咲き誇る花達に幸福を   作:d.c.2隊長

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お待たせしました(´ω`)

ゆゆゆコラボ中なのでリリフレ始めました。リセマラ4回目にして東郷さん込み三枚抜きでスタート。友奈はもうすぐだ。東郷さん、解除姿似合いすぎじゃないですかね←

感想では何人かの方が本作でのワンシーン等を答えて頂いて嬉しい限りです。では、調子に乗って人気投票でも(存在散華

実は東郷さんの満開の砲問の数を8つではなく6つだとずっと勘違いしてました。わすゆ決戦とゆゆゆ総力戦のところでも6つと書いてましたが、修正しました。

今回はあんまり進みませんが……クライマックス感は増します。多分←




結城 友奈は勇者である ー 22 ー

 「っ!」

 

 樹が戦ってる。迫ってくる小さいバーテックス達を相手に、1人で。それをアタシは……見ているだけだった。

 

 頭の中でさっきの樹の文字と楓と友奈と夏凜の言葉が繰り返されてる。勇者部に入って良かった。勇者部が楽しくて仕方ない。勇者部は嫌いじゃない。勇者部は……作って、良かったって。

 

 嬉しかった。でも、それ以上に友奈と夏凜に攻撃した自分が許せなくて……動く気力も出なくて。分かってるのよ、世界が危ないってことは。それでも……気持ちが、体が、動かない。

 

 「っ!!」

 

 樹が戦ってる。ワイヤーを使ってバーテックス達を切り裂いて、突き刺して、巻き付けて……そうしていたら、別のバーテックスに体当たりされて吹っ飛ばされた。それでも、直ぐに立ち上がって……また、戦って。

 

 どうしてそこまで戦えるの? あんたは歌うことが出来なくなって、夢を諦めなくちゃいけなくて……アタシみたいに……ううん、アタシ以上に怒っていいハズ。バーテックスに、世界に、神樹に。

 

 

 

 ― あのね、お姉ちゃん。私は、私が戦うのは……大赦に言われたからでも、神樹様に選ばれたからでもないんだよ? ―

 

 ― 私は……自分で選んだんだ。何も知らないで帰りを待つよりもお姉ちゃんと……お兄ちゃんと、3人で居たいんだ ―

 

 

 

 ……そういえば、そう言ってたっけ。思えば樹は、最初からお役目だとか、世界の為だとか、そんなことは言ってなかった。最初からずっと……ずっと、アタシ達と居たいって、着いていくって言ってた。

 

 「……樹……」

 

 楓は最初から信じてた。樹のことも……アタシ達のことも。なのに、アタシはずっと……1人で悩んで、突っ走って。一緒に頑張ろうって、生きようって言ってくれてたのに……アタシが原因だからって、勇者部なんて作らなければって。

 

 ……樹が、戦ってる。アタシを守る為に、世界を守る為に。その理由はきっと……アタシと、楓と一緒に居たいから。勇者部の皆と一緒に……居たいから。

 

 妹が眩しい。声を奪われて、夢を奪われて、それでも真っ直ぐに進んでいく妹が。いつもアタシや楓の後ろに居た樹。気付けば……いつの間にか、アタシがこうして背中を見ている。

 

 「……着いていく、か」

 

 体に力が入る。無くなってた気力が沸き上がる。大事なのに、見えてなかった。大切なのに、信じきれてなかった。弟のことも、妹のことも。でも……2人は、アタシよりもずっと……強くて。アタシは、そんな2人のお姉ちゃんだから。

 

 不意に、頭にイメージが浮かぶ。座り込んで動かないアタシの前を歩く弟と妹。そんな2人が振り返って、アタシに笑顔で手を伸ばす。“家族皆で”って、そう言いながら。その手を……アタシは掴んで。2人に、その手を引かれて。

 

 「着いていくどころか……追い越してるじゃないの」

 

 やっと……立ち上がれた。やっと……前に進めた。手を引かれて進むんじゃない。手を引いて走るんじゃない。

 

 

 

 アタシ達は……手を繋いで、隣を歩くんだ。

 

 

 

 「はああああっ!!」

 

