咲き誇る花達に幸福を   作:d.c.2隊長

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お待たせしました(´ω`)

また一時本作がランキングに載ってました。皆様、誠にありがとうございます。そして誤字、脱字報告もありがとうございます。

気付けばUAは15万、総合評価は3千を超えました。思えば遠くまで来たものですね。

ゆゆゆいでは二周年記念イベに夏凜ちゃんと若葉の誕生日イベント。大忙しです。イベ限夏凜と若葉強くないっすかね……尚、本作主人公楓君も設定上6月が誕生日です(だからなんだ

リリフレもゆゆゆいコラボお疲れ様でした。勇者部復刻をお待ちしてます……風先輩、夏凜ちゃん、園子様が揃わなかった←

さて、ここから本編終章、原作で言う勇者の章になります。それでは、どうぞ。


咲き誇る花達に幸福を ー 序章 ー

 朝、目が覚めた。スマホを見れば時間は5時半と出ている。つまりは自分が起床するいつもの時間だ。

 

 「ん……流石に、布団から出るのが嫌になるねぇ……」

 

 自分が戻ってきた日から更に時は少しばかり過ぎ、11月に入った。木々はすっかり赤く染まり、なんなら葉が落ち始めている頃だ。気温は低くなり、日が落ちるのは早く、昇るのは遅い。カーテンを締め切った窓の外は暗く……暖房を付けていない部屋の中は()()

 

 布団の()()()を恋しく思いつつ、そこから出て()()で立ち上がり、歩いて風呂場にある洗面所へと向かって歯を磨いて顔を洗う。刺すような()()()が、自分の意識をよりハッキリと覚醒させてくれた。

 

 「ふっ……よっ……んっ……」

 

 そうした後に部屋に戻り、腕立て伏せや腹筋、スクワット等のトレーニング。いつまた勇者として選ばれてもいいようにというのもあるが、日課となってしまっているのでやらないと落ち着かないからだ。

 

 「ふぅ……っ、あだっ」

 

 腕立て伏せの途中、急に右腕から力が抜けて顔から床に落ちる。友奈も意識が快復した後に何度か立ち眩みを起こしたと言うから、自分もまだ再生した右腕が馴染みきってないせいで力が抜けるんだろう。低い位置からとは言え、鼻が床に当たって()()

 

 そんなこんなで1時間程続けた後、かいた汗を流す為に再び風呂場に向かい、服を脱いでシャワーを浴びる。()()お湯で汗を流す気持ちよさを感じることしばらく、風呂から出て最初に着ていた寝間着代わりの洋服は洗濯機の中に入れ、ここに来る際に一緒に持ってきた制服に着替える。

 

 あれから、自分は休学から復帰した。久々に会うクラスメート達は自分の右腕と自分が歩いていることを目にしてびっくりしていたが、休学は治療の為で腕は義手だと言って誤魔化しておいた。流石に生えた、とも言えないしねぇ。

 

 着替え終えた後に閉めていた鍵を開け、風呂場から出てリビングへと向かう。朝に暖房が付くようにタイマーをセットしているので自分の部屋と違って家の中は暖かい。そう思いながらリビングに入ると、制服にエプロン姿の姉さんが朝食を作っているところだった。

 

 「ん? ……おはよう、楓。相変わらず早いわねぇ」

 

 「姉さんこそ……おはよう」

 

 「……楓、こっち来て」

 

 「またかい? ……仕方のない姉さんだねぇ」

 

 自分に気付いた姉さんが振り返り、挨拶を交わし合う。その後に、姉さんが手招きするので自分が応じて近付くと……姉さんは作る手を止めて、自分の右手を両手で包み込む。自分が戻ってきた日から、姉さんは1日に1回はこうしている。自分の右手の存在を確かめるように。

 

 あの日、失った右腕。それを神樹様は自分の散華を戻すと共に新たに作り直してくれた。この手には感覚があり、ちゃんと血が通っている。

 

