盛大に爆死したのでメリュジーヌ貯金始めました。次に彼女が来るまで石と呼符を貯めに貯めます。目指せ宝具マ。
カウンターサイドでは無事覚醒ヒルダをゲット。シグマ是非とも欲しいところですが果たして当たるかどうか……可愛過ぎんよ。メカだけど。
何となく暇潰しとして剣盾地面統一縛りもやってます。久々にポケモンすると本当に楽しいです。アルセウスは……買えないな←
さて、今年最初の更新です。それでは、どうぞ。
それは、浄化の儀を終えた後の夜の寄宿舎でのこと。各々が寝るまでの時間を思い思いに過ごしている時間帯の若葉の部屋に、部屋の主の若葉と共に過ごす為にひなたは居た。
「浄化の儀も無事終わって、いよいよ次のステップだな、ひなた」
「……」
「どうしたひなた。考え事か? それとも、今日は流石に疲れたか」
「疲れたから、若葉ちゃんと居るんですよ。覚えていますか? 若葉ちゃん」
今日の事を振り返り、無事に“浄化の儀”を終えた事を喜びつつ、次に取るべき行動を考えながら隣に座るひなたを呼ぶ若葉。しかし、普段なら直ぐに来る返事が来ずどこか浮かない顔をしている彼女を見て心配そうに問い掛ける。すると今度は直ぐに返事が聞こえ、ひなたは彼女の目を見ながら問う。
この世界での丸亀城奪還作戦。その際、ひなたは皆にこう言っていた。神樹が攻める時期を指定した場合、それ以外のタイミングで攻め込むのは危険であると。巫女達が何度もそう言っていたことで、この時提案された偵察、斥候は中止となった事を若葉は覚えている。
しかし今回、愛媛の地を犠牲にしない為に敢えて神託に関係なく攻め込んだ。結果はこうしてこの場に居る事から分かるように勝利。これは本当に凄いことであると、ひなたは少し興奮気味に言う。
「それだけ、皆が強くなったという事だろう。もう神様に守られてばかりの私達ではない……生意気と思われるかも知れないがな。そういう所を見せていく気概も必要だろう」
「ええ。私自身、かなりハッとする出来事でした。神様を敬う気持ちは変わりませんが」
「……私達の目的は、日常を取り戻すことだ。神様の手を煩わせる事なく、また普通に暮らせる世界に戻れるのなら、それが1番」
「はい。日常に戻る為にも、神樹様には時に我々の気概も見せていきましょう。人は、頑張って歩いていけると」
「それを神の体の中で言っているのだから、本当に図々しいがな……これ、怒られないか?」
「これぐらいなら大丈夫ですよ。神の力に頼らず、人が人として歩んでいく事を目指す。これは当たり前の事だと思いますし」
神への敬意を忘れなければ、神がその選択を怒るとは思えないと、ひなたはそう締め括る。こうして神の体の中で神の力によって戦う力を得て戦い、現実では神の力によって守られている。今はまだ、神樹の力無くしては人間は生きていく事は出来ないし、戦う術もない。だが、いつか。やがていつかこうして神の力を借りる事なく、バーテックスや天の神に怯える事もなく何気ない日常を過ごせる日が来ればいい……それが1番だと若葉は、ひなたは思う。
「……怒る」
「どうした? ひなた」
「怒る……!? もしかして、案外それこそが……天の神が怒った原因では」
ここまでの会話の中に出てきた、若葉の“怒られないか”という言葉を聞き、ひなたは天の神がなぜ人類に対して攻撃を仕掛けてきたか、なぜ滅ぼそうとしているのか……その理由に触れた気がした。というのも、そこまで深い理由ではない。そして、それが当たっているという確証がある訳でもない。
ひなたの考えは至ってシンプル。人が人ならざる力を得ようとし、それが天の神の逆鱗に触れたのではないかというもの。例えばそれが天の神に連なる“何か”……神具だったり、或いは奉られている社だったり。そういったものに人間が無遠慮に、我が物としようと手を伸ばしたのではないか。
