楓の女体化は予想されていた方が多かった印象ですね。これが切っ掛けで本作から離れる人が出ると予想していましたが特にそれもなかったので嬉しい限りです。もしや皆様は私と同じTS百合好きでは……?
ボスカノンノに釣られてザレイズ復帰しました。イアハート可愛いよイアハート。魔鏡技も鏡装も出て嬉しい限り。ロアー以外の2人も出てラッキー。fgoの箱ガチャはどうにもやる気が……2~30箱でフィニッシュ予定です。
ファンリビは新イベ来ましたがガチャは見送り。反転十香はスキルマ予定です。でもこの子BASARAの元親アニキに似てる……似てない?←
それでは本編、どうぞ。今回は後書きにアンケートがあります。
「のこちゃんそろそろ離しておくれ。今は赤嶺ちゃんとの戦いが先決だよ」
「は~い」
「おおう、マジで女になってる……でもなんだか懐かしいな。小学生の時の楓を見てるみたいだ」
「分かるけど、懐かしむのは後よ銀。今は……」
「楓の強化が封じられているから万全とは言えないが、こちらもほぼ最大戦力で相手できそうだ。赤嶺 友奈……捕獲するぞ」
(お姉さまになら捕まってもいいかも……♪ でも半信半疑だったけど、本当に女の子になってるんだ楓くん……
園子(中)に遅れて絨毯に乗ってきた銀(中)が女になった楓を見て顔や身長差から昔を懐かしんでいると美森にそう言われ、2人は降りて地上組と共に赤嶺+バーテックスの前に立つ。そして棗が彼女を見据えながらそう宣言した後、直ぐに戦いは始まった。今回は直ぐ近くに部室と非戦闘員の巫女達も居る為、楓は纏めて光で覆ってシェルターを作り、同時に攻撃もすると絨毯が使えないので遠距離組も地上から敵を狙うことになった。
……とは言え、戦いそのものは語るべきところは殆ど無い。園子(中)と銀(中)という強力な勇者が参戦した事で勇者達は文字通りに全員参加の最大戦力。赤嶺も戦ってはいるがどこか本気ではない……消極的な戦い方をしており、軽く攻撃を仕掛けてはしばらく距離を置く、という動きでなるべく自身の力を見せないようにしているようにも見えた。
そんな戦いの中で最も興奮していたのは、恐らく小学生組だろう。特にようやく未来の自分の戦う姿が見られた園子(小)と銀(小)は自分達以上の攻撃範囲、攻撃力、戦いの技術に魅せられていた。伸ばした槍を凪ぎ払うだけで、炎を纏った斧剣を投擲するだけで数多のバーテックスが光になって消し飛ぶ。接近戦をすれば文字通りに瞬殺。正しく“切り札”と呼ぶに相応しい強さだった。
結果として、部室と巫女達に一切の被害が出ることなくバーテックスはそう時間を掛けることなく全て殲滅され、残るは赤嶺1人となって勇者達に包囲された。端から見れば大ピンチだと言うのに、彼女の表情は余裕そのものであったが。
「ん~……今回はダメかなぁ。お見事だね……樹海が戻る……」
彼女が言い終わった直後に樹海に光が溢れる。元の場所へと戻る合図でもあるそれは勇者達諸とも樹海を呑み込み、余りの眩しさに誰もが目を閉じて次に開くとそこは元の世界の部室の中であった。無論、赤嶺の姿もあった。
「赤嶺 友奈、神妙にしてるじゃないの……全く、あんたの作戦には肝が冷えたわよ」
「造反神の策略にもね……まさか自分の強化を封じてくるなんてねぇ。とりあえず、性別を元に戻す方法だけでも教えて欲しいんだけど」
「え~っ!? まだ女の子のカエっちを堪能してないよ~」
「充分してただろ……」
「上手くいったと思ったんだけど……でも負けたよ。流石、現実でも勇者をやってた人間は手強いね」
「貴女は違うの?
