遅れた理由はいつものごとくアプリです……すまないさんから竜系素材を剥ぎ取る為にひたすらリンゴ食べてました。えっちゃんで毎回切り刻んでます←
前回の変身シーンはそれなりに好感触なようで何よりです。ノリノリで書いてましたが、書いた後に“なんで書いたんだろう……”と我ながら疑問に思ったり。
今回は蛇足というかその後の交流というか……まあそんな感じのお話です。
樹海での戦いを終え、部室へと戻ってきた勇者達を出迎えたのはいつもの4人……それに水都を加えた5人だった。水都の姿を見た歌野は直ぐに近寄り、水都も同じように近付く。
「ただいまみーちゃん。怪我はない?」
「うたのん、それは私の台詞だよ……良かった、大丈夫みたいで」
「でも、樹海化している時のみーちゃんとかどうなってるの?」
「わたしとミノさんが居るから大丈夫だよ~」
「いざとなったら、あたしらで3人を守ってやるさ」
「皆さんお疲れ様でした。では、歌野さんにもじっくり説明しますね」
お互いの無事を確認し、安堵する2人。樹海からは部室の様子は見えず、逆もまたしかり。召喚されてまだ1日目ということもあり、やはり不安は感じていたのだろう。こうして直接確認が出来たことで、ようやく本当の意味で安心出来たらしい。
そうして安心したことで出てきた疑問に、園子(中)と銀(中)が答える。神奈曰く緊急事態の為の切り札である2人は勇者達の中でもそう呼ぶに相応しい強い力を持っている。今は変身出来ないとは言え、護衛としては心強いだろう。
安心させるように歌野に2人が言った所でひなたが労い、していなかった説明を始める。いい加減何度も説明して慣れたのだろう、その説明は淀みなく進み、時折神奈も混じってこの世界のこと、樹海化のこと等を説明していった。
「ふぅ~む、ありがとう! しっかり理解したので! 外の時間が止まってるなら、諏訪の畑も大丈夫ね」
「っ……」
「ところで、私とみーちゃんはお役目の途中でここに飛ばされてきたんだけど……未来の時間軸で諏訪はどうなっているのか、誰か知ってる?」
歌野の疑問に、外の世界の真実を知っている勇者部の8人とひなたと神奈、そして話を聞いた若葉が表情を固くする。
神世紀において、四国以外の外の世界は既に滅んで炎の海と化している。そこには当然、歌野達が守っていた諏訪も含まれている。更に付け加えれば……この世界に召喚される前の若葉の時間軸で、歌野とは連絡が取れなくなってしまっていた。それが意味することは……そんなことはないと信じていても、彼女の胸中にどうしても不安が募るのは仕方ないだろう。
「……そこら辺については、この神樹様の世界を救ってから考える……そう、決まっているんだ」
「あら、そうなのね。というか若葉、そのリアクションだと諏訪が大変な事になってそうなの想像つくわ」
「うっ」
だが、諏訪の現状など言える訳がない。若葉はそう考え、難しい表情を浮かべながら苦しそうにそう言うが……それは誰が見ても分かる程。当然歌野も気付き、苦笑いしながら呟くと若葉は図星を突かれたと胸を押さえた。これには周りの者達も苦笑い。
「変な未来にならないように、諏訪に戻ったらまた全力で頑張りますかね。みーちゃん?」
「うたのんなら、そういう前向きな事を言うと思ったよ。だって、うたのんだからね」
「まあそれは未来の私、任せた! 今の私は、皆の名前を覚える事から始めるわ」
「……歌野が勇者に選ばれた理由が今、とても良く分かった気がする」
「うたのんは、あんな感じでいつも諏訪の皆を鼓舞していたから」
嫌な想像をしたとしても、ならばそうはならないように頑張ると前向きに断言する歌野。そして彼女ならばそう言うと信じていた水都。それだけのやり取りで、2人の間に強く硬い信頼関係があるのは見て取れた。
未来の事は未来の自分に任せると言った歌野は周囲の者達を見やる。ぶっちゃけ、彼女が名前を覚えているのは元々交流があった若葉くらいだろう。そうして未来よりも現在に目を向ける彼女の姿に、若葉だけでなく他の皆も彼女が勇者に選ばれた理由をなんとなく理解した。
