色々と不幸な出来事、コロナやら有名人が亡くなった事など悲しい出来事が多くありましたが、それでも私達は頑張っていきましょう。
fgoでは無事爆死、メモデフも爆死、ドカバトも爆死。コトダマンはツラミちゃんもおじいちゃんと引けず。でも私は元気です(ヽ´ω`)
さて、今回も原作5話部分です。また、後書きに久々にアンケートがあります。
ひとまず敵の第1波を撃破した自分達はいつものように小休止に入る。上空に居た自分達も一旦地上付近にまで降りてくる。が、絨毯から降りることも絨毯を消すこともしない。いちいち消したり出したりも面倒だしねぇ。
地上で立っている皆には悪いけれど、最近ではそのまま浮いてる絨毯に椅子のように座って休憩している。尚、座る順番はいつも決まって自分の右側に美森ちゃん、左に須美ちゃん、その隣に杏ちゃんとなっている。
「とりあえずは退けたけど、まだまだ来るわよ。気合入れて殲滅するようにね」
「どうかなせっちゃん、チームプレイは」
「いいねぇ、これ大好き! 連携、結構楽しいし。それにしても皆、強いわね。さっきまで空に居た4人なんか弾幕凄かったし」
「アンタこそ、やっぱりやるじゃない。投げ槍とか中々にワイルドね」
「投げた槍が戻ってきたのも驚いたねぇ。そういう武器なのかな?」
「そうそう。遠距離攻撃出来るから結構気に入ってるのよ。投げても勝手に手元に戻って来るし、いざとなれば投げずに戦えるしさ」
夏凜ちゃんが気合いを入れ、友奈がそう聞くと秋原さんは戦う直前よりテンション高めにそう言っていた。姉さんが彼女を褒め、自分も上から見ていた皆の戦いを思い返しながらそう問い掛ける。
のこちゃん達とはまた違う槍の使い方。確かに秋原さんは直接振るってもいたが、基本的には投げていた。その速度も威力も命中率も高いレベルで、投げた後に手元に戻っていたのにも驚いた。何とも便利な槍だと思うが、そう言えば銀が投げた斧もブーメランのように戻ってきていたなぁと思い返す。あれはどういう原理なんだろうか……。
「それにしても雪花、そこそこ戦うと言っていた割に凄く頑張ってくれたな」
「あれぐらいは“そこそこ”、だよ。いざとなれば逃げるかもしれないけど許してね」
「フフフ。そう言いながらも、やっぱり貴女、勇者ね。歓迎するわ、いい野菜を作りましょ」
若葉さんの言葉に秋原さんがそう返すが、あの活躍でそこそことは恐れ入る。彼女だけでなく、古波蔵さんも凄かった。武器がヌンチャクなので扱い辛そうと思っていたが、彼女は自由自在に振るってはその武器の小さな見た目とは裏腹に鈍く大きな音と共にバーテックスを粉砕していた。
戦う距離を選ばない秋原さんと高い威力を保持する古波蔵さん、か。歌野ちゃんと同じく1人で戦っていたということもあり、何とも頼もしい2人が来てくれたモノだと思う。
「……また敵が来るぞ。気を付けろ」
「よーし! 今度は前線に出るぞぉ!! タマに超着いてこい銀! 新士! 三日月の陣を敷く!」
「了解、球子さん! 超着いていきます!」
「着いていくのはいいですが、あんまり突出し過ぎないで下さいねぇ」
古波蔵さんが言った通り、第二波のバーテックス達が動き始める。今回はあまり休憩時間は取れなかったが、このくらいなら全く問題はない。第二波にも大型のバーテックスが数体確認出来たが、先よりは少ないようだ。
第一波の時は中衛としてサポート寄りになっていた球子ちゃんが、今度は率先して前に出る。姉さんに似て突撃思考な部分がある彼女らしい行動に思わず苦笑いが浮かび、そうしている内に銀ちゃんと小さい自分も前に出た。
「さて、自分達も行こうか。飛ぶよ」
「はい! 制空権を維持しつつ、前衛を援護します。射撃開始!」
「敵、バーテックスに対して、撃て!」
「了解! 息のあった連撃と我らの弾幕を見よ!」
自分達も再び絨毯を浮かせて飛び上がり、迫るバーテックスを撃ち落とし、味方を援護する。この絨毯を操作して飛行しながら弓を作り出して敵を撃ち抜くという動作にもすっかり慣れた。
