目はしっかりやる。でも、色々な思いはあるから……それらを拳に乗せて、どーん! と打ち込むよ!」

 

 「いいわね友奈。女子力の何たるかが分かってきたわね」

 

 「こっちはそれが分からなくなってきたわ」

 

 「女子力ってなんなんだろうねぇ……」

 

 勿論、感謝しているからと言って倒さない訳ではない。それはそれ、これはこれとやるべきことはやる。拳を突き出しながら笑ってそう言う友奈に安心したように須美は頷き、風もうんうんと腕を組みながら頷く。ただその意見がなぜ女子力に繋がるのか理解出来る者は本人以外居らず、皆首を傾げたり苦笑いしたりしていたが。

 

 そうこうしている内にこれまでの道中では進路上に居る敵を除けばあまり動きを見せなかったバーテックス、そして目の前のレクイエムFが動きを見せる。何をしてくるか予想が出来ない相手に警戒しつつ、勇者達はいつも通りに地上、上空に別れてそれぞれの武器を構える。

 

 「皆と一緒にひなた達のところに戻る。やるべき事をやってな」

 

 「造反神様……ありったけの勇者パンチ、行きます!」

 

 「こうして本当なら会えない人とも出会えた……それは感謝しているけど、お役目はお役目……」

 

 「皆とならお役目を果たせる……鷲尾 須美、大和撫子として頑張ります」

 

 「アマっちとミノさんもハッスルしてるだろうし、私もやるよ~、やっちゃうよ~」

 

 「どんな敵だろうと戦える! ちょっとは怖いけど……大丈夫」

 

 「さて、皆でよってたかって鎮めるとしますか」

 

 「よってたかってって、もう少し言い方があっただろうに……まあ、やるんだけどねぇ」

 

 「ええ、覚悟してもらいましょう!」

 

 それぞれのやる気に意気込み、思いを言葉にしてレクイエムFに視線を向ける。人数は普段の半分。しかし負ける気は微塵も無い。敵を倒し、香川を解放する。他の者よりも1歩前に出た若葉は己の武器である刀の切っ先をレクイエムFと向け、声を張る。

 

 

 

 「行くぞ勇者達よ! 香川奪還最終ミッションだ!!」

 

 【応っ!!】

 

 

 

 その声を待っていたかのように、全てのバーテックスが勇者達へと殺到する。その勢いに臆する事なく、勇者達は迎撃すると共に目標であるレクイエムFへと真っ直ぐに突き進む。

 

 「やああああっ!!」

 

 「行きます!」

 

 「おしおき!」

 

 「通してもらうよ!」

 

 「外さない!」

 

 何度も相対してきた大量の敵。その大量の敵を怒涛の勢いで殲滅していくのが中、遠距離攻撃に秀でた5人。歌野が鞭を縦横無尽に振るい、須美が連続して矢を放ち、樹がワイヤーで切り裂き、楓が多種多様な光で一掃し、美森か散弾をばら蒔いて穿つ。面に、点に、線に。何かが閃く度にバーテックスは殲滅されていった。

 

 「勇者パーンチ!!」

 

 「切り捨てる!!」

 

 「必殺! 女子力斬りいいいいっ!!」

 

 「え~い!!」

 

 友奈の拳がバーテックスを打ち砕き、若葉の一閃が縦に横に両断。風が力任せに叩き斬り、園子(小)が槍の突撃で風穴を空ける。9人の攻撃に中、小型は一撃と耐えること叶わず、大型は2、3人の攻撃で光と消える。この世界にやってきた当初よりも成長した勇者達は最早大型ですら止められない。

 

 進む。進む。進む。倒して、倒して、倒して、その度に進む。やがてその進撃は目標であるレクイエムFに届く。同時に、レクイエムFの攻撃もまた勇者達に向けられる。

 

 両翼のような部分にある2つの深紅の小さな球と巨体の下部にある大きな深紅の球。そこから放たれたのは、同じ深紅の色をした極太のレーザー。原作のゲームにおいて“ヘヴィーレイ”と呼ばれるそれが勇者達に無慈悲に襲い掛かった。