誰よりも前向きに、誰よりも明るく元気に。彼女が守っていた諏訪は、彼女に守られていた人達はきっと心強かっただろう。歌野という勇者の姿に、希望を見出だしていただろう。その身1つで戦う、そんな彼女はきっと……諏訪という場所の、そこに住まう人々の誇りであった事だろう。
「後は畑の1つもあげれば、うたのんは大丈夫」
「水都さんもついてますしね。うふふ」
「歌野、語り合いたいことが一杯ある。後でゆっくり話そう」
「こちらも同じ。若葉」
2人はお互いに見詰め合い、笑い合う。かつては勇者通信という手段でしか会話出来なかった。お互いに声だけしか知らず、姿も見えなかった。会うことすら、叶わなかった。
だが、今こうして奇跡のような邂逅を果たした。西暦では語れなかったことが沢山ある。話したかった事が山のようにある。そして……それをする事が出来る時間が、一杯ある。今日の夜は眠れないだろう。夜通し話しても、きっと終わらないのだから。
「うたのん、早速モテてる……」
「うふふ、巫女は巫女でじっくり話し合いましょう水都さん。ぎゅ~」
「私も水都ちゃん達の話、沢山聞きたいな。ぎゅ~」
「あわわわっ」
楽しげに会話する2人の姿に、嬉しさと小さな嫉妬が混じった声を漏らす水都。そんな彼女を見てひなたは微笑ましげに笑いながら左側から抱き付き、神奈も彼女に倣って右側から笑いながら抱きつく。同じ巫女2人に左右から抱き着かれた水都は慌て、恥ずかしそうに頬を赤らめた。
(あれ、この感触……ひよっとして、私が1番色々と小さいんじゃ……)
「逸材が加入して、小説の創作意欲がどぼどぼと湧いてくるよ~。全く、ここは素敵な所だね~。アイデアが多過ぎて書ききれないかも~」
「こっち、90ページまであがったよ~。こういう時、自分が2人居ると便利だね。園子先輩にしか書けないのもあるけど~」
「新しい小説が今、生み出されている……ドキドキ」
(時折伊予島さんの目が自分とのこちゃんを行き来している……)
「のこちゃんと小のこちゃんが楽しそうで何よりだねぇ。これは次の小説も期待大だねぇ」
抱き着かれたことで色々と密着し、その感触を感じた水都は恥ずかしさの後に小さくないショックを受けていた。そんな彼女の表情を見た樹が、まるで同士を見つけたかのような視線を向けていたのは誰も知らない。
歌野と若葉、そして巫女達のやり取りを見ていた園子ズはいつの間にか出ていた簡易テーブルの上に原稿を出して執筆作業に勤しんでいた。彼女達が書くのは女の子同士の……まあ色々なお話。そう言う話の題材やネタとしては、女の子ばかりかつ仲が良いこの空間は宝庫と言っていいだろう。
おまけに、同じ思考をする人間が2人。執筆速度もそう変わらないが書ける量は実質倍。凄まじい速度で書き上がっていく原稿を見ながら、すっかりファンとなっている杏も胸の高まりが押さえきれない。が、時折彼女の視線が園子(小)と自身を何度も往復しているのに気付いた新士は背筋に悪寒が走った。そんな過去の自分のこと等知らず、楓は執筆する園子ズを微笑ましげに見ていた。
(男の人も居るし、知らない人も沢山で馴染めるか不安だったけど……皆いい人そうで良かったぁ。私も巫女として、出来るだけひなたさんと神谷さんのサポートで頑張る。うたのん、着いていくからね)
まだ出会ってから半日と経っていないが、これまでのやり取りは皆の人となりを把握するには充分な時間だった。当初抱えていた不安も払拭され、水都の表情に自然と笑みが浮かぶ。
その視線が、若葉と他の皆と楽しげに話す歌野へと向かう。勇者である歌野が他の勇者と共に戦うように、自分もまた巫女である2人と共に出来る事をする。諏訪に居たときから共に居た彼女とこの世界でも共に居られるように、共に頑張れるように。そう、水都は何故か友奈と高嶋にも抱き着かれ、同じ顔が3人居る事実に改めて混乱しながら思った。