因みに、自分の遠距離攻撃の方法が基本的に弓なのは、言わずもがな小学生の時に須美ちゃんの弓を見続けたからだ。勿論美森ちゃんの銃、杏ちゃんのボウガンも作れなくはないが……やはり、見慣れたモノを想像してしまうのは仕方ないことだろう。しかし自分の持ち味とはこの光を使った数多の攻撃方法と利用方法。色々と攻撃の手段を増やしていきたい所だ。
「皆が燃えてるとこっちも熱くなるなぁ。私も張り切っちゃお。どんどん投げるよ」
「んっんー、なんだか嫌なアトモスフィア……杏さーん! 敵の動き、少し妙じゃないかしらー!?」
地上で秋原さんが槍をガンガン投げてる隣でバーテックスから守っていた歌野ちゃんが、大きな声で杏ちゃんにそう言って来たので自分達も敵をよく見てみる。
前衛、中衛の皆が対応しているので特に気になることはない……いや、第1波の時に比べると、少し動きが派手かもしれない。第1波の時は真っ直ぐこちらに向かって来ていたが、第二波を敵はなんというか……そう。無駄に動いていて、小さいモノは大口を開けていたり、触手や針があるものは大きく広げていたりと目につく。
「……どう思う?」
「そう、ですね……わざと目を引く動きをしているように見えます。攻撃に関係ない行動をしてまで……何かを企んでいるのでしょうか……っ! 敵の数が合わない……?」
「空に居ないのなら……下か? 確か、地面を進んで直接攻撃してくる敵がいた筈だ」
「それです! 1体、地面に潜航している可能性があります! 気をつけて下さい!!」
杏ちゃんに聞くと直ぐに答えが帰ってくる。これまでの戦いで分かっていたが、彼女は頭が良い。それに戦略を練るのも戦術を考えるのも専らこの子だ。その彼女が言うのだから、まず間違いないのだろう。
敵の数が合わない。という事は目に見える範囲には居ないということだ。それも、勇者に変身していることで強化された視力をもってしても。遠くに行くには時間が足りないだろうし、空にも地上にも居ないとなれば……後は地面の中。そして自分は、地面に潜り出て来て攻撃してくるバーテックスの存在を知っている。そう呟き、彼女が皆に大声で注意を促した時だった。
「えっ!? わああああっ!? 地面から出てきた!?」
「「っ、樹!?」」
「大丈夫。私が居る……はぁっ!!」
樹の近くの地面から、以前にも見た魚座のような姿のバーテックスが出てきた。それはそのまま樹へと向かおうとしていて、とても自分達では助けられそうになかった。このままでは樹に攻撃が……そう思い、焦った自分と姉さんの声が重なる。
だが、その攻撃が当たる前に誰よりも先にバーテックスが出てくる事に反応していたであろう古波蔵さんが間に入り、そのヌンチャクを横に振るってバーテックスを吹っ飛ばしていた。その事に安堵すると同時に、あれほどの体格差と武器の小ささでかなりの距離を吹っ飛ばしていた彼女に驚く。
「おぉっ、ナイス吹っ飛ばしね! 一撃で敵が離れていったわ」
「潜るのは私の得意技だ。潜航してくる相手は……だいたい分かる」
「あ、ありがとうございます!」
夏凜ちゃんが称賛し、古波蔵さんが何でもないように言う。なるほど、彼女は沖縄の勇者だ。沖縄と言えば 海というイメージもあるし、泳ぎや巣潜りなんかも得意なのかもしれない。彼女が居てくれて助かった。
「おっと、敵が纏めて来るよー!」
「妹を襲うとは……許せない。潰してやる! また潜っても、今度は引きずり出してやる!」
「風! 気持ちは分かるが冷静にな! 私も以前熱くなり過ぎて怒られた!」
「……オッケイ。まぁ樹も無事でピンピンしてるし、また楓に顔から地面に叩き付けられたくないし、ここはクールに戦いましょ。来ぉい!!」
「ん~、ホット! 後、風さんは楓君に何をされたのかしら?」
それからの戦いは、もう特に言うことはないだろう。言えるとすれば、新しく仲間になった2人の勇者はとても強く頼もしい存在であり、その2人を加えた自分達では今のバーテックス達は相手にならなかったということだ。
とは言うものの、それはこの第二波での話。ここから更に敵が現れる事を悟りつつ、自分達は本日2度目となる小休止に入るのだった。
「ふいー、一旦引いたかな? まだ来るっぽいけど」
「お疲れ、銀ちゃん。このまま引いていって欲しいんだけどねぇ……」
「新士君、銀。ずっと前線に居るけれど、大丈夫?」