「だから攻撃を仕掛けてきたというのか……」
「考えすぎですかね。でもそれも、造反神を鎮めれば答えは見えてくるはずです……」
「あぁ。赤嶺 友奈からも色々と聞けるだろう」
「今後とも気を緩めず、頑張っていきましょう……」
答えは出ない。これはあくまでもひなたの予想であり、真実を知るのは天の神だけだ。もしかしたら元は天の神と同じ陣営だったという造反神なら、そしてその勇者として行動している赤嶺ならば知っている可能性はある。つまりはこれまでとやることは変わらない訳だ。
取り返した愛媛と同様に徳島を、高知を取り戻す。そして造反神を鎮める。その過程で赤嶺も捕まえる事が出来るかもしれない。その為にも、これからも頑張っていこう……そう言うひなたの表情は、同意する若葉の目には言葉とは裏腹に曇っているように見えた。
浄化の儀、そして2人の会話があった日より数日。いつものように勇者部の部室へと集まった勇者と巫女達。巫女達より何やら話があるとの事で、全員が集まった事を確認した若葉が代表して口を開く。
「ひなた、全員揃ったぞ。いよいよ徳島奪還作戦の開始だな?」
「その前に。神樹様の力も大分戻りましたので、新たな助っ人を呼ぶことになりました」
「ワオ、そりゃびっくり。自分らで打ち止めだと思ってたのに」
「もうタマ達だけで充分なんじゃないか? なんたって、天下分け目の戦いに勝ったんだぞ」
遂に徳島を奪還する戦いの始まりか、と言葉にやる気を漲らせる若葉だったが、ひなたは戦いの前に更なる助っ人を召喚すると言う。現時点で既にこの場に20人以上居るのにまだ勇者、或いは巫女が居るのかと皆大なり小なり驚いていた。特に勇者としては最後に参上した雪花は自身と棗でもう勇者の召喚は無いと考えていたので驚きが大きい。
だが、球子はもう戦力は充分ではないか? と呟いた。事実として現在の戦力で愛媛での天下分け目の戦い……最後の戦いを制している。このメンバーだったらもう負ける事はない、どんな相手にも勝てる。そんな自信が顔に浮かんでいるが……巫女達は首を横に振った。
「それが、ここ数日で造反神の力がぐんぐんと増してきているみたいで……」
「まだまだ余力がある……ううん、まだまだ力を出し切ってる訳じゃないってところだね。確かに土地の数で言えば同等だけど、わた……神樹、様と造反神の力にはまだ開きがあるんだ」
「えーっ、なんて底知れない存在……」
「或いは、追い込まれると力が増すタイプなのかもしれません。味方だと頼もしいんですけどね」
「油断していると戦力を引っくり返されるという訳ね」
「それで、こちらもきっちり戦力増強……か。でも他に勇者が居るの?」
奪還した土地は香川と愛媛の2つ。土地の数は同等で、その分造反神の力も戦力も削った。しかし、それでもまだ神樹と造反神には力の差がある。それどころか削ったハズの力が増していっているとのこと。如何に天下分け目の戦いを勝ち抜いたからと言って油断出来る相手ではないのだ。
巫女達の言葉に、歌野が成る程と真剣な顔で頷き、他の勇者達も気を引き締める。しかし、戦力増強といわれても肝心の戦力、勇者が他に居るのかも疑問だ。千景がそう問い掛けると、ひなたが笑みを浮かべながら口を開いた。
「まずは巫女が増援として来るようです。とても助かりますね」
「巫女さん! どんな子なんだろう。わくわく」
「おっ、光った! 来たぞ来たぞー。いらっしゃいませー!」
「4人目の巫女か。どんな子が来るのやら……」
「とっても良い子だよ。ほら……来るよ」
