咲き誇る花達に幸福を   作:d.c.2隊長

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お待たせしました(´ω`)

最近DBのドッカンバトルばかりやっている私です。頂上決戦セルLR必殺技最大まで後少し。

きらファンではゆるキャンの作家イベントで登場した炎魔なでしこが来てくれました。この人銀ちゃんと同じ中の人ってマジですかねぇ……きらファンには東郷さんの中の人も居ます。

fgo、ゆゆゆいも次のイベントが楽しみです。でも石と恵みは貯めよう。ゆゆゆい公式ツイッターのリプ欄にカイジっぽいリプしてる人いたら多分私です←

本作で30万UAが見えてきました。越えたら記念番外編をリクエストから発掘するかもしれません……ただ、今のペースだと番外編込みでゆゆゆい編完結に2年近く掛かる計算に……少しペースを上げた方がいいんですかね。

さて、今回は皆様お待ちかねかもしれないお話です。導入部みたいなモノですがね。

後書きに久しぶりにアンケートがあります。ある意味で本作の今後を左右するかもしれない(不穏


花結いのきらめき ― 2 ―

 2人の歓迎会からしばらく経ったとある日、自分達は彼女達に集まるように言われ、放課後に部室に集まっていた。

 

 「ひなたー、神奈ー。勇者部、集合してるわよ。で、話ってなにかしら?」

 

 「これから戦いも激しくなってくると予測されます。新型の敵もどんどん出てくるかと」

 

 「そう言えば新型……なんて呼ぼうかしら。新型バーテックス? 普通に新型?」

 

 「いちいち別の呼び方考えるのも面倒くさいし、全部まとめてバーテックスでいいわ」

 

 「お姉ちゃんらしい、スパッとしたまとめ方だね」

 

 「ふふ……さて、皆に集まってもらったのはね? 君達の頑張りが、早速実を結んだからなんだ」

 

 「つまり、神樹様の力が少し戻ったんです。なので……これより、いよいよ援軍を呼ぼうと思います。全員でお迎えしましょう」

 

 「おぉっ、別の時代の勇者がここに来るんだね、ヒナちゃん。うわぁ、楽しみだなぁ!」

 

 姉さんと夏凜ちゃんのバーテックスの呼び方決めもそこそこに、その様子を微笑ましげに見ていた神奈ちゃんが話を切り出す。ひなたちゃんと2人で説明されたそれは援軍……他の時代の勇者達を召喚する準備が整ったということだろう。

 

 他の時代の勇者。自分が知識として知っている限りでは、ひなたちゃんと同じ西暦の勇者くらいで皆も同じだろう。だが、()()()勇者という考え方次第では……そう思い、美森ちゃん、のこちゃん、銀ちゃんに視線を向ける。

 

 「とても不思議な体験をすると思います。深呼吸してくださいね」

 

 「不思議な体験、かぁ。なんだか凄い事が起きる予感がする。凄く、凄く楽しくてドキドキする事が……このドキドキはカエっちと一緒に居る時の胸の高鳴りだ~」

 

 「私もそのっちと同じ……なんだか凄くドキドキしてるわ」

 

 「お、2人も? あたしもなんか凄くドキドキというかなんというか……胸の奥がそんな感じなんだよなぁ。なんでだろ」

 

 「先代組皆してどしたの。楓もなんかドキドキしてる?」

 

 「まあ、楽しみという意味では同じかもねぇ」

 

 ひなたちゃんに言われ、とりあえず深呼吸を1つ。それをしているとのこちゃん達が自身の胸に手を当てながらそんな事を言い出した。他の皆は楽しみにしているという点では共通しているみたいだが、3人程の高揚はしていない様に見える。

 

 他の皆とは違い、この3人だけが……共通点は先代組であること。ひなたちゃんが不思議な体験をすると言った時に自分達を見ていたことといい、自分の予想は案外当たっているのかもしれないねぇ。

 

 「皆も待ちきれないみたいだね。それじゃあ、早速呼ぼうか」

 

 そう言った神奈ちゃんが願うように手を合わせた瞬間、部室の中に一瞬だが光が溢れて自分達の視界を白く染め上げた。そして、目を開けた時。

 