その後、諏訪の2人の好物である蕎麦で歓迎会をしようという楓達の言葉もあって美森が調べた美味しい蕎麦を出す店で歓迎会をすることとなり……その道中、歌野と若葉がうどんと蕎麦どちらが美味しいかで言い争い、更に風や球子も参加していた事を記しておこう。
尚、2人もまた召喚された勇者達の例に漏れず半袖だった為に“寒っ!?”と声をあげていた為、歓迎会の前に服屋に寄って上着を買うことになったそうな。因みにこの2人、召喚された寄宿舎から部室に来る時にも同じことをしていたりする。
「香川にもこのレベルの信州そばを出す店があったなんて!」
「びっくりだよね、うたのん」
「喜んでもらえてるみたいだねぇ。美森ちゃん、よく見付けてくれたね。ありがとう」
「直ぐ近くで良かったわ」
「タマげたな、蕎麦も侮れないぞあんず」
「うん、そうだねタマっち先輩」
「この美味しさ、女子力が上がりそうな気配を感じるわ」
「気のせいじゃないかな……」
東郷ちゃんが調べたお蕎麦を出すお店での歓迎会。人数が人数なので広いお座敷で何人かに分けて座り、美味しいお蕎麦に皆で舌鼓を打つ。何人かに分けて、と言っても直ぐ後ろだからそんなに離れてる訳でもないし、普通に会話も出来る距離だけど。
「確かに美味い……だが、勿論うどんも美味い。今度は歌野に美味しいうどんを食べさせないとな」
「うふふ、そうですね、若葉ちゃん。今度は皆でいつものうどんのお店に行きましょう。流石に、この人数ではお店側は迷惑になるかもしれませんが……」
「じゃあ、寄宿舎で自分達でうどんを作ればいいんじゃないかな~。ミトりん達もうどん作り体験だよ~」
「お、良い案じゃないか? それなら自分達で好きなうどん作れるし、他のお客さんの迷惑を考えずに済むしさ」
「他の料理は作れないけど、うどんなら作れるよ、私!」
「肉ぶっかけうどんなら任せて!」
「自分達で好きなうどん、ね……サプリうどん……いえ、煮干しうどん……」
「煮干しはともかく、サプリはやめた方がいいと思うわ、三好さん」
ちゅるちゅると蕎麦を啜りながら、皆の会話を聞く。初めて食べる温かい蕎麦はとても美味しくて、うどんにも負けてない。美味しいお蕎麦に皆の楽しげな会話を聞いているだけで、自然と表情が笑顔になっていく。
「アマっちアマっち。そっちのざるそば、一口ちょーだい?」
「ああ、いいよ。あーん」
「あーん……ん~♪」
「全く、そのっちはまた新士君にねだって……お行儀悪いわよ?」
「いつものことじゃないか須美。という訳で、あたしもいつものように須美から一口……」
「とか言いながら1つしかない海老天を取ろうとしない!」
「神奈ちゃん、お蕎麦は美味しいかい?」
「うん、とっても美味しいよ。か、えで、くん」
園子ちゃんが小さい時のか、えで、くん……新、士くんにあーんとされているのを目で追っていると、近くに座っている彼からそう聞かれたので食べる手を休めて答える。本当にお蕎麦は美味しい。私のはたぬきそばと言うらしくて、蕎麦の上にワカメとかカマボコとか揚げ玉というモノが乗っている。この揚げ玉がさくさくとしてて、お蕎麦と一緒に食べるとより美味しい。
周りを見れば、天ぷらが乗っているモノ、お肉が乗っているモノ、大きなお揚げが乗っているモノ、かき揚げが乗っているモノ。新、士くんのはざる? とか言うのに乗ってて、めんつゆというのに浸けて食べるらしい。しかも冷たいんだとか。冷たいお蕎麦……そういうのもあるんだね。もしかして、冷たいうどんなんかもあるのかな。
「すみません、ざるそばお代わりください」
「あ、アタシもお代わりください! 今度は天ぷらで!」
「じゃあ自分もざるそばお代わりで」
「さっすが男の子とそのお姉さん、よく食べるのね。どう? 楓君、新士君。蕎麦は美味しいでしょ?」
「ええ、本当に美味しいですねぇ。歌野さん達が好きだと言うのも分かります」