「大丈夫だよ須美ちゃん。他の皆も居るし、須美ちゃん達の空からの援護もあるからねぇ」
「そうそう、お前が矢で援護してくれてるから平気さ。愛してるぜぃ」
「あ、あ、あ、愛って……愛って……!!」
2度目の小休止。先程と同じく空に居た4人は地上組と合流し、地上組も集まる。そうして敵の状況を確認しつつ、銀(小)が一息付くと新士は彼女に労いの言葉をかけつつ、何度も攻めてこられるのは面倒だとそう口にする。小学生組の2人は中学生組との体格差や体力の差がどうしても出てしまい、前線で走り回っているということもあって他のメンバーに比べるとどうしても疲労が濃く出てしまうのだ。無論、園子(小)も同じである。
疲労が見える2人を絨毯の上から少し申し訳なさそうにしている須美が心配そうに声を掛ける。遠距離組である須美は楓の絨毯の上に居る以上、移動は彼任せとなる。自分で動くことも無いため疲れも溜まりにくい。故に、遠距離組としても地上組に申し訳なさがあるのだろう。これは他の3人も同じで、それをズルいだのなんだのと言うような輩は勇者達には居ないのだが、それはそれ。
そうした須美達の心配は、新士のいつものような朗らかな笑顔と銀(小)のキメ顔と軽口で払拭される……が、その軽口で須美は口元を押さえながら慌てる。瞬間、すぐ近くに居た杏の目がきらりと光り、それが目についた球子がげんなりとする。
「お、おい。軽口だろ? こっちも恥ずかしくなるリアクションするなよ」
「乃木さん家の園子さんも、わっしーをアイラブユーよ?」
「勿論、自分も須美ちゃんのことは好きだよ?」
「すっ!? そ、そのっちはわ、私もって返せるのだけど……銀とし……新士君は……その……奇襲だったわ」
「アマっち~、わたしは~?」
「のこちゃんも好きだよ。銀ちゃんもね」
「えへへ~♪」
「くっ、流石新士……恥ずかしげもなく言いおって……」
(今、目の前に小学生同士の恋愛空間が広がっています! ああ、やはり本命は園子ちゃんでしょうか。でも須美ちゃんも反応からして満更でもないでしょうし、銀ちゃんも1度ハマればもう抜け出せなさそう。いえ、そもそも未来の4人は……となるとどこかで意識し合う出来事があるハズ。やはり勇者として戦うことでの吊り橋効果? いえ、日常でのふとした出来事とか、或いは不慮の事故による接触で異性を意識したりなんて……きゃーっ♪ これは是非先生に事細かに報告しなくては!)
顔を赤らめて狼狽える須美を見て、銀(小)も少し慌てながら同じように顔を赤らめる。それを見て園子(小)も同じように愛を囁き、新士はくすくすと笑いながら好意を告げる。これには須美も更に大慌てし、園子(小)が問えば同じように好意を伝えて嬉しそうに笑う彼女に抱き付かれ、銀(小)にも告げると流石の彼女も同じように顔を赤くした。杏は“きゃー♪”と小声で悲鳴を上げた。
「楓君もそうだけど、新士君も恥ずかしげもなく“好き”だと言えるのね」
「恥ずかしさも照れもあるよ? でも、伝えられる好意は伝えておいた方がいいからねぇ……それに、本心だし、ねぇ」
「今も?」
「勿論だとも。姉さんと樹は勿論、美森ちゃん達勇者部の人も、この世界で出会った西暦の人達も……皆好きだよ」
「……うん。知ってる」
「私も皆大好きだよ!」
「勿論私も! ぐんちゃんもだよね!」
「た、高嶋さん……」
「凄いな楓の奴。タマには真似出来んぞ」
「ああ、好意を伝えると口にすれば単純だが、こうまでハッキリと言われてしまうとな……しかし、楓達が言っても軟派に見えないのはなぜだろうな?」
「ん~、こっちもホット! でも悪い気はしないわよね。私もライクか聞かれたらイエスと答えるわ!」
(小学生の皆の恋愛模様も勿論ですが、やはり中学生の皆さんの恋愛模様も忘れてはいけないですね。成長した分小学生の子達よりもどこか大人な感じで、この2人なんて夫婦のようなやり取りが心を熱くさせますよね! 園子さんのように一直線な感じも、銀さんの初な反応もまた良いものです。結城さんも恋愛半分友情半分な感じがまたいい味だしてます。是非とも恋愛側に天秤が降りる瞬間をこの目で……神奈さんも忘れてはいけませんし、ああもうどうして私の目は2つしかないんでしょうか!)