 「うん……今日も暖かい手だ」

 

 「姉さんの手はちょっと冷たいねぇ。あんまり冷やしちゃダメだよ?」

 

 「またこうして楓の手に暖めてもらうわよーだ。樹、見てきてくれる? どうせ起きられないだろうから」

 

 「それも、いつものことだねぇ……了解だよ、姉さん」

 

 そんな会話をして、姉さんが少し名残惜しそうに手を離したのを見計らって樹の部屋へと向かう。自分が車椅子だった頃の名残でまだエレベーターがあるが、階段で登る。折角動くようになった足があるんだからねぇ。

 

 樹の部屋の前に行き、扉をノック。名前も呼んでみるが、返事はない。これもいつも通り。なので入るよーと声を掛けてから扉を開けて部屋の中へと入る。

 

 「お……片付いてるねぇ」

 

 以前は散らかり気味だった樹の部屋。今はある程度綺麗になっている……机の上に広げられているタロットや、夜中に読んでいたであろう枕元の歌や占い関係の雑誌、ベッド付近に転がっているペットボトルに目を瞑れば、だけどねぇ。

 

 苦笑いしつつ樹が眠るベッドに近付く。見てみれば、樹はまだすやすやと夢の中に居る。相変わらず気持ち良さそうによく寝ているモノだと思うが、今日も今日とて学校がある。

 

 「樹、朝だよ」

 

 「んー……うにゅ……」

 

 「起きないと置いてくよ」

 

 「ゃー……おふぁよ、おにぃちゃん……」

 

 「うん、おはよう。顔洗って目を覚ましてきな」

 

 「ぁーぃ……って寒っ!? ぅー……お兄ちゃん、手、繋いで?」

 

 「仕方ないねぇ」

 

 相変わらず朝が苦手な子だと苦笑いしつつ、眠そうにしながらもベッドから起き上がると部屋の寒さからそう叫ぶ樹。今ので一気に目も覚めただろうが、洗顔はしっかりしないとねぇ。

 

 寒そうにする樹と一緒に手を繋いで階段を下りる。この子も姉さんのように確かめるみたいに自分の右手を握りたがるんだよねぇ。そうして洗面所に向かう彼女とは別に先にリビングに入ると、丁度姉さんがテーブルの上に朝食を置くところだった……何だか、前にもこんなことがあった気がするねぇ。まあいつもの朝の風景なんだけど。

 

 「樹、ちゃんと起きた?」

 

 「ああ、起きたよ。今は顔を洗ってる頃だろうねぇ」

 

 「そう、良かった。寒さで布団から出ないんじゃないかと心配してたんだけどねぇ」

 

 「寒っ! とは叫んでたよ」

 

 「あはは! でしょうねぇ」

 

 「誰だって叫ぶもん……おはよう、お姉ちゃん、お兄ちゃん」

 

 「「おはよう、樹」」

 

 朝食の用意を手伝いつつ、樹の部屋でのことを話すと姉さんは笑って納得していた。実際この時期、部屋の中は暖房を入れないとホントに寒いからねぇ……なんて話をしていると、ちょっと膨れっ面をした樹が入ってきた。その膨れっ面も直ぐに引っ込み、笑いながら改めて挨拶を交わす。“挨拶はきちんと”ってねぇ。

 

 3人揃ったところで姉さんが作ってくれた朝食を食べる。チーズにベーコン、卵を挟んだホットサンドに二個の卵とソーセージで顔を作った、下にハムを敷いた目玉焼き。瑞々しい生野菜のサラダに、コンポタスープ。そして牛乳。よく朝食として並ぶこれらの料理は、聞けば姉さんが初めて樹に作ったモノらしい。

 

 「はむ……あちち……うん、いつも通り美味しいねぇ」

 

 「良かった……ふふっ、熱いから気をつけなさいよ?」

 