新たにやってくるのは巫女と聞き、高嶋を筆頭に待ち遠しそうにしている者が数名。声に出してわくわくとしていると部室が一瞬光に包まれる。それがもうすぐこの場へ新しい仲間が現れる前兆であると分かり、銀(小)がフライング気味に歓迎の言葉を投げ掛ける。
そんな彼女を見ながら、楓はポツリと朗らかな笑みと共に呟く。4人目の巫女。少なくとも悪い子ではないだろうと予想し、それが正解であると言うように神奈は笑いながらそう告げる。そしてその直後、再び光が部室を、或いは世界を満たし……。
「…………」
光が収まると、そこには亜麻色の長い髪の小柄な少女がぽかんとした表情でそこに居た。着ている制服は西暦組は勿論、勇者部の面々が着ている讃州中学の物とも違う。当然というべきか、誰も彼女との面識は無かった。
「わー、凄く可愛い子が来たね~。ちょっとびっくりするくらいキュート」
「ふふ、そうだねぇ。でもどこの学校の……もしくは時代の子かな?」
「ようこそ勇者部へ! 私達は……」
「歴代勇者の方々ですね。神樹様からの神託で把握しております。私は
「ちょ、ちょっと、そんな地面に手を着くなんて」
その愛らしい姿につい笑顔になる園子(中)と孫を見るような目で見る楓。しかし、と彼は見覚えの無い制服にどこの学校に通う生徒か、もしくは西暦組のように別の時代からやってきたのではないかと顎に人差し指を当てながら考え込む。
友奈が歓迎の言葉を掛け、自分達の自己紹介を……となると亜耶と名乗った少女は既に神託にて知っているという。神託って便利だなぁと思っている勇者達だったが、挨拶をするや否や地面に手と膝を着く……簡単に言えば土下座の姿勢を取る彼女に驚く。高嶋が止めるように言うが……。
「勇者様達には、最大の敬意を……」
「大丈夫だから頭上げて! こ、これはまた新しいタイプが来たわね」
「まさかいきなり土下座されるとはねぇ……そういえば神奈ちゃん、さっきの言い方だとこの子……国土さんだったかな? 知ってるみたいだったけど」
「うん。この子は楓くん達と同じ時代の……」
「し、神樹様!?」
「えっ!?」
【神樹様ぁ!?】
そう言って、風に立たされるまで土下座し続けた亜耶。新鮮というべきか、今までの仲間とはまるで違う反応と行動に困惑気味の勇者達。楓は過去に勇者である己を敬い平伏する神官を見た事があるので彼女にそれらに似たモノを感じて苦笑いし、先程神奈が“良い子”と称していた事を思い出して聞いてみると彼女は頷き、亜耶の事を説明しようとする。
が、亜耶は神奈を見ると目を見開いて驚き、かと思えば突然彼女の事を神樹と呼んだ。いきなりの土下座の時よりと更に大きな驚愕が勇者と巫女を襲うが、1番驚いているのは正体を当てられた神奈本人であろう。これはマズイ……と思わず楓を見る神奈に彼は苦笑いを浮かべ、亜耶に話し掛ける。
「あー……国土さん? 彼女は神樹様じゃなくて、神谷 友奈という名前の人間なんだけど……なんで神樹様と?」
「えっ? あっ、す、すみません勇者様! その、なんと言うんでしょうか……私が神託を受け取る時、いつも温かな感じがするんです。その感じがして、咄嗟に……」
「ああ、それは分かる気がします。私もこの世界に来てから神託を受ける時、元の世界とは違う温かさを感じますし」
「私も神託を受ける時にそう感じるなぁ……」
「あ、あはは……わ、私もそう感じる? 時があるから……」
「ふふ、神樹様と似た雰囲気があるんだって。良かったねぇ、神奈ちゃん」
「本当にごめんなさい……」
「だ、大丈夫、気にしてないし……むしろ神樹、様と似てるなんて光栄だなぁ」
(雰囲気が似てるだけ……でもなんで神奈ちゃんにだけそう感じたのかしら。雰囲気が理由なら、友奈ちゃんと高嶋さんにも感じそうだけれど……彼女だけ巫女である事と何か関係があるのかしら?)
