咲き誇る花達に幸福を   作:d.c.2隊長

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お待たせしました、今年最後の更新です(´ω`)

ハーレム番外編でしたが、やはり難産かつ過去最多文字数となりました。なんだ14000字越えって……。

カウンターサイド始めました。ユキちゃん最推し、外伝見てオルカもより好きになりました。ソルジャーパ作りてぇ。

fgo、ツングースカレイドでは稼がせてもらいましたがメリュジーヌは来ませんでした。課金しても来ないのホント心折れます。ドカバトも悟空来てくれないし相変わらずガチャ運は……dffooはそれなりに出ててるんですがね。後スパロボXやりたい←

それでは今年最後の更新、ハーレム番外編です。どうぞ。


番外編 咲き誇る花達で花束を

 それは、天の神との戦いが終わってしばらくの時間が経ってからのお話。壁の崩壊、神樹の消失、外の世界の真の姿……怒涛の展開に四国の人々は混乱を極めたが、大赦の誠意ある対応と時間が経つにくれて落ち着き、変わる環境にも対応していった。無論、順風満帆とはいなかったし、“大赦は嘘をついていた、自分達を騙していた”という怒りの声もまだまだあるが……それもいずれ、段々と消えていくのだろう。

 

 そんな四国の情勢はさておき、場所は犬吠埼家。そのリビングには現状西暦の唯一の生存者であり、すっかり勇者部の仲間として馴染んでいる雪花を含めた勇者部メンバーが勢揃い……ではなく、楓を除いた8人の姿があった。中でも園子と銀はかなり疲れた様子で、2人で肩を寄せあってソファーに深く腰掛けていた。

 

 「で、どしたの皆呼び出して家に集まって。しかも珍しく楓が居ない時を狙って来るなんて……はい、ココア」

 

 「ありがとうございます、風さん……あ~、ココア温かい。滲みる……」

 

 「ず、随分とお疲れですね、銀さん」

 

 「2人とも大丈夫?」

 

 「大赦で何かあったの? まさか、嫌がらせとか……」

 

 「えへへ、あんまり~。嫌がらせとかは無いんだけど……うーん、ある意味嫌がらせかな~」

 

 「おっと、そりゃ穏やかじゃないね。夏凛とかその辺の事情知らない?」

 

 「少なくとも私は知らないわ。兄貴と安芸さんからも別に何も聞いてないし」

 

 風が人数分のココアを樹と美森と友奈と共に持ってきて手渡しながら聞いてみると、銀は答える前にまずココアを飲み、しんみりと呟きながらちびちびと飲む。目尻にキラリと光る水滴が浮かんでいるのは気のせいではないだろう。その様子から見える肉体的か精神的な疲労感を感じ取り、樹は苦笑いを浮かべ、友奈は心配そうに問い掛ける。返ってきたのは無言の頷きであったが、とても大丈夫そうには見えない。

 

 あの戦いから2年。勇者達は皆、高校生へと成長していた。そうして学生生活の青春を満喫しつつ、皆が皆夢を探し、或いは夢を目指して邁進していっている。そんな中で、大赦に深く関わる家柄である園子と勇者を排出した事で格が上がった三ノ輪家、その親族に度々呼び出される銀は今の大赦をより良くするべく、恩師の安芸とその部下……兼恋人……の夏凛の兄の春信、そして現状の大赦代表格の友華と共に学業や青春を蔑ろにする事なく日々奮闘しているのだが……。

 

 

 

 「……お見合いの話がね、しつこくて」

 

 「あたしも。家族はそんなことないんだけど、他の親族の人達がさ……後、大赦の神官の人達が……」

 

 【あー……】

 

 

 

 2人が楓に懸想しているのは周知の事実。そんな彼女達にとって、赤の他人が進めてくるお見合いの話は聞きたくもない。なんなら仕事や勉強の邪魔でしかない。しかも本人達は善意でやっているのだから質が悪い。ぐったりしながら小さな声で呟く2人から見える心労の具合に仲間達は哀れみや可哀想な物を見る目で納得の意を示す。しかし、このお見合いの話は何も2人だけの話ではなかったりする。

 

 神樹という存在が無くなった今こそ、今度こそ自分達大人が子供達を守り、導いていかねばならない。それこそが今まで見守ってくれていた神樹への恩返しであり、大人がやるべきこと。友華がそう宣言し、彼女自身を筆頭に大赦は変わり始めている。勿論、良い方へと。だが、神樹が消えてからまだ僅か2年しか経っていない。まだまだ信心深い神官も多く、神による恩恵やこれまでの暮らし、生活スタイルから脱却出来ていない者も多い。

 

 つまり神樹を、勇者を敬い、尊い存在だと考えている神官はまだまだ多いのだ。それ故にその血を後世に残す為に、或いは自分達の家にその血を入れる為に、もしくは大赦の名家の者こそが勇者達の伴侶に相応しいと思って……善意、打算と様々な思惑があり、勇者()へとお見舞いの話が舞い込む。幸いなのはあくまでも話だけであり、強制や脅迫のようなモノがない事だろう。

 

 「私の家にも神官の人が来たけど、あの時はびっくりしたなぁ」

 