「でしょう!? この味が分かるなら是非とも蕎麦派に……私はいつでもウェルカムよ!」
「ちょっとそこ、弟を勧誘しない!」
「そうだぞ歌野。楓達の引き抜きはやめないか」
「いや、別に自分達はうどん派という訳でもないんですけどねぇ……」
「という事はフリー? なら問題なし!」
「「大有りだ(よ)!」」
か、えで、くん達が3杯目のざるそばを、風さん……一応、この体は年下になるし……が同じく3杯目の天ぷら蕎麦を店員の人に頼む。同じテーブルで食べてる歌野ちゃんが少しの驚きを見せつつにこやかに言えば、彼は朗らかな笑みで頷いた。その後の3人の言い合いと彼の苦笑いに、皆もくすくすと笑う。勿論、私も。
笑いながら、私は皆の姿を見回す。1つのテーブルに10人ずつで片側5人で座る私達。私の隣にか、えで、くん。その隣に園ちゃん、若葉さん、ひなたちゃん。私の正面には樹ちゃんが居て、隣に風さん、夏凜ちゃん、歌野ちゃん、水都ちゃん。
別のテーブルでは友奈ちゃん、東郷さん……そう呼んでと言われた……、ミノちゃん……友奈ちゃんと同じ理由であだ名呼び……、須美ちゃん、銀ちゃん。友奈ちゃんの正面に高嶋ちゃん、千景さん、杏ちゃん、球子ちゃん、新、士、くん、園子ちゃん。ここだけ6人だけど、小学生の2人は小柄だから大丈夫みたい。なんならくっついてるからか園子ちゃんも嬉しそうだし。
私も入れれば、全部で21人。大所帯だけど、広い座敷があるお店で助かったよね。東郷さんがその辺りを考慮してお店を探し出してくれたんだけど……そう思いながらお蕎麦を食べ進めていると、カツンと音が鳴った。見ればいつの間にか食べ終えてしまったみたいで、汁と細々とした薬味だけが残った器がある。
(食べきっちゃったけど……少し、物足りないなぁ)
でも、か、えで、くん達みたいにお代わりするのは少し量が多い。それに……彼の前でお代わりを頼むのは、何故だか少し恥ずかしい。居ない時は何ともないのに、感情というのは本当に不思議だね。
ふと、彼の食べてるざるそばに目が行った。ざるの上に乗ったお蕎麦を刻んだ海苔と共にめんつゆへと運び、2度3度と浸けてから口へと運ぶ。ずるずると美味しそうに食べる彼の顔を見ると、その味に興味が湧く。私の食べていたたぬきそばとは大分違うそのお蕎麦は、どんな味がするんだろう。
「……? ざるそばが気になるのかな? 神奈ちゃん」
「ほぇ? あ、えっと、その……うん。冷たいお蕎麦って食べたことないし……でも、お代わりするのは量が、ね」
「じゃあ一口食べてみるかい?」
「え!? あっと、えーっと……じゃ、じゃあ一口だけ……」
その視線に気付いたか、えで、くんがそう言ってきてまた恥ずかしくなったけど、興味には勝てなくて一口だけ貰う。その際、また前のように“あーん”とされて嬉しさと恥ずかしさで顔が赤くなるのを自覚しつつ、ちゅるちゅると頂き、味わう。
あっ、温かいたぬきそばとは違う。めんつゆのせいか少し味が濃い。けど、その濃さが海苔とお蕎麦そのものによく絡んで、冷たいけれど美味しい。初めて食べる冷たい麺だけど、とても美味しい。
「冷たくても美味しいね。お蕎麦って」
「うん、美味しいよねぇ」
「その通り! 蕎麦は温かいのは勿論、冷たくても美味しいからどんな季節でも美味しく食べられるのよ! 具材も薬味も出汁も豊富なバリエーション! 香りも良いし美容にも良い。まさに至高の食べ物!」
「聞き捨てならないな歌野。うどんとて蕎麦と同様に冷たくても美味い。麺類の中で最も消化効率もいいし、体調を崩した時にも安心して出せる! 具と薬味のバリエーションも蕎麦には負けないし、鍋の締め等にも最適だ! 煮て良し、焼いて良し、茹でて良し。調理法を見ても優れた食べ物であるのは明白だな!」
「言ったわね若葉! ならここで決着を着けましょうか」
「ああ、良いぞ。議題は勿論これまで通り……」
「「うどんと蕎麦、どちらが優れているか。勝負!」」
「他のお客さんの迷惑になるから寄宿舎に帰ってからにしなさい」