楓の問い掛けに恐縮しつつ頭を下げながら、辿々しくも理由を述べる亜耶。神託を受ける時、と言われても勇者達には共感出来ないし、巫女の適性があるとされる須美と美森も“温かな感じ”とやらはまだ感じたことがないので首を傾げるばかり。が、巫女達は彼女の言葉に同意を示した事で勇者達も“そういうものか”と頷いた。
自身の発言が周囲を混乱させたのだと反省して小柄な体を更に小さくして謝罪する亜耶に、神奈はまだドキドキとしながら自分と似ている事を光栄に思うというよくわからない状況と心境になりつつ苦笑いを浮かべる。そんな彼女の心境を察し、楓もまた誤魔化すように言いつつ苦笑した。
そんなやり取りを見ていた美森は内心で考え込む。確かに雰囲気が……という理由ならほぼ同じ容姿の友奈、高嶋にも同じ雰囲気を感じそうなもの。しかし亜耶が反応したのは神奈ただ1人。その理由は……と考える美森だが、まさか本当に神樹……正確にはその中の1柱……であるとは思わなかった。
「かくかくしかじか、という訳。これが今、私達が置かれている状況よ」
「事情をより具体的に把握できました。ありがとうございます東郷様」
「そんなに畏まらなくてもいいんだぞ。ここでは皆、仲間だ。タマ、ユア、フレンド」
「そうそう、タマ坊の言う通りだよ。リラーックス、リラーックス」
「そ、園子様に土居様……勿体ないお言葉です」
「緊張でカチコチになってるね。なんとかして、ほぐしてあげたいなぁ」
「いきなり知らない人がズラッと並んでるからね、気持ちは分かるよ。秋原さん、何かいいアイデアないかなあ?」
「ご指名ですか。こういうのはかーくんとか結城っちが得意そうだけど……よーっし、オラがいっちょやってみっか! まずはお互いを知る所から」
全員が落ち着いた頃を見計らい、美森がこれまでの出来事を亜耶に説明していく。彼女も神託によってある程度の事情は知っていたが、言葉による説明もないイメージ映像くらいなもの。より深く知ることが出来、美森に礼を言うのだがどうにも言葉や姿勢が固い。緊張しているのは誰の目にも明らかだった。
そんな彼女の緊張を和らげようと球子と園子(中)が声を掛けるが、やはりまだ固い。高嶋と水都もどうにかしてあげられないかと悩み、何となく水都は雪花に振ってみる。振られた本人は自分以外にも適した人間は居るだろうとは言いつつ頼られたからにはとやる気を出し、亜耶の前に行ってそう言うと更に言葉を続ける。
言葉遣いの事はひとまず置いといてと前置きをし、亜耶の学年や、来た時代なんかを問う雪花。その質問に対し、亜耶は素直にハキハキと答えていく。自身が中学1年生であること。勇者部の8人と同じく神世紀300年の秋から来たこと。そして
「大束町って言ったら、大橋市の隣辺りだっけ?」
「ですね! 知ってる名前が出ると嬉しいな」
「ゴールドタワー。この世界では入れなくなっている所ね」
「前にぐんちゃんが屋上遊びに行こうって誘ってくれたのに、残念だったよね」
「召喚されて疲れているだろうから、国土さん、こっちでゆっくりお話しましょう」
「あ、は、はい! 伊予島様」
「! それ、私も着いていきます!」
「なんか良く分からんがタマも……!」
「タマちゃんは行かなくていいの。まずは同学年の子だけで、落ち着いて話をして緊張を解かないと」
「球子ちゃんが行ってもあんまり違和感ないけどねぇ」
「楓、お前本当に最近タマに対して遠慮が無くなってきたよな!?」
亜耶がお役目についていた場所だという“ゴールドタワー”。勇者達は中に入った事はなかったが名前と建物だけは知っていた。銀ズはそれがある場所の市の名前が知っている場所であると知ると何故だか嬉しくなり、自然と笑みを浮かべている。それに対し、千景と高嶋は依然訪れた時に入れなかった事を思い出して少し残念そうにしていた。