誰もが変身を解かないまま赤嶺を包囲し、実際に冷や汗を掻きながら風はニヤリと笑ってみせる。もし彼女の作戦に気付かなければ、気付いたところで殲滅が間に合わず戻れなければ、部室に残っていた勇者2人が変身出来なければ……無事に終わった今だからこそ、強く“もしも”がなかった事に安堵した。
名残惜しげな園子(中)に抱き着かれたままの楓の言葉に返すことなく、赤嶺は余裕そうな表情のまま。周囲の勇者に軽く視線を向けてそう呟く。まるで自分は違うとでも言うような彼女の言葉に疑問を覚えた千景は彼女の身を包む自分達と似た勇者服らしきモノを指差しながら問い、意外と言うべきか赤嶺はあっさりと答えた。
曰く、彼女は周りの勇者達のように勇者服を纏って戦っていたのではなく、神樹から直接力を貰って戦闘力を上げていたらしい。
「乃木 若葉さん達なら分かるかも。初めて勇者の力に目覚めた時、力が湧いてきたよね?」
「ああ。その力で危機を切り抜けて、私達は島根から香川まで戻ってきたんだ」
「私はそういう力で戦ってきたから、勇者服はなかったんだ。私の勇者服はこっちの世界に召喚された時に、造反神が用意していてくれたモノだよ」
それを聞いた勇者達の目が自然と彼女の勇者服へと向く。楓達は流石に視線を向けはしなかったが。動きやすそうな、体にフィットした勇者服。友奈に似たスパッツのようなモノを穿いている下半身にどこか中学生にしては大きな胸を強調しているようにも見える上半身、一番目立つ右手の大きな籠手に見える装備。成る程、このデザインは造反神の趣味か……と何人かが遠い目をした。その理由がわからないのか、或いは勇者服に特に思うことはないのか友奈顔の4人は首を傾げていたが。
ふと、また何人かの視線が赤嶺から楓へと……正確には彼の勇者服へと移る。元の服より少し露出が増え、スカートになっていたりと女性向けに変わっている勇者服。思い返せば彼が恐らく
「……いったいお前は何者なんだ。“赤嶺”と言えば、沖縄で見掛ける事が多い名字だが……」
「そうだよ……赤嶺は元々、沖縄の人間。沖縄を脱出する時に、ある勇者に守られて、無事に港を出て、四国まで逃げ延びた……」
「そうなのか……」
「話の流れ的に“ある勇者”ってのは棗さんの事だと思いますよ」
「だろうねぇ……成る程、前に棗さんのことを“お姉様”と呼んでいたのはそういう理由か」
「なに……? そうなのか」
「せいかーい。お姉様、お噂通り凛々しい……こうして話せて良かった」
(……
棗の疑問に、赤嶺は隠すことなく答えた。“ある勇者”、というのは棗自身は気付かなかったようだが、雪花も言ったように彼女の事らしい。初めて会った際に赤嶺が彼女のことを“お姉様”と呼んだ理由が分かり、楓はふむと頷いていた。
「お、お姉様?」
「今回はそちらの勝ちだけど、次はもっと激しく攻めてみせるから」
「次? まさか逃げる……うっ、突風……!」
「今回は1本取られたから幾つか情報を話したけど、まだまだこれからだよ」
「撤退する気ね……そうは、させない!」
「おっと、まだ自分が男に戻る方法を教えて貰ってないよ」
「あっ、カエっちが光でぐるぐる巻きにした後にわっしーがしがみついて……」
「か、楓くんに東郷さん! 私! 私だよ!」
本人曰く、一本取られた……奇襲作戦を見事に切り抜けられた事への褒美とでも言うのか情報を話終えたようで以前はように部室内に風が吹き荒び、逃げようとする。直ぐに反応した美森とまだ男に戻る方法を得ていない楓が動き、楓は光のワイヤーを出してぐるぐる巻きに、美森は飛び付くようにして抱き着く。
しかし、その対象は赤嶺ではなく何故か友奈であった。正確に言えば、赤嶺が居た場所に何故か友奈が居て、楓のワイヤーによって身動きできない彼女はそのまま美森に抱き締められており、肝心の赤嶺はいつの間にか扉の方に移動していた。