 樹がまたバーテックスの突撃を受けて吹き飛ばされる。その樹を追撃しようとするバーテックスに向かって跳びかかり、大剣で切り裂く。まだまだ向かって来るバーテックス達を、巨大化させた大剣を振るうことで一気に薙ぎ払う。

 

 「……!」

 

 「ごめんね、樹。1人で戦わせて」

 

 嬉しそうな顔をして近寄ってきた樹にそう言うと、樹は首を横に振って否定してくれた。その表情が、優しさが眩しくて……嬉しくて。

 

 「でも、もう大丈夫。自慢の妹が守ってくれたからねぇ」

 

 「っ! っ!!」

 

 頭を撫でながら、そう伝える。樹が、嬉しそうに笑って何度も頷いてくれる。大事な、本当に大事な家族。本当に自慢の……妹。楓と樹が居てくれるから、アタシはまだ……戦える。

 

 「さぁて、行くわよ樹。今度は、一緒に!」

 

 「……!!」

 

 2人で跳び出し、バーテックスを倒していく。そうしながら、少しずつ壁の方へと……東郷の方へと近付いていく。東郷が壁の上に居て、そこから動かない以上、壁を壊したのは誰かなんて誰でも分かる。だから、止めなくちゃならない。

 

 アタシは、世界が滅んで欲しいとまでは思ってなかった。そうなったら、家族も勇者部の皆も、友達も、他にも沢山の人が死んでしまう。会えなくなる。それだけは絶対に嫌だから。

 

 待ってなさい東郷。今から、あんたを止めに行くから。

 

 

 

 

 

 

 「夏凜ちゃん!」

 

 夏凜ちゃんが何度も満開してバーテックスを全部倒すのを楓くんに抱き締められながら見ていた私。その夏凜ちゃんが神樹様に向かって何か叫んで満開が切れた瞬間、楓くんは直ぐに飛んで夏凜ちゃんを抱き締めるようにして受け止めてた。

 

 楓くんが降りてきて、私の前に夏凜ちゃんを下ろす。横たわる夏凜ちゃんを抱き上げて名前を呼ぶと、夏凜ちゃんは目を開けてくれた。

 

 「誰……? 楓さん……? 友奈……?」

 

 「え……夏凜……ちゃん?」

 

 そう言って夏凜ちゃんが左手を伸ばして私の頬っぺたに触れる。もう片方の手は、また足に光を纏って片膝を着いた楓くんが握ってた。

 

 「友奈……楓さん……側に居るのね。ごめん……なんか、目も耳も持っていかれたみたい」

 

 「っ!? そんな……そんなのって……!」

 

 「2人共……見てた? 私の大活躍……」

 

 「ああ……見てたとも。凄いよ、夏凜ちゃん」

 

 「そうだよ! 夏凜ちゃん、凄かった! カッコ良かった!!」

 

 夏凜ちゃんが捧げたモノを聞いて、また涙が出てきた。夏凜ちゃんを強く抱き締める。楓くんは握ってた夏凜ちゃんの手を自分のおでこに当てて、震える声でそう言った。私も、聞こえないとしてもそう伝える。

 

 怖くて、泣いて、動けない私なんかよりずっとカッコ良かった。夏凜ちゃんは……凄かった。カッコよくて、凄くて……本当に、物語の勇者みたいで。

 

 「東郷探そうと思ったんだけどなぁ……ここまでか」

 

 「夏凜、ちゃん……」

 

 「ねぇ、友奈、楓さん。私ね、言いたかったことがあるの……“ありがとう”って」

 

 そう言って、夏凜ちゃんは伝えてくれた。大赦の勇者としての役割を果たそうとして居た、戦うことだけが存在意義だった……東郷さんが言ったように道具でしかなかった自分。それを、私達が……勇者部が変えたんだって。

 

 児童館でやったサプライズのお誕生日会。そんなことをしたのは初めてで、泣きそうな程嬉しかったって……そうやって楽しいことを知って、一緒にやって……勇者部が大好きになったんだって。

 

 「友奈と楓さんが勇者部に入れてくれて……2人が私を変えてくれた……だから、2人ならきっと……東郷の心だって変えられる」

 