それはさておき、疲れているであろうと亜耶を人口密度が高い部室から繋がる別室へと連れていこうとする杏と着いていく樹。それに球子も着いていこうとするが雪花に止められ、くつくつと笑いながら楓が聞こえるように呟くとここ最近姉に毒を吐くように球子にも遠慮しなくなってきた彼にツッコミを入れる。そんな2人のやり取りを、周りは微笑ましそうに見ていた。風は少し嫉妬していたようだが。
「「それにしても、国土 亜耶
「同じタイミングで同じワードを!? このシンクロ加減、流石本人同士ね」
「シンクロなら私達もだよね!」
「わ、私が君達で、君達が私で!」
「ウィーアー! これ、いつか赤嶺ちゃんも入れてやるって決めてるんだ」
「友奈トリオからカルテットか。見るのが楽しみだねぇ」
「神樹様に呼ばれたってだけでもビックリなのに、いきなりこういう光景見たらそりゃ驚くわよね」
「同じ顔が2人も3人も居るんだからね……あっ、戻ってきたみたいよ。さぁどうなってるかにゃ?」
3人の姿が見えなくなった後、同時に同じ事を銀(中)と千景に向かって言い出す美森と須美。若干の言葉の違いはあれど同じタイミングに台詞、なんなら姿勢まで同じの2人に歌野は驚きと感心を抱く。その言葉に自分達だって! と高嶋と神奈、友奈も何故か同じポーズを取ったり鏡合わせのように両手を合わせたりして対抗する。いずれはこの中に赤嶺を……と野望を抱く友奈に、楓はクスクスと笑いながらそう呟く。
そっくりさん、或いは本人がこうも沢山居るとなればああも固くなるのも無理はないと夏凛は言う。おまけに亜耶は他の神官達のように信心深く、勇者を敬っているのが見て取れる。緊張に加え、若干以上の混乱もあっただろう。雪花も同意するように頷いた直後、別室に居た3人が戻ってきた。すると亜耶は樹と杏の見守る視線を背に全員の前に立ち、挨拶と共にペコリとお辞儀を1つ。
「改めまして、巫女の国土 亜耶です。先程は緊張してしまい、すみません。でも、もう大丈夫です。落ち着きました。樹ちゃんと杏ちゃんのお陰です」
「おぉー、いい感じで打ち解けたみたいね。やるわねぇ2人共。お姉さんは感無量だわ」
「何も泣き真似しなくても……宜しくお願いしますねぇ、国土先輩」
「宜しくお願いします、亜耶先輩~」
「雨野様と乃木様……でなく、うん、新士君、園子ちゃん」
「まだちょいと堅苦しいけど、後は時間が解決してくれるっしょ」
「ありがとう、秋原さん」
「あはは、何もしてないって。亜耶ちゃんは寮暮らしって事になるのかな?」
「はい。私と神奈さん、水都さんで案内しましょう。巫女同士のお話もありますし、この世界で生きていく上で頭に入れておいてもらいたい事もありますし」
「そうだね、この後の亜耶ちゃんの事は私達に任せて。それじゃあ亜耶ちゃん、こっちに来て?」
「はい!」
「……うわぁ、か、可愛い……」
最初の時よりも緊張が取れた様子で改めて自己紹介をする亜耶。2人のお陰でもう大丈夫だと振り返り、後ろに居る中1組と顔を合わせて微笑み合う。その姿に本当にもう大丈夫だと、中1組がやってくれたのだとわざとらしく目元を拭う風。そんな姉に苦笑いしつつ、新士は腕にしがみついている園子(小)と共に挨拶を返し、亜耶は気にする事なく頷く。
つい敬語や敬称がついてしまう辺りにまだ堅苦しさを感じるが、それも時間の問題だろうと笑う雪花。水都は彼女に礼を言うが、本人は自分の力ではないと手を振った。そんな彼女の次の疑問は亜耶の住む場所。当然と言うべきかそれは雪花達も住む寄宿舎で、そこへの案内は諸々の話もあるので巫女組でやるとひなたは言う。自分を呼ぶ神奈の元へ元気の良い返事と共にトコトコと歩いてくる愛らしい姿に、水都は胸を撃ち抜かれたような気がした。
