FGOにドカバトにメダロットにと奮闘していて少し遅れてしまいましたがこんな時間に投稿です。タワーはようやく125階に到達しました。
ゆゆゆいでは意外や意外、幻の満開銀ちゃんが登場しましたね。流石に本作にて書き直すようなことはしません。原作解離なんて今更な話ですしね。パラレル万歳。
尚、満開銀ちゃんは来てくれました。友奈に続いて2人目です。早速今回のイベントで大活躍してくれています。ドカバトも今週水曜日で5周年だそうでイベント目白押し。
さて、今回は前回に引き続き現在2話部分。ほのぼの……だけで終わらないのが私ということは既にご理解頂けていますよね?(不穏
「さて、改めて自己紹介をさせて頂きますねぇ。神樹館6年、雨野 新士です。本名は知っての通り犬吠埼 楓ですが……まあそちらの中学生の自分と呼び分け出来ますし、どうぞ新士と呼んで下さいねぇ」
「同じく、神樹館6年の鷲尾 須美です。新士君と同じ理由で私の事も須美と呼んで下さい。今後とも宜しくお願いします」
「神樹館6年、乃木 園子です~。そこの園子さんの小さい頃です。宜しくお願いします」
「同じく、神樹館6年、三ノ輪 銀、です! そっちのあたしの若い頃です! 元気なら負けません!」
「あたしよ、もう少し違う言い方は出来なかったのか」
何故だか撫でたり撫でられたりとしていたが、ようやく皆落ち着き、そこでようやく自分達は改めて自己紹介をし合うことになった。
過去の自分達が1列になって自分達の前に並んだ後、最初に口を開いたのは過去の自分。養子先での名前を何の不信感もなく告げて五体満足な辺り、やはり時系列は遠足前なのだろう。正直かなり複雑だが、目の前の4人にわざわざ言うこともないだろうと顔に出さないようにする。
その後に須美ちゃん、小のこちゃん、小さい銀ちゃんと続くが、ここで茶目っ気を出すのは元気でムードメーカーでもある彼女らしい。中学生の銀ちゃんは笑ってはいるが、ちょっとご機嫌斜めになったかな? ……小さい銀ちゃんのことはなんと呼ぼうか。少し考えておこう。
「おっ、私も元気さなら自信あるよ~銀ちゃん……あ、こっちも銀ちゃんだ。どうしよう、どっちも銀ちゃんだし……」
「そうだねぇ。自分と友奈は銀ちゃんと呼び続けていたから……」
と、考え付く前に友奈が自分と同じ悩みを口にした。腕組みをしながら真剣に悩む彼女につい苦笑いしてしまうが、自分も何か案がある訳じゃない。いっそのこと、小のこちゃんのように小銀ちゃんとでも呼んでしまおうか。
「呼び方かー。あたしも友奈に園子みたいにあだ名で呼ばれてたら何とかなったかな?」
「園ちゃんみたいに? 園ちゃんはミノさんって……あっ、ミノちゃん! よーし、これから銀ちゃんのことはミノちゃんって呼ぼう!」
「……いやまあいいけどさ。友奈にさんづけされるのもなんかしっくり来ないし」
「友奈は解決したみたいだねぇ。じゃあ自分はどうしようか……」
(……楓……楓、か。そういえば前に……よ、よし。ここは勇気を出すべきだよな。女は度胸、勇者は気合いと根性だゾ、銀!)
友奈の方は案外あっさりと解決したらしいが、自分はそうはいかない。これでも彼女の事は親友と思っているし、今更名字で呼ぶのも違う気がする。かといっていきなりあだ名を考え付くこともないし……そう悩んでいると、銀ちゃんが何やら真面目な顔をして近付いてきた。
「あー、その、楓」
「なんだい?」
「あたしのことは……その……よ、よ、呼び捨て! で、良いから、さ。ほら、えっと……前に1回だけ呼んでくれたことあったし……この際、さ」
銀ちゃんにそう言われ、呼び捨てにしたことはあったかと思い返し……目の前の過去の自分達を見て思い出した。そうだ、あの遠足の後の戦いで咄嗟に怒鳴るように呼んだことがある、と。
「いいのかい?」
「う、うん……」
「それじゃあ、小学生の頃の君を銀ちゃん。中学生の君のことを、これからは“銀”と呼ばせてもらうねぇ」
「……お、おう!」
「おお! ミノちゃんも楓くんから呼び捨てされ仲間だ!」
「いや、呼び捨てされ仲間て……ここで喜ぶのが友奈だよなぁ」
(ねぇねぇ園子さん。ひょっとしてミノさん先輩って……らびゅ?)