 

 しかし、大きさこそ違えど同種のレクイエムと戦ったことがある勇者達にとってその光景は初見でも何でもない。放つ前に球が光るという予備動作もある為、慌てずに放つ前には素早く攻撃範囲から逃れる。代わりに、射線上に居た数多のバーテックスが光と消えた。

 

 「あんなもの、精霊バリアがあっても当たりたくないねぇ」

 

 「そうですね。もし当たったらと思うと……」

 

 「なら、壊してしまいましょう。そうすればあの光線も出せなくなるかもしれないわ」

 

 「なら、やるよ!」

 

 「はい!」

 

 「分かったわ、楓君」

 

 上空の3人はそんな会話の後、レクイエムFの周囲を飛びながら深紅の球へと攻撃を集中させる。それを邪魔に思ったののかレクイエムFはレーザーを3人めがけて放ち、更には翼のような部分から紫色の羽のようなモノも飛ばして撃ち落とさんとする。

 

 しかし、当たらない。元より楓は空中戦を得意としており、その機動力と速度において右に出るものはいない。ひらりひらりと舞うようにレーザーを、羽をかわし、その合間にも矢と弾と光がレクイエムFの球にダメージを与え続けている。

 

 「楓達ばっかり狙ってんじゃないわよ!!」

 

 「私達も居るぞ!! はああああっ!!」

 

 「高嶋ちゃんの見よう見まね! 勇者パンチパンチパーンチ!!」

 

 「お兄ちゃん達を狙うなら、まとめておしおき!!」

 

 「わっしー達はやらせないよ~!」

 

 「行くわよ、私のフェイバリット! らああああっ!!」

 

 無論、その攻防を黙って見ている仲間達ではない。レクイエムFの巨体に竦む事なく飛び掛かり、大剣と刀を振るう風と若葉。同じく跳び上がり、左右の拳を連続で叩き込む友奈。飛び交う紫色の羽を切り落としながらレクイエムF以外のバーテックスを倒していく樹と園子(小)。歌野も周囲の敵を鞭を振るって掃討し、その後にレクイエムFに渾身の一撃を横一閃。

 

 そうして攻撃されたからだろう、レクイエムFは巨体を回転させて攻撃と同時に地上組を吹き飛ばそうとする。獅子座にも匹敵し得る巨体はそれだけで武器となり、ただ動くだけでも充分に脅威と化す。その大きな体や翼に当たれば精霊バリアがあると言えど大きなダメージを負うのは必死。

 

 だが、それを黙って見ている訳がない。迫る翼に向けて上空の3人は攻撃を集中させ、樹はワイヤーを巻き付けて動きを阻害し、園子(小)は飛ばした穂先を突き刺し……友奈は正面から殴り掛かり、風と若葉も各々切りかかる。するとどうか。ダメージが集中したことで右の翼が本体から千切れるように離れ、そのままバーテックスを倒した時のように光と消えた。

 

 「げっ、敵さんなんか動いてるんですけど……まだ倒せないの?」

 

 「凄い生命力、だね……」

 

 「でも、もう瀕死だと思います!」

 

 「後もう少しね……楓君」

 

 「うん、これで仕留めるよ美森ちゃん」

 

 「ええ。狙撃する!!」

 

 しかし、レクイエムFはまだ倒れない。楓達の攻撃を集中して受けたせいで3つある深紅の球にはヒビが入り、その輝きが失われている。右側の翼はつい先ほど失われ、左側も所々欠けており、その見た目は誰が見ても満身創痍。それでも動き続ける彼の敵は、勇者達に向けてその巨体を前進させている。

 

 散々攻撃を受けていても尚動くその生命力に驚きつつも、流石にもうすぐ倒せるだろうと気合いを入れ直す勇者達。香川解放の為にレクイエムFに引導を渡すべく、楓は地上に降りて狙撃銃を構える美森の後ろに立つ。彼女を強化し、その一撃を持って終わらせる為に。