「よーし、アーヤに決めた!」
「楓の腕に抱き付いたまま考え込んでいると思えば、あだ名を考えていたのか……」
「のこちゃんは人にあだ名をつけて呼ぶのが好きですからねぇ」
翌日の早朝、寄宿舎。制服へと着替えた若葉が朝練へと向かっている途中の廊下で、同じく制服姿で掃除用具を手に廊下を楽しげに掃除している亜耶の姿があった。
「おそうじー♪ おそうじー♪」
「おぉ、亜耶、おはよう。こんなに朝早くから掃除をしてくれているのか」
「若葉先輩、おはようございます。朝練頑張ってください」
「心が洗われるな。よし、一層頑張ろう」
「グッモーニン亜耶さん。お互い早いわね」
「歌野先輩、おはようございます。農作業、お気をつけて」
「おはようさんです、亜耶さん。何か手伝いましょうか?」
「大丈夫だよ銀ちゃん。ありがとう」
「おはようございます、国土先輩。昨日来てくれたばかりなんですから、何も今日掃除しなくてもいいんですけどねぇ」
「鍛練お疲れ様、新士君。私はお掃除やお片付けするの好きだから、大丈夫だよ」
廊下での掃除なので次々と寄宿舎に住む者達とすれ違い、挨拶を交わしていく亜耶。昨日の今日ではあるがすっかり緊張も取れて自然な応対が出来ており、愛らしい容姿と早朝に自主的に掃除をしている姿を見た勇者達も皆笑顔で一言二言交わして通り過ぎていく。
若葉は朝練へ、歌野は畑へ、銀(小)は食堂へ、新士は鍛練を終えシャワーを浴びに。勇者という存在を敬い、慕う神世紀の巫女である亜耶としてはこうして朝早くから勇者達の顔を見られるのは光栄な事である。幸福な気持ちになりながら掃除を続けていると、今度はひなたが現れた。
「うふふ、おはようございます。大分馴染んで来ましたね、亜耶さん」
「伝説の勇者様が次々と話し掛けて下さる凄い状況ですが……皆さん、とても素敵な方ばかりで。お陰でいつもの生活リズムになりました」
「何よりです。本日、浄化の儀を行いますので、亜耶さんの力を貸して下さい」
「はい! その為に私は来ましたから」
という会話から暫く。各々が朝食を終えてから登校して授業を終え、放課後に部室へと再度集まった仲間達。ひなたが亜耶に言ったように徳島へと向かう前に更に浄化の儀を行い、より万全にするのだと説明すれば、勇者達は成る程と納得の意を示す。
「ダメ押しで更に浄化の儀を行う、か……うん、良いと思う」
「同じく賛成。私はゲームとかでも堅実プレイでね。守りは堅いに越した事はないよ」
「今回は私も行きますので、宜しくお願いします」
「まーかせなさい! フィンガー1本も触れさせない」
「うんうん! 安心していいからね、亜耶ちゃん!」
「おおー、凄い人気だな亜耶は。タマげた」
「亜耶ちゃん、とっても良い子だもん。凄く可愛いし、エンジェルだね」
「……? 亜耶ちゃんは人間だよ?」
「いや、別にあんずは本気でそうだと言った訳じゃないぞ神奈。それとあんず。あんずもエンジェル、だぞ」
「タマっち先輩……♪」
(人間なのにえんじぇる……確か、天使だっけ? なんでだろう……まだまだ勉強不足だなぁ)
まず棗が賛成し、雪花が続く。早く徳島に向かいたいという気持ちは確かにあるが、守りを更に堅くして万全の体勢にしておいて損はないだろう。加えて今回は亜耶も参加すると聞き、この愛らしい新たな仲間を