「ごめんね、結城さん。変わり身の術。それから楓くん……今は楓ちゃんだね。悪いけれど、私も男に戻る方法は知らないんだー。でも、他の地域を解放したら戻れるんじゃないかな……多分」
「多分!? ま、待ってくれないか赤嶺ちゃ……」
「それじゃ皆、またねー。次はもっと激しいのいくから」
「ああ~また逃げられた! 今回は結構気を付けてたのに」
「おのれ、
「というかいつまで結城に抱き着いてるんだ? 楓もワイヤーを解いてやれよ」
「あ……ああ……ごめんね、友奈ちゃん」
「あ、ううん、大丈夫だよ楓くん」
嘘か真か知らないと言う赤嶺の曖昧な言葉に珍しく本気で驚愕し、焦りの表情を浮かべる楓。彼としては彼女が男に戻る方法を知っていると思っていたのだから驚くのは当然であるし、というか知っていて貰わないと困る。まさか本当に知らない訳では……という僅かな希望に縋ろうとするが彼女はさっさと退散してしまい、周りが悔しがる中1人意気消沈しながら球子に言われて友奈を縛っているワイヤーを消した。
「……こりゃ赤嶺が負けを心から認めるまで取っ捕まえる必要がありそうね」
「逃げられはしたけど、さしあたり愛媛の一部は解放された訳だし、今回の作戦も成功だよ」
「不思議な敵が現れた訳だが……要は今後とも今まで通りにやっていけば良いわけだな」
「そうだねぇ……“今まで通り”……ねぇ……」
逃げた赤嶺が先程まで居た場所を見ながら、彼女を心底負かすと拳を握る風。こう何度も逃がしてしまっては悔しいと思うより次こそは捕まえるとやる気が出てくるというもの。そんな彼女を落ち着かせるように、水都は今回の戦いの勝利と皆が無事で居る事を喜ぶ。若葉は赤嶺というこれまでの敵……バーテックスのような化け物とはまるで違う存在にまだ少し困惑しているようだが、結局やることはこれまでと変わらないと表情を勇ましいものに変えた。
そんな良い雰囲気の横で、今にも床に手を着かんばかりにどんよりとした空気を出しているのは当然というべきか楓。1人だけ“今まで通り”とは掛け離れた姿であることに、というかこのままいつ元に戻るかもわからない女の子の姿である事にこれまでで類を見ない程に落ち込んでいるようだ。幾ら見た目中学生で中身がお爺ちゃんとはいえ、性別が変わるのは許容範囲外というか、
「あー、そのー……げ、元気出せよ楓。な? あたし達もやっと戦えるようになったしさ、日常でも戦いでもフォローするって」
「そうだよカエっち~、だから女の子はままでも大丈夫~。皆、これからはわたし達もいっぱい頑張るんよ~。お役目、えいおーっ!」
「ダブル園子で頑張るんよ~」
「ならこっちはダブル銀だ! 4つの斧をブンブン振り回すぞ!」
「それだけ聞くと危ない人みたいよ銀……新士君? どうしたの?」
「いや、未来の自分が女になってるのを見るのは……こう、変な気分だなぁってねぇ」
沈んでいる楓の背中を擦りながら、銀(中)は意識して明るい声で元気付けようとする。しかしその頑張りを無に返すかのように園子(中)は素の明るい声でトドメのような言葉を吐き、周囲に向けて右手を上に突き出す。園子(小)もそれに続き、銀(小)も2人に負けていられないと同じように突き上げた。
そんな3人を見た後、須美は隣に居る新士が楓を見て微妙な表情を浮かべているのに気付く。首を傾げながら聞いてみれば彼は困った表情に変わり、苦笑いして未だに銀(中)に背中を擦られている楓を指差しながらそう呟いた。未来の自分とはいえ、自身が女の子になっているのはやはりどこか受け入れにくいのだろう。
「……そ、そうだ! 楓くん、変身を止めたら元に戻るんじゃないかな?」
「……赤嶺ちゃんのあの言い方だとそれも望み薄だねぇ。まあ試してみるけれど」