「「……ごめんなさい」」
「おお、若葉が謝った……というか楓も怒るのな。タマげたぞ」
「もう、うたのんってば……羽目を外しすぎちゃダメだよ」
「ちょっと三好さん、大丈夫なの? 凄く震えてるけど」
「ちょ、ちょ~っとね……」
美味しい美味しいと言い合う私達だったけど、急に歌野ちゃんが我が意を得たりと熱く語りだし、触発されたように若葉さんも同じように熱く語り出す。そんなにも蕎麦とうどんが好きなんだなぁと考えてると、遂には立ち上がった2人がテーブルを挟んでそう言い出して、か、えで、くんが静かに怒った。
ちらりとその顔を見てみると、目が全く笑ってない。彼が怒った姿は何度か見たことがあるけど、その姿を見る度に体が少し震える。成る程、これが恐怖という感情なのかな……怒られた2人はしょんぼりとしながら座り、ひなたちゃんと水都ちゃんに慰められていた。
「ご先祖様もカエっち相手だと形無しだね~」
「どうにも楓は同年代には思えなくてな……遥か年上を相手にしている気分になる。怒られると妙に心にクるのはそのせいか……?」
「分かるわ、若葉。諏訪のお爺さんお婆さんと話している気分になるわよね」
「ああ……というか園子はいつまでご先祖様呼びなんだ? いい加減、私の事は名前で呼んでもいいんだぞ」
「じゃあわかちゃんだね~。改めて宜しく~」
「……まあお前のことだから何かしらあだ名で呼ばれることになるとは思っていたがな……」
「うふふ、いいですね、わかちゃん。私もそう呼んでみましょうか」
「ひなたもからかうな」
(部室の2人も良かったけど、ひなタンとわかちゃんも王道だよね~。西暦の皆は良いネタになるよ~。でもミノさんとわっしーのモデルのも書いてるし、カエっちの奴も……やる気とアイデアが止まらないな~♪)
ずず……と残った汁を飲みながら会話を聞いてついくすくすと笑ってしまう。私にとって、こうして皆の会話を聞いているだけでも充分に楽しい。皆が笑っているだけで、胸の奥が温かくなるのを感じる。皆との距離が近い事に、幸福を感じる。
また、周りを見回す。さっきまでしょんぼりしていたのにすっかり明るくなって笑いあっていたり、怒っていた彼も苦笑いを浮かべて会話に参加していたり。小さなあの子達も西暦の子達と楽しげに話していたり、杏ちゃんが2人を見ながら恍惚としていたり……どういう目で見てるのか、私には理解出来ないけれど。
「若葉ちゃんと歌野さんは議論するみたいですし、私達巫女組も帰ったら親交を深めましょうね。一緒に晩御飯……は流石に入らないかも知れないので、裸の付き合いでもしましょう」
「は、はは、裸の!? その、ひなたさん、犬吠埼君達も居ますしそういうのは言わない方が……」
「確かにねぇ。男性のお客さんも居るし、そういうのも寄宿舎に帰ってからにするようにね、ひなたちゃん」
「カエっちはあんまり気にしなさそうだけどね~。カエっち、私もざるそば一口~♪」
「それ、気になると言っても気にならないと言ってもアウトだよねぇ……まあ、同年代に比べて枯れてるのは自覚してるよ。はい、どうぞ」
「あーむ♪」
くすくすと笑うひなたちゃんと顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしてる水都ちゃん。巫女組、って事は私も入ってるのかな……とか思ってると、彼は朗らかな笑みを浮かべたまま諭すように言った。園子ちゃんはほけほけと笑いながらか、えで、くんにおねだりすると、彼は今度は苦笑いしてそう言いつつ園子ちゃんにざるそばを差し出していた。
枯れてる……どういう意味だろう。彼は人間だから植物が枯れる、というのとは違うだろうし。その魂はともかく、肉体は“私達”謹製のモノだし。話の流れからして、異性に興味が薄いってことかな。今度調べてみよう……あ、なんかやめた方が良いって“私達”から頭に届いた。一応は神託になるのかな……うん、やめておこう。なんとなく。