(そうだよ~。らびゅらびゅ~♪)
(らびゅらびゅ~♪)
「なぁ須美。未来のあたしに何があったんだろう」
「さぁ……でも、中学生になっているのだから色々と変わった所もあるのよ、きっと」
「あっちの須美とか凄いもんな……一回り……いや、二回り?」
「どこを見て言ってるの」
呼び捨てにすることを了承すると、銀ちゃん……銀は花が咲くような笑顔を見せてくれた。友奈は我が事のように喜んでる。のこちゃんと小のこちゃんは何やらニコニコとしているが何を話しているのやら。銀ちゃんは銀を見て不思議そうにしているし、須美ちゃんもよく分かってないようだが自分なりの答えを出していた。その後に銀ちゃんの視線が美森ちゃんに向いたが……これ以上その視線を追うのはやめておこう。
呼び方の問題も解決したところで自分達の方も自己紹介し、改めて状況説明や自分達が召喚された理由の説明をする為、常備してあったパイプ椅子を出しながら美森ちゃんのぼた餅を手にそれらをしようとしたのだが……パイプ椅子の数が2つ程足りないという事態に陥った。それならまあ自分と誰かが立てばいいかと思っていたのだが、そこで小のこちゃんが動いた。
「アマっち先輩、座って座って~」
「いや、自分は別に……」
「いいからいいから~」
「……まあ、そう言うなら……これでいいかい?」
「はい。それじゃあ、お邪魔します~♪」
何故だか少し強引に小のこちゃんに椅子に座らされ、とりあえず座ってみると……まあ正直予想はしていたんだが、その予想通りに彼女は自分の膝の上に座った。確かにこれなら椅子1つで2人座れることになるが、年頃の女の子としてはどうなのか。せめて同じ女の子に……とは思うが、まあ本人が嬉しそうなので今更下ろすのも悪いのでこのままにすることにした。
「楓、ちょっとこっちおいで」
「姉さん、それだと中学生の自分か小学生の自分かわからないだろう」
「じゃあちび楓、こっちおいで」
「どれだけ自分を新士と呼びたくないんだ……で、なんだい?」
「確保ー! あー、この抱き心地は正しく小学生の時の楓! いいサイズ差だわ~♪」
「ちょ、姉さん苦しい、苦しいってば」
後1人はどうするのかと考えていたが、それは小さい自分が姉さんに抱き締められながら姉さんの膝の上に座らされているのを見て解決したことに気付いた。姉さんはご満悦、小さい自分は苦しそうではあるが……自分のことだから分かるが、満更でもないだろう。何せ約1年ぶりの家族とのふれあいなのだから。実際、ちょっと笑ってるし。樹も2人を見て楽しそうだ。
「……」
「須美、園子が昔の自分に嫉妬の視線を送ってるんだが……」
「ええ、そうね。でもそのっちなら仕方ないわ」
そんなこんなで椅子の問題も片付き、ぼた餅を置いた紙皿を手に神奈ちゃんとひなたちゃんから説明を受ける。それ自体は以前に自体達が受けたものと変わらない。付け加えるなら、樹海で自分達が説明したようにここが大橋ではなく讃州市であることと、現在の大橋は敵地なので奪回するまでそこにはいけないということくらいか。
説明を受けている間、自分は小のこちゃんと一緒にぼた餅を食べていた。自分の紙皿の上には自分用の一口サイズのぼた餅と小のこちゃん用の普通のサイズのぼた餅。それを小のこちゃんが自分で食べたり、彼女を膝の上に座らせているので食べにくい自分の口に運んでくれたりとしている。同じ竹串を使っているのはわざとだろうか……まあ間接キス等は自分は気にしないし、彼女も気にしてなさそう……いや、恥ずかしいとは思っているのか。顔が少し赤いし。
そう言えば、初めて皆でイネスに行った時も同じように食べさせあったりしたっけ。懐かしい気持ちになりつつ、自分も小のこちゃんから竹串を受け取って同じように食べさせてみる。すると彼女は照れつつも美味しそうに笑ってくれた。
(ズルい……そのっちズルいよ~……わたしもやってほしいやってあげたい……出来れば膝の上にも座ってみたい……フーミン先輩みたいにアマっちを膝の上に乗せたい……でもどっちの気持ちも分かっちゃうし……でも羨ましい……)
「す、須美? 園子の嫉妬がどんどん強くなってるんだけど……」
「昔の自分があんなことをしているのだから、それも仕方ないわ」
(食べさせあい……そういうのもあるんだね。か……か、え、で、くんに頼んだらしてくれるかな……?)