 

 

 そこには、3人の小学生程の……見覚えのある女の子の姿があった。

 

 

 

 「あれあれ? ここはどこかな~?」

 

 「知らない人達が沢山……? あれ? そのっちの……お姉さん? そちらは……銀のお姉さん、かしら?」

 

 「いやいや、あたしに姉とか居ないから。あっ、男の人も居る……なんか新士に似てなくもないような?」

 

 「わたし、お姉さん居ないと思うけど……でも似てる? お姉さんなのかな~?」

 

 「わたしに妹居ないと思うけど……でも似てる? 妹なのかな~?」

 

 「どう見ても君と同一人物だよのこちゃん。彼女は小学生の時の君みたいだねぇ」

 

 「つまりこの子達は……小学生の時のあたし達ってことか」

 

 不思議そうに部室の中と自分達に目を向け、のこちゃん達3人を見て目を丸くしている光と共に現れた3人の女の子。会話から察するに、やはり彼女達は過去ののこちゃん達……2年前の小学生の時にお役目についていた彼女達なのだろう。

 

 小学生ののこちゃんと中学生ののこちゃんが同じような反応をしているのを見て苦笑いしつつ自分がそう言うと、銀ちゃんが理解したようにふむと1つ頷く。まさか本当に過去の自分達が来るとは……いや、小学生の時の自分の姿がない。まさか自分だけ召喚出来なかったのだろうか。

 

 「じゃあこっちの女の子は……ゆ、ゆあ、ねーむ、いず東郷さん……?」

 

 「……? はじめまして。確かに以前は“東郷”ですが、今は“鷲尾”です。後、私はあまり英語が好きじゃありません」

 

 「あっ、はい。ごめんなさい……」

 

 「素晴らしい意見だわ。護国思想を感じる……」

 

 「そりゃ昔のお前だしな……」

 

 「園子、東郷と続けばこっちの子は……銀?」

 

 「えっと、はい。確かにあたしは三ノ輪 銀、です」

 

 「間違いなく本人達って訳ね。そっか、3人共小学生の時に勇者やってた先代……ん?」

 

 友奈が過去の美森ちゃん……須美ちゃんに何故だか英語で聞くと真顔で返されて肩を落としながら謝り、美森ちゃんは逆に嬉しそうに手を合わせ、銀ちゃんがジト目で彼女を見ていた。まあ自分もまた苦笑いを浮かべている自信がある。

 

 話の流れで状況を悟ったのか姉さんが過去の銀ちゃんに聞けば、見慣れない人に囲まれて少し緊張しているらしい彼女からそう返ってきた。そんな彼女達を見ながら夏凜ちゃんがそう呟いて頷いた後、自分と同じ疑問が浮かんだのか自分の方を見てくる。

 

 「あ、あれ? もう1人呼んだハズなのに……どこかに引っ掛かっちゃったのかな」

 

 「まあ、それは大変です。早く外してあげないといけません」

 

 「召喚する時に何に引っ掛かるのよ……」

 

 少し慌てた様子の神奈ちゃんとひなたちゃんに姉さんのツッコミが入った後、先程と同じように部室の中に光が溢れる。そしてその光が収まった時。

 

 

 

 「おや? ここは……どこなんだろうねぇ?」

 

 

 

 そこには、過去の自分の姿……五体満足の雨野 新士の姿があった。

 

 「……あ……」

 

 「お、お姉ちゃん……あの男の子って……」

 

 「あの子、もしかして小学生の時の楓くん?」

 

 「まあ今までの流れからすればそういうことでしょ。昔の楓さんって樹似なのね……」

 

 「あ! アマっち~♪」

 

 「新士君! 良かった、姿が見えないからはぐれたのかと」

 

 「新士が1番遅いなんて珍しいな。新士が来る前にあたしらなんか凄いことになってたんだゾ。ほら、あたしらそっくりな人が沢山居るだろ?」

 

 「おっと……いきなりは危ないよのこちゃん。須美ちゃんは心配させて悪かったねぇ。銀ちゃん、自分は別に遅刻した訳じゃ……おや?」

 