 「友奈も? 私も来たけど、お断りしたわ」

 

 「友奈と東郷のところにもか。ウチにも来たけど、追い返してやったわ」

 

 「“まだ中学生の樹と楓にお見合いなんかさせないわよ!”って怒鳴ってたよね……もしかして、夏凛さんと雪花さんも」

 

 「私は直接来たのは無いわね。兄貴が私に話が来る前に全部断ってくれてたみたい」

 

 「私は友華さんがシャットアウトしてくれてたね。いやー、あの人には頭が上がらないし足を向けて眠れませんよ」

 

 案の定、園子と銀以外にも見合いの話は来ていた。が、全員が全員しっかりと断っていた、もしくは彼女達の事を真に思う大人によって話が来ないようになっていた。因みに雪花は発見されてから高嶋家預かりとなっており、友華から実の娘同然に可愛がられていたりする。

 

 彼女達も勿論、お見合いなんて迷惑な話だ。友奈と美森もまた2人同様に自他共に認める位に楓を想っている。その想いはこの2年でもっと大きく、深くなっているのは想像に難くない。風は弟妹が幸福になってからでないと自分のお相手探しはやる気はないし、樹はまだ早いと考えている。夏凛と雪花も、親しい相手ならともかく顔も知らず勇者としてしか見てこない大赦からのお見合いなど願い下げなのが本音だ。

 

 「ていうか、結局皆を集めた理由って何よ? まさかこうして愚痴を言う為だけって訳じゃないでしょうね」

 

 「それもあるけど~」

 

 「あるんかい」

 

 「皆でカエっちの本音、聞いてみない?」

 

 【本音?】

 

 皆が大きなため息を吐いた後、そろそろ当初の目的をと軌道修正した夏凛。もしやわざわざ愚痴を聞かされる為に集められたのではなかろうかとジト目でまだダレている2人を見詰め、園子は口元に人差し指を当てながらそう返す。すかさず雪花がツッこんだ後に続けられたのはそんな言葉で、思わず銀以外の全員が首を傾げ……そして、その後の言葉に驚きの声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 「お疲れ様でした、楓君。わざわざ来てくれたのに、ごめんなさいね」

 

 「いえ、大丈夫ですよ。まあ、流石にここまで多いと辟易するのが本音ですがねぇ」

 

 そこは高嶋家にある応接室。そこに、犬吠埼家に1人居なかった楓が友華と共に居た。その理由は友華に“直接会って話がしたい”と言われたからなのだが、この時点ではまだその話は行われていなかった。と言うのも、やってきた楓に使用人らしき人間が非常識にも“家の娘とお見合いしてもらえないか”と話し掛けてきてそれの対応をしていたからだ。

 

 彼女達といいあまりに“お見合い”が多くないか、と思うだろうが、信心深い神官達にとって神樹が居なくなった今、勇者達は変身出来なくなったとは言え神の力を宿して戦ってきた、言わば現状この世界で神に最も近い存在だ。特に奉られていた園子と銀は勿論、御姿だった友奈、文字通り神によって体の一部が作られている楓はより近い。そうした存在達が神樹のように居なくならない様に、その血を後世に残す為にと動いているのだ。それこそ自分達の家族、子供を使ってでも。

 

 尚、楓に話を持ち掛けてきた使用人は途中で友華が乱入してきた事で事なきを得た。因みにその使用人はクビにこそならなかったが、暫くの謹慎を楓の目の前で友華に笑顔で告げられて顔を俯かせて走り去っていった。そうした出来事があり、ようやく今応接室でソファーに座りながら2人で向き合っているのだ。

 

 「それで、改まって話とはなんですか?」

 

 「ふふ、別にお堅い話という訳ではないの。最近はあまり時間が取れなかったから、たまにはこうして2人で色々とお話したいと思って。嫌……かしら?」

 

 「まさか。いつでも歓迎です。ただ、こうして向かい合っていると……なんだか2年……いや、もう3年前か。夏休みの旅館での事を思い出しますねぇ」

 

 「ふふ、そうね。あの時はまだ貴方が車椅子だったわね……」

 

 思い出話に花を咲かせる2人。血は繋がっては居ないが、笑みを浮かべて穏やかに話す様子は親子そのもの。勇者部の活動はどうか、大赦の様子はどうか等の話に始まり、学校の事や復興作業、外の世界の状況や改めて捜索、探索、遠征の準備の度合い、相変わらず仲睦まじい友華の貴影の惚気話。時間を忘れ、2人はこの穏やかな時間を楽しんだ。

 

 それから幾ばくかの時が流れ、喉を潤す為のお茶とお菓子を別の使用人が持ってきて何やら友華にボソボソと楓には聞こえない声で囁いていた。不思議に思う楓だが、友華は仕事の事だとだけ言ってお茶を一口飲む。仕事ならばそろそろ帰ろうかと言う楓にもう少しだけ聞きたい事があると言い、これまた不思議に思いつつも彼は素直に座り直す。

 

 「それで、聞きたい事とはなんですか?」

 

 「下世話な話なんだけれど……楓君は、誰か好い人は居ないのかしら?」

 

 「えっ? 好い人、ですか……」

 