 「美味しいけど相変わらず量が……」

 

 「だから樹の分は加減しなって言ってるのにねぇ」

 

 「いやー、なんだかんだ樹も食べてくれるからつい」

 

 「もうすぐ身体測定なのに……今から怖いよ」

 

 自分や姉さんみたいに沢山食べる訳でもないんだから何度も樹の分は減らしてあげなと言ってるんだけどねぇ……いや、たしかになんだかんだ食べる樹も樹か。それに苦しそうにするならまだしも、余裕ありそうだしねぇ。そう考えるとこの子、自分達程ではないにしろ中々によく食べる方なんだよねぇ。

 

 そういえば、もうすぐ身体測定か……自分は体のこともあるから、1人クラスの皆とは別の場所でやらないといけないんだよねぇ。なんて思いつつ、またホットサンドを口に放り込む。

 

 チーズと卵が舌に当たるとやっぱり熱い。それでも、そうやって熱さを感じながら食べることで……やっと、姉さんの料理を本当に美味しいと言える。しゃきしゃきとした野菜も、これまた熱いスープも、冷たい牛乳も……全部。

 

 「熱いけれど……うん……美味しいねぇ」

 

 「……そっか。良かった……」

 

 熱い熱いと言いつつも食べる自分を見る姉さんの目は……少し、潤んでいるようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 朝食を終え、樹も着替えたので学校に向かう為に家から出る。自分が歩けるようになったから自転車で……と思ったんだが、まだ急に力が抜けたりするこの体では不安ということで車椅子の時のように徒歩で学校へと向かう。その途中、1つのマンションの前を通ることになるんだが……その前に、人影が1つ。

 

 「カエっち~♪ おはよう!」

 

 「やあ、のこちゃん。おはよう」

 

 「フーミン先輩とイッつんもおはよう~♪」

 

 「はいはい、おはよう園子」

 

 「おはようございます、園子さん」

 

 手を振りながら自分達に近付いてくるその人影の正体は、このマンションに引っ越してきたのこちゃんだ。讃州中学の制服がよく似合ってるねぇ。

 

 「そう言えば、今日からだっけ? のこちゃんと銀ちゃんが転入してくるの」

 

 「そうだよ~。クラスの人数の関係でカエっちとわっしーとゆーゆとにぼっしーとおんなじクラスになれないのが残念だよ~……」

 

 「にぼっしーって……誰が教えたのよそのあだ名」

 

 「わっしーだよ?」

 

 「東郷先輩から!?」

 

 皆で2人の引っ越しの手伝いをしたのが数日程前。今日ようやく、2人は讃州中学の生徒として転入することになる。彼女が言うようにクラスの人数の関係で自分達と別のクラスになってしまうのが少し残念だが、それは3年になった時のお楽しみにしておこう。

 

 銀ちゃんの住むマンションは学校と駅の間にあるから、残念ながら自分達とは反対方向になる。こうして登下校を共に出来ないのも、ちょっと残念だねぇ。因みに、のこちゃんは自分達と合流するや否や真っ直ぐ自分の左隣を陣取っていた。相変わらずだなぁとつい笑みが溢れる。

 

 そんな会話をしながら歩くことしばらく。学校に着いた自分達はそれぞれのクラスへと向かう為に玄関口の下駄箱で別れ、自分もクラスへと向かう。そこに辿り着くと既に何人かクラスメートが居たので挨拶しつつ、自分の席に座る。勇者部の3人はまだ来ていなかった。

 

 ホームルームが始まるまで暇なので端末を操作する。供物が戻ってからのこちゃんがまた執筆を再開したそうなのでそれを読む。相変わらず面白いなぁと読んでいると、教室の扉が音を立てて開く。

 

 「「「あっ」」」

 

 そちらへと目を向けると、そこには友奈と美森ちゃんの姿があった。目が合った瞬間、3人で揃ってそう言ってしまい……何だか可笑しくなって笑うと、2人もくすくすと笑った。