 姉さんが唖然とし、樹が姉さんの袖を引きつつ過去の自分を見詰め、友奈と夏凜ちゃんが何やら小声で話している。自分達先代組も過去の自分達に釘付けになっているのを自覚する。いやはや、ひなたちゃんが言ったように何とも不思議な体験をしているものだ。まさか過去の自分達と遭遇することになるとは。

 

 そんな自分達を置いて、過去ののこちゃんが過去の自分に抱き付き、過去の美森ちゃん……須美ちゃんが安心したようにホッと息を吐き、過去の銀ちゃんがからかうように笑いながら自分達を指差し、過去の自分は過去ののこちゃんを抱き止めつつ須美ちゃんに安心させるように笑いかけ、過去の銀ちゃんに言い訳しようとして……その顔が、自分の方を向いた。

 

 (……姉さんに、樹? にしては背が……それに、姉さんと似た男性……いや、他にも銀ちゃんが言ったように3人に似た人が丁度同じ人数……それから知らない人が4人……これは、まさか)

 

 「おーい、どした新士?」

 

 「新士君?」

 

 「アマっち? 考え事?」

 

 「……まあ、この場所とかこの人達とか色々考えることはあるけどねぇ……まさかとは思うけど、そっちの女の人は」

 

 過去の自分が姉さんを見ながらそう言った瞬間、部室内に聞き慣れてしまったアラームが鳴り響く。その音にハッとした姉さんは直ぐに表情を引き締め、自分達も同じように引き締めた。色々と話したかったことはあるが、このアラームが鳴ってはそんな時間はない。

 

 「詳しい自己紹介は後ね……敵が来たわ。退けるのがアタシ達のお役目。手伝ってくれる?」

 

 「“敵”とはバーテックス……で、いいんで?」

 

 「合っているよ。ただ、君達が見たことがないタイプだけれどねぇ」

 

 「いきなりで悪いのだけれど、来たからにはやらないと。同じ勇者同士、私達と国防しましょう」

 

 「っ! お役目、国防……了解です!」

 

 姉さんが4人にそう聞くと過去の自分が逆に聞いてくる。我ながらもう少し慌てても良いような気もするが……と思いつつも答える。4人にとってバーテックスとは星座の名を冠する大型だけだ。過去の自分の右腕が健在だから、遠足前の自分達である可能性が高い。小型のバーテックスは見たこともないし知識にもないだろうからねぇ。

 

 そして自分に続くような美森ちゃんが良い、代表するように須美ちゃんがそう答えた直後、自分達はいつものように極彩色の光に呑み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 巫女2人と園子(中)、銀(中)を除いて樹海にやってきた10人の勇者達は直ぐに変身し、迫り来る敵を迎撃する。小学生の4人は自分達の知識にない小型のバーテックスが大量に現れ、攻めてくることに流石に戸惑いを覚えたものの、中学生の6人が対応したことで少し遅れて動き出す。

 

 「やるよ、3人共」

 

 「うん! お姉さんとお兄さん達に負けないよ~!」

 

 「援護は任せて!」

 

 「切り込むのは、この銀様にお任せあれってね!」

 

 そうなれば後は簡単だった。共に訓練をし、連携する力を高めてきた4人は下手をすれば勇者部よりも連携が上手い。最も速く動ける新士と攻撃力とタフネスに優れる銀(小)が攻め込み、園子(小)が隙を埋めるように槍を振るい、3人の攻撃範囲の外の敵を須美の光の矢が撃ち落とす。

 

 「やるじゃないあの子達」

 

 「あれが先代勇者なのね……流石。でも、完成型勇者として負けていられないわ!」

 

 「わ、私もいつも以上に頑張ります!」

 

 「その意気だよ樹ちゃん! よーし、私もやるぞー!」

 

 「何だか懐かしいわね、楓君」

 

 「そうだねぇ……自分達も、あの頃より成長したところを見せないとねぇ」

 