 「そう、好い人。2年前のあの日、勇者部の子達の未来を諦めない姿を見て、私も希望を持てた。そうするとね、新しい夢が出来たの」

 

 「夢、ですか。その友華さんの新しい夢が自分の好い人と何の関係が……」

 

 「だって私の夢は、義理の息子である貴方の子供、つまり孫を貴影さんと一緒に抱く事なんですもの。私達ももう歳だし、いつお迎えが来ても可笑しくはないわ。それまでには夢を叶えておきたいじゃない?」

 

 (見た目50代、下手をすれば40代でも通用しそうなのに実際は80半ばだものねぇ……)

 

 まさかの好い人、文字通り楓に好きな人は居ないのかとの質問。突然の恋バナに驚きつつ目を伏せる楓。そんな彼の様子にこれはもしやと思いつつ、聞いた理由を告げる友華。両手を合わせて楽しそうに言葉を紡ぐ彼女の様子に苦笑いしつつ、彼はそういえばこの人結構高齢だったなと思う。

 

 そうして理由を聞いた楓は、考え込むように手に持つ湯飲みに視線を下ろす。中に入っている麦茶に映る自分自身の顔を見詰め、暫し沈黙。そんな彼を、友華は黙って見ていた。決して催促はせず、それ以上問い掛ける事もなく、彼が再び口を開くのを待った。チクタクと応接室に備え付けられた時計の音だけが響くこと少し、湯飲みの中のお茶を一口飲んだ後に、ようやく彼は口を開いた。

 

 「……やっぱり、勇者部の皆……になるんですかねぇ」

 

 「あら、私が聞きたいのは友愛じゃなくて恋愛の方よ?」

 

 「分かっていますよ。ただ……今の自分は最低で傲慢な事に、誰か1人を選ぶなんて出来ないんですよ」

 

 「それは、どうして?」

 

 「前提として、自分は間違いなく皆の事が好きですよ。きちんと男として。嫌いになる訳がない。勇者部としても、自分自身としても、ずっと一緒に生きていけたら……そう思う位に」

 

 誰にも話したことがない本音を今、楓は友華にさらけ出していた。その脳裏には、勇者部の仲間達と過ごした日々が、思い出が浮かんでは消えていっている。大事で、大切で、幸福で。苦しい事も辛い事も確かにあった。それも今となっては愛おしいと思える。

 

 この世界に転生()まれ、共に育ってきた姉妹は勿論家族愛だが。勇者に選ばれ、編入した神樹館で出会った銀、園子、美森(すみ)の3人。そこで育んできた友情と、共に向けあってきた真っ直ぐな好意。戦いも、遊びも、日常も、掛け替えのない大事な思い出だ。

 

 中学生に上がり、姉が作った勇者部で新しく出会った友奈と夏凛。再会した風と樹、記憶を失った須美(みもり)。辛い時は本当に辛く、苦しい時は本当に苦しかった。だがそれ以上に、皆で過ごす日々は幸福に溢れていた。些細な事でも笑い合えた。温度を感じなくなったハズの楓の体と心を温かさで満たしてくれた。友愛、親愛が、いつからか恋愛感情へと変わる程に。

 

 そうした日常の、戦いの先に得た新たな日常。そこで新たに、奇跡のような出逢いをした雪花。勇者部に仲間入りした彼女を共に過ごしてきた今日までの日々も、既に無くてはならないモノ。誰が欠けてもあり得ない、求めた以上の幸福な、当たり前の日々。

 

 「のこちゃんは小説家になるのが夢だと言っていました。銀ちゃんはお嫁さんに、美森ちゃんは歴史学者に。自分としては、もう大赦や大人の都合に巻き込まれる事無くその夢を叶えて欲しい。樹は歌手に。姉さんも、友奈も夏凛ちゃんも、雪花ちゃんも夢が出来ればそれを叶えて欲しい。その姿を見るのが、自分の夢ですから」

 

 「それは……」

 

 「ええ。難しい事は分かっています。それに、大赦を変える為に動いている以上、妥協はしないといけませんからねぇ。それでも……それなら、せめて自分は彼女達が夢を叶えるまで側に居たい。支えてあげたい。そして……ずっと一緒に生きていきたい。他の誰でもない。自分が彼女達を幸福(しあわせ)にしてあげたい。一緒に、幸福になりたい」

 

 苦楽を共にしたからこそ。彼女達の苦しみを、喜びを最も近くで見てきたからこそ。自分の苦しみも喜びも分かち合ってきたからこそ。彼女達とこれからも共に。静かに、独白のように本音を告げる楓の姿は、友華にはまるで叫んでいるようにも見えた。

 

 それを、優柔不断と呼ぶか。それとも軽薄と呼ぶか。傲慢と、最低な人間だと指を指すか。成る程、それは正しい反応なのだろう。何せ楓は複数の女性を好きだと、一緒に在りたいと言ったのだ。一般常識から考えればそう後ろ指を指されても不思議ではない。楓も自覚しているし、友華から見れば自分のその感情に苦しんでいるように思う。しかし……。

 

 

 

 

 

 

 (あの子達だけじゃなく、楓君もしっかりと恋……いいえ、愛していたのね。これまでのような友愛や親から子へと向ける無償の愛ではない、男女の求め合う愛を)