友奈がまだ全員が変身したままである事を思い出してそう言ってはみるものの、楓も周りも変身を解除したところで元に戻るとは思ってはいなかった。勿論、戻ってくれた方が嬉しいのは間違いないのだが……案の定、変身を解いても男に戻ることはなく、体格差からブカブカになった男子の制服に身を包んだ女の子姿のままの楓がそこに居た。そのままではずり落ちてしまうのでズボンのベルトを締め直し、どうしたものかと椅子に座って楓は項垂れる。
何故こんなにも彼が落ち込んでいるかと言えば、先程も言ったようにまだ女であり続ける事を受け止めきれていないのと、どうやってこの先過ごしていくか悩んでいるからだ。不思議空間とはいえ一般人の姿は普通にあるし、ご近所さんやクラスメイト達に今の姿をどう説明すれば良いのか検討もつかない。かつて失った右腕が神樹によって治された時は義手だと説明して何とか納得して貰ったが、それとは訳が違うのだから。
「て、転校生って説明するとか!」
「男の自分はどこに行ったのかってなるよねぇ」
「しばらくお休みするって言えば……」
「友奈さん、楓さんが“いつ”元の姿に戻れるかわからない以上、その“しばらく”がどれだけ長引くか分かりません。あまりに長いと不審に思われるでしょうし……」
「タマ達の特別教室に来るとかどうだ?」
「良い案だけど、理由はどうするつもりだい? それに、学校で知り合いと鉢合わせする可能性もあるしねぇ……」
「大赦に任せちゃおう~」
「……もうのこちゃんの言う通り、大赦に丸投げにしちゃおうかねぇ……ああ、大赦に理由付けしてもらって特別教室に移動させて貰おうか」
「ええー! 楓くん教室変わっちゃうの!?」
友奈の“転校生”という案は却下される。男の楓が居なくなった理由が無いし、転校扱いするにしても学校に説明せねばならない。無論、信じて貰える可能性は低いが。高嶋の長期欠席は案としては悪くないが、杏が言ったように楓がいつ男に戻れるかわからないのて現実的ではない。
では球子の案である、西暦から召喚された勇者達の為に用意された特別教室への移動はどうかと言えば、案そのものは良い。楓の事情を知る勇者達しか居ないのだから気を張る必要もなくなる。だが、学校の中に居るのは変わらないので知り合いと鉢合わせてしまう可能性もある。また、やはり学校側に説明も必要だろう。
園子(中)の大赦に任せる案は最終手段だ。だが、1番現実的でもある。大赦になら楓が女になった理由は敵側が原因と説明出来るし、半信半疑でも信じる方に傾くだろう。大赦を頼ることになりそうな空気に風が苦虫を噛み潰したような顔になるが、幸いにも誰も気付かなかった。
「……わた……じゃなくて神樹、様なら何とか出来るかも……」
「えっ。神奈ちゃん、本当かい?」
「どういう事ですか? 神奈さん」
「ここは神樹様の中で、実際の時間は止まってる。だから皆成長しないまま同じ1年を繰り返してる訳なんだけど、その理由を知らない他の人達がそれを“不思議”や“異常”だと意識出来ないように認識や思考を少し操作してるの。それを利用する……じゃなくてしてもらえば」
「自分が急に女になったことを“異常”だと認識せず、元から女だったって思うようになるってことか……」
「……? ……?」
「結城っち、無理に理解しようとしなくていいよ。でもそれってさ、簡単に言えば“洗脳”ってことだよね。その一般の人達に副作用とかないの?」
「大丈夫だよ。さっきも言ったけど実際の時間は止まってるから、現実世界に影響はしない。そもそも一般の人達はこの世界の出来事を現実では覚えていられないんだ」
(なんだろ、神奈の言葉はちょくちょく引っ掛かるんだよね……でもこの子天然なところあるから隠し事とか出来そうにないし……ま、今はまだ深く考えなくていいかな)
粗方案は出たかといったところで、神奈が控え目に手を上げてそう言った。楓とひなたが聞き返してみれば、返ってきたのはそんな説明。現実の時間が止まっているという説明は以前にも受けた勇者達だが、一般人が成長しない姿や学年が上がらない事などをどう思うかというのを今更疑問に感じたようで“確かに……”と頷き、理解したのか楓は顎に手を当てながらポツリと呟いた。