 

 「おはよう、友奈。美森ちゃん」

 

 「おはよう、楓君」

 

 「おはよう楓くん!」

 

 挨拶はきちんと。そうした後に友奈が自分の前に、美森ちゃんが自分の右隣の席に座り、3人でお喋りする。内容は部活のことだったり、家で何をしていたかだったり。転入してくるのこちゃんと銀ちゃんのことだったり。

 

 「あっ」

 

 「あ! おはよう夏凜ちゃん!」

 

 「やあ、夏凜ちゃん。おはよう」

 

 「おはよう、夏凜ちゃん」

 

 「おはよ、3人共」

 

 そうして話していると、少しして夏凜ちゃんが入ってきた。最初に気付いた友奈が手を上げて挨拶し、少し遅れて自分、美森ちゃんと続く。すると夏凜ちゃんは少し顔を赤くしつつ返してくれた。

 

 3人の中に夏凜ちゃんが加わり、ホームルームが始まるまで楽しくお喋りをする。放課後になれば、部室にのこちゃんと銀ちゃんが来て入部してくることだろう。あの子達とこの子達が同じ勇者部として過ごす……自分が見たかった未来の1つが、もうすぐ現実になる。

 

 (ああ……楽しみだねぇ)

 

 そう思いつつ、この楽しい時間は過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 そうして放課後になった。楓、友奈、美森、夏凜の4人は揃って部室へと向かい、先に来ていた樹と挨拶を交わしてそれぞれの定位置に付く。樹はいつものようにテーブルにタロットを広げ、美森はパソコンの操作。夏凜は黒板に貼り付けられた現在進行中の依頼を確認し、楓は端末から勇者部のホームページにアクセスし、届けられている依頼を確認。

 

 「楓くん、新しい依頼来てる?」

 

 「うん? そうだねぇ……果物の収穫のお手伝いと、去年と同じところから落ち葉のお掃除の依頼が来てるねぇ」

 

 「去年……あ、焼き芋!」

 

 「そうだけど、神社か依頼主の人で思い出して欲しかったねぇ……」

 

 「えへへ……」

 

 そして友奈は、楓の後ろから両肩に手を置いてその端末の画面を覗き込むようにして見ていた。楓が戻ってきた日から、彼女は楓との距離をよく詰めるようになった。その原因があの世界が滅びかけた戦いにあることを、部員の全員が理解している。

 

 楓が初めて全員の前で友奈を呼び捨てにした時は全員がびっくりしたモノだが、今ではすっかり馴れたらしい。因みに、ちゃん付けすると少し寂しげにする。

 

 「おーっす、揃ってるわね後輩達」

 

 「風先輩! こんちわー!」

 

 「こんにちは、姉さん」

 

 「こんにちは、風先輩」

 

 「……あ、お姉ちゃん」

 

 「今日は珍しく遅かったじゃない」

 

 「後数ヶ月もしたら卒業だから、先生と話し合いをね。あの2人は……まだか。何とか全員で迎えられそうねっと、噂をすればかしら?」

 

 少し遅れて風がやってきた。友奈が真っ先に元気に挨拶し、僅かに遅れて楓、美森と続き、タロットに集中していた樹が遅れて気付き、最後にやってきたことを夏凜が珍しく思いつつそう呟く。それに対して風は頭を掻きながらそう返し、部室を見回してうんうんと頷いた。

 

 その直後、部室の扉がノックされる。風が言った2人が来たか? と思い、どうぞと扉の向こうへ声をかける。すると扉が開き……そこには、部員全員が思い描いていた人物達が居た。

 

 「勇者部入部希望者、乃木さん家の園子で~す♪」

 

 「同じく、三ノ輪 銀でっす!」

 

 「よく来たわね。歓迎するわよ、2人共」

 