 「……夏凜ちゃん……」

 

 「……そんな風に、思ってくれてたんだねぇ」

 

 「2人だから……きっと救える。友達、なんでしょ? 大切な人……なんでしょ……?」

 

 そこで、夏凜ちゃんは意識を失ったみたいで、ゆっくりと地面に寝かせる。そうだよ。東郷さんは私の1番の友達なんだ。その友達を止めてあげたいって思うんだ。楓くんだって、そう思ってる。だって楓くんはずっと……東郷さんを優しい目で見てたんだから。

 

 でも、まだ体が震えるんだ。まだ、怖いって思ってて……体が、上手く動かないんだ。どうしてこんな時に私は……夏凜ちゃんにここまで言われたのに……私は。

 

 「……っ!? あいつまで復活するのか……」

 

 「……東郷さん……満開してまで、世界を……」

 

 不意に、楓くんがそう呟いた。顔を上げて楓くんの方を見るとどこかを見ていたから、その視線の先を追うと……あの時、総力戦の時に出てきた1番大きなバーテックスが……獅子座が、さっきよりも大きくなった結界の穴から入ってきたところだった。気のせいかな……あの時より、体が大きい気がする。

 

 それに、さっき大きなアサガオの花が咲いた。アサガオは東郷さんの花……満開、したんだ。そこまで……世界を壊したいんだ。私達がもう傷付かなくてもいいように。私達を……助ける為に。

 

 獅子座の前に炎が集まっていく。段々大きくなっていって、獅子座くらい大きな火の玉になる。あれを神樹様に放たれたら……本当に世界が終わっちゃう。なのに、なんで変身出来ないの。

 

 「友奈ちゃん」

 

 「え? わふ」

 

 楓くんに名前を呼ばれてそっちを向いたら、あの時みたいに頭を抱き寄せられた。前と違うのは、今回は正面から抱き寄せられていることと……楓くんの心臓の音が……聞こえないこと。

 

 「自分は、あの火の玉を止めに行く。神樹様を殺させる訳には……いかないからねぇ」

 

 「……」

 

 「……大丈夫。君は自分が守る。君が戦えない分まで……自分が頑張る。だけど……きっと、友奈ちゃんの力が必要になる。世界を守る為にも……美森ちゃんの心を変える為にも」

 

 そう、頭の上で囁かれる。凄く優しい声で。大きくて安心する腕の中で。凄く、温かいんだ。私の分まで頑張るって言われて、自分が情けなくて……なのに、それ以上に守るって言われて、頑張るって言われて……嬉しいって思うんだ。

 

 それに……怖くて動けないのに、友達のことに気付いてあげられなかったのに……変身も出来ないのに。それでも必要だって言ってくれるのが……本当に、泣きそうになるくらいに、嬉しいんだ。

 

 ……おかしいな。楓くんは心臓が動いてないから音なんてしないハズなのに……ドクンドクンって、聞こえるんだ。いつの間にか、カリカリって音が聞こえなくなってるんだ。何でかな。そう思ってたら、楓くんは少し体を離して……私の目を見て、いつもみたいに朗らかな……見てると、幸せになる笑顔を浮かべてくれてて。

 

 「頑張れ、勇者……ううん、違うか。頑張れ、()()。勇者だからとか、そんなんじゃない。友奈が大切だと思う人の為に……自分も一緒に、頑張るから。だから……信じて、待ってるよ」

 

 楓くんが神樹様に向かって飛ぶ。その姿を、私は見送るだけで……なのに、なんでかな。ドクンドクンって音が止まらないんだ。でも、イヤって訳じゃなくて。

 

 勇者だから、頑張るんじゃない。私だから……私が大切な人達の為だから、頑張る。夏凜ちゃんを見る。いっぱい満開して、いっぱい散華して……勇者部を守るって、私の泣き顔なんて見たくないって戦ってくれた。私の、大切な友達。

 

 夏凜ちゃんだけじゃない。家族のことで怒って、私達の分までいっぱい怒って……本当に、優しい風先輩。声が出なくなっても、歌えなくなっても……それでも笑って、風先輩だって止めた樹ちゃん。