そんな4人のやり取りを見ていた美森は、過去を思い返しながらそう呟く。彼女の記憶の中でも、楓はその好意を隠すことなく告げてくる。生憎とそれは甘酸っぱいモノではないが、それでも正面から臆面もなく“好き”だと言われて悪い気はしないだろう。
楓としても、好意を伝えることに躊躇いはない。流石に少しの照れはあるだろうが……伝えられる時に伝えてきたいのだろう。言えなかった事を、言えば良かったと後悔しない為に。伝える前に、2度と会えなくなる前に。それを知るから、その言葉に秘められた気持ちに気付いたから、美森は好意を受け取りつつ、その右肩に頭を乗せた。
流れに乗るように友奈達がそう言い、高嶋は近くに居た千景に抱き付く。小学生組の流れに乗り、これだけの勇者達に見られているにもかかわらず言い切った彼に球子は驚き、若葉も同じように驚く。その後に直ぐに笑う辺り、異性とは言え仲間に好意を伝えられて悪い気はしていないようだ。それは歌野も同じなようで、彼女もまた笑っていた。
因みにこの時、直ぐ近くで楓と美森のやり取りを見ていた須美は未来の自分と新士が仲良くしている、と言うにはやや進んでいる関係にも見える姿に少し慌て、園子(小)と新士は仲良しだなぁと笑い、銀(小)はもしや未来の自分の今までの反応は……? と悟り始めていた。杏は言わずもがなであり、それを見てしまった球子は遠い目をしていた。
「小学生達はタフだし、皆は強いし仲良いし……ホント、頼もしくて嬉しくなっちゃうにゃあ」
「せっちゃんの事も大好きだよ!」
「あはは、会って間もないっていうのに……ありがとね」
「棗! 妹をありがとね」
「そうだった。古波蔵さん、樹を助けてくれてありがとうございます」
「あれぐらい、この娘ならば対応出来たと思うが……」
「本当に助かりました」
「無事なら、それでいいんだ」
そんなやり取りを、雪花は少し場違いな気持ちで見ながらそう言った。彼女と棗にとってはこの戦いはこの世界に来てからの初陣であるし、勇者達と接した時間もあまりに短い。疎外感を覚えるのも無理はないだろう。しかし、時間の短さなど関係無いと友奈がそう言い、雪花はそれを嬉しそうに笑って受け入れた。
その隣では犬吠埼3姉弟が先程の樹を助けてもらったことに対して棗に御礼を言っていた。精霊バリアがある以上大きなダメージを負うことはなかっただろうし、彼女が言うように樹も対応は出来たかもしれない。が、助けてもらった以上礼を言うのは当然と言い、棗もそれを受け取った。かと思うと、目を閉じていきなりその場に割り込んだ。
「……ちょっと、いきなり座ってどしたの」
「敵は直ぐに来る。それまでに瞑想して、心身ともに回復しておく」
「成る程、私も隣でやってみよう……瞑想っ!!」
「はいはい、私もやらせて! ~♪」
「瞑想中に鼻唄はダメでしょうが歌野。お喋りなアンタに瞑想は不向きよ」
瞑想すると聞き、若葉と歌野が棗の隣に座り、同じように瞑想をし始める。しかし、若葉はともかく歌野は何か勘違いをしているのか、同じように目を閉じて座りながら鼻唄を歌い出し、夏凜からツッコミを受ける。それでも止めなかったが。
「私も棗さんのようにカッコよくなりたいなぁ」
「カッコよくね……とりあえず、今できることから始めなさい。ほら、サプリをキメるのよ」
「あはは……そ、それは大丈夫かなぁと」
「なんでよ。あ、棗、瞑想終わった? じゃあ棗からも言ってやって。サプリは良いと」
「う……私も飲まないからよく分からない」
「じゃあ同じ勇者として私が教えてあげる! いかにサプリがイケてるかをね!」
瞑想する棗を見て、樹はポツリとそう呟く。どうやら完全に心を射抜かれている様子の彼女に、ならばと夏凜はサプリを薦める。が、またいつものが始まったと樹は苦笑いしつつこれを拒否する。それを聞いて少し不満そうにする夏凜だったが、瞑想を終えたらしく立ち上がった棗を見て仲間を得たと言わんばかりにそう言った。