説明そのものは問題なく終わった。小学生組も話の詳細をちゃんと理解し、ふむふむと頷く。
「そう言えば、自分と大きい自分……この言い方もいい加減面倒だな……楓さんのぼた餅は皆さんのとはサイズが違うんですねぇ」
「あっ、本当だ。須美……じゃなくて東郷さん、なんでなんですか?」
「楓君がぼた餅……というかお餅があんまり得意じゃないらしくて、食べやすいように小さくしているの」
「そうなの? 新士君、楓さん。日本男子が国民食のお餅を嫌うなんて……どうして?」
「ああ、別に味や食感が嫌いという訳ではないよ。このぼた餅も美味しいし。ただ……昔、喉に詰まらせちゃってねぇ。それ以来どうも……」
「お爺ちゃんか」
ふと疑問に思った新士がそう言い、銀(小)も見比べてから美森に聞くと彼女は過去を思い返しながら笑って言い、他の中学生組もまた当時を思い出して苦笑いしていた。その苦笑いの意味に気付かず須美が本人に聞けば、苦笑いしながら新士が言い、銀(小)がツッコミを入れる。まるで当時を再現したようなやり取りに、中学生組だけでなく皆も笑った。
それはさておき、話は説明へと戻る。ひなたと神奈曰く、造反神をどうにかして神樹の分裂を止めないと元の世界へと戻すことは出来ない。ただ、現実の世界の時間は勇者達が召喚された時点で止まっており、戻る時にはその時の時間軸に戻されると言う。
「つまり、自分達は部室で姉さんから活動内容を聞く瞬間の時間軸に」
「自分達は遠足の4日前の時間軸に戻る、と。何日も行方不明扱いにはならないようで良かったです」
「あたしも小さい弟居るし、そこは心配だったから良かったー」
(やっぱり遠足前なのね……それに4日前。ということは、須美ちゃんは私が見たあの悪夢を見ていない……か)
楓と新士、銀(小)が同じようにふむふむとうなずいて納得しているのを見ながら、美森が新士が言った言葉を頭の中で繰り返す。遠足の日。それは美森達先代組にとって忘れられない悪夢のような日だ。その悪夢の経験がまだ4人に無いことに安堵し、現実に戻れば経験することになると思い、その時のことを思い出して美森は、そして園子(中)と銀(中)の胸の奥が傷んだ。
「……なぁ、ひなた。現実の歴史とかって変えられない? ほら、ここに過去のあたし達が居るわけだしさ。こう、この世界での経験とか記憶とかでなんやかんやして」
「そう、ね。起こったことを無かったことにする……そんな奇跡みたいなことは……」
「止めた方が良いと思うよ。そういうのは大体変えられないモノだし……仮に変えてしまうと、未来の姿である自分達にどんな影響があるかもわからないんだからねぇ」
「カエっち……うん……そう、だね」
「……楓さんの言うとおりです。どのみち、お役目を成し遂げなければ現実には戻れません。今は、お役目に集中しましょう」
故にあの日を、あの悪夢をどうにか変えられないか……そう、中学生組の3人が考えるのは仕方のないことだろう。2年経った今でも、その日の事は3人の心に深く刻まれている。後悔だってある。だから……そう、思わずにはいられない。
だが、ひなたが否定する前に楓がそう言った。仮に結果を変えられたとして、それが今後どのように未来に影響するのかわからない。より良くなるなら良い。だが、悪くなれば目も当てられない。楓に諭され、3人は1度気持ちを落ち着けた。その様子を見ていたひなたもこくりと頷き、そう締め括った。
それから少し時間を置き、全員がぼた餅を食べ終えた頃。ゴミを処理して軽くお腹を休めた後に再び口を開いたのは須美であった。
「これからこの世界で暮らしていく上で質問があるのですが、宜しいですか?」
「な、何かな? 何でも聞いてね、須美ちゃん」
「っ!? 見て、楓、ちび楓。樹が……小学生に対してっ! 年上であろうと! 振る舞っているわっ!!」