 入部届を手にやってきたのは、今日転入してきた園子と銀。彼女達とは、部員全員が面識がある。友奈は散華が戻る前に病院で会っているし、楓と美森は先代勇者仲間だ。風と樹は戦いの時が初対面、夏凜は以前の2人のお引っ越しの手伝いが初邂逅となる。その際、抱いていた憧れの先代勇者像に少しヒビが入り、軽く気落ちしていた。

 

 「のこちゃん、銀ちゃん。ようこそ勇者部へ」

 

 「また一緒に居られるなんて嬉しいわ。そのっち、銀」

 

 「園ちゃん、銀ちゃん、いらっしゃーい!」

 

 「わたしも皆とおんなじ部活が出来て嬉しいんよ~♪」

 

 「どうせならクラスも同じだったらよかったんだけどなー」

 

 風に入部届を渡した後に楓達に近付き、3人とハイタッチする2人。園子は満面の笑みを浮かべ、嬉しくて仕方ないと全身で表す。銀も園子同様に嬉しいという気持ちはあるが、同じクラスではないのが残念でしょうがないらしい。

 

 「フーミン先輩もイッつんもにぼっしーもよろしく~♪」

 

 「だぁれがにぼっしーだ!」

 

 「はい、よろしく。期待してるわよー? 先代勇者の新人2人組」

 

 「それ、聞くと凄いややこしいっすね……」

 

 「よ、よろしくお願いします!」

 

 「あー樹ってホント小学生の時の楓そっくりだよなー。なんだか見てて懐かしいゾ」

 

 和気藹々、そんな言葉が相応しいだろうか。楓達と同じように3人にハイタッチしに行く園子。口ではツッコミながらもハイタッチにちゃんと対応する夏凜。腰に手を当ててにししっと笑う風に、ハイタッチしながらそう言う樹。風の言葉に苦笑いした後に樹を見て懐かしそうにする銀。そんな5人を見てくすくすと笑っている楓、美森、友奈。

 

 「フーミン先輩」

 

 「お、おう。どしたの急に」

 

 不意に、園子がキリッとした表情を浮かべて風の前に立つ。その切り替えの速さについていけなかった風は一瞬どもるものの、何か話があるのかと首を傾げる。他の皆も急になんだ? と首を傾げ……美森と銀はまた何か突拍子も無いことを言おうとしているなと直感し、楓はいつものように朗らかな笑みを浮かべている。

 

 そして、園子は口を開くと一言。

 

 

 

 「弟さんをわたしにください」

 

 「おととい来なさい」

 

 

 

 そんなちょっとした出来事から少し。8人となった勇者部は全員でとある公園のゴミ、落ち葉の掃除に来ていた。春になれば桜が咲くこの公園だが、冬も近くなった今ではすっかり落ち葉だらけで木も葉を無くしてきている。後少しもすれば完全に無くなるだろう。

 

 「ふんふんふーん♪」

 

 「ご機嫌だねぇ、友奈」

 

 「うん! だって初めて8人でやる依頼だもん!」

 

 トングでゴミを挟んでは手のゴミ袋に入れていっている楓の近くで落ち葉を箒で集めている友奈が上機嫌に鼻歌を歌う。そんな彼女に楓が笑いながら言うと、友奈もその通りだと笑いながら言った。

 

 今日、園子と銀を加えて8人になった勇者部。その8人全員で行う依頼。またこうして皆で部活が出来ることが、新しい仲間を加えて出来ることが、友奈は嬉しくて仕方ない。そのチーム分けで楓と一緒になれたこともその要因の1つだろう。

 

 楓は他の6人へと視線を向ける。美森と園子は同じように掃除しているが、時折止まって笑い合っている。昔話でもしているのか、それとも学校のことでも話しているのか。

 