 小学生4人の奮闘に触発されたように中学生6人の士気も高まる。今の自分達よりも小さな弟(兄)、敬意を持つ先代勇者達に良いところを見せようと風、夏凜、樹がその大剣、2刀、ワイヤーを用いて次々にバーテックスを凪ぎ払い、3人に続いて友奈が蹴りと拳を振るう。

 

 そんな4人に対し、楓と美森の中にあったのは懐かしさ。あの頃の自分達は純粋に友達と共にお役目をこなし、勝ったらその勝利を喜びあった。その頃から、自分達は成長した。だが、それでもその時の絆は変わらず、もっと深く強く結び付いている。

 

 それを証明するように、楓は2つの水晶から出る光を両手両足に爪のように纏い、かつてのように駆け出した。あの時よりも速く、あの時よりも強く、振るわれる爪は容易くバーテックスを切り裂く。自身に襲い掛かってくるバーテックスには見向きもせず……そうして彼に近付くバーテックスはもれなく美森の狙撃銃で撃ち落とされる。

 

 「数ばっか多くて大したことない奴らだったなー。イェーイ!」

 

 「イェーイ、お疲れ様でした~。アマっちもイェーイ♪」

 

 「はいはい、イェーイ。ほら、須美ちゃんも」

 

 「い、いぇーい……」

 

 「私ともハイタッチしよう! イェーイ!」

 

 【イェーイ!】

 

 そう時間も掛からず、攻めてきたバーテックス達を一先ず殲滅した勇者達。全員が1ヶ所に集まり、小学生4人が勝利を喜びハイタッチし合う中に友奈が入り、5人で仲良くハイタッチ。和やかな空気が流れ、戦闘の緊張感が解れる。

 

 「所で、大橋が見えないんだけどどうなってるんだろう?」

 

 「あぁ、ろくに説明しないまま戦いに来ちゃったもんね」

 

 銀(小)が溢した疑問に樹がそう言えばと呟き、美森から小学生組に説明が入る。ここが現実ではなく神樹の中にある不思議な空間であり、4人の本拠地である大橋ではなく讃州市であること。造反神の存在、召喚された勇者達のお役目。そして、ここが4人にとって未来に当たること。いつ敵の第2波が来るかわからない為に簡略しては居るが、その説明を受けた4人はふむふむと頷いて理解を示す。

 

 「大変だけど、頑張れば大丈夫な話。だから安心して」

 

 「なるほど……よく分かりました。まあ未来であると予想は出来てましたが……何とも、不思議な体験ですねぇ」

 

 「わたしもよく分かりました、わっしー先輩。わっしー先輩が言うなら大丈夫~」

 

 「わっしー先輩、か。ふふ、どこまでも私はわっしーなのね。私は園子ちゃんって呼ばせてもらうわね」

 

 「私は頭の処理が……時代を越えて……神樹様の中……町の人達……うぅ」

 

 「もっと物事を柔軟に考えるのよ須美ちゃん。大丈夫だから。周囲には仲間が居るでしょう?」

 

 「うーん、良いことは言ってるんだけど、自分で自分も説得とかどこかシュールな光景だわ」

 

 (私としては楓さん……新士君、だっけ。彼が未来だと予想してたって事の方がびっくりなんだけど。察しが良いってレベルじゃないでしょ)

 

 が、真面目で現実的な思考をする須美は次々と明かされる不思議としか説明のしようがない事実に打ちのめされていた。今と変わらぬ朗らかな笑みを浮かべる新士と柔軟な思考をする園子(小)、あまり考える事が得意ではない銀(小)はあっさり受け入れ、頭を痛そうにする須美を見て苦笑い。

 

 そんな彼女を説得しようとしているのが未来の己である美森という図に、風だけでなく全員がこれまた苦笑い。その説得に園子(小)と新士、銀(小)も参加し、“神様だから出来ても不思議じゃない”とざっくりとした理論をぶつける。そんな会話を聞きつつ、夏凜だけが新士の察しの良さに戦慄して冷や汗をかいていた。

 

 「さて、須美ちゃんが納得してくれた所で……第2波だねぇ」

 

 「え? あ、ホントだ……お兄ちゃんが言った通り、敵の第2波です。しかも新型が3体も居ます。でも、前に見たのと同じ姿……だけど、色が違う?」

 