歌野と友奈が亜耶に向かって言葉でやる気を示していると、それを見た球子が彼女に人気っぷりに驚く。その理由を杏が言うと、それを聞いた神奈が首を傾げる。エンジェルという言葉の意味は知っているので、何故それを人間の亜耶に言ったのか理解出来ていないらしい。球子から見ればそれは天然以外の何物でも無いので呆れつつ、杏と見詰め合いながら2人だけの空間を作り出す。神奈はまだ疑問符を浮かべたままだった。
「杏、球子、何をしているんだ。神奈も考え込んでいないで行くぞー」
「「「あ、はーい」」」
場所は変わり、浄化の儀を行う場所である愛媛のとある神社。巫女服へと着替え、新しく亜耶を加えた巫女達が儀式を行っている最中にやってくるかもしれない敵を勇者達が待ち構えてから暫く。前回の儀式が効いているのか襲撃もなく、安全に儀式を終えた頃。
「ふう……儀式、終わりました」
「素晴らしいですね亜耶さん。巫女の力をそこまで引き出しているなんて」
「わ、私なんかより全然凄いよ……」
「私は小さい頃からずっとやっていますから。むしろこれぐらいは出来ないといけません。正式な訓練を殆ど受けていないのに、巫女のお役目を出来る水都先輩の方が凄いですよ」
(私、訓練を受けるどころかそもそも巫女ですら無いけどね。巫女っぽく見せてるだけで、実際は“私達”と一緒に彼女達に合わせて神としての力を使ってるだけだし……)
「2人共凄いんですよ? 水都さんはもっと自信を持って下さい」
3人の時よりも遥かに早い速度で儀式を終わらせた4人。共に儀式を行った事で巫女としての能力を感じ取れたのか、最年少ながらも強く大きい巫女の力を持つ亜耶を褒めるひなたと自信無さげに言う水都。神奈も何か言おうとはしたのだが、そもそも真の意味で“巫女”ではないので何も言えないのか沈黙したまま笑顔を浮かべている。
しかし、と亜耶は否定こそしないが自慢したりもしない。むしろ育ってきた環境から考えてこれぐらいは当然だと言い、元の時代では自身のような訓練を受けられなかった筈の水都こそ凄いのだと逆に褒める。結局は2人とも凄いのだとひなたが締めた。
新たな戦力である国土 亜耶。彼女の力を目の当たりにした勇者達は心強い仲間が増えたと改めて実感し、巫女達と共に部室へと大赦と乃木家、高嶋家が出してくれた車で帰るのだった。その道中の車内では、楽しげな会話が絶えなかったそうな。
精霊紹介コーナー(久しぶり)
見た目はデフォルメされた鬼の子供のような姿。ゆゆゆいの酒呑童子の金髪バージョンを想像して貰えると分かりやすいか?
本作オリジナルだが名前のみの登場。精霊としての能力は光を纏った部分の身体の強化。つまりはゆゆゆい編での楓の“強化”はこの酒呑童子の力。元は彼だけの身体を鬼のように強くするだけだったが、度重なる満開によって彼自身の勇者としての力が強くなったので仲間も限定的ながら強化出来るようになった。ただし反動も大きい為、ここぞと言う場面でしか使われない。因みに追加されたのは5番目。
精霊自身の性格は喧嘩っ早い。が、能力の割に本体はそこまで強くないので他の精霊に軽くあしらわれる。牛鬼に齧られては涙目になって楓の後ろに隠れる姿が見られることもしばしば。高嶋の酒呑童子によく懐いている。
という訳で、遂にくめゆより亜耶ちゃん登場というお話でした。明確に彼女の名前が出たのは本作では初めてです。彼女の存在を示唆する文は何度か出てますがね。
実のところ、本作では触れるつもりはなかったのであまりくめゆ組に対しては原作以上の追加設定というものはありません。どちらかと言えば、小説よりアニメ寄りになるかもしれませんね。強いて言えば、しずくと新士、楓の関係が……。
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