 

 彼の光による強化を受け、輝き始める狙撃銃。肩に置かれた彼の手の暖かさを感じつつ、引き金を引く美森。放たれた極太のレーザーの如き光弾は真っ直ぐにレクイエムFへと向かう。その威力を知る勇者達は誰もがこれで決まると思った。

 

 「……っ!? 敵機、健在! そんな……なんで!?」

 

 「わっしー、周りを良く見て。敵が殆ど居なくなってるよ~」

 

 「えっ!? ほ、本当だわ……どうして」

 

 「つまり、あのバーテックスの周りに居たバーテックス達がシールドになったってことか……やるじゃない」

 

 「褒めてる場合か歌野。だが……」

 

 「ええ、これで完全に道が開いた。後はありったけの鞭を入れるだけ! トドメの火力は準備してて!」

 

 だが、レクイエムFは尚も健在。まさか強化された一撃が効かなかったのかと絶望の声を漏らす須美だったが、園子(小)の言葉に周囲を見回す。他の者達も見回してみれば、あれほど大量に居たバーテックスが大中小関係無く消失している。

 

 一瞬の疑問。それも歌野の言葉で解けた。単純な話、周囲のバーテックスが強化された一撃の盾になったのだ。勇者達の誰もがレクイエムFに、2人の攻撃に意識を集中してしまっていたからこそその動きに気付けなかった。仮に気付いていたとしてもどうすることも出来なかっただろうが。

 

 だが、レクイエムFの周囲に邪魔な敵は居なくなった。後方から来るバーテックスは他の9人が抑えている。最早敵を守る盾も、遮る壁も何もなくなった。故に、勇者達はこれで本当に最後だと跳び掛かった。

 

 風の大剣が一閃する。歌野の鞭が叩き込まれる。樹のワイヤーが左翼を締め上げ、園子(小)の槍を前にした突撃がそれを貫く。美森の狙撃銃が撃った箇所に須美の矢が撃ち込まれて爆発して風穴を開け、楓の両手の水晶から光を2つ出し、体の前で1つに束ねたレーザーがもう1つ開ける。

 

 「今よ!!」

 

 「行こう、結城!」

 

 「うん! 若葉ちゃん!」

 

 「香川を、皆の土地を返してもらうぞ!」

 

 「皆のお陰でここまで辿り着けた。代表して、ありったけの力で……!!」

 

 

 

 「斬る!!」

 

 「勇者……パアアアンチッ!!」

 

 

 

 「うわぁ、綺麗に決まってる~! 流石です~!」

 

 「バーテックスが崩れて……?」

 

 「流石友奈達、美味しい所を取られて……? な、なんかおかしくない? こっちに落ちてきてない!?」

 

 「なに!?」

 

 「嘘っ!? 皆!!」

 

 一閃。そして一撃。若葉が横一文字に斬り抜け、友奈が大きな深紅の球を突き破る。今度こそ決まった……誰もがそう思った。事実レクイエムFの体は端から崩れ初めており、そこからゆっくりと光と消えていっている。

 

 最初に気付いたのは樹。崩れる速度が今までのバーテックスに比べて遅くはないかと首を傾げた。そして本格的にヤバいと察知したのは風。焦燥感に駈られた声の通り、レクイエムFが勇者達に向けてその巨体を落下させていたのだ。それが力尽きたが為の動きなのか、それとも悪足掻きなのかはわからない。だが、間違いなくピンチであることは確かであった。

 

 最後の攻撃で背後に回ってしまっている若葉と友奈は気付くも間に合わない。風達は避けられるかもしれないが、それでは樹海が傷付いてしまう。そうなれば現実に、そしてこの世界にどんな影響があるかわからない。かといって受け止められる訳がない。ここまで来て……と誰もが考えた時、楓が須美の手を引いた。

 

 「須美ちゃん、手を貸して!」

 