「さて、そろそろ温かいのも食べようかな。すみません、月見そばください」
「アタシも月見そばくださーい!」
「自分はまたざるそばで」
【まだ食べるの(か)!?】
その後、か、えで、くん達は合計8杯ものお蕎麦を食べて私も含めた西暦組全員を唖然とさせた。神世紀の皆は慣れたような顔をしてたけど……うどんをよく食べるのは知ってるけど、好物だからとかじゃなくて単純に大食いだったんだね。
因みに、帰り道に見つけたクレープ屋さんで食後のデザートだとばかりにクレープを食べてまた皆を唖然とさせた。お腹壊したりしないのかな……。
「姉さん、樹、晩御飯はどうするんだい?」
「やっぱりうどんよね」
【まだ入るの!?】
「いつものことですよ……また体重が……」
寄宿舎に帰ってきた私達は皆で大浴場に入り、ひなたちゃんが言っていた裸の付き合いをした。上がった後は晩御飯は流石に入らないので各自自由に過ごす。他の子の部屋に遊びに行ったり、遊戯室で遊んだり。西暦組と小学生組で別れたり、関係なく集まったり。
「ぐんちゃん、今日も来たよー!」
「千景ちゃん、お邪魔します」
「高嶋さん、神奈さん……いらっしゃい。準備はしてあるわ」
「今日は何するの?」
「今日は協力できるパーティゲームね。アクションもあるから、良い練習になると思うわ」
「協力できるパーティゲーム……足を引っ張らないようにしないとね」
私は高嶋ちゃんと一緒に千景ちゃんの部屋に遊びに来ていた。やるのは勿論ゲーム。あの日の敗北を、全て最下位という無念を私は忘れない。いつか絶対1位を……いや、3位くらい……こ、コンピューターより上位を取れるくらいには成長してみせる。
「それじゃ、始めましょうか」
「うん! 頑張るぞー!」
「今日も宜しくね、千景先生」
「……ええ、しっかり鍛えてあげるわ、神奈さん」
私と高嶋ちゃんは千景ちゃんを挟むように両隣に座り、彼女が準備してくれていたゲームのコントローラーを握る。あの日からほぼ毎晩、こうして彼女にゲームを教えてもらっている。夜な夜なそうしてるといつの間にか高嶋ちゃんも一緒にやるようになって、たまに小学生組の子達や球子ちゃんも入る時もある。
我ながら俗世に染まっているとは思うけれど、多分止めることはできない。だって、知ってしまったから。こうして“友達”と一緒に遊ぶことが、こんなにも楽しいんだってことを。
「ここでジャンプ! ……やった! 出来た!」
「ナイスタイミングだよ神奈ちゃん!」
「上達したわね、神奈さん」
「えへへー、先生が良いからね」
「ぐんちゃん、教えるの上手だもんねー」
(上達しても体は動くのね……高嶋さんも動くし、2人と肩とか腕とか当たって……うん、この時間は良いものだわ)
このまま私達はゲームを楽しんで、気付かない内に夜更かししちゃって眠気が酷かったのでこのまま千景ちゃんの部屋で千景ちゃんを真ん中にして3人で眠ることにした。ベッドが大きめで良かった……と思いつつ、私は2人の方に向きながら睡魔に抗うことなく眠りに落ちた。
明日もきっと楽しい1日になる……そんな確信を抱きながら。
「くー……すー……」
「むにゃ……にへ……ぐんちゃん……かん、なちゃん……すぴー」
(同じ顔でもやっぱり別人よね……寝相とか寝言とか……今夜は眠れそうにないわね……幸福過ぎて)
原作との相違点
・ちょっとショックを受ける水都
・園子ズが書いた小説20ページ増
・皆で蕎麦屋で歓迎会
・千景ハーレム
・その他探せばいくらでもあるじゃろう?
という訳で、原作4話の最後と神奈視点での歓迎会のお話でした。蛇足感が強く諏訪の2人よりも神奈メインでのお話でしたが、楽しんで頂けていれば幸いです。
今回も所々にネタを仕込んでいます。原作を知っている人、本作を読んでくれている方はニヤリとするかもしれませんね。風呂シーン? ねぇよんなもん←
それでは、あなたからの感想、評価、批評、pt、質問等をお待ちしておりますv(*^^*)