しかし、棗は首を横に振る。彼女がサプリを飲んだことがないと分かり、今度はサプリの布教を始める夏凜。これには周りも苦笑い。何しろ雪花と棗を除けば、皆一様に夏凜からサプリの布教と共に勧められた経験があるからだ。尚、それらに加えてたまに煮干の蘊蓄なんかも入る。
「今、ちょっと困ってる感じかな~?」
「かも知れないねぇ。あまり表情は変わらないけど、雰囲気とかには結構出る人みたいだねぇ」
「そうね、少しずつ分かってきたわ、棗のことも。どちらもチームに馴染んできて何より何より」
夏凜からサプリを勧められている棗の反応を見ていた園子(小)と新士がふむふむと頷きながら話していると風も乗ってくる。彼女はこの数10分に及ぶ戦闘と合間の小休止中の会話で雪花と棗の2人のある程度の人柄を把握し、楽しげに接する姿を見て安心したように頷いた。
「……乃木さん? もしかして、あなたも子孫のように……」
「……すぅ……くぅ……」
「やはり寝ている……瞑想したかと思えば……この状況下である意味大したものね」
そんな話をしている外で、瞑想すると言ってから全く動かない若葉を見て少し嫌な予感を感じた千景。近寄って声を掛けてみるが、帰って来たのは静かな寝息だった。座った状態でそのまま眠ってしまっている彼女をやはり園子達の先祖であると認識する千景。それに加え、近付いた彼女に若葉が寄り掛かってきてしまう。
「……全く、仕方ないわね」
ポツリと、千景はそう言って若葉をそのままにする。休憩中とは言え敵がまだ居る為か樹海化は解けていない。にもかかわらず眠りこける若葉に思うところが無いわけではないが、かといって無下に扱う訳にもいかない。そう思いながら溜め息を1つ吐き、千景は彼女をそのままにしておくのだった。
因みに、彼女も視界にはいつのまにやら立ったまま眠る園子(小)と彼女に寄り掛かられている新士の姿が映っており、改めてやはり先祖と子孫なのだと小さく笑みを溢した。
「……はっ、いかん。一瞬寝てしまっていたか」
若葉が起きたのは1分経ったかどうかといったところだった。少し慌てた様子で呟く彼女に千景は先程思った通りに小言を言い、若葉も素直に謝罪をし、その後直ぐに自身が千景の肩を借りている事に気付き、寝ている間ずっと貸してくれていた事に対して礼を言いつつ体を離した。
「乃木さん、毎日気を張りすぎなんじゃないの? 今は人数も増えてきたんだし……秋原さんの台詞通り、結果を出せるならそこそこの頑張りで言いと思う。全力でやって、潰れるよりは」
「そうね。勇者部5箇条に“なるべく諦めない”ってのがあるけど、“なるべく”って言葉がミソだと思うのよ」
「ちょっと肩の力を抜くといいよ! いつも迷惑かけてる私達が言うのもなんだけど」
「……そうだな。ありがとう」
そう言う千景の表情は真顔からあまり変わらない。だが、言葉からは若葉への心配と思いやりが籠っているのが伝わる。そこに風と高嶋も加わり、千景に続くように言葉を掛ける。
前線に出ては声を出し、リーダーシップを取ってきた若葉。西暦での彼女は同じ四国の勇者……千景達のリーダーとして前に出ていた。それが自分の役割であるから。だが、この不思議空間では他にも沢山の勇者が居る。西暦の時と同じように振る舞う必要等何処にもない。彼女1人で頑張る必要も、気負う必要もない。
仲間達の言葉を受け、若葉の表情に笑みが浮かび……心なしか、肩の力が抜けたような気がした。それを見ていた勇者達の心にも温かなモノが生まれ……銀(小)が須美に向かって声を掛ける。
「聞いてたか須美。あれ、お前にも言えることだぞ」
「私は大丈夫よ。銀の無鉄砲な行動には時々ハラハラするけど」
「おいおい、あたしだけじゃなくて新士もだろ? 須美は頑張れ!」
「新士君よりも銀よ。というか無鉄砲を直しなさい」