 「新型って言ってもただ色が違うだけなら怖くないわね。次も楽勝よ!」

 

 「色が違うということは攻撃方法なんかも違うかも知れませんよ、風先輩」

 

 「そうですよ。油断せずにいきましょう」

 

 「そもそも前に突っ込んで爆発喰らったことがあっただろうに、慢心は良くないよ姉さん」

 

 「大体、バーテックスなんて未知の敵相手にこっちの常識なんて通じるかもわからないのに……やっぱり、自分が知る姉さんよりも成長してても姉さんは姉さんか」

 

 「過去と現在の東郷と楓から真顔で窘められた……しかも小さい楓に呆れられる形で姉さんって呼ばれた……もっとまともな形で呼ばれたかったワ」

 

 (あたしも楽勝とか思ったけど、口にしなくて良かった)

 

 須美への説得が終わり、一先ず彼女が納得してくれた所で楓が樹海の奥を見据えながら言うと全員の強化された視力がその第2波の姿を捉える。更には先程の戦いでは出てこなかった新型……と言っても、この世界に来た時の最初の戦いでも現れた3種のバーテックスの色違いだが……の姿もあった。これに警戒心を見せる樹だったが、これまでの戦いの勢いもあり所詮は色違いだと自信たっぷりに風が言った。

 

 が、その風に注意と口撃をする人物が4人。過去と未来の美森と楓達の言葉を受け、風が肩を落とす。更に再会した過去の弟にこの時初めて姉さんと呼ばれ、その初めてがこんな形で……と項垂れる。実は似たような事を考えていた銀(小)は自分は口に出さなかったことに安堵して胸を撫で下ろす。もしも言っていたら、同じ未来が待ち受けていたかも知れない。

 

 「第2波の1番槍……いや、1番斧はこの銀さんが」

 

 「前にも言ったけど、男して1番槍は譲れないねぇ」

 

 「それを言うなら、私も先輩達には負けてられないわ!」

 

 「あっ、相変わらず速いな新士……というかなんで先輩!?」

 

 「よーし、私も行くぞー!」

 

 第2波の敵に真っ先に突っ込もうとした銀(小)を追い越していく新士と夏凜。追い越されたことに少し不満そうにした後に夏凜の言葉に驚きつつ、遅れないように突っ込んでいく彼女に更に続いて友奈が突撃。先んじた3人の双爪、双刀、双斧がバーテックス達を切り裂いていき、友奈の拳が打ち砕いていく。

 

 「どっせい!」

 

 「えいっ!」

 

 「援護します!」

 

 「私も続きます!」

 

 他の場所では風がいつものように大剣で凪ぎ払い、樹がワイヤーを使って複数同時に動きを封じ、切り裂く。単純な突進力なら先の4人が上だが、己の意思1つで巨大化させられる大剣とワイヤーという細く長く鋭い獲物を縦横無尽に振るう姉妹は攻撃範囲の広さが随一だ。

 

 そんな2人と先の4人を援護するのが、銃と弓という武器を持つ美森と須美。その長大な射程と百発百中の腕前は過去も未来も変わらない。味方に当てる事は決して無く、味方に迫る敵は逃さない。その威力も低い訳ではなく、当たればそれでバーテックスは光と消えていく。

 

 「わわっ、っ!?」

 

 「よいしょっと。大丈夫かい? ()のこちゃん」

 

 「あ、ありがとうございます~……えっと、アマっち、先輩? こ、のこちゃん?」

 

 「美森ちゃんがわっしー先輩なら、まあそうなるか……うん、自分は君が言うアマっちだよ。呼び方は……自分にとって君はのこちゃんが小さい頃だからねぇ。だから小のこちゃん。嫌かな?」

 

 「ううん! 小のこちゃん……えへへ~♪」

 

 そんな最中、園子(小)が小さなバーテックスの体当たりを傘状にした槍で防いだ所を別のバーテックスに狙われ……美森達の援護が入る前に、近くに居た楓が光の爪で切り裂いた。その後に安心させるように朗らかな笑みを浮かべ、それを見た園子(小)はその笑みに新士の顔を重ねて安心しつつ、己が知る彼と比べて随分と背が伸び、顔付きも変わり、声も少し低くなった目の前の男性が未来の新士なのかと少し不思議に思いつつ名前を呼び……その相手からの自身の呼ばれ方に首を傾げた。

