色々アプリ触ってると本当に時間が過ぎるのが早いです。仕事の疲れもあって執筆をサボったり……だがエタることだけはしない。
突然ですが、私はなるべく原作、キャラの雰囲気を重視するタイプです。また、好意を持つ場合にもなるべく不自然にならないように、突然過ぎないように気をつけています。本作で、これまでの作品でそう出来ていれば幸いです。
ゆゆゆいがリリースから1000日との事で非常におめでたいですね。ガチャは課金して一回ずつ回そうか検討中です。ドカバトでは新しいウイスが来てくれました。
このファンも始まりましたね。めぐみん、カズマ、アイリスの3人を引けたのでスタート。中々楽しめてます。プリコネでウヅキも来てくれたし、これは流れが来ている。明日はエレちゃん引ける気がする。
今回で原作3話が終わる予定。それではどうぞ。
西暦の勇者の皆さんと親睦を深め、のこちゃんと伊予島さんが何やら色々と話している姿に何故だか不安を感じつつも微笑ましく見守り、自分は自分で膝の上の小のこちゃんや手を繋いでいる友奈、彼女の反対側に座る神奈ちゃんと共にひなたちゃんから若葉さんの過去話というか自慢話というか思い出話というか……まあそんなことを楽しく聞いていた。
若葉さんは小さい自分を抱えた姉さんと色々話してたり、土居さんは銀達の事を気に入ったらしく須美ちゃんも交えて楽しげに話している。郡さんと高嶋さんは美森ちゃんと夏凜ちゃんから話を聞いているようだ。そうこうしていると時間も経ち、そろそろ学校から出て彼女達が暮らす寄宿舎へと場所を移そうということになった。
彼女達は小さい自分達が召喚された時と同様に着の身着のままだ。色々と物入りになるだろうし、日用品や嗜好品も必要だろう。その辺は寄宿舎にもあるそうだが。後は個人の好みの衣服くらいか。まあ流石にそれに自分が参加する訳にはいかないが……女の子の買い物に今日出会ったばかりの男がいても彼女達も落ち着かないだろうしねぇ。そうして校舎を出た時のこと。
【寒っ!?】
「あー、前にも見たわねこの光景」
「ああっ、再会できたのが嬉しくて半袖だったことを見落としていました! ささ、若葉ちゃん。私がくっついて暖めますね」
「そのセリフを聞いてるとわざと見落としたんじゃないかって思えてくるわね……」
「あ、ああ……ありがとう、ひなた」
外に出た瞬間、若葉さん達が体を震わせながら叫ぶ。姉さんがそう言うのを苦笑いしながら聞きつつ、そう言えば彼女達は半袖姿だったなと思い返す。恐らくは彼女達も小さい自分達と同様に夏の辺りから召喚されたんだろう。なら現在との温度差は相当なモノだろう。
そう納得していると、ひなたちゃんが若葉さんの右腕を取って体を密着させていた。姉さんがその行動とセリフにジトーッとした目を背中に向けるが、彼女が気にした様子はない。
「よ、よしあんず、タマ達もくっつくぞ! 寒いからな!」
「え!? う、うん」
「ぐんちゃん、私もいい?」
「え、ええ……高嶋さんが良ければ」
「わーい! はぁ、ぐんちゃんの手、あったかい……♪」
(……寒いのも、悪くないわね……)
どうやら他の西暦の人達も同じように密着しているようだ。人肌で暖め合うと言うのはよく聞くが、それは本当らしいねぇ。
……実のところ、自分の上着でも貸そうかと思っていたんだが人数が多くて誰に渡せばいいか分からなかったし、会って間もない男の上着は抵抗あるだろうと思って止めた。それはさておき、そろそろ寄宿舎に向かわねば風邪を引いてしまうかも知れない。
「アマっちアマっち、わたしも寒いから手をつないでるいい?」
「うん? いや、のこちゃんは上着を着て……まあいいか。はい、お手をどうぞ」
「えへへ~♪」
「お、なら須美はあたしとだな。ほれほれ、銀さんの手は暖かいぞ~?」
「バカな事を言わないのって冷たいじゃない!? もうっ、仕方ないわね」