 

 彼の本音を聞けて良かったと思う。それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()も同じ気持ちでしょう。老成した雰囲気と言動で彼女達の事をまるで年下の子供のような、祖父が孫を見るような目で見ていた彼が、いつの間にかこうして恋愛感情を持っていてくれたのだと分かったのだから。

 

 そう、この応接室の隣の部屋に、彼以外の勇者部の子達は居る。高校生になり、なかなか仲が進展しない上に大赦関連で会える時間も前より短くなった事に焦りを覚えた園子ちゃんから相談された私はこうして彼と2人で話す機会を作り、何とかあの子達への気持ちを聞き出し、それをこっそりと彼女達に聞かせる……それがこの“お話”の目的。何なら彼にお見合いの話を持ち掛けてきた使用人も彼女達が彼に気付かれないように家に来るまでの時間稼ぎの仕掛人。

 

 話を聞いた彼女達はどんな気持ちで居るのかしら。少なくとも、彼を蔑んだり距離を置いたりする事はないと確信出来る。勇者という常識からかけ離れた存在であり、周りから理解されない出来事を共有出来る唯一の異性。我々大人には出来なかった、心も体も寄り添ってくれた……守ってくれた存在。正直に言って、今の彼女達は今更一般の異性、大赦の人間も恋愛対象として見ることは難しいと思う。

 

 彼が彼女達以外の異性が好きだと言う言葉が出てこなかったように、彼女達もまた彼以外の男性は想像すら出来ないでしょう。それ程までに彼らが共に過ごした時間は濃密で、側に居ることが自然で……離れる事なんて、言葉にするのは勿論、可能性を考える事さえ拒否してしまう。依存している、と言ってもいい。だけど、そんな彼女達を引き離す事なんて私には出来ないし……させたくない。

 

 (それに、このまま彼と彼女達が一緒になれば……私としても、大赦としても悪い話じゃないのよね)

 

 私としては、義理の娘が沢山増える事になる。孫も沢山になるかも知れないし、何より可愛い義理の息子に可愛いお嫁さんが沢山出来るのは喜ばしい。大赦の人間としては……あまり言いたくはないけれど、神樹様に近しい尊ぶべき存在の勇者達が夫婦になるのは、お相手としてそれ以上の存在は無い。お見合いを進めてくる神官達も、相手が勇者となれば流石に退くでしょう……多分。

 

 問題があるとすれば、彼自身も言っていたように一般常識的に考えれば複数の相手を好きになるというのは良くない事だということ。また、彼女達が受け入れるかどうかも分からないことだけど……後者はさっきも思ったけど多分大丈夫。むしろ彼がそうまで想っていてくれた事は良い意味で予想外だったに違いないわ。

 

 そして、一般常識の方は私達がどうとでもしてあげられる。隠蔽してもいい。改竄してもいい。勇者の子達が幸福になるのなら、幸福であるのなら、私は私の持てる全てを使って成し遂げてみせる。大人は、親は、子供の幸福こそが望みなのだから。

 

 「とは言え……こんな気持ちはきっと、彼女達の邪魔になる。自惚れていなければ、大なり小なり好かれてはいるでしょうが……誰か1人を選べないような優柔不断な自分です。この想いが知られれば、今の関係が壊れてしまうかもしれない」

 

 (えっ? あ、あら……なんだか話の雲行きが……)

 

 「だから、表に出さずに内に秘めたままにしておくつもりです。まだまだ彼女達は子供で、知らない人も出会った事の無い人も沢山居ます。その中にはきっと……自分以上に彼女達を幸福にしてくれる“誰か”が居るハズ……さっきの話と矛盾はしていますが、自分は……」

 

 (ああっ、下手な大人よりも大人の精神を彼が持っている事が裏目に出てる……! ど、どうしましょう。何とか説得を……でも私の言葉で思い止まるかしら……)

 

 彼は意外と頑固というか、自分の言葉を曲げないところがあるから……それこそ彼女達の為にともなれば尚更。誰かの為に突き進むのは勇者の子達の美点でもあるけれど、欠点にもなりうるのね。私の言葉じゃ……でも。

 

 

 

 「わたしは! わたし達はカエっち以外の誰かなんて要らないんよ!!」

 

 「そうだよ楓くん!」

 

 「私は貴方以外の男性とお付き合いするつもりはないわ楓君!」

 

 「あ、あたしも同じだぞ! 他の誰かじゃなくて……その、か、楓が良い!」

 

 「待ちなさいあんたら! いきなりそんな事言っても楓さんと友華様が困るだけでしょうが!」

 

 「あーもう滅茶苦茶だよ……まああんなの聞かされちゃ居ても立ってもいられないのはわかるけどね」

 

 「……うっかり着いてきちゃったけど、これアタシ達はあのまま隣に居た方が良かったんじゃ……」

 

 「……私もそう思うけど、来ちゃったのは仕方ないよお姉ちゃん……後で一緒にお兄ちゃんに怒られようね……」

 

 「えっ? 皆、どうしてここに……友華さん。これはどういう事ですかねぇ……?」

 

 

 

 きっと……彼女達の言葉なら。あと楓君、お願いだから睨まないで……前に病院で怒鳴られた事を思い出すから……。

 