「本当だねぇ。自分が知る樹よりも成長したんだねぇ。というか姉さん、感動するのは良いけど抱き締める力が強くなって苦しい苦しい」
「何も泣くことないだろうに……ほら、新士君をホールドしてる腕の力弱めて。潰れちゃうから」
「ぐじゅ……」
「流石楓さん、手慣れてるわね……最早兄と妹と言った方がしっくり来るわ」
「あはは……おめでとうございます、なのかな?」
「それはそれで樹に失礼だろ……」
須美の言葉にいち早く返した樹。勇者部で1番年下である彼女に取って小学生組はその更に年下である。末の妹と言う立場にもある為、部活を除けば初めてのお姉さんポジション。年上として振る舞いたいお年頃なのだ。そんな彼女の行動が嬉しかったのか膝の上の新士を強く抱き締めながら号泣する風。苦しむ新士は風の涙をハンカチで拭う楓によって救われた。
そんなやり取りを見た夏凜は姉と弟という立場が逆転しているようにしか見えず、彼女の感想に苦笑いしながら友奈が首を傾げながらそう言えば、銀(中)からジト目でツッコまれた。
「ここは中学校のようですし、私達は普段どこで勉強すればいいのですか?」
「しっかりしているね。そして鋭い質問……流石は東郷先輩の小学生時代……」
「勉強? こんな特殊な世界に来てベン・キョー? おいおい鷲尾さん家の須美さんや、本気かい?」
「わっしーはこういう時、冗談は言わないよね、ミノさん」
「こらこら、小学生園子の台詞を取らない」
「園子ちゃんなら大丈夫そうだぞ夏凜。楓の膝の上で蕩けてるから」
真面目な須美らしい質問に樹が流石は過去の美森であると納得している横から銀(小)の疑問が飛ぶ。どちらかと言えば頭を働かせるより体を動かす方が好き……ぶっちゃけて言えば勉強苦手な銀(小)。自分達が通う神樹館がある大橋には現状向かえず、未来である以上自分達のクラスも存在しない。つまりは授業も何にもない。勉強する必要がない。そんな場所に来てまで勉強という単語が出てくるのが信じられないらしい。
が、須美が本気で言っていると園子(中)は言う。彼女を知る人間ならば誰もがそう思う。しかしこの流れならそれは園子(小)の台詞だろうと夏凜が言うが、銀に言われて楓へと視線を動かす。そこには成り行きを見守る楓とその膝の上で彼に背中を預け、鼻歌でも歌いそうな程上機嫌な園子(小)の姿。それを目撃した園子(中)がまた嫉妬の視線を送った。
「いいじゃん勉強なんてさ。そうですよね? 樹さん」
「いいえ、勉強は大事よ。勉強と鍛練を欠かしてはならない。そうですよね? 樹さん」
「ほら、樹さん答えて! 年上の威厳を見せつけちゃいなさい!」
「プレッシャーかけないの。でも樹さんがどう答えるのか……楽しみだねぇ」
「楓さん、それ、風よりプレッシャーかかってます」
「え、ええと……勉強は大事だと思うよ。あと、鍛練も……お兄ちゃんも毎朝やってるみたいだし……うん、少しぐらいはやった方がいいかな」
「お兄ちゃんって楓先輩と新士のことですよね……うう、確かに新士は朝からやってたし、それを抜きにしてもまごうことなき正論……でも、夢みたいな世界なのに夢が無い……」
椅子から立ち上がって挟み込むように詰め寄りながら聞いてくる2人とその後ろからそれぞれ新士と園子(小)を膝に乗せた姉と兄に地味にプレッシャーを掛けられる中、樹の回答は須美寄りのモノだった。我が意を得たりと得意気にする須美と対になるようにガックリと項垂れる銀。その脳裏にはかつて見た新士が鍛練する姿が思い浮かんでいるだろう。
尚、この後勉強は大事だと言ったが為に楓と美森から勉強を見てあげると言われることになる樹。彼女自身余り勉強は好きでも得意でも無いが小学生組に言ってしまった手前断ることも出来ずに後日しっかりと勉強することになる。