視線を動かせば、若葉さん達に触発されたのか小のこちゃんが小さい自分にそう聞いていた。寒いも何もこっちに来てからそれなりに経っている小学生組はちゃんと上着を着ていたんだが。小さい自分は仕方ないなぁと笑いながら手を差し出し、彼女はその手を繋いだ。恐らく、自分でも同じ行動をしただろうと思うが、よく考えれば同一人物なのでそれも当然か。
その隣では銀ちゃんが須美ちゃんにへと手を伸ばしていた。須美ちゃんは少し顔を赤くして手を引こうとしたが先に銀ちゃんに握られ、そう言って溜め息を吐いた後に大人しく手を繋ぎっぱなしにしていた。その姿が微笑ましく、ついくすくすと笑ってしまう。
「カエっちカエっち、わたし達も手を繋ご~♪」
「うん? ああ、いいよ」
(手を繋ぐ……か……いいなぁ……)
「神奈ちゃん? ……あ、なるほど。楓くん、神奈ちゃんも楓くんと手を繋ぎたいんだってー」
「っ!? ゆ、結城ちゃん!?」
「おや、神奈ちゃんもかい? 自分は構わないけれど……」
「えっ!? あ、えと、その……お……お願い、しましゅ……」
「ふふ、はい、どうぞ」
【(噛んだ……)】
いつものように自分の左隣に居たのこちゃんもそう言ってきたので自分もいつものように手を繋ぐ。やはり自分も彼女と手を繋ぐ当たり、昔から変わらないのだとまた笑ってしまった。
そうしていると不意に友奈がそう言ってきたので神奈ちゃんの方を見てみる。すると、確かに……と言っていいのか分からないが自分とのこちゃんの繋いでいる手を見ていた。自分としては別に問題はないので空いている右手を差し出すと、あちらこちらに視線を動かした後におずおずと左手を伸ばし、手を繋いだ。
……前から思っていたが、どうにも神奈ちゃんは自分と触れあう事を極度に恥ずかしがる。自分に好意的であるのは見ていて分かるが、ここまで恥ずかしがられると自分もどうするべきか悩んでしまうねぇ。まあ今は手を繋いで顔を真っ赤にして俯いている彼女の横顔を微笑ましく思いつつ、寄宿舎へと向かうことにしよう。
(三角関係と思いきやまさかの四角関係……いえ、勇者部は男性1人に女性7人と聞きました。家族である風さんと樹ちゃんを除外しても5人、きっと他にも……という事は最大で6角……神奈さんも含めれば7角関係の可能性も!? そ、そんなの恋愛小説や少女マンガでも早々見られるモノでは……ハッ! この世界で過ごす内に恋心が芽生える人だっているかも……新士君は新士君で園子ちゃんと良い雰囲気……つまり小学生カップル!? いえ、もしかしたら須美ちゃんと銀ちゃんも含まれる可能性も……ああっ、目が離せません!)
「いだだだだっ!? ちょ、あんず痛いぞ!? 急に腕を組む力を強くしてどうし……ああっ、また目がキラキラしてる上に意識が遠くに行ってる気がする! 戻ってこいあんずー!」
そんなこんなで寄宿舎へと辿り着いた後に各々好きな部屋を決めてもらい、予め用意されていた日用品を皆で運び込んでいく。明日にでも大赦から当面の生活費が渡され、個人的な買い物も済ますことだろう。今は寄宿舎へと運びながら楽しげに会話する西暦組と小学生の声をBGMにやることをやっていく。
「そう言えば、神奈ちゃんとひなたちゃんも寄宿舎に移るのかな?」
「うん、そうだよ。西暦の勇者達が召喚されたし、ひなたちゃんも側に居たいだろうから」
「それもそうか……ようやく会えたんだもんねぇ。手伝うことはあるかい?」
「大丈夫、元々寄宿舎に移る予定だったし荷物もあまり多くないから。段ボール1つで運び出せちゃうし、もう用意もしてあるから後で取りに行くんだ」
運ぶ途中、神奈ちゃんとそんな会話をする。彼女とひなたちゃんは讃州中学近くの家を仮住まいとしていたが、そこから引っ越すようだ。まあ寄宿舎の部屋は多いし、ひなたちゃんも若葉さん達と一緒に居たいだろうという言葉に納得する……大切な人達に会えない寂しさは自分にもよく分かる。そういう人達の側に居たいという気持ちもまた、分かる。
ちらりと、若葉さんと小のこちゃんと一緒に話しているひなたちゃんを見やる。そこに浮かぶ笑顔は、これまで見てきたどの笑顔よりも明るく、輝いてるように思える。やはり女の子は戦いに身を置くよりも日常の中で笑っている方がずっといい……天の神とバーテックスが居る以上は叶わないと知りつつも、そう思えてならない。