 

 

 

 

 

 フーミン先輩達の家から友華さんの屋敷に移動してたわたし達は、カエっちと友華さんが居た応接室の隣で2人の会話をこっそり聞いていた。カエっちの好きな人の話になった時、わたしは凄くドキドキしてたし、皆もそうだと思う。それはわたし達の中から名前が出るかも知れないし、そうじゃなかったかも知れなかったから。

 

 勇者部の皆が好きだって聞いた時、カエっちらしいって思った。小学生の時も中学生の時もカエっちはわたし達を優しく見守ってくれてた。時には叱ってくれた。わたしが抱き付いても優しく受け止めてくれた。わたしにはもう、彼が居ない日常も、人生も、世界だって考えられない。ミノさんも、わっしーも、ゆーゆも、フーミン先輩も、イッつんも、にぼっしーも、アッキーもきっと同じ気持ちだと思う。

 

 “誰か”じゃなくて“皆”が本気で好きだって言われた時、自分の顔が赤くなるのが分かった。面と向かって言われた訳じゃないし、名指しされた訳でもないけれど……好きな人が、好きだって言ってくれた。“皆”の中の1人だとしても、一方通行の想いじゃなくて、両想いだと分かった。嬉しくて泣きそうになったし、今すぐにでも部屋の中に突撃して抱き付きに行きたかった。でも……。

 

 「ねぇ、皆はどう思う?」

 

 「そのっち? どうって……」

 

 「カエっちは“皆”が好きだって。1人は選べないって……あのね、わたしはそれでもいいなって思ったんよ~」

 

 「それでもって……どういう事よ園子?」

 

 「だからね? にぼっしー。()()()()()()()()()()()()()()()するんだよ」

 

 「いやいやいやいやノギー、何言ってるか分かってる? んな常識外れというかなんというか……」

 

 「だって、そうすれば誰も悲しい思いはしないんよ。それにわたし、皆となら良いよ? カエっちとも、皆ともずっと一緒に居られる……それって、とってもとっても幸福な事だと思うんだ~♪」

 

 手を合わせてアッキーに言いながら、目を瞑ってそんな未来を想像する。皆で住むんだから、お家は大きい方がいいな。ご飯はわっしーが居るから朝はきっと毎日和食だね~。でもたまには洋食も食べたいな。勿論うどんは毎日食べる。カエっちとフーミン先輩が居るからいっぱい作らないとね。ベッドは皆で眠れるように大きくて、お風呂も皆で入れるように大きくして。眠る時も起きる時も必ず誰かが居て……おはようもおやすみも、朝の行ってきますと夕方以降のお帰りなさいも皆で言い合うんだ。

 

 おかずを取り合ったり、テレビのチャンネル争いとかちょっとしたことでケンカもして、でも直ぐに仲直りして。お風呂で背中の流しっこなんかもやりたいなー。勿論カエっちとも……勿論、アッキーが思ってるみたいに皆で、なんて周りが良い顔はしないと思うんよ。でもね。

 

 「わたしは、わたし達の事を良く知らないような周りの人達なんて、どうだっていいんだ。わたし達の幸福を邪魔するような常識も……要らない。わたしは、わたし達はいっぱいいっぱい苦しい思いも辛い思いもしてきたんよ。だったらその分、いっぱい、いーっぱい幸福になっても罰は当たらないと思う」

 

 「園ちゃん……うん。そうだよね、私も楓くんと皆と一緒に幸福になりたいな。ううん、皆と一緒の方がいいよ! 絶対!」

 

 「そうね、友奈。私もそう思う。そのっちが言う通り、皆で幸福になりましょう。私達の幸福を邪魔する常識の壁なんて私が壊してやるわ」

 

 「須美が言うとシャレにならんなそれは……でも、それもいいな。勇者部の皆で楓のお、お嫁さんに……結婚式とかどうすんだろ」

 

 「いや展開が早いわね!? 多分そこまで色々と掛かるからそれまでに考えとけばいいでしょ」

 

 「あら、夏凛も園子の提案には賛成なのね」

 

 「……まぁ、ね。誰か1人じゃなくて皆が幸福になれるならそれに越したことはないし……」

 

 「雪花さんは、どうですか?」

 

 「いやいや、ここで私が“常識的に考えて無し”とか言ったら完全に空気読めてない上に東郷に壊されるじゃないの。そんな命知らずな真似はしないよ」

 

 わたし達がそんな会話をしていると、壁の向こうからなにやらわたし達にとって不穏な言葉が聞こえてきて……こっそり聞いてたことも忘れて、思わず応接室に入り込んでカエっちに皆でああ言って……。

 

 

 

 「……自分がハッキリしなかったのも悪いし、それが皆を不安にさせたのも悪いと思う。だけどね、わざわざ友華さんを巻き込んでこんな状況を作った上に盗み聞きするのはよく無いと思うんだけどねぇ……何か言うことは、あるかい?」

 

 【ごめんなさい……】

 

 

 

 皆で一緒に叱られました。

 

 

 

 

 

 