「まあ、安心していいよ。この世界でも大赦は機能してるらしいし、自分達にも
「はい、楓さんの言うとおりになると思います。それから、住む場所は近くに寄宿舎を用意してありますのでそこで生活して下さいね」
「ああ、この世界だと大橋が占領されているから帰れないんでしたっけ。そもそも自分達が居た時代とは違う訳だから、衣食住が必要になると……そう考えると、寄宿舎は有難いですねぇ」
「お~、家を出ての生活……なんだかワクワクするよ~。私に出来るかな~?」
「大丈夫、分からないことがあれば教えてあげるわ、そのっち」
「小学生の東郷さんも頼りになるなぁ~。小学生の楓くん……新士くんも凄くしっかりしてる。結城 友奈、感激しました! 握手して下さい!」
「は? はぁ……」
「あはは……面白い人ですねぇ、結城さんは」
「友奈でいいよ新士くん!」
「じゃあ、友奈さんで」
楓が言うようにこの世界の大赦は所属する巫女への神託やひなた、楓から連絡を受けた安芸に友華と言った面々を通じてきちんとこの世界のことと勇者達が時代を越えてやってくるということとお役目等の事情を把握している。小学校への転入手続きも直ぐに終わるだろうし、ひなたが言う寄宿舎も必要なモノは取り揃えてある。今後西暦の勇者達が来ても衣食住に困ることはないだろう。
合宿とはまた違う自宅外での生活に胸を膨らませる園子(小)。小学生にして既に家事能力が高い須美がそう言って笑えば、新士と須美が現在と変わらず頼もしいことに感激した友奈が2人に近付いて握手を交わした。その勢いに戸惑う須美と苦笑いする新士。呼び方は直ぐに修正されることになる。やはり過去の姿であれ、名前で呼ばれたいらしい。
「寄宿舎ってなんだかいい響きだね~。羨ましいなぁ、小学生の頃の私」
「まあ、あんたと同じ場所に住むと混乱しそうだし……」
「時々入れ替わりましょうか園子先輩。案外気付かれませんよ~きっと~」
「お~、グッドアイディアだよそのっち~」
「「「気付くわっ!!」」」
「まあ、身長差もあるからねぇ」
寄宿舎と聞いて園子(小)達を羨ましがる園子(中)。風の苦笑いを他所にそんな天然なやり取りが同一人物達の間で交わされるが、そこに夏凜と銀達からツッコミが入り、楓が姉と同様に苦笑いを浮かべるのだった。
「それにしても……寄宿舎、か」
「どうしたの? アマっち」
「いや、周りが異性だらけで肩身が狭くなりそうだと思いましてねぇ」
「あら、ちび楓はあたし達の家に来たらいいじゃない」
「他の人達が自分の家に帰れないのに自分だけってのは悪いし、仮にも今は養子に出てる身だからねぇ」
「それに、父さんと母さんにはどう説明するのさ」
新士がそう言った瞬間、明らかに空気が凍った。その理由が分かっているのは小学生組以外の全員である。中学生組は楓達の両親が既に亡くなっている事を知っているし、巫女2人も家庭事情くらいは把握している。そして、小学生組も流石に空気が凍った……おかしくなったことくらいは理解出来た。
「どうしたんだい? 姉さん、樹、楓さん」
(……どうしよう、楓)
「……2人は居ないよ。自分達は今、3人で暮らしているんだ」
「居ない? 幾ら勇者とは言え中学生3人で暮らすなんて……何があったんですか?」
「……調べれば分かることだから言ってしまった方がいいか」
楓の口から語られるのは、大橋での決戦とその影響の話。散華や満開等の話は出来るだけぼかしつつ、大橋での戦いがどれだけ激戦だったのか。そして、その結果として大橋が崩壊し……樹海が傷付いた影響で少なくない死傷者を出してしまったこと。その中に、自分達の両親が含まれていたことを告げる。
楽しかった空気が消え、誰もが悲痛な表情を浮かべる。黙っていても良かっただろう。未来の話などせずにはぐらかしても良かっただろう。だが、敢えて楓は真実を口にした。それは言った通り調べれば分かることだからと言うのもあるが……後になってから知るよりも、今の内に伝えておいた方が心のダメージが少ないと考えたからだ。