「大丈夫だよ、か……えで、くん」
「うん? 何がだい?」
「必ず、戦いは終わる。この世界の戦いも……現実での戦いも。君達が何の心配もなく笑い合える日々が、きっと来る」
「神奈ちゃん……」
不意に、隣を歩いていた神奈ちゃんがそう言ってきた。相変わらず自分の名前を呼ぶ度に所々つっかえる彼女に内心苦笑いしつつもその言葉に驚きつつ足を止めて彼女の方を向き、同じように足を止めた彼女と目が合う。
友奈と同じ容姿の中で唯一違う綺麗な緑色の瞳に自分の顔が映る。普段と変わらないトーンで、しかし真剣さとハッキリとした信頼が滲む言葉が胸を打つ。そして彼女は、微笑みながらこう言うのだ。
「貴方なら……貴方達勇者なら、きっとできる」
いつかの日に聞いた、そっと背中を押してくれるような、明るい、聞くだけで元気になるような声で、その言葉を。
「……神樹様みたいな事を言うんだねぇ」
「な、ナンノコトカナー」
「ふふ……別に自分以外は気付かないと思うけれど……ありがとねぇ、神奈ちゃん」
「……うんっ」
誤魔化すのが苦手で分かりやすい彼女は、姿形だけでなく心も“友奈”に似ているのだと改めて確信した。
生活必需品等の荷物を運び終え、自室での整理を終えた西暦勇者達とひなた、神奈。その後に行われたのは、彼女達西暦組と色々あってやっていなかった小学生組の歓迎会であった。場所は寄宿舎の食堂を借り、中にある食材を使って風や美森、銀(中)が簡単な料理を作り、他の者がテーブルへと運んでいく。料理だけでなくお菓子やジュースなんかも用意し、歓迎会は始まった。
元々放課後であったこともあり、荷物運びや食事の準備など空は早い段階で茜色から黒へと変わり始めていたが、気にせずに思い思いにテーブルの上の食べ物飲み物に手をだして舌鼓を打つ。
「ほうほう、結城ちゃんの趣味は押し花……楽しそう! それにこの“はなしょうぶ”ってお花の押し花もキレイ……私もやってみたいなー」
「それじゃあ、今度私の部屋でもっと色々見せてあげるね!」
「ありがとう結城ちゃん! あっ、神奈ちゃんも一緒にやろうよ!」
「えっ? 私もいいの……?」
「勿論だよ神奈ちゃん! そうだ、2人はどんなお花を押し花にしたい? 色々出来るよー。お花だけじゃなくて、キノコとかトウモロコシとか!」
「おお! そういうのも出来るんだ……うーん、悩むなー」
「それ、押し“花”なのかな……私は……うん、結城ちゃんと同じ花菖蒲の押し花を作ってみたいな。出来れば白い奴で……」
高嶋と友奈、神奈はテーブルの一角で友奈の趣味である押し花の話で盛り上がっていた。神奈はともかく高嶋は出会ってそう時間も経っていない筈だが、3人はすっかり打ち解けているようだ。
同じ顔に同じ声、友奈と高嶋に至ってはリアクションやちょっとした仕草なんかも似通っている。その2人に比べれば、神奈は落ち着いている。その光景はさながら三つ子の姉妹にも見えることだろう。
「友奈、あっという間に結城と神奈と打ち解けてるな。若葉、見習いタマえよ」
「既に三つ子のような雰囲気だよね。服装同じだと違い分かるかなぁ……あ、でも神奈さんは分かりそう」
「そうね、高嶋さんと結城さんのシンクロ具合は流石だと思うけれど……神奈さんはさながら2人のお姉さんかしら」
直ぐに仲良くなった3人のやり取りを見た後に若葉にからかうように言う球子。杏と千景はあまりのそっくり具合にそう感想を溢しつつ、目の前のお菓子や料理を口に運ぶ。
ふと、千景は視線を横にずらす。そこに居るのは楓と風、そして若葉の姿であった。彼の姿が目についた時、千景はまだ自分が彼を疑った事に対して謝っていないのを思い出した。
「風さん、それから楓。初めに合流した時、少しでも疑ってすまなかった。改めて謝罪する」
「ぜーんぜん。直ぐにアタシ達のことも楓のことも信じてくれたし、こうして仲良くなれたもの。アタシ助かっちゃうわ、色々な意味で」