理解したように頷く者達が居る反面、友奈のように話がよく分からずに首を傾げたり、球子や銀達に至っては頭から煙を上げている者達も居る。そんな彼女達に苦笑を溢し、雪花は真剣な表情で神奈に問う。“洗脳”や“副作用”という穏やかでない言葉を聞いた勇者達は一転顔を青くするがが、神奈がきっぱりと言い切ったことで安堵の表情を浮かべた。が、彼女の今の、そしてこれまでの言動に不信感……とまではいかないまでま引っ掛かるモノがある雪花。とはいえこれまでの彼女の姿も見ているので苦笑いと共に考えを1度保留にした。
「……よし、神奈ちゃんを信じて神樹様にお願いしてみようかな。もしダメそうならのこちゃんの案で大赦に丸投げしよう」
「うん、分かった」
「楓がそれで良いならいいんだけどねぇ……で、神奈。どれくらい掛かりそう?」
「一晩で大丈夫……じゃ、ない、かなぁ」
「そんなに早く……!? 流石は神樹様ですね! ですが、神樹様が実際にしてくれるかどうか……」
「あ、あはは……そこは頑張ってお祈りしてみるね」
「私達もお祈りしてみよう、ひなたさん」
「そうですね、楓さんの為にも私達が頑張ってお祈りしましょう」
「それじゃあ話が決まったところで……そろそろ帰ろうか。色々疲れたよ……」
「本当に色々あった1日だったな……」
結局、楓は
そこまで話してキリが良いと思った楓は話を終えて解散を促す。精神的にも肉体的にも疲れた様子の楓に若葉が同意し、周りも頷いたり苦笑いしたりと同意する反応を見せる。そうして各々帰る支度をし、部室を出る時……風が楓に声をかけた。
「ああ楓、家に帰る前に色々寄るわよ」
「えっ? ああ、夕飯の買い物かい?」
「何言ってるの、あんたの服とか下着とかよ。しばらく女のままなんだから、女物のアレコレが必要でしょうが。男物と女物じゃ全然違うんだから」
「え゛っ」
「おっと、これはかーくんを着飾るチャンス? 風さん、この雪花をお供に、どすか」
「いいわよー。この際だから皆も行く?」
「勿論行くよフーミン先輩!」
「……今、あんただけ置いていきたくなったわ」
「なんで~!?」
「その……大丈夫? 楓君」
「……はは……大丈夫だよ美森ちゃん。必要なのは解ってる……解ってるからさ……」
(やべー、かつてない程楓が落ち込んでてからかうことも出来ないぞ……)
この後、勇者部全員で街に繰り出し、女となった楓の為の服や下着、ついでにと勇者達自身の服なんかも買い歩いた。案の定というべきかその際に園子ズや美森が暴走し、風と雪花、友奈トリオと歌野にひなたもノリノリで服を選び、彼の着せ替え人形っぷりを哀れに思ったのか他の者達はなるべくデザインが男物に近い服やパンツルック、ボーイッシュな物を選んで楓に渡したりしていた。尚、新士は巻き込まれないように1人少し離れた場所で見るだけだった。
因みに、翌日登校すると神樹の力がしっかり作用したらしく学校で楓を知る生徒や教師達は楓を元から女だと認識しており、楓“ちゃん”や“おばあちゃん”と呼んでいた。これには勇者と巫女達も“流石神樹様”となっていたが……これにより、楓は中身が男でありながら女子と同じ体育の授業及び着替えという新たな難題が浮かび上がり、頭を抱える事になる。尚、着替えはトイレでこっそりと、体育は右腕が義手だから……ということになっている……という説明で見学の形で逃げる事が出来たそうな。
「讃州中学の制服は買い物中にわたしがカエっちのサイズを測って安芸先生に教えたら直ぐに注文してくれたんよ~」
「ああ、だから今朝家の前に届いてたのか……ん? でも自分は店員さんに測ってもらってたし、のこちゃんは姉さん達に隔離されてたハズだけど…… 何で知ってるんだい?」