 

 アマっち先輩、と呼ばれた楓の方の心中は少しばかり複雑だったがそれも仕方ないと首を振り、自身は確かに未来の新士であると肯定し、呼び名の説明をする。“のこちゃん”とは楓にとっては今部室で留守番をしている彼女のことだ。目の前の少女も同じ存在ではあるが、それでは呼び名が被ってしまう。故に、小さい頃の園子というそのままの意味で“小のこちゃん”と呼んだ訳である。

 

 説明を受け、園子(小)は両手を頬に当てて嬉しそうに笑う。彼女にとって“のこちゃん”というあだ名は初めての友達であり、想い人がつけてくれた大切なモノだ。名前で呼ばれるのも全然構わないのだが、やはり未来であっても彼にはあだ名で呼ばれたい。それが叶ったから、嬉しかった。そして彼もやはり新士なのだとハッキリと認識出来たこともまた、嬉しかった。

 

 そこからの戦いは、最早語るまでもないだろう。それでも語るとするのなら……総勢10人に及ぶ勇者達の完勝であったと、結果だけを語ろう。

 

 

 

 

 

 

 そして戦いを終え、無事に部室へと戻ってきた勇者達。それを出迎えたのは当然、留守番していた4人である。10人全員に怪我1つ無いことを確認して安心した後、園子(中)が最初に口を開いた。

 

 「皆お帰り~。どうだったかな? アマっち、リトルわっしー。中学生の皆との連携は」

 

 「そつなくこなせました。そ……園子、さん」

 

 「流石に自分達よりも未来の人達とだけあって皆さん強いですねぇ」

 

 「2人共、そんなに堅い言葉遣いじゃなくてもいいんだよ? 大変なお役目だけど、リラックスしていこう!」

 

 「すみません。でも、小学生と中学生の違いがありますし……」

 

 「須美ちゃんは真面目だから、少し難しいかもねぇ。最初の頃なんて名前で自分を呼ぶのも“はしたなくないか?”なんて言ってたし」

 

 「な、な、な、なんで知って!? あ、未来の新士君なら知ってても……」

 

 「言ってた言ってた。最初の頃は本当に真面目で……いつからこんなぶっ飛んだ奴になったんだか」

 

 「銀、聞こえてるわよ」

 

 園子(中)の呼び方に少し首を傾げるが、直ぐに真剣な表情で返す須美と朗らかに笑う新士。敬語で返す2人に友奈が緊張を解すように言うが、真面目な須美には難しいらしく体から力が抜けない。が、楓がくすくすと笑いながら過去を思い出しながら言えば須美は少し顔を赤くして慌てるも直ぐに言ったのが未来の新士であると気付き、落ち着きを取り戻す。彼女に聞こえない位置で銀(中)がボソッと呟くが、美森には聞こえていたらしく恥ずかしそうに答えていた。

 

 「こんな子が少し経つとああなるんだから、人生わからないわね……」

 

 「もうっ、夏凜ちゃんまで……」

 

 「あははっ。でも、須美ちゃんにとってやりやすいならそれが1番だよね。なでなで」

 

 「ふわ……」

 

 「ほほー須美、嬉しそうじゃないか。ん?」

 

 「前にミノさんがアマっちに撫でられた時みたいだね~」

 

 「よーし園子、その口を閉じよう」

 

 「ふふ、もう一度してあげようか?」

 

 「……や、いいでっす」

 

 銀(中)と同じように夏凜が呟き、美森が少しすねたように膨れ、今までのやり取りを見ていた友奈が楽しそうに笑いつつ、偉い偉いと気持ちを込めて須美の頭を撫でる。その撫で方が心地好かったのか須美は嬉しそうにし、それを銀(小)がからかい半分で言うものの隣に居た園子(小)にぽやぽやと笑いながら言われ、恥ずかしそうにして言えば新士にも笑いながらそう言われて逃げるように顔を背けた。