「自分も特に気にしてませんよ。疑って当然の状況でしたしねぇ」
「そうそう。それにほら、皆良い子だけどクセが強くてねぇ? 纏めるの時々大変なのよ。そこらへんでも力を貸してね」
「言ってる本人がクセ強いからねぇ」
「いや、あんたも相当よ?」
「ふふ、クセが強くて良い連中なのはこちらも同じ。了解した、色々と力を合わせて行こう」
謝った方が良いだろう……そう思って千景が少し近付いた時、そんな会話が聞こえてきた。自分がやろうとしていた事を若葉に先んじられてしまい、思わず千景の足が止まる。そして楽しげに話しているのを見て、その中に入るのを躊躇ってしまった。
千景は、あまり人付き合いが得意な方ではない。また、これは千景以外の勇者にも言えることだが異性との接触というのも殆んど無い。故に彼女は、楓達に対してどう接するべきか図りかねている所もあった。
(……早く謝ってしまえれば、良いのだけど)
だが、ここまでの時間は彼ら、及び神世紀の勇者達の人となりをそれなりに把握するには充分だった。それに基本的に勇者は風と若葉が言うように皆根が良い子である。だからこそ謝罪したいと彼女も思っている訳なのだが……どうにもその為の1歩が踏み出せず、タイミングが合わない。
はぁ、と溜め息を溢す千景だったが、ふとその視線の先にあるテーブルの上の料理に目が行く。それはうどん焼きのようで、そう言えばこれはまだ食べていなかったと小皿に取り分け、割り箸を使って口へと運ぶ。
(あっ、美味しい……これは、プルコギかしら?)
「味はどうですか? そのプルコギ風焼きうどんは」
「ええ、美味し……っ!? あ、い、犬吠埼、君……」
「びっくりさせてしまいましたかねぇ? すみません」
「い、いえ……大丈夫よ」
不意に聞こえてきた問い掛けに対して答える千景だったが、それが隣から、それも男性の声だったことに気付いて驚きながら声の方向へと体ごと向く。そこには先程まで風と若葉と共に居た楓が居た。
びっくりさせたことに対して謝ってくる楓に千景はそう言いつつ、一旦小皿をテーブルに置く。それを見届けた後、楓は朗らかに笑いながらうどん焼きが乗った大皿を見る。
「それ、自分が作ったんですよ。美味しいと言って貰えて何よりですねぇ」
「そ、そうなの……美味しかったわ。犬吠埼君は料理、出来るのね」
「簡単に炒めて焼く程度、ですけどねぇ。折角の歓迎会ですし、姉さんに何か作ってみるかと言われて、折角なのでと。姉さんや美森ちゃん、銀程の味ではないのが申し訳ないんですがねぇ」
「そんなこと、ないわ。ここにある料理は、どれもこれも美味しいから……その、このうどん焼きも」
「ありがとうございます、郡さん」
(……彼は、よく笑うのね)
男子は料理が出来ない、或いは苦手といったイメージを持っていた千景は先程食べたうどん焼きが目の前の楓が作ったと聞かされ、話しかけられたこともあって驚く。そうして食べた感想を簡単に告げつつ、彼の顔を見ながら内心そう思った。
楓はよく笑う。勇者部に、小学生組に、神奈に、ひなたに、そして西暦組に。その顔は千景から見ても微笑ましげで、まるで大人のようで。そんな彼と接する者達も、同じように笑っていて。
(乃木さんみたいに、疑ったことを謝らないと……)
ふと、千景は思い出したようにそう思った。元々その為に近付こうとしていたのだから。だが、やはり思ったところで言葉にならない。はくはくと口だけが動いて、肝心の声が出ない。
どう言えばいい。謝って許してもらえるのか。謝罪1つするだけなのに、その1つ行うのが千景には難しい。性別の違いは意外にも大きい問題だった。しかし、これから共に戦う仲間である以上仲間内での不和は避けたい。どうする。どうすればいい。そう思っていた時だ。
「楓くん!」
「おっと……?」
「目隠ししてるのはだーれだ!」
「うーん、誰かな? 友奈かも知れないし、神奈ちゃんかも知れないし、高嶋さんかも知れないねぇ」
「ふっふっふ~」
(なっ、高嶋さん!?)