 「えっ!? わ、分かりました!」

 

 「楓君、まさか」

 

 「まだ2回目だよ。それに、今回はこれで最後だ。須美ちゃん、構えて!」

 

 「はい!」

 

 驚いた須美だったが彼の考えを悟り、表情を引き締めて言われたままに左手の弓を構え、右手で矢をつがえる。強化をするつもりだと悟った美森が心配そうにするが楓は朗らかに笑ってみせ、須美の左隣に立って右の水晶から彼女の弓の形をした光を出現させる。その立ち姿はまるで鏡合わせのようであった。

 

 ほぼ真上に構えられた2つの弓に左の水晶から伸びた光が絡まり、真っ白な光を纏い、輝き始める。2人はその輝きを見た後に矢を引き絞り、落下しているレクイエムFに向けた。

 

 (暖かい……これが楓さんの光。新士君とは違うのに、同じ……彼の手の暖かさの、なんて真っ白で綺麗な光……)

 

 「さぁ、行くよ須美ちゃん」

 

 「……はい! 受けよ、我らの国防の一矢!」

 

 「須美ちゃんはよく、こう言っていたっけねぇ」

 

 

 

 「「南無八幡……大菩薩!!」」

 

 

 

 同時に放たれた2本の矢。それはレクイエムFに当たる前に1つに重なり、白い光の螺旋を描きながら空へ向けて突き進む。一瞬の間を置いてその矢は落ちてくる巨体に突き刺さり……呆気なく貫き、下部の深紅の球の半分から上を消し飛ばしながら天高く昇っていった。

 

 「新士! あの光!」

 

 「うん、楓さんの光だねぇ」

 

 「おっ、てことはやったっぽい?」

 

 「……ああ。やってくれたようだな」

 

 「綺麗だねーぐんちゃん」

 

 「そうね。高嶋さん」

 

 「楓さんが強化を使ったってことは、分かってたけど向こうも激戦だったみたいね」

 

 「おっ、見ろよあんず。バーテックスの動きが止まってるぞ」

 

 「そうだね。それにこちらからでも見えていた超大型が見る影もない……これで香川は解放されるんだね」

 

 そしてその光は、後方で敵を抑えていた9人にも良く見えていた。この位置からでもはっきり見えていたレクイエムFの姿も今は無く、周囲のバーテックスも行動を停止し、光と消えていっている。そんな周りよりも、9人は空へ昇る一筋の光に目を奪われていた。さながらそれは地上から飛び立つ流星のようで。

 

 やがて、2ヶ所からお互いの場所に届く程の勝鬨の声が上がる。それはバーテックスが全て消え去り、樹海が極彩色の光に包まれて勇者達が元の場所へと戻るまで続くのだった。




原作との相違点

・残る組とレクイエムFに向かう組に1人ずつ追加

・レクイエムFのわるあがき。イメージはファーストガンダムのガウ特攻

・小学生組の強化のハジメテは須美

・後は色々と色々な色々で色々



という訳で、香川奪還最終ミッション決着というお話でした。原作的にはまだ決着後の話が続きますがそれは次回にて。

今回の強化枠はダブル須美でした。そして小学生組では初となります。東郷さんの場合は1人で強化された弾を撃つのに対し、須美ちゃんの場合は2人でそれぞれ矢と光の矢を放った後に1つになります。初代プリ◯ュアのダブルサンダーか悟空&ベジータのかめはめ波&ファイナルフラッシュ辺りを思い浮かべて頂ければ。

レクイエムFの攻撃描写や大きさ等はオリジナルです。ゆゆゆいのバーテックスは攻撃名と絵があるだけですから戦闘描写がオリジナルになるのは仕方ないですがね。ヘヴィーレイはゲロビか板野サーカスみたいなイメージです。紫色の羽はアレです、ポケモンの葉っぱカッター←

季節イベ、いつか番外編として書くと思います。本編の日常として書くか、個別√を短く書いて1つに纏めるかは分かりませんがね。

それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)
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