小学生組の視線が新士へと向かい、中学生組の視線は楓達へと向かう。この中で唯一、この4人だけが家族を失っている。その悲しみは4人にしか分からないだろう。しばらく続く沈黙。最初に口を開いたのは新士だった。
「……さっき、銀先輩達が未来がどうのと言ってたのはそれが理由で?」
「まあ、似たようなものだよ」
「そう、ですか……話は分かりました。それでもまあ、自分は寄宿舎に居ますよ……やっぱり、他の人に悪いし、ねぇ」
「……そう。ちび楓がそう言うなら、仕方ないわね」
「でも、今度家に行ってもいいかい? 仏壇くらいはあるだろう?」
「勿論、いつでもいらっしゃい」
結局、話を聞いても新士の意思は変わらなかった。他の3人も当時の家族に会えず、共に暮らすことも出来ないのに自分だけそうする訳にはいかないと。何とも彼らしい言葉に、彼を知る全員から苦笑いが零れる。それでようやく、辛かった雰囲気が多少やわらいだ気がして。
「でも姉さんに絞め殺されそうだし、やっぱりいかなくてもいいかなぁ」
「なにおう!?」
「だから苦しい苦しい。こういうところこういうところ!」
そんな姉弟のやり取りを見て、今度こそ本当にそんな空気はなくなった。皆がようやく普通に笑うようになり、樹と夏凜が新士を助け出そうと動き……小学生組は笑いつつ、寄宿舎ではなるべく彼の側に居ようと心に決めた。
この後、本来の調子に戻った園子ズが“自分達の体が入れ替わってる”といきなりボケだしたり、銀(小)の美森の呼び方が“東郷さん”、楓の呼び方が“楓さん”に決まったり、その際の2人の対応で2年の月日の流れを小学生組が感じたり。いい加減足が痺れてきたのか楓が園子(小)に降りてもらい、それを皮切りに全員でパイプ椅子やら紙皿やらを片付ける。が、まだ話は続く。
「今更だけど、自分が2人居ると大変だよね……勝手に嬉しがってごめんね?」
「嬉しい、ですか?」
「だってほら!」
申し訳なさげに言った友奈の言葉がイマイチ理解出来なかったのか須美が首を傾げ、逆に美森は彼女が何を言いたいのか理解しているらしく微笑んでいた。そんな対称的な反応をする2人の手を友奈は繋ぎ、間に自分が立つ。
「両手に東郷さん! うーん、無敵だね!」
「隣に友奈ちゃんが居れば私も無敵よ。更に楓君も居たら敵無しね」
「は、はぁ。無敵ですか……なぜそこに楓さんまで?」
「ふふ、須美ちゃんももう少し時間が経てば分かるわ」
嬉しそうにはしゃぐ友奈と微笑ましげに笑う美森。が、やはりまだ理解仕切れていないというか着いていけていない須美は首を傾げ、彼女の疑問に美森は意味深に笑いつつ答える。
「次は……両手に園ちゃん! わーい! 幸せ!」
「ゆーゆってば欲張りさんだ~。でもね、いいよいいよ~、ガンガンいこうね~。わたしも欲張りさんになっちゃおうかな~。という訳でフーミン先輩、カエっちを」
「あげないわよ」
「じゃあわたしはアマっちを~」
「あげないわよ」
美森と須美の手を離し、次は園子ズの手を握る友奈。言った通り幸せそうに笑う隣で園子(中)もぽやぽやと笑い、流れに乗るように口を開くがそれは真顔の風に最後まで言わせて貰えない。ならばと園子(小)も同じように口を開くがそれも真顔の風に最後まで言わせて貰えない。
「今度は両手にミノちゃん! 元気が出るよ~」
「おっ、勇者部の火の玉ガールであるあたしに元気勝負とは……笑止!」
「元気なら負けませんよ!」
園子ズの手を離した友奈が次に繋いだのは銀達。小学生の頃から元気を売りにしてきた彼女達の手を握る友奈の笑顔はいつもより少し元気さが増している気がする。そうして3人の元気いっぱいの笑顔でまた部室の中が明るくなったような気がした。