いつの間にか楓の背後にやってきていた3人の友奈。その内の1人、高嶋が後ろから両手で彼の目を覆い隠した。3人は楽しそうにくすくすと笑っており、楓も口元が笑っている。
その光景を見た千景は驚愕していた。まさか高嶋が今日会った異性にそんな事をするとは思ってもみなかったからだ。高嶋に目隠しされている楓に嫉妬心を抱くものの、それを口にすることはない。言ってしまえば、答えを言うのと同じことだからだ。
「うーん……高嶋さんかな?」
「正解!」
「流石楓くん!」
「同じ声なのに、よく分かったね」
少しして、楓はそう答えた。それは見事に正解であり、友奈達は彼の前に回って千景の隣に立ちながら誉める。その中で神奈は不思議そうにそう呟き、千景も内心そう思っていた。気付けば他の者達も楓達のやり取りを見ていたようで、感心したような表情を浮かべているのが何人か居る。
「東郷なら当てても不思議じゃないけどね……アタシは当てられる自信ないわー。楓と樹ならともかく」
「私もだ。千景なら可能かも知れないが……」
「わ、私もお姉ちゃん達なら……」
「タマは、あんずだったら当てる自信あるぞ」
「うん、私もタマっち先輩なら当てられると思う」
「あたしも須美なら当てられるな。後ろから目隠しなんてされたら背中に当たるだろうし、その感触で」
「銀……新士君も居るのに何を言っているの?」
「わたしもカエっちなら自信あるよ~」
「わたしもアマっちなら~。アマっち、後でやって~?」
「別に良いけれど、正解は1つしかないよねぇ、それ」
「友奈ちゃん……次は私もやってもらいましょう。その後は楓君にも……」
「東郷……アンタはホントぶれないわね……」
ガヤガヤと楽しげな声が聞こえた。時代を越え、年齢もバラバラで、出会ったこの世界でしか聞くことが出来ない、そんな騒がしくも楽しげな声が。
それは、もうずっと前から共に居たような気安さで。悪感情なんて入る隙間もなく、皆一様に楽しげな表情も浮かべている。そんな中で、千景は1つ楓に問いかけた。
「私も聞きたいのだけど、どうして高嶋さんだと分かったの?」
「そうですねぇ……まあ、似ていてもやはり別人だということですよ。友奈も、神奈ちゃんも、高嶋さんも、ねぇ」
「……そう」
答えになっていないような……だが、答えであるような返答。そんな楓の言葉に、千景は納得する。確かに何から何まで似ているのだろうが、やはり自分が知る高嶋と友奈、神奈は違うのだと。彼女自身、友奈達を見分けることが出来る自信があった。
ふと気付くと友奈達は東郷の元へと移動し、同じように目隠しをしていた。そんな姿を見ていると楓も同じように見ている姿が目に入り、やはり朗らかに笑っているのを見た。
(……本当に……よく笑うのね)
再度、千景は同じことを思う。楽しげに、優しげに、そして親愛の籠った目で彼は笑う。その事を、彼女は少し羨ましく思った。そう思ってくれる人が居る彼女達の事を、彼女達の笑顔が回りに溢れる彼の事を。そして、自分の仲間達とも直ぐに笑い合えている彼の事を。
(私だけが、まだ……そうね。まだ私達は、本当の仲間にはなりきれていないのでしょう)
人が聞けば、そんな事はないと言うかも知れない。が、少なくとも千景にとってはそうだった。だからこそ、千景は楓へと向き直る。本当の仲間へとなる為に。
「犬吠埼君」
「はい?」
「……さっきは、勇者かどうか疑ってしまってごめんなさい。許してくれるかしら……?」
「許すも何も、自分はそこまで気にしてはいなかったんですがねぇ……でも、謝ってくれてありがとうございます、郡さん」
「……千景でいいわ。敬語もいらない。貴方、あまり年下って感じがしないもの」
「それなら、自分の事は楓で構いませんよ……いや、構わないよ、千景さん。これから宜しく、だねぇ」