 皆が叱られた後、友華は“後はお若い人達に任せて……”等と言ってそそくさと部屋から退出し、今は勇者部の9人だけとなった応接室。気持ちを聞かれた楓と聞いてしまった上に色々口にしながら部屋に乱入した8人の間には気まずい空気が流れていた……。

 

 「……まあ、聞かれちゃったものは仕方ないよねぇ。自分の気持ちは、皆が聞いた事が全てだよ。自分は、皆が大事で、大切で、1人だけを選べない程に好きになっていた。我ながらこんなに気が多かったなんて、呆れちゃうけれど」

 

 (改めて聞くと、あの楓がねぇ……今まで園子とかのアタックを受け流してたように見えてたけど、実のところしっかり届いてたのねぇ)

 

 (でも、誰か1人を選べない自分が嫌で、皆に相応しくないって思ってたんだね。お兄ちゃんらしいなぁ……)

 

 姉妹はこれまでの()と彼女達のやり取りを思い浮かべ、彼女達からのアプローチはしっかり心に響いていた事を悟る。だが、その好意は彼に全員を好いてしまう結果を招き、常識的で真面目な彼はその自身の想いに悩んでしまっている。当然ながら四国は一夫一妻だし、複数の人間と付き合うのは常識的にも外聞的にも宜しくはない。彼が軟派な人間ならその想いのまま突き進むかも知れないが、現実は自分で自分が許せなくなっている。

 

 「だから、君達に伝える事無くこのまま蓋をしているつもりだったんだけどねぇ……」

 

 「そんなの嫌だよカエっち。わたしは小学生の頃からずっとずっとカエっちが好きなんよ。他の誰かじゃない。わたしは、カエっちが良い。カエっちじゃなきゃイヤだ」

 

 「私もそのっちと同じ気持ちよ楓君。私はずっと貴方に寄り添っていきたい。貴方が寄り添ってくれたら、もっと良い。例え離れても、私はどんな手を使っても貴方の側に居るわ」

 

 「なんか須美が怖いこと言ってるけど、あたしも同じだゾ。皆が好きでもいいじゃんか。好きなんだからさ。だから……だから、さ、楓。あたしの夢、楓が叶えてよ。ううん、楓に……叶えて欲しい。あたしを、楓の……うぅ」

 

 こんな想いは許されない。そんな楓の想いなど、周囲の考えなど、常識など何も関係ない。ただ一途に、一直線に自分の気持ちをぶつける、最初に勇者として共に戦った3人。小学生の時から何一つ変わらない想い。楓だけではない。小学生の時からずっと4人で、中学生になってからは勇者部皆でずっと居られたらと思っている。

 

 「楓くん。私も楓くんと、皆とずっと一緒がいいよ。大人になっても、お爺ちゃんお婆ちゃんになっても、ずーっと一緒に居たいな。だって私、楓くんも皆も大好きだから! むっちゃくちゃ大好きだから!」

 

 「大きな声出さなくてもあんたが大好きなのは伝わるわよ友奈……その、私は友奈達ほど強い気持ちがあるとは言い切れないけど、楓さん以外の男の人とかは全く想像出来ないです。それに、勇者部は私の大切な場所だから……勇者部は全員揃ってないとダメだと思うから、その……」

 

 「おうおう、頑張ったねー夏凛。まあ私は他の皆と比べると付き合いはまだ短い方だけどし、常識的に考えると思うところもあるよ? だけど、それでもかーくんの人となりはその辺の人より知ってるつもりだし……このメンバーだとどうとでもなりそうだよね。それに……うん。私も付き合うなら、結婚するなら、かーくんみたいな人がいいしさ」

 

 先代勇者の3人だけではない。中学から、或いは戦っていた時から、或いは戦いが終わってから出会った3人の気持ちとて決して軽いモノなんかじゃない。確かに付き合いは3人と比べると短いかも知れない。だが、時間の濃密さでは負けていない。その中で育んだ想いもだ。

 

 大事で、大切で、大好きだから。他の人なんて考えられないから。皆で、皆が幸福になれるのならその方がいいから。同じ気持ちだった。楓も、彼女達も。違うのは、それはダメだと大人の、常識的な考えがあってそこから進めなかったか、そんなモノは知らない、そんなモノが邪魔をするなと進んだかの気持ちの向き。

 

 「……姉さんと樹はどう思うんだい?」

 

 「うん? アタシとしてはそりゃあ部員が義理の妹になるかもって思うとまあ色々と考えるけど……それはそれ。あんた達が幸福なら、文句はないわ。むしろあんた達と樹が幸福になるのをしっかり近くで見届けるつもりだから」

 

 「フーミンお義姉さん……!」

 

 「早い早い、まだ呼ぶの早い。まああんたの熱意には遂に負かされたわ」

 

 「あはは……私も皆さんが義理のお姉ちゃんになると思うとあんまり想像出来ないけど、お兄ちゃんが……皆が幸福なら、それでいいと思う。だって、いっぱい戦ってきたんだもん。だったら、皆で一緒に幸福になってもいいと思うよ」

 

 「……そっか。そうかもねぇ……それにここまで言ってくれたのにしっかりした答えを出さないのも……男らしくない」

 

 「カエっち……!」

 