「最後は、両手に楓くん! 凄く安心するよ~」
「ふふ、それは良かった」
(随分距離が近い人だなぁ……まるでのこちゃんみたいだねぇ)
「ゆーゆ、カエっち。次はわたしね?」
「園子先輩、わたしもわたしも~」
「くっ、やっぱりちび楓が家で寝泊まりしないのは惜しいわ……もし樹も2人で弟と妹が2人ずつになれば物凄ーく幸福になったのに」
「あんたは1人で充分だけどね」
「どういう意味よ!?」
銀達から手を離し、友奈は最後と言って右手で楓の左手を握り、左手で新士の右手を握る。2人と手を繋いだ友奈の心に安心感が広がり、同時に幸福感が溢れる。そんな彼女の表情を見て園子達が自分達もすると手を上げ、その後ろで風が悔しげに表情を歪めたり楓と樹が2人ずつ居たらという想像をして幸福そうにしたりと百面相し、夏凜がくつくつと笑いながらそんなことを言って風が少し怒ったりしていた。
その後、園子達だけでなく美森、銀(中)、風と樹、折角だからとひなた、恥ずかしそうにする神奈が同じように楓達と手を繋いだ後に精霊が小学生組にも付き、勇者システムも最新のモノに統一される等の重要な話やもうすぐ西暦の勇者達を呼べるようになるという話をしたり。
「更なる援軍は心強いですが……その前にもっと、皆さんのことを知りたい。宜しければ、ですが……皆さんがどういった戦いをしてきたのかお聞かせ願えませんか?」
「それは自分も興味がありますねぇ。姉さんの失敗談とか聞きたいですし」
「なんでアタシだけ失敗談なのよ!?」
「あたしも興味あります! 皆さん、すごい戦い慣れてる感じがしたし」
「わたしも知りたいな。後学のためにも宜しくお願いします~」
「あはは……そうだねぇ。それじゃあ話そうか。自分達讃州中学勇者部の物語を……ねぇ」
そして、中学生組がどんな戦いや日常を送ってきたかの話を。勿論満開や散華、風がぶちギレて暴走したり美森が壁を壊したり等の言いづらいことは可能な限りぼかして。
不思議な空間での不思議な出会い。部室はまた1つ賑やかになり、暗くなった空気も直ぐに払拭して。14人となった勇者部は、いずれ来るまだ見ぬ仲間達を思い描いて……また、この世界で新たな日常を続けていくのだった。
原作との相違点
・友奈、中学生銀をミノちゃんと呼ぶ
・両手に銀ちゃん
・銀ちゃん関連の不穏な話は無し
・寄宿舎に新士が住むことに
・その他の相違点? 探せ! 様々な相違点をそこに置いてきた!
という訳で、原作2話部分のお話でした。銀ちゃん関連の不穏な話はありませんが、代わりに犬吠埼家の両親のことで少し。大橋の話なんかもここで済ませてしまいました。
アンケートにご協力ありがとうございました。結果は総合なら僅差で、麺類云々を除けば大差で寄宿舎に住むことに。これは新士ならこうだろうという判断なのか、それとも何かしら願望があった結果なのか←
今回もメインは小学生組なので神奈は控え目。そろそろ人数増えてきたので書き分けが大変です。何とか全員を生かしたい所ですが、さてはて。
感想でもしBEifの楓が造反神側についたら、という話が出たので真面目に考えた結果、23回もの満開の影響で単純な勇者の力が勇者部の皆と10倍違い差があり、五感は精霊を通しているので事実上死角が存在せず、攻撃する距離を選ばず飛行も可能で対多数も出来て、記憶が無いので説得も出来ずにお役目を全うして、切り札として満開に加え造反神側なので神花解放もしてくるラスボスになります。どうやって勝つの(震え声
ここまで読んで下さった皆様にはもれなく“巫女 咲き誇る花達に幸福を 神谷 友奈(黄属性)”をプレゼント←
それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)