「ええ。同じ勇者として……仲間として頑張っていきましょう」
どちらからともなく、手を差し出して握手を交わす。2人の顔には確かに笑みが浮かんでおり、そこにわだかまりは存在しなかった。2人の握手を見ていた風と若葉、ひなたも同じように笑みを浮かべており、安心したと表情が語っていた。
その後も何事もなく歓迎会は進み、時間が経つと帰る家がある勇者部の8人はそれぞれ徒歩で、迎えに来てくれた車で帰宅していった。その見送りをした後、寄宿舎組は1階にある共用スペースにあるゲーム機やトランプ等を持って2階の若葉の部屋へと集まり、親睦を深める続きをすることにする。その道中、千景は楓と握手をした自分の右手に目をやり……。
(……男の人の手って、結構固くて、大きくて……あんなにも温かいのね)
見た目の割に鍛練によって固く、自分とは違って大きな手の感触を思い出し……己の記憶の中のソレと違う事に驚きつつ、そう思った。
「――ということがあったんだよ。これが戦国時代初期のお話だね」
「なるほど、なるほど……なるほど。大変、大変勉強になります杏さん」
「物知りだよね~。お話も、聞いてて面白いように工夫してくれてるし~」
「ええ。だからもっと、もっと聞かせてください! 我が国の話を、杏さん!」
「アンちゃんモテてるぅ! ヒュウ! アンちゃんヒュウ!」
若葉の部屋の中で須美と園子(小)は杏から昔の日本の話を聞いていた。彼女達が言うように杏の知識はとても多く、語りも上手かった。日本歴史大好きな須美はすっかり杏の知識、話術に魅了され、園子(小)も楽しんで居る。彼女達の感想に嬉しそうに笑う杏を、高嶋は吹けていない口笛のような台詞を口にしながら持て囃す。
「若葉ちゃんも、園子ちゃんに手を握られっぱなしですね」
「子孫が懐いてくれるのは嬉しいが……ちょっと照れるな。まだ慣れない」
須美と共に杏の話を聞いていた園子(小)の手は、ひなたが言うように若葉の手を握っていた。くすくすと笑うひなたに若葉は少し顔を赤らめ、懐かれている嬉しさと照れが混じった苦笑いを浮かべる。しかし、どちらも手を離そうとはしなかった。
「お前達は日本の昔話を聞かなくていいんか、銀、新士、神奈」
「いやぁあたしはこうしてゲームしてる方が……あっ! 新士、よくもあたしに赤甲羅を!」
「ふふ、ごめんね銀ちゃん。にしても郡さんはゲーム上手なんですねぇ。どのレースでも独走するなんて……」
「ゲームって初めてやったけれど難しいね……あ、最下位……も、もう1回! もう1回!」
「私の事は千景でいいわ、新士君。2人も中々筋がいいわ。それじゃあ神奈さん、もう1回やりましょうか。次はこのカートを試してみるといいわ」
(神奈って顔に出るよなー。しかもレースゲーム中に曲がる時、自分も一緒に体傾けてるし……見てるだけで面白いな)
部屋のテレビに遊戯室から持ってきたテレビゲームを遊ぶ銀、新士、神奈、千景。その模様を見ていた球子は神世紀に住む3人にそう聞いてはみるが、今は昔話よりも目の前のレースゲームに夢中なようだ。因みに、千景は新士への謝罪を済ませている。
銀のキャラに新士のキャラのアイテムによる妨害が当たり、抜かされたことでその順位を下げる。2人が良い勝負をしている間に千景は3人との格の差を見せ付けるようにぶっちぎりで1位を獲得し、ゲームは初めてという神奈は慣れない操作でそのまま最下位となり、悔しいらしくもう1度勝負を願う。
再度始まるレースを見ながら、球子は神奈を見ながらそう思う。新士と千景は余り体を動かさず、銀は割とコントローラーをガチャガチャさせているが、神奈はキャラとリンクするタイプのようでレースゲームでは曲がる時は自分の体も傾き、格ゲー等ではダメージを負うと“痛い痛い”と呟く。そんな4人のプレイする姿は、見ているだけで面白かった。