小学生組の中でも人一倍真面目で肩の力が入っている事が多い須美。若葉に言われている事は彼女にも言えるのだと銀(小)は言う。だが、須美としては他の3人に、そして年上の勇者達に助けられている事を自覚している。故に、1人で気負うことはないという思いを込めて大丈夫だと言い、それよりも突っ走る事が多い彼女の方こそ心配だと告げる。
銀(小)は新士も突っ走るだろうと言うが、須美にしてみれば1番心配なのは彼女の方だと一蹴。その後の反省の欠片も見えないエールには呆れ顔を返した。
「でもな須美、銀は近接だぞ。近接に鉄砲装備は相性が悪いんじゃないか?」
(球子さん……それ、本気で言ってるのかねぇ……)
「(新士君のタマっち先輩への眼差しが生暖かい……!?)タマっち先輩! “無鉄砲”っていうのは、そういう言葉があって……」
「も、もももも勿論知ってたぞ! 銀! 後こっち見てる新士! 今のは冗談だって分かるよな!?」
「はい! わかってます!」
「うん、分かってますよ」
(銀ちゃんはともかく、やっぱり新士君の眼差しが生暖かい……神世紀は本当に良い子揃いだなぁ)
頓珍漢な事を言う球子に思わず苦笑いと共に生暖かい視線を送る新士。彼女の台詞と彼の表情が視界に入ってしまった杏は大慌てで球子に詰め寄り、同じように慌てた球子は嘘かホントか2人に向かって叫ぶように言った。
銀(小)の反応は至って普通。恐らくは彼女の言をそのまま受け取っている。一方の新士はやはり生暖かい視線を向けたままだが、銀(小)と同じように頷いた。そんな2人を見ながら、杏は改めて神世紀の勇者達は良い人ばかりなのだと思った。
「小休止の間とか、つい寝ちゃいますよね~。やっぱりご先祖様もそうだった~」
「これには若葉さんも言い訳出来ませんねぇ」
「うぅっ……なんだか恥ずかしい……」
肩の力が抜けていた若葉だったが、園子(小)と楓にニコニコされながら言われ、顔を赤くして胸を抑える。思えば異性に寝顔を見られたということでもあり、流石の若葉も恥ずかしかったようだ。
「皆、本当に仲良しなのね。男子が居ると色々問題あるかと思えばそうでもないし……それがチームプレイの秘訣かしら」
「せっちゃんも友達だよ! 仲良しになろうね!」
「……なんだか優しさが沁みるわ。学ぶ事が多い。あなた達にはもっと早く会いたかったな……」
「……その沁みるって言葉、分かるわ」
楽しげに、笑いながら会話をする周りを見ながら、雪花はポツリとそう溢す。北海道に独りで居た時には感じられなかった、人と触れ合う暖かさ。この世界に来てからそう長くない時間の中で掛けられた暖かな言葉に笑顔、優しさ。
雪花の心に、暖かい何かが宿る。独りでは決して得られなかった、言葉に出来ない……だが、得られた事が嬉しいと感じられる何かが。それを感じながら呟いた言葉に、夏凜が理解を示す。勇者部に来るまで、同じように独りで居た彼女だからこそ、雪花の気持ちが、雪花の感じている何かが、夏凜には理解出来た。
「っ! また敵が動き出したわよ。注意して」
「どんな攻撃も鉄壁のタマが防ぎ!」
「あたしが押し返えええす!! そして新士が!」
「止めは自分が貰おうかねぇ!!」
「いい気合いだ。やるな小学生」
「おい、タマは中学生だからな。そこを間違えるとワールドウォー3だからな」
それまでの暖かな空間をぶち壊すように、第3波となるバーテックス達が迫りくる。直ぐに戦闘態勢に入り、前衛、中衛、後衛と別れ、前に、後に続き、空へ向かう。
今度は前線に出た球子が迫る中型バーテックスの攻撃をその盾で受け止め、動きが止まったバーテックスを銀(小)がその双斧で押し返し、無防備なその体を新士が追い、双爪で討つ。この世界で何度も行ってきた、前衛3人組の連携。声を上げて戦う3人に感心したように棗が言うが、2人と一緒くたにされたと思った球子から注意が入る。
「ようし、やっつけちゃおうよ! 勇者パンチが火を吹っくっぞ!」
「ほいほい。死なない程度に征っきます!」