 

 私達の為だって、大切な人が傷つくのが見たくないって、満開してまで世界を終わらせようとしてる東郷さん。外の世界が滅んでるって知ってても大切な人の為に戦ってきた先代の勇者……園ちゃんと銀ちゃん。それから……こんな私でも信じてるって……守るって言ってくれる楓くん。皆、皆大事で、大切で。

 

 ……そうだよ。大事なんだ。大切なんだ。だから守りたくて、その為に頑張りたくて。勇者だからじゃない。“私”だから。私にとって、大事で、大切だから。

 

 「……まだ、怖いって思ってる」

 

 スマホを持つ。壁の向こうから火の玉が飛んでくる。気が付けば、私は走り出していた。神樹様へと、楓くんが居る場所へと。

 

 「だけど……怖いけど……大事だから! 大切だから!!」

 

 待ってるって言ってくれた楓くんの笑顔が浮かぶ。ドクンドクンって……ううん、ドキドキってしてる。その音がなんだか心地好くて、安心して。

 

 「楓くん! 私も、一緒に!!」

 

 「……信じてたよ。友奈ちゃん」

 

 空に居る楓くんに向かって叫ぶ。すると、そんな言葉が返って来た気がして……それを嬉しく思うと同時に、勇者アプリをタップした。

 

 アラームは……鳴らなかった。

 

 

 

 

 

 

 「東郷っ!!」

 

 時は少し戻る。樹と共にバーテックスを倒しながら美森の元へと向かっていた風は遂にたどり着き、壁の……結界の穴が当初よりも更に広がっていることを認識した後に結界の外に居る美森に飛びかかり、大剣する振るう。それを美森は散弾銃を交差させ、真っ向から受け止めた。

 

 「これ以上壁を壊してはダメ!」

 

 「風先輩……この光景が見えるでしょう!? この悲惨な地獄が、未来なんてどこにもない現実が!! 大赦のやり方が、神樹のやり方が! 勇者の存在が……どれだけ私達に救いがないのかを!!」

 

 「ええ、ハッキリと見えてるわ。それでも、アタシはあんたを止めるわよ! 弟と妹を、勇者部の仲間を信じるって決めたからねぇ!!」

 

 「っ……信じても……この現実は変わらないじゃないですか! 私達が救われるには! 皆が救われるには……これしかないんです!!」

 

 「それでも……それでもアタシはああああっ!!」

 

 2人の邪魔はさせないと樹が周囲のバーテックスをワイヤーで切り裂いている中、美森と風は武器を合わせたまま叫ぶようにして言い合う。

 

 お互いに真実を知り、絶望した者同士。風はそこから家族と仲間によって救われた。美森はまだ、その絶望の中に居る。風は皆を信じると決めた。美森は世界を滅ぼすことこそが救いだと信じた。お互いが信じたモノの為に武器を合わせ……風が、美森の散弾銃を弾き飛ばす。が、美森は直ぐに拳銃を呼び出し、構える。

 

 「アタシはあんたを止める! アタシは先輩で、部長だから……そんで、後で全員であんたに説教してやるわ!!」

 

 「分かってください!! っ!? これは、樹ちゃんの……樹ちゃん、貴女も分かって!!」

 

 風は大剣を片手で持ち、その切っ先を向けながら宣言する。その顔に、不敵な笑みを浮かべながら。対する美森はその顔を悲しげに歪め、同じように叫ぶ。これしか方法はない。こうしなければ、誰も救えないと。

 

 そうして撃とうとする美森の手と拳銃に、緑の光のワイヤーが幾重にも絡まる。それが樹によるモノであると直ぐに気付いた美森は樹が居る場所に視線を向け、また叫ぶ。しかし、樹は首を横に振った。彼女は皆と共に居たい。だから、美森の思いを受け入れる訳にはいかないのだ。

 

 美森はこの状況を打破するべく、胸元の満開ゲージを見る。しかし、満タンには2つ足りない。思わず舌打ちをする美森……そんな彼女に向かって、大剣を構えた風が接近する。

 

 「東郷、歯ぁ食い縛りなさい! そんで……ちょっと大人しくしてろおおおおっ!!」

 