 風と夏凜は、時々風がふざけて夏凜がツッコミを入れている。それは直ぐに笑いながら逃げる風と好戦的な笑みを浮かべながら追いかける夏凜というモノに変わった。樹と銀は樹が何やら銀に聞き、それを銀が答えていた。過去の楓のことでも聞いているのか、それとも銀が好きなイネスでも語っているのか。

 

 共通しているのは、皆が皆楽しそうに部活と言う名のボランティアを行っているということだ。誰1人の例外もなく、その顔に笑顔を浮かべて。

 

 「……そう言えば、この公園でお花見をしたねぇ」

 

 「うん。楽しかったよね。初めて風先輩の料理を食べたよ。恐るべし、風先輩の女子力」

 

 「因みに、友奈は料理は作れるのかい?」

 

 「……に、肉ぶっかけうどんくらいなら……」

 

 「それが作れるなら、他にも作れそうなモノだけどねぇ……」

 

 そんな会話をして、2人も掃除を続ける。そうしていることしばらく、日が落ちるのが早くなってきたので普段より少し早めに切り上げ、8人は帰路に付く。別れ道が来るまで、8人は仲良く一緒に歩いていた。その際、園子が楓の左隣を陣取り、その隣に銀が。友奈が右隣を、美森がその隣を歩く。

 

 「カエっちカエっち」

 

 「うん?」

 

 「手、繋いでいい? 寒くって」

 

 「か、楓くん! 私も、その……ダメ?」

 

 「……ああ、いいよ」

 

 その途中、2人からそんなおねだりをされたので楓は朗らかに笑って了承し、2人は嬉しそうに繋ぐ。その手の温もりを感じて、楓はまた朗らかに笑う。

 

 冬に近付く秋風は冷たい。でも、その手は……とても暖かかった。2度と感じられないと思っていた温度。それを再び感じられることが……2人が今、与えてくれていることが、楓は嬉しくて仕方ない。

 

 8人になった勇者部。風がいずれ卒業するが、それまでにこの8人で色んな事がしたかった。またこうして依頼をするのもいい。依頼でなくともどこかへ遊びに行くのもいい。クリスマスを共に過ごすのもいいし、花見をするのもいい。散華のせいで出来なかった楽しいことを、皆で楽しみたい。そう思っているのは、きっと全員だろう。何せ……。

 

 「よし、かめや行くわよかめや! うどんがアタシ達を待ってるわ!」

 

 「お~、勇者部初の皆で外食だ~♪」

 

 「良かったわね、そのっち。でもこの人数だと座れる場所が……」

 

 「ま、4人ずつで別れるしかないわよね。どうするのよ?」

 

 「先代勇者組と今代勇者組とか?」

 

 「それ、お兄ちゃんと東郷先輩はどちらでも入れますよね……」

 

 「えー!? 楓くんと東郷さんと一緒がいいよ~」

 

 「無難にくじ引きでもいいんじゃないかねぇ……」

 

この場には、幸福(しあわせ)そうな笑顔しか浮かんでいないのだから。




原作との相違点

・銀生存、園子と共に入部

・神樹の力が増している。上昇し続けている為、神婚の必要性がない

・タイトル←



という訳で、事実上の勇者の章の序章でした。本作では本編終章感を出す為、タイトルをそのまま着けました。目指すはハッピーエンドです。

これまでに何度か申している通り、原作とはかなり状況が違いますので原作通りに行くとは限りません。神婚もそうですが、奉火祭もですね。原作、なんで奉火祭やったんでしたっけ……。

しばらくほのぼの予定です。その方がいい味出しますからね……何がとは言いませんが←

前回のDEifでは次の問いかけが期待されてて重圧が凄い。でも次の番外編はDEifじゃなくて本編ゆゆゆい……の、楓君敵対ルートを書こうと思います。うーん、また暗くなるなぁ……好きなんだろ? そういう話がサ。本編ゆゆゆいはどうしましょうかね。まだ悩んでます。だってDEifと文章が部分的に被りますし。

それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)
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