3人に遅れないようにと高嶋が拳でバーテックスを殴り飛ばし、雪花もまた槍を投げる。第1波よりも第2波。そして第2波よりも第3波。戦いを重ねる毎に、その投げ槍が冴え渡り、仲間との連携も取れている。
雪花だけでなく、棗もそれは同じ。前線で戦う仲間達の邪魔にならないように、それどころかお互いの隙を無くすように戦い、先の3人のように連携にて中型も大型も関係なく打ち倒していく。
連戦で疲労は溜まっているだろう。バーテックスの多さに辟易もするだろう。だが、勇者達の動きにそれらは見えず、それどころか良くなっていく。それによって加速度的に数を減らすバーテックス。第4波の姿はなく、これで最後であると誰もが理解した。
「ここが勝機。一気に押しきる」
「はいはいはい! 一緒にやろう! せーのっ! 勇者ソバーット!!」
「楓さん! 2人の援護を!」
「分かった。邪魔はさせないよ!」
棗が友奈の声に合わせて飛び込み、振るわれたヌンチャクと飛び回し蹴りがバーテックスを吹き飛ばし、光へと変える。着地した2人に襲い掛かろうとするバーテックス達は、漏れ無く杏と楓のボウガンと縦横無尽に動く光の矢に射抜かれた。
「響け! 私のフェイバリット! ラアアアアアアアアッ!!」
「凄い……歌野さんの連擊でバーテックスが怯んでます!」
最後に残った大型バーテックス……レクイエムに向かっていた歌野が気合いの叫びと共に鞭を振るい、その巨体を連続で打ち付ける。その様はさながら嵐の如く、切れ目なく止まらない攻撃はレクイエムを退け、怯ませるに充分だった。
「よし、雪花! トドメは私と行こう!」
「了解! チームプレイを学んだ私による必殺の一撃!」
「「はああああああああっ!!/せええええええええいっ!!」」
怯んだレクイエムに向かって若葉が飛び、雪花が槍を構える。歌野から続く攻撃は敵の反撃を許さず、若葉が縦に両断した直後に雪花の投げた槍がその体に大きな風穴を空けた。完璧なタイミングでのトドメの一撃。それを成した2人がほんの少し前に出会ったばかりだと、端から見た者が信じられるだろうか。
これが、最北端と最南端からやってきた勇者を含めた最初の戦い。最後のバーテックスを打倒し、まるで以前から共に戦ってきた仲間のように戦勝を喜ぶ18人の勇者達。勝鬨を上げる勇者達のノリに慣れない2人は少し照れたように……だが、これも悪くないと少し笑った。
原作との相違点
・杏 大 妄 想
という訳で、原作5話の戦闘部分の続きでした。殆んど会話パートでしたけどね。やはり本編のようながっつり戦闘描写は難しい……数の暴力ですしね。
久々の杏大暴走ならぬ大妄想。これ、最初書いてなかったんですよ。でも見直しの時になぜか書けとゴーストが囁いたんで……まさかゴーストの正体は……ああっ、窓に! 窓に!
銀ちゃんの愛してる云々はDEifでも書きましたね。その部分と見比べてみるのも面白いかもしれません。逆に胃が痛くなるかもしれませんが←
あ、次回はゆゆゆ作品お気に入り最多記念の番外編予定です。
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ゆゆゆ作品お気に入り最多記念番外編。その内容は……
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親密√第4弾
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DEif新士バースデー
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そろそろ姉妹メイン番外編に幸福を
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二神と勇者部の再会
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友奈顔だよ、全員集合!