 「っ!?」

 

 大剣の峰による全力の殴打。それをマトモに受けた美森は壁の上から落とされる。風は一瞬慌てたものの、下にはまだ神樹の結界による足場があるのを見てホッと息を吐く。そんな彼女の服を、直ぐ側に移動した樹が引っ張る。何事かと風が振り向くと、樹は壁の穴に向かって指を指していたのでそちらへと体ごと向く。

 

 そこで風が見たのは、あれほど結界内を飛び回っていたバーテックス達が侵攻を止めている……否、結界の外へと出ていっている姿だった。姉妹2人が疑問に思っていると、結界の外から強い光が溢れ……大きなアサガオが咲くのを見た。

 

 「東郷……あんたそこまで」

 

 「……っ!?」

 

 「? ……なっ、あいつは!?」

 

 落ちた先でバーテックス達を倒してゲージを溜め、満開した美森が穴のところまで舞い戻る。そして彼女の背後、少し離れた場所に結界内外の数多のバーテックス達が急速に集まり、ドロドロに溶けた鉄を捏ねて形作るように獅子座を再生していく。

 

 「2人共……退いてください」

 

 「退くわけ、ないでしょ!!」

 

 「……そうですか」

 

 言外に満開の力を振るうぞと言う美森。だが、姉妹の返答は決まっている。その目に何度も言わせるなという意思を含ませ、力強く返す風。その答えに、美森はやはり悲しそうにして顔を伏せ……。

 

 

 

 「……ごめんなさい」

 

 

 

 8門全ての砲を神樹へと向けて同時に放ち、それらは途中で1つの巨大なレーザーとして向かって行った。

 

 「さ、せ、る、かああああああああっ!!」

 

 「っ!!」

 

 その砲撃の前に翔び、大剣を盾にする風。樹は満開したことによって得た新たな精霊、雲外鏡の力を使って緑の光の障壁を生み出し、姉と共に砲撃を防ごうとする。

 

 が、やはり満開の力には及ばず、障壁ごと撃ち抜かれた姉妹は声を出す間も無く樹海へと落下し、阻む者が居なくなった砲撃は真っ直ぐ神樹へと向かい……その手前で、花弁となって散っていった。

 

 「そう……勇者の力では神樹本体を傷付けることは出来ないと言う訳ね……だけど、これを連れていけば……」

 

 そう言って美森は背後へと視線を向ける。そこには溶けた鉄のように真っ赤ながら、確実に復活へと近付いている獅子座の姿。その姿を確認し、この巨大なバーテックスならば神樹を殺せると確信し、神樹へと向き直って結界の中へと戻る。その際、誰も見ていない時……獅子座の遥か後方、地獄のような世界から1つの光の玉が獅子座へとぶつかり、浸透し……その体を、一回りも二回りも大きくした。

 

 「くっ……東郷……っ!」

 

 撃ち落とされ、ダメージのせいか変身が解けた風と樹が樹海の地面の上で美森を見上げる。満開状態の美森は完全に再生し、尚且つ巨大化した獅子座の前に出て向き直る。

 

 「? さっきよりも大きくなってる……好都合ね。さあ、私を殺したいでしょう? 撃ってきなさい……それで、終わり」

 

 「あんなのが撃たれたら、ホントにっ! やめろおおおおおおおおっ!!」

 

 巨大化していることに疑問を抱くも、完全に再生しているし力も増しているようなので好都合だと呟く。そして挑発するように言い……反応したのかそうでないのか、獅子座は小さな……それでも美森にとっては大きなの火球を作り出す。

 

 ゆっくりと火球は大きくなっていき、遂にはその身と同等の大きさへと成長する。それを見た風と樹は一気に青ざめ、風の悲痛な叫びが響き……無慈悲にも、それは放たれた。美森はその巨大さ故にギリギリになってしまったものの何とかかわし、火球は真っ直ぐ神樹へと向かう。

 

 「これで皆が……」

 

 救われる。そう思い、安堵の表情を浮かべる美森。だが、火球の行く末を見るべく振り返った彼女の表情が一気に絶望と悲しみに染まった。

 