 半ば諦めたような……いや、憑き物が落ちたような楓が姉妹に問うと、また淀みなく答えられる。風は勿論、樹も兄と部員が一緒になることに特に嫌悪感は持っていない。なんなら、言葉にはしないが()を幸福に出来るのは部員達の誰か以外に居ないとすら思っている。それが全員と一緒になると言うのなら、これ以上の結果はないだろう。

 

 家族に、そして自分を好いていると大切に、大事に、そして好きだと想っている本人達からその想いを肯定され、そしてそれでも良いと言ってくれている。きっと、周りからは色々と言われるだろう。悪意をぶつけられるかも知れない。知ったような事を言われ、常識を盾に異常者と突き付けられるかも知れない。

 

 だが、彼、彼女らは言うだろう。()()()()()()と。自分達の幸福を他人が決めるなと。そんな常識なんて要らないと。異常者で結構だと。例え周りからどう見られようとも、ただ1つの不変の事実がある。決して他人に踏み込ませない。常識なんてぶっ潰す。自分達の幸福を掴み取る為ならば。

 

 そして、9人を知る大人達だって、9人の幸福を認める存在だって居るのだ。その存在達は言うだろう。邪魔をするな、道を塞ぐな、9人の幸福を怖そうとするなと。その為ならどんな手段でも使うだろう。やっと掴み取れる幸福の為に。神樹無き今の世にしっかりと根を生やし、立派に咲き誇(いき)る花達に幸福を手に入れさせる為に。

 

 

 

 「自分は皆が……皆の事を、心から愛しています。この世界を、これからの人生を、自分と……一緒に生きてくれませんか」

 

 【……はい、喜んで!】

 

 

 

 

 

 

 それから数年後、大人になった9人は四国の中で夢を叶える者も居れば大赦に所属しつつ四国の外へと出て調査を行う者も、大赦のトップとなった者も居る。働く場所やその行動自体はバラバラだが、その心や日々を幸福に思う気持ちは同じであった。それに、毎日連絡を取り合ったり言葉を交わす事も忘れたりしない。

 

 「おはよう、皆。こっちはちょっと寒いねぇ……ほら、3人とも起きて」

 

 挨拶はきちんとして。

 

 「次の樹のライブ? 日時は……ちょっと間に合わなさそう……戻って全力で走ればイケるかな。何とか頑張ってみるよ」

 

 なるべく諦めずに行動して。

 

 「さて、調査した後にお昼を食べよう。その後は、そうだねぇ。少しだけ、一緒に食休みでお昼寝でもしようか。その後に明日の道順を確認しよう」

 

 良く食べて、良く寝て。

 

 「神官の人がまだお見合いを進めてくる? ちょっと待っててねぇ……そっちに帰ったらその人に皆でお話しにいかないとねぇ……」

 

 悩んだらちゃんと相談して。

 

 「さて、早めに帰らないとねぇ……ちょっと先に行って確認してくるよ。大丈夫、心配しないで」

 

 そして……成せば大抵、何とかなるものだ。

 

 「ああ、のこちゃん? うん。やっと諏訪に着いたよ。ここの調査が終われば1度香川に友奈と美森、夏凛と戻るから……その時はまたしばらく一緒に居ようか。うん、勿論他の3人にも連絡する。また後でね」

 

 数年人の手で手入れされていない荒れた土地の上に、厚手のコートに身を包んだ青年が1人。コートから出ているその髪は長く膝裏まであり、黄色い髪は不思議な事に半ばから毛先に至るまで白くグラデーションが掛かっていた。

 

 青年は今しがた使っていたスマホをポケットへと直し、眼前の光景を目に焼き付ける。倒壊した家屋やビル、見渡せば神社もあり、そこから少しあるくと耕された土……畑らしきモノもあった。そして……その土には、何らかの芽が2つ寄り添うように出ており、不思議と青年はその芽に視線を釘付けにされた。

 

 「……」

 

 「楓くーん!」

 

 「友奈はまだその呼び方から変わらないのね。私にみたいに“あなた”と呼べばいいのに」

 

 「いや、あんたが切り替え早すぎなのよ。園子ですらまだ昔と呼び方変わってないのに」

 

 ふと、青年……楓は名を呼ばれたので後ろに振り返る。そこには彼と同じようなコートの色違いのモノを来たポニーテールの赤毛の女性、黒髪のショートヘアの女性、セミロングの茶髪の女性が居た、それぞれが成長した姿の友奈、美森、夏凛である。

 

 3人の姿を見た楓はふっと笑みを溢し、畑に向き直った後に何とはなしに数秒ほど手を合わせる。それを終えると3人の方へと歩き、近付くと友奈がその右腕に抱き着いた。

 

 「えへへー♪」

 

 「ふふ、楽しそうだねぇ友奈」

 

 「ホントにね。楓さん、この辺りの調査は終わりました。やっぱり生存者は……」

 

 「雪花のようにはいかないものね。あなた、ここからどうする?」

 

 「予定通り、一旦四国に戻るよ。物資も残り少なくなってきたし、最近姉さんからの催促がねぇ……それに、会えない時間が続いたからのこちゃんと銀、雪花にも会いたいし」

 

 「そうだね、皆に会いたいね。じゃあ直ぐに船まで戻ろう!」

 