「目測と抱き付いた時の感触で充分だよ~。測った感じ、ミノさんよりちょっとだけ大きくてわたしよりちょっとだけ小さいくらいで……」
「園子、ちょっと黙ろうな。ていうかなんであたしのサイズまで知ってんだ」
「私が教えたのよ。たまに銀が背後から私の胸を触る時の背中の感触から測ったわ」
「待って、親友達の超能力に付いていけない」
それから数日後の部室。未だに女の姿に慣れない楓もいい加減折り合いを付け、女性物の服や下着を身に付ける事、トイレにも何とか耐えられるようになった頃。男に戻る気配は無く、試しにお湯を被ったりしてはみたが当然のように効果はなかった。どうにか戻れる方法はないかと依頼を確認するついでに部室にあるパソコンで検索したり仲間達も色々探してみたりとしていた頃、樹海化の警報が鳴り響く。
「ああ、襲撃か……最初からこの姿で行くのは初めてだねぇ……この状態で変身したら元に戻らないかねぇ……」
「お兄ちゃん、家で試したけどダメだったじゃない……」
「うーん、ダークな空気。だけど樹海にはゴーしないといけない訳で。さあ皆さん、出撃準備はオーケーコラル? 樹海に遠征に行きますので!」
「いつでも大丈夫だ。私の奥義で勝ちを呼ぶ……名付けて、
「……いいんだけどさ…その技名、なんというか背中がむず痒くなるんだけど」
ふふふ……とパソコン前の椅子に深く腰掛けながら力無く、さながら燃え尽きた某ボクサーのように項垂れる楓。現在の格好は友奈達と同じ讃州中学の女生徒の制服である。樹海に行く前から精神的に参っている兄に苦笑いしつつ、樹はよしよしと背中を擦った。その際襟元の隙間から己より大きくなった兄現姉の胸が目に入り、見えてしまった恥ずかしさと嫉妬で顔を赤くしながら瞳を濁らせた。
そんな兄妹の暗い空気を感じ取りつつ、歌野は周囲を見回しながら両手を握ってやる気を出す。皆も準備万端だと頷き、若葉も何やら隣に居るひなたと同じ技名を呟きながら端末を握り締め、それを聞いた夏凛が苦笑いを浮かべつつぶるりと体を震わせた。
「背中掻いてあげようか、夏凛ちゃん。はい、カキカキ」
「あん、ちょ、く、くすぐったい!」
「ネーミングについてはちゃんと本人に許可を取ってるぞ。問題ないさ」
「そういう問題じゃない気がする。まあ本人同士が良いならいいんだろうけどねぇ」
「技名に私の名前を入れたいなんて言われた時には、嬉しくて潤んで近くの神奈さんに抱き付いてしまいました」
「あはは、しばらく離してくれなかったよね」
友奈が善意から夏凛の言葉をそのまま受け取って背中を掻いてやり、そのくすぐったさに彼女が悲鳴を上げて距離を離した後、若葉はひなたの方を見ながらそう答える。しっかりと名前の主に許可を取る辺り、彼女の真面目さが伺えるだろう。その技名の元になった本人と言えば、風が言ったように快く了承、むしろ感激していた様子。その時の再現なのか神奈に抱き付き、抱き付かれた方は笑って受け入れていた。
友達の名前をつけた必殺技と聞いて興味が引かれたのか、高嶋がやはり名付けると威力が変わるのかと聞いてきた。若葉の返答は“気分の問題”、ではあったが戦いに気力は重要とのこと。実際、やる気のない状態の攻撃とやる気がある状態の攻撃とでは威力が変わる。戦闘において“気分の問題”は決して冗談ではないし、どうせなら気合が入る掛け声や技名はあって損はないだろう。
「じゃあ私、ぐんちゃんパンチとか名付けてみようかな。なーんて!」
「じゃあ私も、東郷さんパンチとか、楓くんパンチとか付けてみようかな」
「高嶋さん……」
「友奈ちゃん……」
「自分もかい?」
「私は大抵農作物を技名に取り入れてるから、そこにみーちゃんの名前もドゥーンと入れると……“みーちゃんラディッシュウィップ”!! うーん凄くストロングな雰囲気」
「私の大根鞭……というネーミングはちょっと……」
「がーん! 許可が降りなかったなんて……これじゃ使用することはできないわ……」