 「……どうして……どうしてそこまでするの!? どうしてよ……友奈ちゃん! 楓君!!」

 

 その視線の先で、大きな桜と……泣きたくなる程に綺麗な白い花が咲いた。

 

 

 

 

 

 

 「あの大きさは、このままだと厳しいねぇ」

 

 「そうだね。このままなら、ダメかも」

 

 無事に変身出来た私は楓くんと火の玉が出来上がっていくの見ていた。あの大きさは、多分今の状態だと2人でもダメかもしれない。何となく、そう思った。

 

 チラッと、右手の満開ゲージを見る。風先輩を止める時にゲージは溜まりきっていた。なら、やることは決まってる。

 

 「大丈夫かい? 友奈ちゃん」

 

 「……散華は、やっぱり怖いけど……それよりも世界が壊れてしまう方が、皆と会えなくなる方が怖いから」

 

 「……そっか」

 

 「それに、楓くんと一緒だから……大丈夫」

 

 私は1人じゃない。楓くんが居る。楓くんだけじゃない。勇者部の皆が、先代勇者の2人が、勇者部の活動で出会った人達が、友達が、家族が……この世界には居るんだ。だから……東郷さんを止める。楓くんと2人で。私達は友達だから。東郷さんが大事だから。

 

 「ねえ、楓くん。お願いが、あるんだ」

 

 「うん? なんだい?」

 

 「さっきみたいに……名前で呼んで欲しいな。ちゃん付けじゃなくて……“友奈”って、呼び捨てにして欲しい」

 

 「……うん、分かった」

 

 火の玉が迫ってくる。結構速いし、やっぱり大きい……でも、大丈夫。楓くんと2人なら、不可能なことなんてないよね。

 

 「行くよ……“友奈”」

 

 「うんっ! 2人で、一緒に!!」

 

 

 

 さっきの、ドクンドクンって音がした。その音がどこから聞こえるのか……やっと分かった。

 

 

 

 「「“満開”!!」」

 

 

 

 楓くんに名前を呼ばれて……楓くんと一緒に居て嬉しいって思ってドキドキしてる……私の心臓からだ。

 

 

 

 「「うおおおおりゃああああっ!!」」

 

 楓くんが前みたいに4つの水晶で左手を光で包んで大きな拳を作って火の玉に突撃する。私が、満開の巨大な腕の右腕を突き出して突撃する。そして同時に火の玉とぶつかって……思ったよりもあっさりと突き破って、その後ろで火の玉が爆発した。

 

 「楓! 友奈!」

 

 「っ!」

 

 「おや姉さん。もう大丈夫みたいだねぇ」

 

 「風先輩、樹ちゃん。遅れてごめんなさい」

 

 風先輩、動けるようになったんだ……良かった。でも、変身が解けてる。きっと……私が変身出来なかった時に、樹ちゃんと一緒に東郷さんを止めようとしてくれてたんだ。

 

 「楓くん、友奈ちゃん……どうして! どうして!!」

 

 「決まってる。それに、何度も言ってきたよ、美森ちゃん」

 

 「うん……私ももう迷わない。大事だから! 大切だから!!」

 

 東郷さんが泣きそうな顔で聞いてくる。それを、楓くんはいつもみたいに朗らかな笑顔でそう返して……私も釣られて、笑顔でそう言った。

 

 

 

 「私が……私達が勇者部を……東郷さんを守る!!」

 

 

 

 そうして私は、楓くんと一緒に獅子座に向かっていった。




原作との相違点

・風先輩の思い

・夏凜の思い

・友奈の思い

・樹の思い

・美森の思い

・獅子座「でっかくなっちゃった☆」

・火球粉砕時に満開

・その他色々あるんだよ。



という訳で、風、友奈復活のお話でした。早ければ次回で決着が着きます。

ここに来て明確な獅子座の強化。他にも色々原作とは心境が違います。獅子座の火球を止める為の満開は決定事項でした。

とりあえずこのまま友奈の章の終章まで駆け抜けます。その後わすゆの時のように2、3話番外編を挟みます。そこから勇者の章に行くか、ゆゆゆいに行くかはわかりませんが。

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