「あ……夢中になりすぎてこんな時間に。杏さん、長い時間すみませんでした」
「ううん、こっちもとっても楽しかった。読書が役に立って良かったよ。皆、優しいからリラックス出来るというか……未来の勇者達もいい人揃いだね。それに良いものも沢山見られたし、これからも見られそうだし……」
「しかしふと思ったが……未来でも勇者達が居るってこは、敵もしぶといってことだよな」
「逆に考えようよ。人類側も滅んでないって。あの状態を乗り切ったんだって」
「確かにな! 前向きでいいぞ、あんず。7タマポイントあげよう」
ふと気が付けば、時計は夜遅くの時間を指していた。杏に随分長く話して貰っていたことに気付いた須美は謝罪するが、杏はそう言った後に笑う。その脳裏には目の前の小学生組や神奈、ここには居ない勇者部達の姿が浮かんでいる。一瞬キラキラと目を輝かせた気もするが、幸いと言うべきかそれに気付く者は居なかった。
だが、と球子は言う。自分達の時代から約300年経っても未だ戦いが続いていると聞かされればそう思っても仕方ないだろう。悔しそうに、或いは不満そうに表情を歪めた球子だったが、杏の言葉を聞いて少なくともまた明るさを取り戻す。
「そうだな……未来があるということは、私達は守れたんだ」
「そうですよ。若葉さん達が頑張ってくれたから、自分達は今こうして未来の四国で生きているんです。ありがとうございます、皆さん」
「新士くん……うん。本当に、良かった」
「いい話だけど隙ありだ新士! 逆襲の赤甲羅!」
「残念、バナナガードだよ」
「ぬああああっ! また順位抜けなかった!」
「うぅ……最下位から脱出出来ない……」
「……その、神奈さん。良ければ、その……私が練習に付き合うわ」
「いいの? ありがとう、千景ちゃん!」
「……ええ」
そんな会話が聞こえたのだろう、若葉もしみじみと、そして自分達の戦いが決して無駄ではなく未来に繋がっているのだと自身の手を握る子孫の姿に実感しながら呟く。その呟きに、新士は感謝の言葉を述べた。未来の勇者から、未来を生きる人間からの心の籠った感謝は、西暦の勇者に、そして巫女の胸にしっかりと届いたのだろう。皆一様に笑みを浮かべ、高嶋は少し涙ぐみながら頷いた
それで終わっていれば綺麗だったのだろうが、ゲーム中であった銀が先のレースの恨みだと妨害するもあっさり防がれ、また新士の下の順位に落ち着く。相変わらず慣れない神奈は少し目が潤んでいる気がするが、千景がそう言うと嬉しそうに笑った。その笑顔が高嶋と被ったのだろう、千景は少し顔を赤くしつつ、微笑みながら頷いた。
「そうだ、今度は私達が神世紀の事を聞きたいな。須美ちゃん、教えてくれる?」
「はい。それでは、私達の事をお話します。神樹館小学校に通う、4人の話を……」
「それじゃあまずは自分の転校初日に銀ちゃんが遅刻してきた所から……」
「その話要らないよな!?」
「じゃあじゃあ~、わたしとアマっちが初めて話した日から~」
「それ次の日!」
そうして、夜は更けていくのだった。
原作との相違点
・歓迎会描写をやりました←
・千景、ちゃんと謝れた。やったね
・友奈の目隠し当てゲームの対象が楓に
・千景達がするゲームがレースゲームに
・他にも色々ありすぎて……
という訳で、原作3話終了です。かなり長くなりましたが、まだ3話なんですよね……原作の話は31話まである。
前回の園子√は感想見る限り好評なようで何よりです。しっかりと恋愛話になっていれば幸いです。次に個人√を書くなら、やはり東郷さんになるか、それとも……。
やっぱり私の手を離れる杏です。マジでこの子本作最長レベルで内心喋ってますよね……この子はどうすれば止まるのだろうか←
それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)