 「いや船からバイクでここまでどんだけ走ったと思ってるのよ。調査はそれも降りて徒歩だったし、また結構掛かるわよ」

 

 「行きは通れる道の確認をしながらだったから時間は掛かるけど、記録した地図の通りに戻れば帰りはまだ早いと思うわ夏凛」

 

 「船で待って貰ってる春信義兄さんにも悪いしねぇ。早く戻って安芸先生……今は三好先生か。先生に会わせてあげないと」

 

 そんな会話をしながら、4人はバイクが置いてある場所へと向かう。大人になった4人は四国外の調査を仕事にしており、夏凛の兄である春信は船の運転と留守番を担って貰っている。陸地に着いた後は通れる道を探り、記録しながらバイク2台を2人乗りで移動しながら少しずつ確認した場所を広げていっているのだ。その目的は四国外の人間の生活圏を確保と危険が無いかの確認、そして生存者探し。ただ、雪花以外の生存者は今のところ確認出来ていない。

 

 その雪花と言えば、カチューシャとメガネはそのままに髪を伸ばし、今では有名な服飾デザイナー。4人のコートも彼女のデザインだ。園子は背が伸びた以外姿はあまり変わらず、大赦のトップとして君臨している。また、子供の頃サイトに投稿していた小説は書籍化して大ヒットしてているそうな。銀は髪を伸ばしていて今は大赦運営の幼稚園の先生になり、勇者部や弟たちの相手の経験を活かして活躍して子供にも親にも人気となっている。が、たまにトラブルに巻き込まれては子供達や他の先生に助けて貰っているらしい。

 

 受験勉強のせいかメガネを掛けるようになった風は意外にも研究者の道を取り、4人が乗るバイクや船を動かすガソリンや電気とは全く別の燃料の開発チームに所属している。因みに仕事よりも妹のライブを優先し、度々抜け出しているのだとか。そして話に出た妹、樹は兄と姉に憧れてかかなり髪を伸ばし、歌手の夢を叶え、今尚神樹無き世に希望を見出だせない人達に、そして大好きな人達に歌を届ける為に歌っている。因みに、全員同じ家に住んでいる。

 

 「やっと着いたねぇ……さて、誰が後ろに乗る?」

 

 「行きは私だったから、次は友奈でいいわ」

 

 「あら、酷いわ夏凛。私だって後ろに乗りたいのに」

 

 「あんたか楓さんしか運転出来ないでしょうが!!」

 

 「あはは……という訳で私が乗るね。よいしょっと」

 

 「ふふ、了解。さぁしっかり掴まって……美森と夏凛も行くよ」

 

 「「「はーい」」」

 

 バイクがある場所に着いた4人は直ぐにバイクに乗り、船がある場所まで向かう。諏訪から船がある海までは距離がある為、着くのにはまた数日を要する。だが、その長い道のりも愛する者同士が居るなら退屈にはならないだろう。確かなことはその時間は4人にとって。

 

 

 

 「ねぇ、楓くん」

 

 「なんだい? 友奈」

 

 「私ね、今、すごーく幸福(しあわせ)なんだ!」

 

 「そっか。自分もだよ。とても、とても……その一言以外に思い浮かばないくらいに、幸福だよ」

 

 

 

 彼らは、彼女らは……幸福であることだ。




精霊紹介コーナーはお休みです(!?)

という訳でハーレム番外編でした。見ての通り、大満開の章の影響をがっつり受けています。一応原作沿い二次なのでこういう展開に。違うとすればハーレム番外編なので同じ家に住んでいること、調査班に楓が居ること、船のお留守番が春信さんになっていることです。遂にアニメでも情報出なかったな春信さん……。

原作との大きな違いとして、神官達が稲穂になっておらずそのまま全員残っている事です。なのでお見合いとかまた奉ろうとするとか友華達の意思に関係なく動きました。その奉ろうとした存在同士が婚姻を結んだんですから本人達は納得してくれるでしょう。しなかった人は闇に葬られます←

さて、拙作及び今年最後のハーレム番外編はお楽しみ頂けたでしょうか? 何分ハーレム物は初めてと言ってもいいので難しいとは思いましたが、想いをぶつけるシーンは書いていて楽しかったです。考え方によってはこの番外編がトゥルールートに近いとも言えますし。

それでは今年もご愛読ありがとうございました。あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしております。来年も本作を宜しくお願いしますv(*^^*)






 それは、更に数年の時を経てからの話。何度目かの調査から帰ってきた楓達4人に、見覚えの無い……だが見覚えのある顔の女性が2人着いてきていた。1人は大人になった友奈にそっくりの。もう1人は美森のような黒い髪をした……友奈と同じ顔の女性。2人は驚く5人に向け、笑顔でこう言った。

 「はじめまして……ううん、久しぶり、かな?」

 「まあ、はじめましてじゃない? 実際に私達と顔を合わせたのは楓くんと友奈だけだしね」

 「それもそっか。それじゃあ改めまして……はじめまして!」

 そしてその名を、存在を聞いた5人が驚きの声をあげるまで……それを聞いた4人が笑うまで後数秒。そこから先に続くのは……2輪の花を加えた花束となった11人の幸福な未来。
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