「わたしもカエっちの名前を入れた必殺技を」
「アタシが許可しないわ」
「名付ける前に却下されちゃった……酷いよフーミン先輩~。ゆーゆには言わなかったのに~」
(風さん、相変わらず園子に警戒しまくりだな……でもあたしも鉄男と金太郎が楓と同じことになってたらそうするかも)
わちゃわちゃ、イチャイチャ。そんな擬音が聞こえてきそうな部屋の雰囲気はとても樹海に、戦いに行く前の空気とは思えない。が、それも今更だと言えてしまえるのが勇者部である。とはいえ、警報が鳴ってからそれなりに時間が立っているし、もうすぐ樹海へと飛ばされるだろう。そろそろ頃合いだと判断したのか、雪花が棗に向かって口を開いた。
「肩の力が抜けたところで、行きましょっかお姉様。赤嶺が何をしてくるかわからないけど」
「雪花までお姉様呼びは止めてくれ。な……なんとも恥ずかしい」
「恥ずかしい? むしろ嬉しくないか? 銀……だと中学生の方と被るな。子銀や、コールしてみてくれ。きっとタマに気合が入る」
「行きましょう、タマお姉様!」
「よっしゃの、しゃあ!! いいぞいいぞ!! 愛媛を救いに樹海に行くぞ!! ゴーッ!!」
「お姉様呼び……良いわね。楓達、樹、試しに呼んでみて、プリーズ」
「全く、直ぐ影響されるんだからねぇ……1回だけだよ、お姉様」
「お姉ちゃん……じゃなくてお姉様は仕方ないなぁ」
「1回だけだよ、風お姉様」
「アタシも気合入ったああああっ!!」
「やっぱり似てるよなー、タマっちと風さん」
「ふふ、そうね」
雪花からのお姉様呼びに困惑と恥ずかしさが半々に来ている棗。だがその反応が予想外というべきか、己の感じ方とは違ったのか球子はむしろ呼んで欲しいと銀(小)に要求し、彼女は素直に呼んだ。瞬間、爆発的に上がる球子のやる気。それを羨ましそうに見ていた風が弟妹達に呼び掛けると新士と樹は苦笑気味に、楓はようやく回復してきたのか朗らかな笑みと共に呼んであげた。
瞬間、球子と同じように爆発的に上がる風のやる気。その流れを見ていた銀(中)は美森と共にやる気が上がった2人に笑いながらそう感想を溢した。そして部室を、世界を覆い尽くす極彩色の光に呑まれながら、勇者と巫女達は樹海へと飛ぶのであった。
原作との相違点
・銀(中)参戦
・銀(中)参戦
・
・お姉様呼びされた風
・あなたが“そう”思ったのなら、それは
という訳で、原作13話終了、14話開始というお話でした。楓TSは暫く続きます。
前書きでも書いた通り、主人公TSについてあれこれ言われたり人が離れたりするかと思いましたがそんなことはなかったので一安心。まあ番外編で1度やってますしね。そのせいかなぁとも思ったり。
流石にファッションショーはカットです。ただ人数が人数なので相当着せ替えられたでしょうね。女になった楓の普段着は基本的にボーイッシュなものになります。イメージは少し成長した園子程の大きさの胸の樹という感じですので、如何様にもご想像下さい。絵心無いのが本当に悔やまれる……。
それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)
女になった楓の変身シーンを……
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なぜ本気を出したのか(書く
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なぜ本気を出さないのか(書かない
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頂点はこのうどん!依然変わり無く!(書く
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うどんより他の麺類を選ぶぞ!(書かない