 

 銀(小)の仕草に皆がくすくすと笑う中で、神奈はジッと須美と友奈の事を見ていた。笑顔で撫でる友奈と心地好さそうに撫でられるままの須美。少しして何を思ったのか、神奈は楓へと近付き……。

 

 「か、か、え、で、くん」

 

 「うん? なんだい? 神奈ちゃん」

 

 「その……お願いします」

 

 「……ああ、なるほど。いつも頑張ってくれてありがとう、神奈ちゃん。本当に、感謝してるよ」

 

 (……なんだろう、これ。撫でられてるだけなのに……)

 

 頬を赤くして詰まりながら楓を呼び、彼に聞かれると直ぐに神奈は頭を下げた。いや、下げたというか向けたと言う方が正しいか。一瞬楓はなんのつもりだろうかと疑問に思うも、今までのやり取りから考えてその真意を悟り……労うように、慈しむようにその赤い髪を右手で撫でた。

 

 撫でられている神奈は、ただ撫でられているだけだと言うのに心に溢れる幸福感と涙が出そうな喜びに満たされていた。その感謝の言葉が、己を慈しむその手が、神奈を包み込んでいく。何よりも、彼と触れ合えている……それが、その手の温かさが嬉しく、幸福だった。

 

 「あっ、アマっち先輩。わたしもわたしも~♪」

 

 「じゃあわたしはアマっちにしてもらお~♪」

 

 「ああ、いいよ。おいで、小のこちゃん」

 

 「なんで自分に……えーっと、のこちゃんに倣ってのこちゃん先輩、でいいですかねぇ」

 

 「おお~、のこちゃん先輩。いいよいいよ~」

 

 「中学生になっても園子は変わらないなー」

 

 「じゃあ私は銀ちゃんを」

 

 「え!? いや、あたしは……あ、撫でるの上手いっすね……ほわ~♪」

 

 (……あ、後であたしも楓にやってもらえないかな。皆の前ではちょっと恥ずかしい……って須美、いつの間に小さいあたしを撫でてるんだ)

 

 (男性に頭を撫でられる……私も1度は経験しておくべきでしょうか。いえ、ここはまずは園子さん達の反応を見て……ああ、そんなに幸せそうに……そんな表情を若葉ちゃんがしてくれたらと思うと……はぁ♪)

 

 撫でり撫でり。撫でられ撫でられ。ほわほわふわふわ。そんな何とも言えない空間へと変わる部室。まだ出逢ってから1時間と経っていないハズだが、こうして直ぐに打ち解けられたのは本人達の気質だろう。

 

 とは言え、まだまだ話すべきことややるべきことは多数存在する。そう……小学生の時の先代組と現在の中学生の勇者達との不思議な出逢いは、まだ始まったばかりである。




原作との相違点

・銀が2人

・銀が2人

・銀が2人

・驚きはあれど誰も悲しい顔をしない(口撃された風除く

・他にも色々あったでしょう←



という訳で、ゆゆゆい第2話、その前半です。DEifでも書いた部分ではありますが、本編では当然違ってきます。DEifとの差異を楽しむのもありかもしれません。

戦闘描写はあれどそこまで深く書くこともなく。勇者10人に初期のバーテックスが勝てる訳ないだろう。近中遠と射程に死角は無く、1人に至っては全部こなせるオールラウンダー(しかも高水準)。これが更に倍近くまで人数が膨れ上がり、それを1人で互角以上に戦った赤奈ちゃんの化物っぷりがやべぇ。

今回もニヤニヤによによくすくすニタァ……と出来るようにしたつもりです。次回はもっとカオスになるかも……?

ここまで見て下さった皆様にはもれなく“咲き誇る花達に幸福を 雨野 新士(黄属性、近接型)”をプレゼント←

それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)

雨野 新士、その住む場所は……

  • DEif同様に犬吠埼家
  • 家に帰れない子達に悪いので寄宿舎
  • おうどん食べたい(犬吠埼家)
  • 他の麺類食べたい(寄宿舎)
  • わたしのマンションでもって待ってフ
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